ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.20

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.20】2015年8月期第3四半期業績レポート
取材概要「温浴事業の損益の改善ペースが鈍く、カラオケ事業においても、(株)ムーン等の体制整備に伴う先行投資が発生しているが、カーブス事業に・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年10月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年8月 37,720 4,276 4,370 2,423
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(10/1現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,517円 18,454,640株 46,450百万円 20.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.2 % 138.95円 18.1倍 663.39円 3.8倍
※株価は10/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2015年8月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略を推進。安定成長を続けるカラオケ事業と高い成長を続けるフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業を育成中である。
尚、「既存業種新業態」戦略とは、既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変え、従来と異なる新たな顧客層をターゲットとする事で全く新しいサービスや運営手法を生み出し、独自のビジネスモデルを確立していく事業手法。
 
【企業理念 -豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献-
企業理念は、「進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、そして全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献すること」。この企業理念の下、①安近短の身近な余暇の分野において既存業種新業態を追求する、②各国地域並びに各業種の実情に即した最適な業態、仕組みを開発する、③顧客のニーズを探求し、驚きと感動を与える質の高いサービス・商品を常に提供する、④強い志と企業家精神を持って活躍する人材を育成する、及び④業態間のシナジーを図り、グループ力を最大限に発揮する、の4つをビジョンとして掲げている。
 
【沿革】
1954年に都内で飲食店として創業し、64年に現在本社のある群馬県前橋市に移転。67年に(有)新盛軒として法人組織に改組した。会社が大きく変わり始めたのは、現在、社長を務める腰髙博氏に実質的な経営権が委ねられてから。博氏のリーダーシップの下、90年にカラオケボックス事業に参入。レーザーディスクを使ったスナックやバー等でのカラオケから通信システムを活用したカラオケボックスへ需要がシフトする流れをつかみ事業を軌道に乗せた。95年8月の腰髙博氏の社長就任以降は、不況等で廃業するカラオケボックスを利用する出店モデル(居抜き出店)を開発し業容を拡大。2000年3月に(株)コシダカに組織及び名称を変更した。

06年3月には(株)カーブスジャパンのフランチャイジーとしてフィットネス事業に進出。07年6月のJASDAQ上場を経た08年10月には(株)カーブスジャパンを子会社化(実質持株比率90%)し、現在、グループでFC(フランチャイズチェーン)本部の運営とフィットネスクラブの直営店展開を行っている。

10年9月には純粋持ち株会社へ移行し、(株)コシダカホールディングスに組織及び名称を変更。海外展開も進め、11年6月に韓国ソウルにカラオケ本舗まねきねこ海外1号店を開設。13年11月に中間持株会社(東南アジアにおけるカラオケ事業の統括会社)KOSHIDAKA INTERNATIONAL Pte.Ltd.を設立。その傘下でシンガポールでのカラオケ事業を統括するKOSHIDAKA MANAGEMENT SINGAPORE PTE.LTD.が、14年2月にシンガポール国内でカラオケ店舗11店舗を直営展開しているK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD. を子会社化した。14年7月に本社機能を東京に移転。15年4月には、カラオケやネットカフェ20店舗を、神奈川県を中心に展開する(株)ムーンを子会社化した。
 
【事業セグメントとグループ】
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業に分かれる。14/8期の売上構成比は、カラオケ事業54.9%、カーブス事業40.8%、温浴事業3.6%、不動産管理事業0.7%。利益構成比は、カラオケ事業33.2%、カーブス事業69.1%、温浴事業 △5.0%、不動産管理事業2.7%。
 
 
【成長戦略 -「総合余暇サービス提供企業」を標榜し、“「既存業種新業態」戦略”を推進-】
約65兆円の国内余暇市場は同社にとって無限とも言える広さだ。特にシニア市場は、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの間、高い成長が見込まれている。こうした中、同社は「総合余暇サービス提供企業」をコンセプトに、「アクティブシニア層」をターゲットとし、“アミューズメント(カラオケ)”、“スポーツ・フィットネス(カーブス)”、“観光・行楽(温浴)”、“趣味・教養”の4分野において、事業間シナジーを追求すると共に「既存業種新業態」戦略を進め業容の拡大を図っていく考え。グループ売上高1,000億円を中長期の目標としている。

尚、「カラオケ白書2014」によると、2013年度(13年4月1日~14年3月31日)の国内カラオケ市場は3,957億円(12年度3,912億円)。09年以降、概ね3,800億円~3,900億円で推移している。また、新聞報道等によると、フィットネスクラブの市場規模は4,100億円程度で、ここ数年は横ばいの状態が続いているという。
 
カラオケ事業における取り組み
国内のカラオケ産業は大手チェーンへの集約が進み、大手チェーン間での顧客獲得競争が激化している。同社は店舗網の拡充を図ると共に、同社店舗の特徴である「安心、安全、リーズナブル、フレンドリー」の浸透とカラオケの新しい楽しみ方や新しいサービスを開発に取り組む事で差別化を図っていく考え。具体的には、「首都圏攻略」の方針の下、首都圏中心に新規出店を進めており、自社開発のカラオケ用新システム(カラオケコマンダー)「すきっと」の導入で新しい楽しみ方を提案。「すきっと会員」やワンカラの「シンガーズクラブ会員」の組織化で顧客の固定客化を図っている。「すきっと」は、コンテンツホルダーとのコラボレーション企画等でカラオケルームでの楽しみ方の幅を広げており、その機能が関係各方面から注目されている。

同社は、韓国とシンガポールでカラオケ事業の海外展開も進めている。5店舗を展開する韓国ではビジネスモデルの確立に成功し(店舗段階ではほぼ黒字)、「5年以内に100店舗体制」を目指している。一方、シンガポールでは、現地でカラオケ事業を展開しているK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD.(以下、K BOX)への「まねきねこ」のノウハウ注入と店舗網の見直しを進めている。
 
カーブス事業における取り組み
当事業のコンセプトは、高齢化社会が急速に進展する中で、一人一人が正しい運動方法を身につけ習慣づけていく事を支援し、既存の会員と共に、こうした仲間を増やしていく活動を通して未病率の改善や健康寿命の延伸に貢献すると共に事業の拡大を図っていく事。この事業コンセプトの下、顧客視点に立った通いやすい店舗(加盟店)網の構築と、各店舗を会員が成果を実感し、それを喜び合えるようなコミュニティに創り上げていく事を目指して本部と加盟店が一体となって取り組みを進めている。

14年10月には、店舗数と会員数がマイルストーンとしていた1,500店舗、650千人を突破した。既存加盟店の追加出店を中心に引き続き積極出店を続けると共に、既存加盟店の1店舗当たり会員数の増加に取り組んでいく考え。当面の店舗数の目標は既存加盟店の追加出店を中心に1,800店舗。退会率が低い口コミ紹介による入会の増加を図るべく、更なる会員満足度の向上にも努める。また、トレーニングとの相乗効果が高いプロテイン等、会員向けの物販の強化に加え、商品購入につなげるべく、会員の簡易食事診断を実施し、これを基にした食生活改善提案を行っていく。
 
温浴事業における取り組み
現在、東京健康ランドまねきの湯(東京都)、郡山湯処まねきの湯(福島県)、箕郷温泉まねきの湯(群馬県)、大分森温泉まねきの湯、大分らんぷの湯花園店(共に大分県)の5店舗を運営しており、早期の事業損益の黒字転換を目指している。社員教育面での人材育成システムを活用した固定費削減や店舗営業(接客サービス)等、カラオケ事業で培ってきた様々なノウハウを活かすと共に、省エネ化の実現等で温浴施設の再生に取り組んでいる。

省エネ化では、全店舗で、節水シャワーやガスを燃料に発電と給湯を同時に行うコージェネレーションの導入、貯湯タンクの増設による天然温泉の活用促進、更には循環回収水の効率化等の施策を講じており、主力となる「東京健康ランドまねきの湯」では温泉掘削が完了し、14年11月に天然温泉による運営が始まった(光熱水道費の削減効果や集客効果が期待できる)。この他、お笑いライブイベントや健康歌体操教室の開催等による集客の強化に取り組んでいる。
 
 
 
*ROA(総資産利益率)は、「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」の2要素を掛け合わせたもの。
*ROE(自己資本利益率)は、「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
同社は経営指標としてROA(総資産利益率)を重視している。投下資本を可能な限り抑制しつつ、売上規模の拡大と利益確保に取り組む事、そしてこの結果として投資の早期回収を実現する事に経営の重点が置かれている。この方針の下、上記の通り、高水準のROAを実現し維持している。

自己資本の効率性を表すROEも同様に高水準を維持している。過去5年間のROEは11/8期に大きく上振れした後に低下しているが、その要因は、特別利益の計上による一時的な売上高当期純利益率の変動、先行投資、及び好調な業績を反映した急ピッチの財務体質改善である。
 
 
2015年8月期第3四半期決算
 
 
前年同期比17.3%の増収、同13.2%の経常増益
売上高は前年同期比17.3%増の323億54百万円。不採算店舗を閉店した影響で温浴事業の売上が減少したものの、新規出店やM&A効果等で主力のカラオケ事業の売上が174億92百万円と同20.3%増加。カーブス事業の売上も、店舗数・会員数の増加に加え、ショッピング売上(主に会員向けプロテイン販売)の増加で134億88百万円と同15.7%増加した。

利益面では、シンガポールでカラオケ事業を手掛けるK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD.(以下、K BOX)や2015年4月に子会社化した(株)ムーンの体制整備や相対的に原価率の高いショッピング売上の増加で売上総利益率が低下する中、販管費も増加したが、増収効果で吸収して営業利益が37億63百万円と同13.8%増加した。四半期純利益が減少したのは、特別損失(固定資産除却損1億47百万円、減損損失75百万円、店舗閉鎖損失82百万円、計3億35百万円)が増加したため。
 
 
カラオケ事業
売上高174億92百万円(前年同期比20.3%増)、セグメント利益11億89百万円(前年同期比1.7%増)。「カラオケ本舗まねきねこ」を中心に首都圏での出店を強化しており、この一環として、2015年4月1日に神奈川県を中心にカラオケチェーンを展開する(株)ムーンの全株式を相鉄グループから譲受した。新規出店や(株)ムーンの子会社化効果に加え、14年2月に子会社化したK BOX(シンガポール国内でカラオケ店舗10店舗を直営展開)の期初からの寄与もあり、売上が大きく伸びた。K BOXや(株)ムーンの体制整備等による営業費用の増加を吸収して営業利益が増加した。

第3四半期末の国内店舗数は前年同期末(334店舗)に比べて69店舗増の403店舗。前期末との比較では37店舗増加しており、23店舗(22店舗)の新規出店に加え、(株)ムーンの子会社化に伴い21店舗を取得する一方、7店舗(同8店舗)を閉店。この他、26店舗(同28店舗)でリニューアルを実施した。海外店舗数は、シンガポール10店舗、韓国6店舗の計16店舗(前年同期末はシンガポール11店舗、韓国4店舗の計15店舗)。
 
カーブス事業
売上高134億88百万円(前年同期比15.7%増)、セグメント利益30億79百万円(前年同期比22.8%増)。店舗数・会員数の増加でロイヤリティ収入等の継続的な収入であるベース売上が増加する中、ショッピング売上が大きく伸びた他、加盟金収入や出店にかかる一時的な収入であるスポット売上も増加した。

第3四半期末の国内カーブス店舗数は前年同期末(1,423店舗)に比べて140店舗増の1,563店舗(内グループ直営店50店舗)。会員数は前年同期末(601千人)に比べて68千人増の669千人。また、第3四半期累計期間では国内店舗数が88店舗、会員数が28千人増加した。

尚、未病率の改善や健康寿命の延伸に貢献するべく、連結子会社(株)カーブスジャパンが、2015年6月に神奈川県小田原市に「未病センターカーブス 小田原」を開設した(後述)。
 
温浴事業
不振店を閉鎖した影響で売上高が11億34百万円と前年同期比2.6%減少したものの、不振店の閉鎖効果に加え、省エネ化と原油安による水道光熱費の減少もあり、セグメント損失が前年同期の1億73百万円から84百万円に減少した。

上記の他、不動産管理事業として、売上高2億38百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益1億07百万円(同11.8%増)を計上した。
 
 
 
(株)ムーンの買収や業容拡大に伴う運転資金の増加に対応するべく長短借入金を積み増ししたため、第3四半期末の総資産は300億66百万円と前期末に比べて41億40百万円増加した。自己資本比率は43.7%(前期末48.4%)。
 
(4)トピックス  「未病センターカーブス 小田原」の開設
連結子会社(株)カーブスジャパンが2015年6月20日、神奈川県小田原市に「未病センターカーブス 小田原」を開設した。
「未病センター」は、神奈川県が進める“未病”の取り組みの一環で、神奈川県民だれもが、手軽に運動や健康チェック等を継続的かつ複合的に体験・実践でき、改善効果が実感できる施設を設置・運営する際に認証する制度。
(株)カーブスジャパンが設置・運営する「未病センターカーブス 小田原」は、「未病センター」の第1号に認定された。「未病センターカーブス 小田原」は、体力年齢測定の他、健康相談員による運動や食事についてのアドバイス、施設内の共用スペースを活用した健康イベント等の活動を通して未病率の改善や健康寿命の延伸に貢献していく考え。

名称    : 未病センターカーブス 小田原
場所    : 小田原市前川120番地 小田原シティモール 1階 南館
開設日時  : 2015年6月20日(土)
施設の概要 : 体力年齢の測定、健康相談員による運動や食事についてのアドバイ
       ス、施設内の共用スペースを活用した健康イベントの開催等
利用料金  : 初回100円。会員登録により、2回目以降は無料
 
 
2015年8月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比15.8%の増収、同15.9%の経常増益
経常利益が50億円を突破する等、最高益更新が続く見込み。通期予想に対する進捗率は、売上高74.1%、営業利益76.1%、経常利益75.8%、と売上・利益共に順調。配当は1株当たり15円の期末配当を予定しており、上期末配当と合わせて年30円となる(14年9月1日の株式分割を考慮すると、実質2.5円の増配)。
 
 
 
今後の注目点
温浴事業の損益の改善ペースが鈍く、カラオケ事業においても、(株)ムーン等の体制整備に伴う先行投資が発生しているが、カーブス事業に上振れ余地があるため、通期の業績に大きな不安はない。来期の見通しも明るく、首都圏で出店攻勢をかけているカラオケ事業で引き続き高い売上の伸びが期待でき、ストック型ビジネスのカーブス事業は売上・利益の両面で堅調な推移が見込まれる。今期は先行投資が負担となるカラオケ事業の収益性の回復と温浴事業の黒字化が来期の注目点となる。