ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.46

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 会長
泉澤 豊 会長

【ブリッジレポート vol.46】2016年2月期第3四半期業績レポート
取材概要「コンビニ事業は、不採算店閉店効果もあり既存店売上が好調に推移している。夏場以降は業界平均を上回る既存店推移となっており、ローソンに・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年2月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
会長
泉澤 豊
所在地
千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1 CVSベイエリアビル
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年2月 28,726 230 278 225
2014年2月 30,193 50 167 -878
2013年2月 27,190 -426 -354 -880
2012年2月 26,882 338 342 -369
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
株式情報(1/20現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
90円 49,364,066株 4,443百万円 11.9% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1.00円 1.1% 2.23円 40.4倍 40.82円 2.2倍
※株価は1/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは前期末実績。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2016年2月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
1981年2月設立。「便利さの提供」を企業理念とし、直営店主体のコンビニ事業を中心に、ホテル事業、子会社を介したクリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業を手掛けている。主力のコンビ二事業では、89年より「サンクス」店舗を運営。現在は、12年3月より(株)ローソン(2651)とフランチャイズ(FC)契約を結び、千葉県及び東京都のベイエリアを中心に直営店舗主体に展開。また、単体ではビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の運営も行っている。グループは、同社の他、マンションフロントサービスを手掛ける(株)アスク、及びクリーニングとリネンサプライを事業ドメインとする(株)エフ・エイ・二四(以下、FA24)の連結子会社2社。いずれも100%出資の子会社である。
 
【事業概要】
(1)京葉地区の湾岸エリア(港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市等)中心に展開するコンビニ事業
主力のコンビ二事業では、東京都区内(千代田区、中央区、港区、江東区、江戸川区、大田区、渋谷区、新宿区、台東区、足立区、葛飾区)及び千葉県北西部において店舗展開。特に港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市に集中出店する。また、13/2期には神奈川県(横浜市)に初出店している。再開発が進むベイエリア地域を中心としたドミナント展開を行う。創業来、「便利さの提供」を理念に事業展開してきた。(株)ローソンが得意とするカウンターフーズの強化、同社が他社に先駆け展開している生鮮野菜の販売や、独自展開する「クリーニング取次ぎサービス」を通じて顧客の利便性向上を図ると共に店舗競争力を高めていく考え。14/2期の当期損失は店舗閉鎖損失引当金計上によるもの。15/2期は不採算店舗の閉鎖を進め、利益重視の施策を打った。
 
 
 
(2)非コンビニ事業の育成 -「便利さの提供」を追求-
「便利さの提供」を企業理念として、コンビニ店舗での「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等の独自サービスを提供している他、ビジネスホテル、マンションフロントサービス、及びクリーニング・リネンサプライといった非コンビニ事業にも注力している。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」 (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
09年11月オープン。市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。また、12月17日には隣接地にシングル43室、ツイン8室、3階建てとなる新館を開業した。現在の施設よりも広めの客室空間を提供している。
 
 
スマートホテル (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
近年、都心部を中心に「宿泊需要」が増加しており、今後も成長が見込まれるとして新たな宿泊サービス事業を開始した。国内では成田空港へのLCC各社の就航と成田への格安バス(高速バス)の拡充、海外からはアジア各国の成長による観光需要の増加とLCC各社の日本路線の新規開設を踏まえたもの。こういった移動手段と見合う「宿泊施設」に対する需要が拡大すると判断し、「差別化した内装」で、ユニット型宿泊施設(スマートホテル)の事業展開を開始した。目安の価格帯は3,500~7,000円程度とビジネスホテルと比較して格安である。第1号物件として7月21日に銀座7丁目に「東京銀座BAY HOTEL」を開業した。和モダンを基調とした内装、ゆとりある共有休憩スペースやパウダールームは特に観光客や女性顧客から好評。そして、こういったコンセプトを継承した「東京日本橋BAY HOTEL」を12月1日に開業した。12月23日には3件目となる「東京有明BAY HOTEL」を開業した。当施設では近隣イベント会場に来る顧客を想定し、シックで清潔感のある内装。また、駐車場を備えているため、車での来店も可能となっている。更には、1月29日に「日本橋室町BAY HOTEL」を開業する。2020年東京オリンピックに向けた東京の宿泊者の増加に対応する。
 
 
 
マンションフロントサービス 連結子会社 (株)アスク
宅急便やクリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営、更にはカーシェアリング等を手掛ける。豊富な経験と確かな実績によるフロントサービスを提供している。(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を目指す。業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に865件(11月末現在)を受託している。マンション内居住者同士のコミュニティー構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などの新サービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。
【サービスの提供内容】
・コンシェルジュサービス
 ⇒宅配便、クリーニング取次ぎ
・レジデンスサポート
 ⇒メンテナンスのサポート、ハウスクリーニング業者紹介
・ミニショップ、売店の運営など
・カーシェアリングサービスの提供

また、「マンションフロント」以外の企業や公共施設などでの、「コンシェルジュ業務」の受託拡大に向けた営業活動も強化している。新たな事業領域として、スタッフ研修や人材育成力を活かし、〈おもてなし〉〈ホスピタリティ〉豊かな人材の「一般派遣事業」、「職業紹介事業」を開始した。「求人用自社サイト」の運用を6月末より開始し、派遣対象者の教育を実施中。
 
クリーニング・リネンサプライ 連結子会社 (株)FA24
フロント受付やコンビ二受付によるクリーニングサービス、リネンサプライサービス、ユニフォームレンタル&クリーニングサービス、及びおそうじサービス等を、BtoC、BtoBで提供。13/2期には自社クリーニング工場が稼働した他、2014年3月より、ローソンの加盟店舗の一部で、同社がCL-BOX型の「クリーニング取次ぎサービス」の実験を開始した。ヘアカット事業も行っている。
 
 
2016年2月期第3四半期決算
 
 
前年同期比0.9%の増収、12.3%の経常減益
営業総収入は前年同期比0.9%増の221億39百万円。宿泊サービスが主力のその他事業が大幅増収、コンビニ事業も上期の減収から増収に転じた。マンションフロントサービス事業、クリーニング事業は減収。営業総利益率は0.2ポイント上昇、販管費率が0.1ポイント上昇し、営業利益率が前年同期0.9%から1.0%に改善、営業利益は前年同期比2.6%増の211百万円となった。セグメント別にはコンビニ事業の営業利益が大幅に増加したものの、マンションフロントサービス事業、クリーニング事業、その他事業は減益となった。営業外では前年同期は有価証券運用益であったが、今3Q累計は運用損となった。投資不動産賃貸収入の減少もあり、経常利益は12.3%減の2億11百万円。前年同期に計上した資産除去債務消滅益がなくなったこと等により、純利益は前年同期比53.6%減の97百万円となった。
 
 
コンビニエンス・ストア事業
事業収入166億61百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益3億5百万円(同71.0%増)。
コンビニ業界では各チェーン間での提携・合併など再編の動きが活発化しており、3大チェーン(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート)による寡占化がさらに進むことで、店舗過多による過度な競合状況は一時的に緩和される方向にある。しかし、首都圏を中心とした出店意欲は衰えず、都心部などでは小型スーパーなども交えた企業間競争は続くというのが同社の考え。また、カウンタードーナツなどの販売を強化することで、新規の顧客獲得に動いているほか、他チェーンとの差別化を図ることを目的とした異業種との業務提携、ポイントカード会員の囲い込みなど、各種サービスの強化を図っている。
こういった中、買い物の楽しさを提供するために、商品陳列棚を増やし品揃えの拡大を行った。また、直営店のメリットを生かした売れ筋商品の情報共有を迅速に行うとともに、主力商品の発注量見直しによる販売機会損失の削減に取り組んだ。
11月末店舗数は112店舗。前年の増税時の買い控えの反動があり、夏場以降も天候に恵まれた。既存店売上高は前年比2.2%増、既存店客数は同1.6%増と好調に推移しているほか、全店売上高についても8月以降は前年を上回って推移している。
既存店売上はJFAコンビニチェーンとの比較でも夏場以降は上回って推移している。売上高は上期の減収から増収に転じた。既存店の好調が牽引して利益率は大幅に改善した。
 
 
マンションフロントサービス事業
事業収入42億22百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益1億82百万円(同17.8%減)。
マンション業界においては、新築マンション市場において購入者に都心回帰の動きがみられるなど、都心・好立地エリアの高額物件の販売が好調に推移し市場を牽引している。しかし、建築費の高騰による販売価格の上昇に加え、景気の先行き不透明感から発売時期の先送りも見られ、首都圏の供給戸数は減少している。
こういった中、イベントやカルチャー教室の開催、カーシェアリングなど共用施設の付加価値サービスに加え、便利な食料品の取り寄せや正月のおせち料理の予約販売など、豊かで魅力的なマンションライフの提供に努めた。総合的なサービス品質の改善だけでなく、顧客満足の向上に取り組んだ。パートを含めた全従業員に対し個人情報保護に関する教育を実施するなど、安心の確保にも努めた。新規受託マンション件数は30件となる一方、解約物件が32件となったことで総受託件数は865件。
また、今期より人材ビジネスの拡大を視野に入れ、新たに人材派遣サービスを開始している。新サービスを開始したことから先行経費負担が発生しているほか、前年上期に大型備品販売の成約案件があった反動から減益となった。
 
クリーニング事業
事業収入9億7百万円(前年同期比4.3%減)、セグメント利益41百万円(同20.6%減)。
衣料品の機能性向上、低価格化、服装のカジュアル化や団塊世代のリタイヤの影響を受け、クリーニング需要は年々減少しており、近年のクリーニング業界は厳しい環境下にある。こういった中、マンションのフロントでの便利、かつ、高品質なクリーニング取次ぎサービスを提供するほか、法人向けクリーニングでは社員寮や研修施設、ホテル関連の新規案件を獲得するなど、取引先の拡大に取り組んだ。また、自社工場と商品管理センターによる、制服のクリーニングからメンテナンス、在庫管理までを一元管理するメリットを活かしたトータルサービスも引き続き好調に推移している。
ユニフォームの一元管理サービスの提供先企業の一部が、制服のリニューアルに合わせて洗濯や管理の方法を変更した影響からセグメント利益は減益となった。
 
その他事業
事業収入4億86百万円(前年同期比24.3%増)、セグメント利益40百万円(同53.4%減)。
宿泊サービスでは訪日外国人観光客が過去最高を更新しているなかで、東京都心部を中心に引き続き需要が増加することが見込まれている現状を好機と捉え、今期より事業の拡大に取り組んでいる。
「CVS・BAY HOTEL」はJR京葉線の市川塩浜駅に隣接し利便性の高い立地であることなどで評価を得て稼働率は順調に推移している。7月に開業した「東京銀座BAY HOTEL」も増収に寄与した。ただし、新たな宿泊施設の準備過程で、開業前賃料の支払いなどの初期経費負担が発生し、減益となった。
 
 
16/2期3Q末の総資産は前期末比14億23百万円増の122億24百万円。現預金が70百万円、商品が76百万円それぞれ増加したことなどにより流動資産が2億58百万円増加した。また、宿泊サービスの事業拡大により、建設仮勘定が8億88百万円、建物が2億96百万円、工具器具備品が1億11百万円それぞれ増加した一方、不動産の売却により土地が1億6百万円減少したことなどにより、固定資産が11億64百万円増加した。
負債合計は前期末比13億74百万円増加し、101億60百万円となった。1年以内返済予定の長期借入金が18億42百万円、未払消費税等が2億80百万円それぞれ減少した一方、短期借入金が4億円増加したことなどにより流動負債が16億7百万円減少した。また、長期借入金が29億67百万円増加したことなどにより固定負債が29億82百万円増加した。尚、1年内返済予定の長期借入金に関しては、長期借入金に借換えを実行している。
純資産は前期末比48百万円増加し、20億63百万円となった。剰余金の配当を行ったほか、四半期純利益を97百万円計上した。
自己資本比率は同1.8ポイント低下し、16.9%となった。
 
 
2016年2月期業績予想
 
 
通期予想は0.6%の増収、28.1%の経常減益
通期予想に修正はなく、営業総収入289億円(前期比0.6%増)、経常利益2億円(同28.1%減)を計画する。
コンビニ事業では円安などによる原材料価格の高騰や、従業員採用コストの上昇が、セグメント利益に影響を与える可能性を考慮した。マンションフロントサービスでは、新たな人材派遣サービスにおいて、長年にわたりマンションフロントサービスで培ってきた組織力や人材育成ノウハウを活かしながら、派遣対象者の募集・研修を進めていくとともに、取引先のさらなる拡大を目指す。クリーニング事業ではハウスクリーニングサービスにおいて提携先を関西圏へ拡大し、特に年末に向けたお掃除代行サービスでは多くの引き合いもあった。宿泊サービスでは12月開業のスマートホテルも売上貢献する。今後も新たな需要の拡大に努めるほか、宿泊プランやサービス内容を充実させ、顧客満足度向上に一層努めていくことで「BAY HOTEL」ブランドの価値向上に取り組むとともに、客室稼働率や単価の向上による収益拡大に努め、施設数の拡大を目指す。尚、宿泊サービスが主力のその他事業の今期は開業前賃料の支払いや、各種開業費用が先行して発生していることから、利益面では苦戦を見込む。
配当については1円の期末配当を見込む。
 
 
今後の注目点
コンビニ事業は、不採算店閉店効果もあり既存店売上が好調に推移している。夏場以降は業界平均を上回る既存店推移となっており、ローソンに移行した以降の様々な諸施策も功を奏してきた印象だ。安定感がうかがえる。

注目はホテル事業であろう。急増するインバウンド顧客等に伴い都内ではホテル不足が深刻化しており、まさにそういったニーズにマッチした出店攻勢といえる。
3Q累計の経常利益は通期予想を超過しているものの、4Q期間は閑散期であるほか、12月以降開業のスマートホテルは期初計画の予算外であり、新規開業経費負担が見込まれることから、収益改善は来期以降に持ち越しとなろう。
来期を見据えると、知名度の向上が進むことが今期に開業する「CVS・BAY HOTEL」別館とスマートホテル4館が収益貢献することにつながる。

「サンクス」から「ローソン」への移行、不採算店の整理で苦戦した12/2~14/2期を経て新たな成長ステージの入り口に立ったのではないだろうか。
こういった状況にあるにもかかわらず株価は低迷している。来期以降のホテル事業における本格貢献期待を考慮すると見直し余地は大きいと考える。