ブリッジレポート:(4248)竹本容器 vol.3
(4248:東証2部) 竹本容器 |
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企業名 |
竹本容器株式会社 |
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社長 |
竹本 笑子 |
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所在地 |
東京都台東区松が谷2-21-5 |
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決算期 |
12月末日 |
業種 |
化学(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2015年12月 | 12,221 | 1,250 | 1,275 | 827 |
2014年12月 | 11,062 | 877 | 879 | 581 |
2013年12月 | 10,017 | 757 | 813 | 592 |
2012年12月 | 9,654 | 632 | 658 | 434 |
株式情報(3/17現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【沿革】
創業者竹本茂氏(竹本笑子社長の祖父)が、同社の前身となる竹本商店を1950年に創業。第二次大戦終戦後のモノ不足の中、使用後のガラス壜を回収し、新品同様に再生する「古壜再生業」でスタートした後、1953年に竹本容器株式会社を設立し、ガラス容器の販売を開始。1963年には同社を特徴づける自社ブランド品「スタンダードボトル」の取扱いを始めた。1980年代に入ると、竹本雅英専務(現相談役、竹本笑子社長の父)が先頭となり、顧客の注文に応じて容器を製造する「特注品」が主流で、ボトルと付属品の取扱い業者が分離していた関西地区において、「スタンダードボトル」と「ワンストップ供給」を武器に新規開拓に注力。品揃えの豊富な同社は顧客の需要を確実に取り込み、販路を拡大した。当時としては画期的であったこの大阪進出がその後の福岡、札幌、名古屋への展開につながり、全国をカバーする販売・サービス網の構築に成功した。 1984年にはさらに競争力を強化するためには商社機能に加えメーカー機能が必要と考え、吉川工場(埼玉県吉川市)を開設し、プラスチック容器の加工・印刷を開始した。 1996年には業界で先駆けて中国に製造・販売の子会社を設立し、グローバル化戦略をスタート。 2004年、竹本笑子氏が代表取締役社長に就任し、国内市場におけるシェアアップと海外市場の開拓をさらに推進中。2014年12月、東京証券取引所市場第2部に上場した。 【経営理念など】
【市場環境】
下のグラフにあるように、容器の出荷金額はここ数年横ばいが続いており、今後も人口減少の進行が予想される中、国内需要の大きな伸びは期待し難い。
消費市場の成熟化、消費者の嗜好の多様化、ネット販売の拡大などにより、商品ライフサイクルの短命化が進み、「大量生産大量販売」の時代は終わり、「少量多品種販売」の時代に入っている。
そうした中、同社の顧客である化粧品・トイレタリー用品メーカー等が面している課題は、「製品開発期間の短縮化」や「経費削減」。
自社による容器開発を抑制する傾向を強めるこれらメーカーにとっては、必要な容器を必要なタイミングに必要な数量だけ調達できるスタンダードボトルを採用する機会は今後益々増大するものと考えられる。
圧倒的なシェアを有するトップA社やB社の顧客は、自社で金型投資を行う化粧品大手企業などが中心。 そこで竹本容器は、これまでに培ってきた提案力を差別化要因とし、協力メーカーも活用し、早く、安く、確実に製品を納入する量産体制を構築。顧客金型製品の売上を拡大する。 一方、大半の下位企業が商社を通じてスタンダードボトルの販売を行っているため、商社機能とメーカー機能を併せ持つ竹本容器は豊富な品揃えという点で優位性を有している。またメーカーとして開発コスト低減に取り組む事により、価格競争力も向上させシェアを引き上げる。 包装・容器市場が飽和している中でも、こうしたシェア拡大策による成長余地は極めて大きいと考えられる。 【事業内容】
化粧品・美容事業者、食品・健康食品事業者、日用・雑貨事業者、化学・医薬品事業者を主な顧客として、容器およびキャップやディスペンサーなど付属品の製造・販売を行っている。同社の容器は単なる容れ物ではなく、デザイン、機能、バリア性、安全、環境に留意した付加価値の高い製品が中心となっている。 ◎ビジネスモデル
化粧品やトイレタリー製品メーカー等の顧客企業が、製品差別化のために独自の容器デザインの製造を容器の成型メーカーに依頼する場合、多くのケースでは容器を製造するための金型製作費用は顧客が負担し、成型メーカーが製品設計と生産を請負い、顧客独自の容器を生産後納品することとなる。ところが、金型の製作には、一般的に3カ月程度の期間と数百万円の費用が必要であり、多くの顧客企業にとっては容器の調達に時間とコストがかかる点が課題となっている。 これに対し、同社は顧客に替わって自社で金型を製作し、顧客が希望する包装容器を生産、納品する。 このため、顧客は自ら金型を製作する場合と比べると短期間でかつ開発コストを抑えて、希望する包装容器を、必要な時に、必要な量だけ調達することができる。 このように、同社が容器の企画・設計を行い、製造に必要な金型を自社で製作・所有する容器を「スタンダードボトル」と呼ぶ。 同社が有する金型の種類は2015年12月末現在で2,843点と業界一の豊富さを誇る。 自社で開発した標準型のスタンダードボトルに着色や印刷を施し、キャップなどの付属品と組み合わせる「カスタマイズ」により、顧客の差別化ニーズに対応している。 また一部製品については製品在庫を保有するなどし、小ロット、多品種、短納期を実現している。 スタンダードボトルの売上構成比は全売上高の約7割で、顧客が金型製作を負担する顧客金型製品や、商社として他社製品の仕入なども行っている。 【特徴と強み】
①幅広い顧客基盤
同社は国内外に4,648社と極めて幅広い顧客基盤を有している。この顧客基盤から獲得する安定したキャッシュ・フローが、継続的な金型投資を可能にしている。 また、同社の高い開発提案力により顧客満足度は高く、リピーターも多い。 ②豊富な金型ストック
前述の様に2,843という豊富な金型ストックを有しており、顧客のニーズに対して柔軟な対応が可能である。また、品揃えの拡充や、デザインおよび機能性に留意した容器など付加価値の高い製品開発を進めると同時に、金型の標準化、共通化、小型化を進めることで、投資負担やリスクを低減させている。 ③柔軟な製品供給体制
国内7拠点、海外2拠点の生産ネットワークを通じて、高品質な製品を小ロット、多品種、短納期で納品できる体制を構築している。また顧客ニーズに対応したカスタマイズによる生産体制や、コスト、強度、精度を考慮した新たな生産技術を積極的に導入している。 ④「開発提案力の高さ」
幅広い顧客基盤(顧客資産)の形成に寄与しているのが、高い開発提案力であり、同社の持続的企業価値創造の源泉といっていいだろう。現在約40名の企画開発及び技術スタッフが、素材、形状、機能性、安全性などの視点から日々様々なアイデアの具現化に取り組んでいる。 合羽橋ショールームには約1,000種類のスタンダードボトルが展示されており、高い開発提案力の一端を伺うことが出来る。 |
2015年12月期決算概要 |
スタンダードボトルニーズの拡大、稼動率向上等で2桁の増収増益。計画も超過。
売上高は前期比10.5%増の122億21百万円。国内では、スタンダードボトルニーズは引き続き拡大しており、新規案件も増加した。インバウンド需要増により国内化粧品向けが好調だったほか、積極的な開発提案型営業によりスタンダードボトル、カスタムボトル開発ともに好調だった。また、2015年5月に新工場が本格稼働し、押し出しチューブ生産の拡大も増収要因。 中国では、開発提案型営業によりスタンダードボトル、カスタムボトルの開発が増加したほか、営業強化により、新規案件獲得が増加した。円安元高により円換算額は同319百万円増加した。 営業利益は同42.5%増の12億50百万円。 国内では、減価償却方法を定率法から定額法に変更した影響の他、稼動率向上、プラスチック原材料価格の低下も寄与した。 中国では稼働率向上、原材料価格低下に加え、為替変動により同36百万円円換算額が増加した。 新規案件及びリピート注文が増加し、円安による中国子会社の円換算増加もあり、2015年11月に業績を上方修正した。 またそれに合わせ、期末配当を12円/株から16円/株に引き上げ、中間配当12円/株と合計で通期28円/株とした。配当性向は19.2%。 仕入債務の増加などで、流動負債は同1億32百万円の増加。固定負債も長期借入金の増加で同2億19百万円増加し、負債合計は同3億51百万円増加の53億81百万円となった。 純資産は利益剰余金の増加で同4億98百万円増加の55億75百万円となった。この結果自己資本比率は前期末より0.7%上昇し、50.9%となった。 有形固定資産の取得額増加などにより投資CFのマイナス幅は拡大した結果、フリーCFはマイナスに転じた。 前期にあった株式発行による収入がなくなり財務CFもマイナスに転じた。 キャッシュポジションは前期末に比べ4億17百万円減少の13億69百万円となった。 (4)トピックス
中国子会社で手掛けている金型製作工程の一部内製化を進めるとともに、金型設計の標準化と金型開発体制の拡大強化を行い、2018年には2015年実績と比較して金型開発能力を2倍以上とすることを新たな中期目標として設定している。◎金型の開発状況 2015年12月期は年間230型(スタンダードボトルとカスタムボトルの合算)の金型製作を計画していたが、結果的にはそれを上回る244型を完成させることができた。 |
2016年12月期業績見通し |
連続して増収も先行投資により減益
売上高は前期比4.6%増の127億88百万円の予想。スタンダードボトルのニーズは引き続き拡大。積極的な開発提案を行う。カスタムボトルも増加する。材料費の増加などで粗利率は低下。営業利益は同3.9%減少の12億2百万円を予想。減価償却費が増加し、生産拡大のための先行投資を実施する。配当は中間14.00円/株、期末14.00円/株の計28.00円/株で前期同額の予定。予想配当性向は20.4%。配当性向20%を目標としている。 RMBに関しては、中国子会社の円換算の影響度が大きく、USDに関しては、米子会社の規模が小さいため日本での原材料調達額への影響が相対的に大きい。 |
中期経営計画と進捗 |
スタンダードボトルの開発を引き続き積極的に行う。2015年実績 175型に対し、2018年は 370型を目標としている。
カスタマイズボトル製造に関しては、「新しい成形」「新しい加飾」「高品質」「量産対応」「短納期」をキーワードとした工場づくりを進める。
カスタムボトル・イノベーションも推進する。2015年の開発実績69型に対し2018年は170型を目標とする。
日本、中国のみでなく、タイ、ヨーロッパ、アメリカ、インドなどグローバル展開を進める。
2016年は日本国内の工場への投資を進め、2018年は海外工場への投資を想定している。
日本では量産体制の拡充を進める。
中国では現状の生産体制で可能な売上増を目指しつつ、稼動率向上による利益率向上を図る。
その他地域は当面は経費先行だが、一定量の販売実績が出てきた段階で現地工場建設を進める。
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竹本社長に聞く |
<拡大するカスタムボトル・イノベーション>
スタンダードボトル需要が引き続き拡大していることに加え、カスタムボトル・イノベーションも着実に社内に意識が浸透している。スタンダードボトルが「定食」とすれば、カスタムボトルはいわば「創作料理」。 スタンダードボトルの様に、営業と開発だけではなく、技術、生産、特許など幅広いスタッフがチームに加わって、経験、工夫、知識を全員で出すプロジェクトとして進めていく必要があるが、PDCAサイクルを週単位で回すことで顧客の課題を解決することに成功している。こうした実績によって更に顧客のニーズを取り込み、ビジネスが拡大している。 スタンダードボトル・ビジネスを成功させるには豊富な顧客と金型、ニーズに対応した製品供給体制という要素が必須だが、当社は世界有数の金型数を有し、世界的に顧客を獲得できる体制が備わっている。また、金型の利用頻度が上がればコストも低減し、内製化を進めれば更にコストを引き下げることができ競争力は向上する。 今後はスタンダードボトルで培った開発力、技術力という資産を活用しカスタムボトル・イノベーションますます拡大させていきたい。 <中国市場について>
景気の実態は想定以上に減速している。当社では顧客を化粧品のみでなく食品や薬品にも広げていたこと、良い会社に取引を集中させていたこと等から、貸倒などの影響は特に発生していない。 ただ今後も不透明な環境が続くと予想されるので、財務データの入手を始めとして与信管理を更に強化する。 今期の業績予想はかなり堅めに織り込んでいる。 <今後の金型開発>
当社では金型数を2017年420、2018年540と、現在の2倍以上に引き上げる事を目標としている。開発の中心は中国。工場の設備投資以外では、生産ラインを効率的に稼働させるための人員の確保・育成・定着が不可欠となり、適切なマネジメントスキルが必要となるため、当社および中国子会社においてブラッシュアップを進めている。 設計、デザインを担う日本ではデザイナーに加え、今後は世界的な特許調査を行う必要もあり、特許に精通した人材の確保も重要だ。 また、設計だけ、デザインだけでなく設計のできるデザイナーの育成や、マーケティングのできる営業スタッフなど、多様な才能を持った社員を育てていきたい。 |
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