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(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.42

(8860:東証1部) フジ住宅 企業HP
宮脇 宣綱 社長
宮脇 宣綱 社長

【ブリッジレポート vol.42】2016年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「同社の16/3期第2四半期連結累計期間の決算では、受注契約高が前年同期比19.2%増加、売上高の先行指標となる9月末の受注契約残高も前年同月末比・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年12月8日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
宮脇 宣綱
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 79,594 4,361 4,322 2,756
2014年3月 86,363 5,806 5,660 3,261
2013年3月 66,047 3,809 3,761 2,268
2012年3月 71,594 4,928 4,903 2,767
2011年3月 59,796 3,648 3,680 2,027
2010年3月 48,614 2,137 2,118 1,237
2009年3月 45,300 2,584 2,388 1,361
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
株式情報(11/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
780円 36,148,184株 28,196百万円 10.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.00円 3.3% 82.99 9.4倍 729.26円 1.1倍
※株価は11/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
※ROE、BPSは27年3月期実績、EPSは28年3月期予想
 
フジ住宅の2016年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府下全域の他、兵庫県一部(阪神間)・和歌山県北部地域で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。 販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長である。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。
 
(1)事業内容
分譲住宅事業(15/3期売上構成比37.7%)
戸建とマンションの分譲を展開。特徴は50~200戸規模の新築戸建住宅の「街づくり」と、顧客自身が住まいづくりに参加する 「自由設計」。自由設計住宅では間取りや設備仕様に対する様々なニーズに対応。また、新築分譲マンション販売事業も分譲住宅セグメントに含まれている。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。
 
住宅流通事業(同 31.9%)
中古住宅再生事業『快造くん』と新築戸建住宅(建売住宅)の販売を展開。中古住宅再生事業『快造くん』は、中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業。地域密着型経営やリフォームのマニュアル化による独自のノウハウに強みを持つ。また、小規模の新築戸建住宅(建売住宅)の販売により、自由設計住宅や大規模プロジェクトではカバーできない顧客ニーズにも対応。泉州地区(泉佐野、熊取、貝塚、岸和田中心)で小規模分譲地を開発し手頃な価格の建売住宅を販売。当事業は分譲住宅事業でカバーできない低価格ゾーンをカバーしている。
 
土地有効活用事業(同 16.3%)
賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸アパートを展開。建築請負では、賃貸管理のノウハウを生かした提案型の賃貸住宅の建築請負を実施。また、個人投資家向け一棟売賃貸アパートは、同社で土地を仕入れ、 賃貸アパート等を建築し販売する。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。個人投資家向け一棟売賃貸アパートでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。
 
賃貸及び管理事業(同 13.4%)
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が、賃貸アパートの建物管理や入居者募集、賃料回収等の管理業務及び分譲マンションの管理組合からの運営受託を展開。安定収益源となるばかりでなく、良質の賃貸・管理サービスは、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
 
注文住宅事業(同 0.7%)
戸建住宅の実績で培ったノウハウを生かし、土地を保有する顧客に対して戸建住宅の新築や、建替えを請負うといった事業を展開。会社の第5の柱として展開中。
 
(2)同社の強み
住まいのトータルクリエイターとして幅広い事業に強みを有していること
土地の仕入れ・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体勢を備えた戸建住宅事業で築き上げたノウハウを基盤に、中古住宅販売、土地有効活用、個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売、賃貸及び管理の幅広い事業を、相乗効果を図りながら展開。地域密着型経営の特長を活かしながら住まいに関する幅広い事業の相乗効果を発揮し、より高い顧客満足を実現する不動産・サービスの提供を実施。
 
 
ノウハウを活かした中古住宅再生事業が展開できること
創業当初の住宅の代理販売事業とリフォーム事業のノウハウの融合から生まれたのが、中古住宅再生事業『快造くん』。中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業となっている。 地域密着型経営による情報収集はもちろん、リフォームのマニュアル化による“売れる中古住宅づくり”が強み。また、中古住宅の仕入にあたっては、相続登記が未了の場合でも、司法書士と連携して買取りを行う『フジホームバンク』を開設。相続登記にかかる費用も、売却代金から支払いできるなど顧客の利便性も高い。
 
 
収益力を高める土地活用の提案力を有すること
同社は、単なる土地活用の事業提案だけではなく、市場調査・企画・設計・建築・賃貸管理はもちろんのこと、総合不動産業(ディベロッパー)として、その力を最大限に発揮している。土地の購入や売却、アパート・マンションの建替え、法務・税務に関することなど、顧客からの様々な相談に専門的な見地から的確に対応している。賃貸住宅経営については、多くの土地情報の中から適した土地を厳選し、専任のマーケティングスタッフによる綿密な市場調査をもとに、長期安定経営が可能なプランニングを実施。また、中古収益物件についても、好立地で優良な物件のみを仕入れて商品化。更に、オーナーの「安心・安全・安定」した賃貸経営を万全にサポートする一括借上システムも提案している。
 
 
新中期利益計画(16/3期~19/3期)
 
同社は、今後4年間の新中期業績目標を策定した。分譲住宅セグメントでは、戸建住宅の大型プロジェクトの収益化に加え、現在供給を抑制している分譲マンションの販売再開を予定している。また、住宅流通セグメントでは、販売エリアの拡大による中古住宅販売の拡大を、土地有効活用事業セグメントでは、仕入強化による安定的な利益の確保を計画。その他、賃貸及び管理事業セグメントでは、管理物件の継続的な増加による確実な業績の拡大を見込んでいる。最終年度である19/3期の数値目標は、売上高1,020億円、経常利益60億円。
 
 
中期利益計画の前提
16/3期 計画
15/3期における個人投資家向け一棟売賃貸アパートの好調な受注(受注100棟)を受け、土地有効活用事業の売上高が大きく増加。また、消費税増税の影響が一巡したことにより、自由設計住宅の供給戸数が拡大。更に、賃貸及び管理事業も、個人投資家向け一棟売賃貸アパート及び分譲マンションの取扱戸数の増加により、売上高が増加。一方、中古分譲マンションは、仕入価格上昇により、買取り戸数が減少する慎重な計画。
 
17/3期 計画
分譲住宅は、16/3期に販売及び引渡しが本格化した良質でかつ大型の分譲住宅用地が消費税再増税による駆け込み需要で後押しされる。中古住宅は、エリア拡大を図り、販売戸数の増加を目指す。また、賃貸及び管理事業も、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによるサブリースの戸数が引き続き増加。
 
18/3期 計画
分譲住宅は、分譲戸建住宅において大阪府下、阪神間の大型プロジェクトが引渡し時期を迎えるほか、供給を抑制していた分譲マンションもJR和歌山駅前の一等地で再開となる見込み。また、賃貸及び管理事業は、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しを反映して、着実に売上・利益が増加する。一方、消費税再増税の影響により中古住宅販売は前期に比べ減少する計画。
 
19/3期 計画
分譲住宅は、18/3期に再開した一等地の分譲マンションの引渡しが開始され、売上高に計上。中古住宅も兵庫県及び奈良県など営業エリアの広域化が定着し、売上高が増加する見込み。また、賃貸及び管理事業も、中古住宅アセット事業の収益物件の拡大や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによる管理物件・サブリース物件の取扱増加により売上が拡大。
 
 
 
2016年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比24.1%の増収、同61.5%の経常増益
売上高は前年同期比24.1%増の436億12百万円。売上面では、自由設計住宅や分譲マンションの引渡戸数が増加した分譲住宅セグメントや中古住宅と新築建売住宅の引渡戸数が増加した住宅流通セグメントなどで増加した他、全てのセグメントで売上が増加した。販売状況を示す受注契約高は自由設計住宅や中古住宅などの受注増加が寄与し同19.2%増加。売上高の先行指標となる9月末の受注契約残高も前年同月末比11.6%増加した。
経常利益は前年同期比61.5%増の23億88百万円。セグメント利益は、売上が増加した分譲住宅セグメントや住宅流通セグメントなどで増加したものの、賃貸住宅等建築請負の売上が減少した土地有効活用セグメントやコンピューター投資費用や将来投資費用等が一時的に増加した賃貸及び管理セグメントで減少した。収益性の高い賃貸住宅等建築請負などの売上減少が影響し、売上総利益率は同1.1ポイント低下したものの、販管費の伸びの抑制により営業利益は同62.8%増の24億40百万円となった。なお、分譲住宅事業(自由設計住宅・分譲マンション)の引渡戸数や中古住宅販売が好調に推移したことから、第2四半期連結累計期間の売上高と各利益は7月31日に上方修正された会社計画を上回った。
 
 
分譲住宅セグメントの売上高は前年同期比40.5%増の167億38百万円、セグメント利益は同223.0%増の17億92百万円。売上及び利益の増加は、自由設計住宅や分譲マンションの増加が寄与した。また、受注契約高は、自由設計住宅が374戸(前年同期は298戸)、分譲マンションが77戸(前年同期は160戸)となり、172億27百万円と同11.6%増加。受注契約残高は販売を抑制している分譲マンションの減少が影響し同210億48百万円と同10.4%減少した。

住宅流通セグメントの売上高は前年同期比19.5%増の148億95百万円、セグメント利益は同48.4%増の4億93百万円。売上及び利益の増加は、中古住宅と建売住宅の引渡戸数が増加したことが寄与。中古住宅の受注契約戸数が792戸(前年同期は659戸)と増加し、住宅流通セグメントの受注契約高は154億71百万円と同20.2%増加。受注契約残高は中古住宅の増加などが寄与し、42億90百万円と同50.2%増加した。

土地有効活用セグメントの売上高は前年同期比10.1%増の58億95百万円、セグメント利益は同53.6%減の2億73百万円。個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが増加したものの、賃貸住宅等建築請負の引渡しが減少したことから増収となったが、商品構成利益ミックスにより減益となった。賃貸住宅等建築請負の受注は減少したものの個人投資家向け一棟売賃貸アパート受注が好調に推移し、受注契約高は96億7百万円と同33.4%増加した。受注契約残高も個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどが増加し184億69百万円と同43.8%増加した。

上記の他、賃貸及び管理事業セグメントは、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したことや中古住宅アセット事業による中古賃貸物件の増加により売上高が58億5百万円と前年同期比11.8%増加。一方セグメント利益は、コンピューター投資費用や人員増による人件費等の営業費用の増加により3億94百万円と同13.3%減少した。また、立ち上げ期にある注文住宅事業の売上高は前年同期比18.8%増の2億77百万円、セグメント利益は同102.3%増の35百万円となった。
 
 
 
 
 
2015年9月末の総資産は1,000億4百万円と前期末60億46百万円増加した。資産サイドは現預金が、負債・純資産サイドは短期借入金と長期借入金が主な増加要因。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産193.9億円(前期末192.7億円)、仕掛販売用不動産166.9億円(同157.1億円)、開発用不動産372.2億円(同370.8億)。有利子負債は44億67百万の増加。自己資本比率は27.5%と前期末から若干の低下。
 
 
CFを前上期と比較すると、当期純利益の増加やたな卸資産の増加額が前上期より減少したことなどにより営業CFがプラスに転じた。また、有形固定資産の取得などで投資CFのマイナス幅が拡大したものの、フリーCFもプラスへ転じた。更に、短期借入金と長期借入金の増加などにより、財務CFのプラス幅も拡大した。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比10.6%の増収、同6.4%の経常増益予想
第2四半期連結累計期間を終え、通期の会社計画は期初予想を据え置き。戸建自由設計住宅の引渡しや中古住宅の仕入・販売が期初の会社計画以上に好調に推移しているものの、円安の進行による建築資材の高騰等の業績下振れ要因を考慮したもの。
16/3期の会社予想は、売上高が前期比10.6%増の880億円、経常利益が同6.4%増の46億円。
売上面では、消費税増税の影響が一巡した自由設計住宅の供給戸数の拡大、15/3期の好調な受注残が引渡しとなる個人投資家向け一棟売賃貸アパートの増加、賃貸収益の継続的な増加が牽引する。中古分譲マンションは、仕入価格の上昇により、買取り戸数が減少する保守的な計画となっている。特に下期は、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが集中することが売上の増加に寄与する見込み。
利益面でも、売上が拡大する分譲住宅セグメント、土地有効活用セグメント、賃貸及び管理セグメントにおいて利益が増加する見込み。一方で、収益性の高い分譲マンションなどの販売が減少する中、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの売上構成比が高まることなどにより利益率が若干低下する計画となっている。
配当も前期と同じ1株当たり年26円の予想(上期末13円、期末13円)から変更なし。
 
 
分譲住宅セグメントは、前期比8.5%増収、同1.1%増益の計画。自由設計住宅は663戸(前期は554戸)、分譲マンションは256戸(前期は361戸)の販売を予定。
住宅流通セグメントは同1.4%増収、同15.1%増益の計画。中古住宅の販売戸数は1,335戸(前期は1,361戸)を予定。
土地有効活用セグメントは、同33.2%増収、同18.7%増益の計画。受注棟数は、一棟売りが90棟(前期は100棟)、建築請負が41棟(前期は48棟)を予定。
賃貸及び管理セグメントは、同10.8%増収、同5.7%増益の計画。管理物件戸数は、22,900戸(前期は20,511戸)を予定。
 
 
16/3期上期は、7月31日の上方修正した会社予想に対し、売上面、利益面とも上回った。上期の連結売上高実績436億12百万円に、15/9月末の受注契約残高のうち、当期売上予定の280億24百万円を加えた716億36百万円(通期目標の81.4%)がほぼ確実に今期の売上に計上される見込み。これに、今後大きなブレのない10月以降の賃貸及び管理の売上60億24百万円を加えた売上は、通期目標の88.2%となる。通期目標との差額である103億40百万円(通期目標の11.8%)は、10月以降の受注のうち今期売上に計上される予定の建売・中古住宅及び分譲マンションの一部の販売額となる。
会社計画の達成に向け順調に推移しているものの、同社では円安による建築資材の高騰等の影響を慎重にみている。
 
半期毎の連結売上高の推移
 
当上半期は、分譲住宅事業(自由設計住宅・分譲マンション)の引渡戸数が増加したことに加え、中古住宅販売が好調に推移した。 下半期は、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが集中し、売上に寄与する見込み。
 
 
当上半期は、分譲住宅事業(自由設計住宅・分譲マンション)の引渡戸数の増加や中古住宅販売の増加が利益の増加に寄与した。下半期は、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの売上増加などが利益に寄与する見込み。
 
 
今後の注目点
同社の16/3期第2四半期連結累計期間の決算では、受注契約高が前年同期比19.2%増加、売上高の先行指標となる9月末の受注契約残高も前年同月末比11.6%増加するなど非常に好調に推移していることが確認された。中でも、同社が強みを有する自由設計住宅、中古住宅、個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどの受注契約高の伸びが著しい。国内経済がスローダウンしている環境下ではあるが、持ち前の価格競争力や営業力の強さを武器に業界内でシェアを高めているものと推測される。一方、こうした上期の好調な業績推移にも関わらず、同社は建築資材の高騰等の業績下振れ要因を考慮し通期の業績修正を見送った。今下期は更に営業を強化する自由設計住宅の販売増加が期待されること、中古住宅の販売・仕入れが好調に推移していること、豊富な契約残高を抱える個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが集中することなどから、通期の会社計画は非常に保守的と判断される。今第3四半期の状況を確認した上で通期の業績予想の修正を検討したいとの意向であろう。上期同様に好調を維持できるのか今第3四半期の自由設計住宅及び中古住宅の受注状況や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡し状況が注目される。一方、好調な上期決算ではあるが、賃貸住宅等建築請負の受注契約高が引き続き減少していることは気がかりである。収益性の高い事業であることから早期の回復が望まれる。今後の賃貸住宅等建築請負の受注状況にも注目したい。
なお、余談ではあるが旭化成建材㈱によるデータ改ざん問題が拡大する中、国内マンション業界においては、データの再チェックによる施工の遅れ、顧客による買い控えなどの悪影響が一部出てくるのではないかと心配される。しかし、同社においては、過去に分譲したマンションで旭化成建材㈱が杭打ちを行ったマンションはなく、また、分譲マンションの買い控えがおこる環境下では、戸建自由設計住宅のニーズが高まるものと予想される。一連の騒動が同社の業績に与える影響は軽微なものとなりそうである。