ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

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ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.33

(7590:JASDAQ) タカショー 企業HP
高岡 伸夫 社長
高岡 伸夫 社長

【ブリッジレポート vol.33】2016年1月期業績レポート
取材概要「ホームセンター市場の低迷や天候不順によりホームユース部門が低迷している。しかし、エクステリア市場が伸び悩む中、プロユース部門が好調に・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年4月5日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社タカショー
社長
高岡 伸夫
所在地
和歌山県海南市南赤坂20-1
決算期
1月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年1月 18,484 603 679 323
2014年1月 18,069 1,006 973 508
2013年1月 16,751 881 956 422
2012年1月 14,969 708 690 315
2011年1月 13,019 687 657 339
2010年1月 12,756 580 584 296
2009年1月 13,118 440 393 246
2008年1月 13,437 597 474 289
2007年1月 12,420 424 414 183
2006年1月 11,112 528 541 305
2005年1月 10,895 528 498 270
2004年1月 10,153 466 346 213
2003年1月 10,057 360 257 162
2002年1月 9,457 -17 -83 -89
2001年1月 9,045 523 467 177
株式情報(3/11現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
447円 12,278,452株 5,488百万円 3.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 2.7% 29.48円 15.2倍 599.69円 0.7倍
※株価は3/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
タカショーの2016年1月決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水等のウォーターガーデンや坪庭等も手掛けている。
製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、オセアニアへも展開。商品の企画から製造、販売までを一貫して手掛けるグループ力を強みとし、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」のリーディングカンパニーとして期待されている。グループは、16年1月末現在で連結子会社18社、関連会社3社。
 
 
【販売ルート】
営業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要なハウスメーカーや工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「ガーデナーズ」、「輸出」に分かれる。個別ベースの売上構成比は、それぞれ57.6%、34.8%、2.9%、4.7%(16/1期実績)。
「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約25万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設等にダイレクトメールで配布している。カタログには商品を使った庭園イメージの写真が掲載されており、この写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで発注すると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば商品を短納期する仕組み作りが確立している。
 
 
 
事業戦略
 
基本コンセプトは「やすらぎのある空間づくり」。庭での暮らし方を提案するライフスタイルメーカーとして業容を拡大させていく考え。常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く都市環境庭文化に貢献するグローバルなオンリーワン企業を目指している。ビジョンとして「幸せな家族のくらしをつくり笑顔で健康的な空間をつくる」と掲げている。
 
 
長期的な数値目標として、25/1期に売上高500億円、営業利益50億円を掲げており、この目標達成に向け、企画からサービスまで一貫して手掛ける垂直ビジネス、中国での製造とワールドワイドでの販売を展開するグローバルビジネス、ハウスメーカーとの取組みや非住宅市場向け建材・外装等のトータル化ビジネス、LEDのイルミネーション、ソーラーライト、ローボルトライト等の近代化ビジネスの4つの取り組みを進めている。事業はプロユース、ホームユース、国際事業に分類される。
 
 
【グローバルビジネス】
文化性のあるものを海外から日本に取り入れる一方、中国の九江工場で製造した、木製品、ソーラーライト、ワイヤー製品等を、世界に輸出している。このうち、ガーデニング市場が4兆円規模と言われている英国(日本は6,000億円程度)向けは日本から輸出している。米国においては、昨年2月3日に当社100%子会社である英国の販売会社(ベジトラグ社)が100%出資し「ベジトラグUSA」を設立し、米国への販売の強化に進めている。
この他、ドイツ、オーストラリア、韓国に展開している。ワールドワイドに展開するためには、英国のような大きなマーケットに販社を置く必要があると言う。
 
 
【トータル化ビジネス】
エクステリア(新築外構)、ガーデン(庭での暮らしの提案)、コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)に力を入れている。「ガーデンとは、囲われた楽園。囲うものが無ければガーデンは成り立たない」という独自の発想の下、この囲うものをエクステリアと捉え、タカショーらしい独自性を重視した製品開発を進めている。
 
 
ハウスメーカーとの取組みでは、「エバーアートウッド」等が高い評価を受けており、大手メーカーのエクステリア&ガーデンカタログに掲載される商品が増えている。「5th ROOM」(庭は、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームに続く5番目の部屋であり、家と庭の持つ良い部分を重ね合わせた空間である)や「スマートリビングガーデン」(後述)と言ったコンセプトも共感を呼んでいる。
 
 
コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)分野では、景観建材事業を展開している。「エバーアートウッド」や「エバーバンブー」等の提案を強化していく考え(「エバーアートウッド」は国土交通省から不燃材料として認定されており、外装だけではなく、内装にも対応可能)。豊富な商品の組み合わせにより、各施設にふさわしい庭空間、建物外観や内装をトータルに提案、全国で数多くの納品事例を誇る。
この他、庭のプロフェショッナル集団を目指す「リフォームガーデンクラブ」を通じて問屋や施工店とのコミュニケーションを図る。更に10年2月に「エクステリア&ガーデンライティングマイスター制度」や「ウォーターガーデンマイスター制度」と言った制度を、14年5月には「エクステリア&ガーデンマイスター制度」を設立した。業界の活性化に向けた取り組みも盛況だ。昨年7月に行われたタカショーガーデン&エクステリアフェア2015では前年比10%増の3,573名の来場者となった。施工店へのネットワークに対しても積極的に支援している。タカショーリフォームガーデンクラブの会員数は約700社。「共に学び、共に成長する」をモットーに全国交流会・地域研修会を全国で180回以上開催してきた。
取引先を対象に来期に向けた商品政策等を見ることができる自社展示会「第12回タカショーガーデン&エクステリアフェア2015」を昨年7月29日、30日に東京流通センターで開催し、前年を上回る来場数となった。また、昨年9月14日には、首都圏ショールームも新設し、市場への啓発活動も推進している。同ショールームでは市場拡大が期待される関東エリアにおけるサービスの向上ならびに販売強化を目的に商品の色合いや質感を実際に確認できる体感型の展示や、最新情報を備え、顧客の要望に応えられる体制を整えたものとなっている。
 
【近代化ビジネス】
「スマートリビングガーデン」の一環として、LEDのイルミネーション、ソーラーライト、ローボルトライト等、自然エネルギーの利用や省エネタイプの商品開発や販売を通してガーデンから出来る省エネ・節電をテーマに庭からのエコを提案している。「スマートリビングガーデン」とは、スマートハウスの発想と庭から始まるエネルギーマネジメントシステムGEMSを融合させ、家と庭で「省エネ」、「創エネ」、「畜エネ」の実現する庭であり、こうした庭づくりを目指す同社の提案活動の事。尚、14年10月には屋外照明の100%LED化を実現した。「タカショーローボルトライトシステム」は一般社団法人HEAD研究会主催の「第4回ベストセレクション賞」を受賞して評価を受け、市場への知名度も上がっている。
 
 
【ライフサポートビジネス】
12年4月に日本初の本格的なガーデンセンター「GARDENER'S JAPAN(ガーデナーズジャパン)」を本社隣接地にオープンした。「GARDENER'S JAPAN」は施設の半分が緑に包まれ、オープンガーデンのような長時間滞在したくなる楽しい空間造りに特徴がある。通販サイト「青山ガーデン(http://www.aoyama-g.co.jp/)」や同社発行のガーデニング専門誌「BISES」との連動を強化していく考え。
 
Gardeners Japan:和歌山県海南市南赤坂3-3
TEL:073-482-3333 FAX:073-482-3332
 
 
 
 
2016年1月期決算
 
 
前期比3.4%の減収、同12.2%の経常減益
16/1期の売上高は前期比3.4%減の178億53百万円。
プロユース部門では、アルミ製人工木「エバーアートウッド」を用いた「アートフェンス」シリーズ、及びこれらを構成する部材である「エバーアートウッド」がガーデンエクステリアとして使用されることから販売が順調に推移した。さらに、木、石、塗り壁、和風など様々な天然素材を再現したアルミ複合板「エバーアートボード」の販売も順調に推移した。また、夜の庭を演出する「光」について、同社認定制度である「エクステリア&ガーデンライティングマイスター制度」の認定者の拡大を図り、ローボルト(12ボルト、24ボルト)LEDライト等の照明機器の販売が好調に推移した。一方で人工強化竹垣等の和風関連商品の販売が減少傾向にあったものの、販売強化により3Q以降は売上が増加し、通期では前期並みで推移した。
ホームユース部門では、前年に比べ商品投入率は増加している。しかし、ホームセンター業界全体の売上が伸び悩む中、天候不順の影響により日除け商品等の販売が低下したことや、商品導入のリピート率の低下により減収となった。
海外展開では、新規顧客の開拓、新商品の投入、及び中国子会社の工場において品質基準強化や在庫管理機能とデリバリー体制の構築を継続的に行うなど、販売強化に努めた。しかし、一部の外貨に対して前期比円高となった影響や納入時期の遅延ならびに不採算販売先の見直し等を行ったことにより減収となった。
 
 
利益面においては、売上総利益率が1.0ポイント上昇し、1.8億円の利益押し上げ効果があった。販管費率は売上減に伴い増加したものの抑えた結果、営業利益は前年同期比19.7%増の7億22百万円となった。しかし、営業外で前年同期の為替差益から為替差損に転じ、経常利益は同12.2%減の5億97百万円、当期純利益は同25.4%減の2億40百万円となった。会社予想に対しては売上高、営業利益は概ね会社予想通りであったが、為替の影響を主因に経常利益、純利益は下回った。
 
 
国内子会社では、ガーデンクリエイトが好調に推移した。タカショーデジテックはコントラクト事業が牽引し増収となったが、人員強化に伴う販管費増で減益。徳島GCはプロユース上半期販売不調の影響や、先行投資に伴う償却費の増加で減収減益となった。海外子会社では、江西高秀/九江高秀の日本向け売上高が減少した。タカショーヨーロッパが為替変動による原価高、年度末売上の翌期へのずれ込み、円高による換算差により減収。ベジトラグは販売先の組織再編による仕入先見直しによる影響や、円高による換算差により減収となった。
 
 
 
日本は売上高159億39百万円(前期比1.2%増)、営業利益8億62百万円(同46.3%増)。ホームユース部門では天候不順の影響や商品導入のリピート率の低下により売上は減少した。しかし、新設住宅着工戸数が増加基調にあり、エバーアートウッド、ライティングなどの新商品の販売は順調に推移。この結果、プロユース部門の売上は増加した。売上総利益率が改善し大幅増益となった。
欧州は売上高12億15百万円(前期比19.4%減)、営業損失1億29百万円(前期は33百万円の損失)。販売子会社における新商品の投入等はあったものの欧州における春先の異常気象の影響や納入時期の遅延等で減収。利益面では為替変動の影響により仕入価格が上昇したこと等で売上原価が上昇した。中国は売上高5億19百万円(前期比46.9%減)、営業利益1億2百万円(同53.1%減)。製造子会社では、品質基準の強化や在庫管理機能とデリバリー体制の継続的な構築が進んでいるものの、減収減益となった。
 
 
16/1期末の総資産は前期末比18百万円増加し、167億55百万円となった。
流動資産は前期末比84百万円増加し、112億47百万円。受取手形及び売掛金(売上債権)が同3億36百万円増の34億98百万円となったこと等によるもの。固定資産は前期末比65百万円減の55億7百万円。投資有価証券の売却等により投資有価証券が同27百万円減の1億29百万円となった。
流動負債は前期末比8億97百万円増加し、83億43百万円。運転資金を長期借入金から短期借入金へと移行させたことにより短期借入金が同3億48百万円増の27億47百万円となった。
固定負債は前期末比6億5百万円減少し、9億66百万円。運転資金を長期借入金から短期借入金へと移行させたことにより長期借入金が同6億12百万円減の7億53百万円となった。
有利子負債は主に運転資金や貸付金に活用されている。コミットメントラインを増額し、資金の流動性を高め効率化を図るとともに、有利子負債40億円への減額を目標としている。
純資産は前期末比2億72百万円減少し、74億45百万円。自己資本比率は前期末比1.7ポイント減少し43.9%となった。
 
 
16/1期末の現金及び現金同等物の残高は前期比2億47百万円減少し、21億36百万円となった。
営業CFは、前期比9億52百万円増加し17億23百万円の収入となった。仕入債務の増加額が6億59百万円になったこと等によるもの。投資CFは、前期比9億48百万円の支出が増加し14億3百万円の支出となった。短期貸付による支出8億45百万円があった。これらによりフリーCFは、収入が前期比4百万円増加し3億19百万円の収入となった。財務CFは、5億71百万円の支出(前期は2億56百万円の収入)となった。短期借入れによる純収入3億70百万円(前期は15億80百万円の純収入)があったこと等によるもの。
 
 
2017年1月期業績予想
 
 
2.6%の増収、同21.2%の経常増益予想
17/1期予想は売上高が前期比2.6%増の183億11百万円、経常利益は同21.2%増の7億24百万円を計画する。同社が提唱する「5thRoom」に基づき、庭でのライフスタイルメーカーとして、国内においては、ショールームの整備等、販売活動の強化ならびに製造部門の設備の拡大を図り、さらなるガーデニングとエクステリア製品の販売強化を図る。
グローバル展開においては、中国における製造部門の強化を図る。また、欧州、アジア、オセアニア地域への販売に引き続き、昨年より進出した北米地域への販売活動の強化を図る。
配当は、1株当たり12円の期末配当を予定している。
上期予想は以下の通り
 
 
 
今後の注目点
ホームセンター市場の低迷や天候不順によりホームユース部門が低迷している。しかし、エクステリア市場が伸び悩む中、プロユース部門が好調に推移している。16/1期については、国内事業は堅調だが、海外展開で苦戦している。しかし、諸施策や先行投資負担の成果が徐々に現れ、今後再び海外の成長を復活させるであろう。
また、16/1期は為替の影響が利益へのマイナス要因となったが、直近の為替動向を勘案すると今期についてはむしろプラス要因となる可能性もある。
PBRは1倍を大きく割り込んでいる。先行投資負担もあり、利益は低水準にとどまっているが、今後の改善余地の大きさを考慮すると、株価には見直し余地がありそうだ。