ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.32

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.32】2016年2月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期予想に対する進捗率は、売上高82.1%、営業利益61.9%、経常利益62.5%。利益面で、通期の利益予想の達成には不透明感があるが、個人・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年2月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年2月 26,805 1,056 1,098 503
2014年2月 25,648 852 971 608
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(1/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,020円 5,036,486株 5,137百万円 7.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.00円 1.5% 149.47円 6.8倍 1,491.08円 0.7倍
※株価は1/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2016年2月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行なっており、グループは子会社9社(うち連結子会社5社)、持分法適用関連会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはHACCPの導入やISO9001の認証取得、更には5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。
15/2期の品目別売上構成は、製品売上が68.1%(浅漬・キムチ47.0%、惣菜19.1%、ふる漬2.0%)、商品(漬物)売上が31.9%。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、15/2期は同グループ向けの売上が全体の31.3%を占めた(12/2期37.9%、13/2期35.6、14/2期33.6と依存度は低下傾向にある)。内訳は、(株)セブン-イレブン・ジャパン16.3%(14/2期16.3%)、(株)イトーヨーカ堂8.6%(14/2期10.4%)、その他のグループ企業6.4%(14/2期6.9%)。
 
【経営理念】
経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、品質管理の国際規格であるISO9001認証、HACCP認定や環境管理の国際規格であるISO14001認証を取得している他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたい」としている。
 
HACCP:米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品衛生管理の方法。同社は日本デリカフーズ協同組合(セブン‐イレブン・ジャパンに販売する弁当・惣菜メーカー等が加入)独自のHACCP認定に取り組む。
ISO9001:業務全般にわたった品質マネジメントシステムについての国際規格。取得のためには安定した品質、サービスを供給するために会社としての方針の設定とその方針に沿った仕組みや手順の構築、PDCAサイクルに則った継続的改善を行う事等が要求される。
ISO14001:組織活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)を構築することが要求される。
(同社資料より)
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチシリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。キムチの製法や味付け手法は多種多様だ。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチのラインナップを強化する事で継続的に需要を生み出しており、この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされている。また、もう一つの強みである全国ネットワークについて言えば、漬物業界・惣菜業界において、全国ネットワークを有するのは同社のみである。
 
製品開発力
製品開発力を強みに16/2期のキムチ製品の売上は42億円前後と前期の39億円前後から増加する見込み。また、惣菜製品も、既存商品の継続的な改善とラインナップ拡充の成果でスーパーや生協等での売り場開拓が進んでいる他、コンビニ向けも好調で、16/2期の売上は前期の51億円から58億円へと13%強の増加が見込まれている。
 
 
リニューアルされた「ご飯がススム キムチシリーズ」は後引くコクを付与する調味料を採用する事で、コクはもちろん、うま味を一段と高めた(やみつきの味わいに)。ただ、酸味を加える事で、コクがありながらも、すっきりと食べ続けられる味に仕上がっている。また、独自の植物性乳酸菌「Pne-12乳酸菌(ピーネ12)」を添加した事による機能性(整腸作用)訴求力もポイントである。
 
 
 
 
全国ネットワーク
事業所
千葉工場、湘南ファクトリー、大宮ファクトリー、宮城ファクトリー、福島工場、中京工場
連結子会社
(株)ピックルスコーポレーション札幌(北海道)、(株)ピックルスコーポレーション関西(京都府)、(株)八幡屋(東京都)、東洋食品株式会社(群馬県)、(株)尾花沢食品(山形県)、県西中央青果(株)(茨城県)
持分法適用関連会社(合弁会社)
(株)デイリー開発福島(福島県)、(株)セキグチデイリー(群馬県)、(株)ピックルスコーポレーション長野(長野県)、(株)デイリー開発福岡(福岡県)
 
 
 
中期経営目標として、18/2期に売上高330億円、営業利益13億円を掲げている(2015年6月に子会社化した県西中央青果(株)の業績が織り込まれている)。

同社の強みであり特徴である、開発力、全国を網羅した生産・物流体制、ベンダー機能を生かすと共に、食の安全・安心や環境保全活動への取り組みを進める事で、販売先の拡大、販売エリアの拡大、及び取扱製品の拡大を図り、業容を拡大させていく。具体的には、浅漬、キムチ、惣菜に次ぐ商材の開発に取り組み、スーパー・生協等で、漬物売場・総菜売場から、佃煮売場、肉売場、魚売場等へと売り場を広げていくと共に、食品の取り扱いを強化しているドラッグストアを販売先として取り込んでいく。販売エリアでは、市場開拓余地が大きく増産投資の効果が期待できる、中国・四国地区、九州地区、北陸を中心にした関西地区に注力し、九州地区で営業を強化する他、新工場の建設で、中国地区、四国地区、及び九州地での供給体制を強化・整備する。

設備投資については、16/2期は排水処理施設及び設備更新等で8億05百万円を予定しており、17/2期、18/2期については、既存設備の更新に加え、中国・四国、及び九州での工場建設を検討している。
 
 
 
2016年2月期第3四半期決算
 
 
前年同期比13.0%の増収、同16.8%の経常減益
リニューアルを実施した「ご飯がススムキムチ」等のキムチ製品や既存製品の改善とラインナップの拡充に取り組んだ惣菜製品の売上がスーパーや生協等を中心に売上が順調に伸びた。ただ、天候不順による原料野菜化価格の高騰で原価率が悪化する中、業容拡大物流費や人件費を中心に販管費が増加したため営業利益が同16.0%減少した。四半期純利益が増加したのは、減損損失がなくなったためだ(前年同期は(株)ピックルスコーポレーション札幌の旧工場関連等で1億32百万円計上)。
 
 
16/2期第3四半期(9-11月)は、M&A効果もあり、売上が前年同期比伸びたものの、9月の豪雨による水害で産地が打撃を受けたため、原価率が上昇し利益を圧迫した。
 
 
第3四半期末の総資産は前期末に比べて12億07百万円増の169億68百万円。第三者割当により自己株式を処分した事で現預金と純資産が増加した。流動比率98.8%(前期末79.9%)、固定比率141.2%(同163.1%)、自己資本比率44.3%(同41.5%)。
 
 
2016年2月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比5.0%の増収、同13.2%の経常増益
製品の切り替えや容量調整といった製品戦略の練り直しに加え、販促も自粛する等で収益性の維持に努めているものの、この冬は暖冬で雨が多く、野菜の生育が影響を受けている。また、2015年6月30日付けで子会社化した県西中央青果(株)の収益も集荷状態で変動するため、通期業績については不透明な部分が多いようだ。

配当は1株当たり15円の期末配当を予定している。
 
 
(2)コラボ製品の発売
2015年11月24日に、ぼんち株式会社(大阪府大阪市淀川区)とのコラボ製品「スリムバッグ ぼんち揚 甘辛キムチ味」を、2016年1月8日に鰹節の老舗(株)にんべん(東京都中央区)とのコラボ製品「鰹だしのきいたおひたし風菜の花」を、それぞれ発売した。
 
ぼんち(株)とのこらぼ製品「スリムバッグ ぼんち揚 甘辛キムチ味」
シーズニングに、ピックルスコーポレーションオリジナルの「ご飯が ススムキムチ」の特製キムチ粉末を使ったスナック菓子。魚介の旨味がきいたコクのある味わいで、大人から子どもまで幅広い層に好まれる味付けに仕上げた。ぼんち(株)のロングセラー商品でカリッと香ばしい「ぼんち揚」と「ご飯がススムキムチ」の、"甘っ、辛っ、うまっ!!"な味わいは相性抜群で、一度食べたらやみつきになる。
つまみやすく、食べやすい一口サイズのぼんち揚を、持ち運びに便利で食べ切りサイズのスリムバッグで楽しんでもらいたい。

(同社資料より)
 
(株)にんべんとのコラボ製品「鰹だしのきいたおひたし風菜の花」
鰹だしをベースにしたおひたし風の商品である。(株)にんべんと共同開発したオリジナルの鰹だしを使用すると共に、(株)にんべんの花かつおをトッピング。あっさりしていながらも鰹の風味のきいた味付けに仕上げており、菜の花、刻み揚げ、人参をミックスした事で彩りも豊か。食卓にもう一品欲しい時にどうぞ。

(同社資料より)
 
 
 
今後の注目点
通期予想に対する進捗率は、売上高82.1%、営業利益61.9%、経常利益62.5%。利益面で、通期の利益予想の達成には不透明感があるが、個人消費に力強さがなく、また、成熟市場である食品市場において、継続的な新製品の投入やリニューアルで二ケタの売上成長を続けている事は評価できる。中国・九州等、深耕余地の大きい営業エリアも残っているため、来期以降も継続的な売上の拡大が可能と考える。今期の着地に不安がある利益面でも、この6月には国産野菜の調達方法の多様化と生育状況や取引価格動向等の情報収集強化を目的に県西中央青果(株)を子会社する等で中長期的な利益の安定成長に向けた取り組みも進んでいる。