ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.54

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 会長兼社長
小林 徹 会長兼社長

【ブリッジレポート vol.54】2015年12月期第3四半期業績レポート
取材概要「第3四半期累計では増収増益であったものの、売上、利益のトレンドはやや低調となっている点は気になるところだ。また、第3四半期累計の通期予・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年11月24日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
会長兼社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年12月 25,678 2,558 3,043 1,897
2013年12月 23,582 2,108 2,628 1,620
2012年12月 20,699 1,398 1,680 825
2011年12月 18,502 1,677 1,830 1,033
2010年12月 17,395 1,705 1,761 981
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
株式情報(11/13現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,385円 16,548,551株 39,468百万円 8.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40.00円 1.7% 145.03円 16.4 1,385.78円 1.7倍
※株価は11/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
オプテックスの2015年12月期第3四半期決算概要などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサや世界シェア30%・国内シェア60%の自動ドアセンサを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛ける。産業機器用センサ事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。 ファイバーセンシス社及びレイテック社とは、それぞれの強みを融合した大型重要施設向けソリューション(施設への侵入警戒システム)を展開している。また、国内及びEUに強みを持つオプテックス(株)、北米を中心とした米州や中近東等に強みを持つファイバーセンシス社、更には英国及びEUでの売上が大半を占めるレイテック社と、事業エリアの面でも補完関係にあり、更にオプテックス(株)による両社製品の国内、アジア、アフリカ、南米への展開等、グループ企業の製品を活かした事業展開でも実績を上げつつある。
 
【事業内容】
事業は、防犯関連や自動ドア関連等のセンシング事業、産業機器用センサを手掛けるFA事業、中国工場で展開する電子機器受託生産サービス(EMS)の生産受託事業、及び客数情報システム・画像処理関連の開発・販売、スポーツクラブ運営その他に分かれる。
 
 
【センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムが強み】
確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。
 
 
【沿革】
1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約60%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
 
近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。
 
 
 
東証発表の「決算短信集計」によると、東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の14/3期のROEは、金融を除く全産業8.65%(前期は4.99%)、製造業8.55%(同4.53%)、非製造業8.79%(同5.67%)。同社の14/12期のROEは8.63%で前期よりもさらに上昇した。決算短信では、目標とする経営指標の1つにROEを掲げ、「10%以上」を目標として掲げている同社だが、更なるROEの改善には、株主還元の拡充を含めて潤沢なキャッシュを有効活用すると同時に、固定費削減を中心とした利益体質強化が必要となろう。
 
【グループの主要企業】
オプテックス(株) センシング技術を利用した製品及びシステムの開発・販売
 
国内
オプテックス・エフエー(株) 光電センサ、産業用画像検査、計測装置の開発、製造、販売
ジックオプテックス(株) 汎用型光電センサの開発。独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社
技研トラステム(株) 客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売
(株)ジーニック 画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売
オーパルオプテックス(株) 社員の福利厚生施設も兼ねた会員制アウトドアスポーツクラブ
 
海外
FIBER SENSYS INC.(米国) 光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売
FARSIGHT SECURITY SERVICES LTD.(英国) 遠隔画像監視による警備会社
RAYTEC LIMITED.(英国) 監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売
 
 
2015年12月期第3四半期決算概要
 
 
国内外とも堅調で増収増益
売上高は前年同期比10.3%増の206億56百万円。国内同3%増、海外同14%増と国内外ともに堅調だった。売上高における為替の影響は1,007百万円のプラスで、増収幅1,922百万円の52%となっている。
セグメント別ではセンシング(防犯)、センシング(自動ドア)、FA共に堅調だった。
営業利益は同12.8%増の23億43百万円。人件費増143百万円、経費増60百万円、研究開発費増105百万円、円安に伴う海外販社コスト増343百万円等の販管費増加を、増収効果490百万円増、原価率低下149百万円増、為替影響278百万円増等で吸収した。
 
 
 
累計では、前年同期比で増収増益となっているが、四半期では同増収・減益で、売上高・経常利益共に今期第1四半期をピークに軟調な展開となっている。
 
 
センシング事業
売上高105億93百万円(前年同期比11.4%増)、営業利益17億67百万円(同27.5%増)。
 
(防犯関連)
国内は同7%の増収。原発など大型重要施設向けは一巡したが、警備会社向け販売が好調だった。
海外は、北米が同27%増、ヨーロッパが同7%増と好調だった。北米では空港、軍施設など大型重要施設向けに子会社FIBER SENSYS社製品が伸長した。南欧では、経済格差の拡大により富裕層の不安心理が増大していることから、引き続き住宅用屋外警戒センサが好調だった。アジアは同1%の増収。
 
(自動ドア関連)
国内は同4%の減収。前年同期に消費増税前の駆け込み受注があったこと及び建築需要の伸び悩みで減収となった。
海外は、北米同18%増、ヨーロッパ同15%増と好調だった。
 
FA事業
売上高42億10百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1億99百万円(同3.6%増)。
国内は同12%の増収。自動車、電子部品や半導体の生産ラインで製品の外観検査に使用されるLED照明の販売が順調だった。
海外は、ドイツSICK社向け販売が低調でヨーロッパが同7%の減収だったが、中国販社の本格稼働に伴い現地での販売が引き続き順調に推移したアジアが同61%増と大きく伸びた。
 
生産受託事業
売上高9億49百万円(前期比55.3%増)、セグメント利益2億69百万円(同21.4%増)。
受託製品数量の増加で増収となり、原価率の改善等で利益も増加した。
 
 
15年9月末の総資産は前期末に比べて3億22百万円増加の305億18百万円。借方では、現預金、売上債権がそれぞれ同5億26百万円、42百万円減少した一方、たな卸資産が2億23百万円増加した。
貸方では仕入債務、短期借入金がそれぞれ同1億28百万円、2億3百万円増加した一方、役員退職慰労引当金が同4億9百万円減少し、負債合計は同3億28百万円減少の54億56百万円となった。利益剰余金の増加等により純資産は同6億49百万円増加した。この結果、自己資本比率は前期末より1.3%上昇し77.2%となった。
 
 
2015年12月期通期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。2ケタの増収増益を見込む。
業績予想に変更は無い。売上高は前期比15.3%増の296億円を予想。センシング事業における防犯関連のアジア地域向けや、FA事業の国内向けの販売拡大を見込んでいる。また、引き続き収益性の向上に取り組み、営業利益率は1.5%上昇し、営業利益は同32.9%増加の34億円を見込んでいる。
予想一株当たり利益は145.02円。配当は5円/株増配の40円/株を予定している。予想配当性向は27.6%。
 
 
今後の注目点
第3四半期累計では増収増益であったものの、売上、利益のトレンドはやや低調となっている点は気になるところだ。また、第3四半期累計の通期予想に対する進捗率も、前期は売上高、営業利益でそれぞれ73.0%、81.2%であったのと比較すると下回っており、最後の追い込みに期待したい。
一方で、前回レポートでも触れた、世界初のパッケージとなる「リモートモニタリングサービス」の立ち上がりの状況についても注目したい。
 
 
 
<参考:今後の事業戦略(前回レポートより)>
 
『「新しい」を生み出す』を経営方針とする同社は、2019年連結売上高500億円を実現するために、「コア事業の拡大推進」はもとより、「新規事業の創出」に注力している。
 
◎ビジネスモデルの変革 ~継続収益獲得へ~
従来の、センサ単品を販売し、売り切るビジネスに加え、システムソリューション、消耗品販売など、継続的に収益が得られるビジネスのウェイトを高めていく。
 
 
◎新規事業の創出 :「IoS」サービス
この継続収益を獲得するビジネスモデルの中心と位置付けているのが、「IoS(Internet of Sensing Solution)」サービス。
同社のセンシング技術の強みである、「検出エリア構成」、「センシングアルゴリズム」、「低消費電力」、「耐環境性能」などを活かし、センサをネットワークに接続する事で、「防犯・警備・防災」、「環境モニタリング」、「運転マネジメント」、「ファシリティ/アセットマネジメント」といった顧客企業に、新たな付加価値・ソリューションを提供する。
 
特に同社の有するセンシングアルゴリズムは、防犯センサ、運転挙動センサ、自動ドアセンサなど各種センサにおいて、必要な情報のみに的確に反応する高い検知能力が大きな強みである。
この強みを活かし、顧客となるシステム運用主体とともに、それぞれの課題に応じたアプリケーション・センサを開発できる点が大きな特徴となっている。
 
一般的な「IoT」サービスが大量のビッグデータを処理する事を目的としているのに対し、「IoS(Internet of Sensing Solution)」サービスではアプリセンサにより選別された確実な情報源であるスマートデータを抽出してサービスを提供する点が特徴となる。
 
◎IoSの3つのカテゴリー
同社では、サービス提供形態として以下の3つのカテゴリーを設定している。
「センサ、運用のためのサーバー、運用・サービスの提供」の全てを同社が手掛ける「①完結型ソリューション」 運用・サービスの提供を行っている企業と連携する「②アライアンス型ソリューション」
センサ等を販売する「③端末機器販売型」
 
 
①完結型ソリューション
代表例として、「リモートモニタリングサービス(クラウド・ビジュアル・ベリフィケーション)」が挙げられる。
これは同社のセンサと、世界最大のネットワークカメラメーカーAxis社のIPカメラによりカーディーラー、建設現場などの各種施設を常時監視し、ネット回線でモニタリングセンターとつないで監視を行うもので、センサ、カメラ、サービス、運用まで全てを同社グループが行う。
遠隔監視で実績のある英国子会社Farsight社を用いたこの世界初のパッケージサービスは、2015年9月に英国でリリースされた。
今期若しくは来期から実績が出てくるものと期待しており、来期後半からは英国以外の地域での展開も見込んでいる。
 
②アライアンス型ソリューション
代表例として、前回のレポートで紹介した、ソニー損害保険株式会社が2015年2月より販売を開始した日本初の新しいタイプの自動車保険「やさしい運転キャッシュバックサービス」がある。
 
ユーザー(保険契約者)は、オプテックスの運転挙動センシング技術が採用された運転特性を計測する専用器「ドライブカウンタ」を自分の自動車内に設置し、一定期間運転する。ドライブカウンタは、オプテックス独自の運転挙動測定技術を用いて危ない運転のみを記録する加速度センサが組み込まれている。
ユーザーは期間終了後、ドライブカウンタをソニー損保に郵送。成績が60点以上であれば点数に応じて保険料がユーザーにキャッシュバックされる。
 
ソニー損保では、こうした保険を普及させるには、「計測器の設置および取扱いが簡単であること」、「機器費用を含めた運用コストが低いこと」、「機器の信頼性が高いこと」が不可欠と考えていたが、オプテックスのドライブカウンタは、高精度のセンシング技術に加え、通信機能を利用するテレマティクス方式ではないためランニングコストもかからないなど、これらの条件をすべて満たしていると、ソニー損保から高く評価され、約4年にわたる実証実験の後、事業化に結び付いた。
 
また、アライアンス型による水質簡易計測ソリューションの展開も進めている。
現場で採取した水質測定データや利用者や利用状況データなどを、IoSプラットフォーム上で運用・サービス会社がIT管理するもの。またシステムに加えて簡単、迅速に水質計測を行うための試薬の開発も行い2015年4月より販売を開始した。システムの販売に加え、試薬販売による継続的収益の獲得も目指している。環境関連事業として以前から水質計測センサを手掛けていた同社としては、同事業拡大の大きな一歩となると考えている。
 
③IoS端末機器販売型 様々なセンサーニーズを持つオープンシステムに対応し、近赤外線センサ、遠赤外線センサ、超音波センサ、距離画像センサ、ファイバーセンサ、加速度センサ、レーザーセンサなどを提供する。
端末機器以外はパートナーサイドがシステムを構築する。ただし、センサはサービス・運用までを把握した上でその仕様を最適化して提供する。
従来とは違う相手先が顧客となるため、その後のビジネスの広がりにも期待している。