ブリッジレポート:(4248)竹本容器 vol.2
(4248:東証2部) 竹本容器 |
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企業名 |
竹本容器株式会社 |
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社長 |
竹本 笑子 |
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所在地 |
東京都台東区松が谷2-21-5 |
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決算期 |
12月末日 |
業種 |
化学(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年12月 | 11,062 | 877 | 879 | 581 |
2013年12月 | 10,017 | 757 | 813 | 592 |
2012年12月 | 9,654 | 632 | 658 | 434 |
株式情報(9/18現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【沿革】
創業者竹本茂氏(竹本笑子社長の祖父)が、同社の前身となる竹本商店を1950年に創業。第二次大戦終戦後のモノ不足の中、使用後のガラス壜を回収し、新品同様に再生する「古壜再生業」でスタートした後、1953年に竹本容器株式会社を設立し、ガラス容器の販売を開始。1963年には同社を特徴づける自社ブランド品「スタンダードボトル」の取扱いを始めた。1980年代に入ると、竹本雅英専務(現相談役、竹本笑子社長の父)が先頭となり、顧客の注文に応じて容器を製造する「特注品」が主流で、ボトルと付属品の取扱い業者が分離していた関西地区において、「スタンダードボトル」と「ワンストップ供給」を武器に新規開拓に注力。品揃えの豊富な同社は顧客の需要を確実に取り込み、販路を拡大した。当時としては画期的であったこの大阪進出がその後の福岡、札幌、名古屋への展開につながり、全国をカバーする販売・サービス網の構築に成功した。 1984年にはさらに競争力を強化するためには商社機能に加えメーカー機能が必要と考え、吉川工場(埼玉県吉川市)を開設し、プラスチック容器の加工・印刷を開始した。 1996年には業界で先駆けて中国に製造・販売の子会社を設立し、グローバル化戦略をスタート。 2004年、竹本笑子氏が代表取締役社長に就任し、国内市場におけるシェアアップと海外市場の開拓をさらに推進中。2014年12月、東京証券取引所市場第2部に上場した。 【経営理念など】
【市場環境】
下のグラフにあるように、容器の出荷金額はここ数年横ばいが続いており、今後も人口減少の進行が予想される中、国内需要の大きな伸びは期待し難い。
消費市場の成熟化、消費者の嗜好の多様化、ネット販売の拡大などにより、商品ライフサイクルの短命化が進み、「大量生産大量販売」の時代は終わり、「少量多品種販売」の時代に入っている。
そうした中、同社の顧客である化粧品・トイレタリー用品メーカー等が面している課題は、「製品開発期間の短縮化」や「経費削減」。
自社による容器開発を抑制する傾向を強めるこれらメーカーにとっては、必要な容器を必要なタイミングに必要な数量だけ調達できるスタンダードボトルを採用する機会は今後益々増大するものと考えられる。
圧倒的なシェアを有するトップA社やB社の顧客は、自社で金型投資を行う化粧品大手企業などが中心。 そこで竹本容器は、これまでに培ってきた提案力を差別化要因とし、協力メーカーも活用し、早く、安く、確実に製品を納入する量産体制を構築。顧客金型製品の売上を拡大する。 一方、大半の下位企業が商社を通じてスタンダードボトルの販売を行っているため、商社機能とメーカー機能を併せ持つ竹本容器は豊富な品揃えという点で優位性を有している。またメーカーとして開発コスト低減に取り組む事により、価格競争力も向上させシェアを引き上げる。 包装・容器市場が飽和している中でも、こうしたシェア拡大策による成長余地は極めて大きいと考えられる。 【事業内容】
化粧品・美容事業者、食品・健康食品事業者、日用・雑貨事業者、化学・医薬品事業者を主な顧客として、容器およびキャップやディスペンサーなど付属品の製造・販売を行っている。同社の容器は単なる容れ物ではなく、デザイン、機能、バリア性、安全、環境に留意した付加価値の高い製品が中心となっている。 ◎ビジネスモデル
化粧品やトイレタリー製品メーカー等の顧客企業が、製品差別化のために独自の容器デザインの製造を容器の成型メーカーに依頼する場合、多くのケースでは容器を製造するための金型製作費用は顧客が負担し、成型メーカーが製品設計と生産を請負い、顧客独自の容器を生産後納品することとなる。ところが、金型の製作には、一般的に3カ月程度の期間と数百万円の費用が必要であり、多くの顧客企業にとっては容器の調達に時間とコストがかかる点が課題となっている。 これに対し、同社は顧客に替わって自社で金型を製作し、顧客が希望する包装容器を生産、納品する。 このため、顧客は自ら金型を製作する場合と比べると短期間でかつ開発コストを抑えて、希望する包装容器を、必要な時に、必要な量だけ調達することができる。 このように、同社が容器の企画・設計を行い、製造に必要な金型を自社で製作・所有する容器を「スタンダードボトル」と呼ぶ。 同社が有する金型の種類は2015年6月末現在で2,777点と業界一の豊富さを誇る。 自社で開発した標準型のスタンダードボトルに着色や印刷を施し、キャップなどの付属品と組み合わせる「カスタマイズ」により、顧客の差別化ニーズに対応している。 また1,213種類に関しては製品在庫を保有するなどし、小ロット、多品種、短納期を実現している。 スタンダードボトルの売上構成比は全売上高の約7割で、顧客が金型製作を負担する顧客金型製品や、商社として他社製品の仕入なども行っている。 【ROE分析】
決算短信「目標とする経営指標」にROEを上げ、中期的に15%以上を安定的に達成することを目指しているが、後述のように、当面は投資を優先するため、12.5%を目標として設定している。 【特徴と強み】
①幅広い顧客基盤
同社は国内外に4,603社と極めて幅広い顧客基盤を有している。この顧客基盤から獲得する安定したキャッシュ・フローが、継続的な金型投資を可能にしている。 また、同社の高い開発提案力により顧客満足度は高く、リピーターも多い。 ②豊富な金型ストック
前述の様に2,777という豊富な金型ストックを有しており、顧客のニーズに対して柔軟な対応が可能である。また、品揃えの拡充や、デザインおよび機能性に留意した容器など付加価値の高い製品開発を進めると同時に、金型の標準化、共通化、小型化を進めることで、投資負担やリスクを低減させている。 ③柔軟な製品供給体制
国内7拠点、海外2拠点の生産ネットワークを通じて、高品質な製品を小ロット、多品種、短納期で納品できる体制を構築している。また顧客ニーズに対応したカスタマイズによる生産体制や、コスト、強度、精度を考慮した新たな生産技術を積極的に導入している。 ④「開発提案力の高さ」
幅広い顧客基盤(顧客資産)の形成に寄与しているのが、高い開発提案力であり、同社の持続的企業価値創造の源泉といっていいだろう。現在約40名の企画開発及び技術スタッフが、素材、形状、機能性、安全性などの視点から日々様々なアイデアの具現化に取り組んでいる。 合羽橋ショールームには約1,000種類のスタンダードボトルが展示されており、高い開発提案力の一端を伺うことが出来る。 |
2015年12月期第2四半期決算概要 |
営業利益は6億34百万円。樹脂原材料の価格低減は見込み通り日本でも2月から寄与した。中国での生産効率向上効果もあり、利益率は上昇した。 販売先区分別販売実績では化粧・美容が6割弱、製商品区分別販売実績では自社製品(スタンダードボトル)が約7割と大きな変化は無い。 主力のスタンダードボトルを伸ばしながら、顧客金型製品:カスタムボトルも更に伸ばしていく考えだ。 仕入債務は増加したが、流動負債は同46百万円の減少。固定負債は長期借入金の減少で同85百万円減少し、負債合計は同1億31百万円減少の48億98百万円となった。 純資産は利益剰余金の増加で同3億85百万円増加の54億63百万円となった。この結果自己資本比率は前期末より2.5%上昇し、52.7%となった。 有形固定資産の取得により投資CFは9億55百万円のマイナス。その結果、フリーCFもマイナスだった。 長期借入金の返済により財務CFはマイナスとなり、キャッシュポジションは前期末に比べ5億28百万円減少の12億57百万円となった。 (4)トピックス
2015年6月末時点での自社金型数は2,777型。①金型の開発状況 中国子会社で手掛けている金型製作工程の一部内製化、金型設計標準化、金型開発体制の拡大強化により、2017年には年間500型(スタンダードボトルとカスタムボトルの合算)の金型製作を目標としており、品質向上、短納期、コスト低減の実現を目指している。 ②新工場稼働開始
押出しチューブ専門工場として稼動していたジェイ・トム事業所(工場:富山県富山市)を、今後の生産拡大に伴うスペース確保のため、富山県中新川郡立山町に新工場を建設・移転し、2015年5月より本稼動した。トリートメントケア用品やUVクリーム用パッケージを生産している。 このほか、成形工程と印刷・二次加工工程の連携強化のため、結城事業所(茨城県)の第5期工事に2015年12月期中に着手する予定。 ③開発事例
*2ccポンプ国内では希少な2ccポンプを開発した。防水タイプで、トイレタリー、化粧品向けに幅広く対応する。今後は容器の開発も進めて行く。 *エアレス 基礎化粧品向けに開発した。酸化防止・高粘度対応・残量軽減に加え、アダプター仕様になり、衛生性の向上、リピート時のコストダウン等のメリットがある。 *コーム 毛染め剤など向けに開発した。 機能付キャップのため、内容物を出しながら直接髪に塗布する事が可能。 |
2015年12月期業績見通し |
業績予想に変更無し。連続して増収増益へ
業績予想に変更は無い。売上高は前期比4.9%増の116億5百万円の予想。日本、中国とも2014年に製造した新規金型が貢献し増収。営業利益は同18.5%増加の10億40百万円を予想。増産に伴う原材料使用量増加による原材料費増や国内外での労務費増を増収で吸収する。販管費のコントロールを継続し、営業利益率は同1.1%上昇の9.0%を見込んでいる。配当は今期より中間配当を実施し、中間12.00円/株、期末12.00円/株の計24.00円/株の予定。予想配当性向は20.3%。配当性向20%を目標としている。 |
中期経営計画と進捗 |
スローガンとして「開発提案型ボトルパッケージングメーカーとして、世界で最も顧客に必要とされ、チャレンジングで活気ある企業になる。」を掲げ、以下の中期計画数値達成を目指す。 (1)主要ポイント
日本、中国とも、新規金型の積極的投資により増収を継続する。<売上高> すでに進出している米国、タイのほか、インド、ヨーロッパへも拠点展開し長期的視野の市場開拓をスタートさせる。 <営業利益>
売上拡大のために短納期、高品質の更なる推進を目指した生産体制の増強を目的とした設備投資と人材育成投資を実施する一方、営業利益率は9%台維持を目標とする。
<金型投資>
日本、中国での積極的な製品展開のための金型投資のほか、米国・タイ等その他の市場向け金型投資も実施する予定。日本、中国を合わせたグループでの年間自社金型開発数を2014年12月期の203から500に引き上げる。金型の標準化、共通化、小型化によりカスタムボトルの受注を拡大させる。売上高に占めるスタンダードボトルの比率は前期の72%に対し、2017年12月期は62%の計画。 <数値目標>
経営指標として長期的にはROE15%超を目指すが、中期計画では投資を優先するため、12.5%を目標として設定。
(2)各市場における数値目標
(3)海外展開の進捗
<中国>成長率は鈍化しているが、市場規模は大きい。金型製作力の強化と付加価値ある製品開発で差別化図るとともに、生産力の増強も検討中。 <インド> 子会社設立は時期を見直したが、顧客・市場ニーズ・拠点検討の市場調査を継続中。 <ヨーロッパ> 2015年9月16日、現地での販売と市場調査を行うための拠点としてオランダに子会社を設立。 <東南アジア> タイ駐在員事務所を拠点に法人化を検討中。 <アメリカ> 事業パートナー候補を選定中。 |
竹本社長に聞く |
<中国市場>
株価が大幅に下落し、景気の急激な減速が言われているが、現在のところ当社においては受注ベースでは大きな変化や問題が起きているようには見えない。ただ、注意はしておかなければならないと考えており、与信などは慎重に対応している。 <足元の状況及び中期経営計画>
期初に、今期からギヤを上げていくと申し上げたが、第2四半期までは計画通りかつ前年を上回るペースで事業は進んでいる。特に前年の同時期は、消費税増税前の駆け込み需要があったことに加え、アロマ関連製品で大型受注の特需もあったことを考えると、良いペースで進行していると言える。 中期経営計画についても概ね計画通り進捗しているが、国内のスタンダードボトル開発のスピードをもう一段上げて行かなければならないと考えている。今期よりカスタムボトル・イノベーションに力を入れているためだが、2017年500型開発を目指し、人員補充を含め開発体制を一段と強化している。 <カスタムボトル・イノベーションについて>
「カスタムボトル・イノベーション」という名称は今年4月に社内決定した。これにより提案数は昨年に比べ倍増し、当社の提案力は着実に強化されている。ただ、今迄はスタンダードボトルを提案・販売する事が中心だったので、カスタムボトル・イノベーションの意味やコンセプト、実際の流れを理解できている役員陣が中心となって提案を行っている。今後は、全営業スタッフが提案できるように、教育、情報の共有など、底上げを進めて行く。 「竹本容器はスタンダードボトルしかやっていない」と思っている顧客は多いため、この提案は大変新鮮に受け止められている。そうした中、顧客ニーズの掘り起こし、リレーションの強化に結びつき、シェア拡大に繋がっている。 <開発力の持続的強化のために>
当社の大きな強みの一つが開発力だ。豊富な経験を持つ開発スタッフを中心として開発を進めて来たが、今後は、彼らに引き続き活躍してもらいつつも、社内に蓄積されたノウハウや経験を、顧客や海外情報と密接関係を持つ新しいスタッフにも身に付けてもらえるよう、育成を進めて行く。また、開発にとどまらず、デザイン、生産部門でも新しい考え方や例えばプラスチック加工技術を取り入れるために、大学との連携を通じ、顧問、アドバイザーを増強している。 設計だけ、デザインだけでなく設計のできるデザイナーの育成や、マーケティングのできる営業スタッフなど、多様な才能を持った社員を育てていきたい。 <環境問題に対する取り組み>
石油化学製品であるプラスチックを取り扱っている当社は、環境問題にも積極的に取組んでいる。人にも地球にも優しい容器開発をテーマに、使用済ボトルを原料とした容器の製造である「リサイクルPET」、石油資源を原料としない原材料を使用した「バイオマスプラスチック」、繰り返し使用可能な容器や減容化が可能な容器の開発である「付け替え・詰め替え容器」、CO2排出量削減可能な容器の開発である「ECO2」の、4つに取り組んでいる。 特に植物資源を利用した「バイオマスプラスチック」は石油資源を4割以上削減できる優れた製品だ。 顧客が価格を含めて総合的に判断して採用するものであるため、当社の意図のみで決められるものではないが、今後もっと採用して頂けるような提案を行っていく。 |
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