ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.41

(9445:東証2部) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.41】2016年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「16/3期第1四半期決算は、前期比9%増収、同10.6%営業増益の良好な決算となった。中でも、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年9月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田錦町三丁目26番地 一ツ橋SIビル2F
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 12,385 581 567 305
2014年3月 12,145 446 435 272
2013年3月 11,990 436 438 269
2012年3月 13,470 323 302 177
2011年3月 13,560 391 391 155
2010年3月 13,956 347 327 194
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
株式情報(8/28現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
391円 16,693,200株 6,527百万円 16.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.00円 3.8% 25.76円 15.2倍 108.65円 3.6倍
※株価は8/28終値。ROEは前期末実績。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(15/3期はフォーバルの連結売上高の25.8%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社、持分法適用関連会社1社。
 
【事業内容と企業グループ】
同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「2way Smart」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心に普通印刷・特注文具の製造・販売を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」、及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」に分かれる。また、持分法適用関連会社(出資比率25%)で、(株)光通信(9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブが「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている。
 
 
 
 
主要なサービスの概要
 
(1)IP&Mobileソリューション
AmaVo
新たに提供を開始したサービスであり、iSmartひかり(同社NTT光コラボ回線)専用の法人向け電話サービス。本サービスは050VoIPサービスをベースとした0AB~J番号の発着が可能なサービス。AmazingVoIP(驚くべきVoIPサービス)の頭文字をとってネーミングされた。AmaVoは、①NTT回線をアクセス回線として利用しているので、開通までの時間がNTTと一緒で早い、②音声サービスのオプション、チャネル追加の手続きが簡単かつ早くて安い、③自動迂回着信機能があるので万が一の光回線障害時でも顧客が指定した電話番号に着信可能と安心などのメリットを持つ。Amavoの導入により顧客企業の通信コストは大幅なコストダウンが期待できる。更に、AmaVo加入者同士の通話が無料で今の電話番号がそのまま使えるなど利便性も高い。
 
 
i-Smartひかり
NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。
 
 
i-Techmo(アイテクモ)
専用アプリ(2waySmart)をスマートデバイス(iPhone、iPad)にインストールすることで、スマートデバイスを社内では内線電話として、社外では携帯電話として使用することが可能となる。これにより、①スマートフォンから代表電話で発信すること、②スマートデバイスで内線発着信すること、③ビジネスフォンの削減で経費を削減することが可能となる。その他、ビジネスフォンの機能をスマートデバイスで実現すること(同社オリジナル機能特許第5655183号)や簡易CTI機能の搭載により、着信を受けた顧客のWEBサイトや地図の表示が可能となり、顧客の情報を素早くキャッチすることが可能となる。これまで同社は、小規模事業者向けに同様のソリューションを提供していた。「i-Techmo」は、「接続端末数1,000台」「外線同時通話数100通話」などの機能を有する、大規模・中規模事業者向けのソリューションであり、「IP電話回線」と「ISDN回線」のマルチラインに対応している。
 
 
iSmart接続-Fひかり
iSmart接続-Fひかりは、法人向けに提供している高品質なインターネット接続サービスを、個人でも利用しやすいように、サービス価格・内容を最適化したフレッツ光専用プロバイダサービス。
(サービスプラン)
 
 
メールアドレス10個、1GBのホームページ、スパムフィルタ、メール転送などがずっと無料なのが特徴。
 
(2)セキュリティコンサルティング
プライバシーマーク(Pマーク)や各種ISOのコンサルティング
認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを実施。
 
 
(3)ペーパレスソリューション
おまか請求
請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。
 
 
ワンビリングサービス
複数サービスの請求書をひとつにまとめて請求するサービス。請求書が何通も届くことなく、1請求書にまとめて請求される。請求書を一本化することで、各社からの請求書の煩雑さの解消や事務処理の簡素化が図られるなど、業務効率が向上する。
 
 
 
2016年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比9.0%の増収、同20.3%の経常増益
売上高は前年同期比9.0%増の32億14百万円売上面は、新サービスの提供によりIP&Mobileソリューション事業で増加した他、前期からの堅調な推移が続いたドキュメント・ソリューション事業とコンサルティング事業においても増加した。
営業利益は同10.6%増の1億50百万円。先行投資により人件費や前払販売奨励金の償却負担が増加したことにより、IP&Mobileソリューション事業やコンサルティング事業において減少したものの、大口契約の計上によりドキュメント・ソリューション事業の利益率が大幅に向上した。加えて、IP&Mobileソリューション事業においても収益性の高いネット系のストック収益(「iSmart接続」)の売上が増加したことにより売上総利益率は、30.5%と前年同期比6.1ポイント高まった。一方、先行投資による人件費の増加やISPサービスの獲得に伴う営業費用(前払販売奨励金の償却費)の増加などにより、売上高対販管費比率は、25.8%と同6ポイント上昇した。また、営業外費用で前年同期に発生した持分法による投資損失12百万円が今四半期に減少したことから経常利益は同20.3%増の1億54百万円となった。その他、特別損益の大きな計上はなかった。
 
 
 
連結の売上総利益は2億59百万円増加し、売上総利益率も6.1ポイント上昇。個別ベースの売上総利益は、従前の通話系サービスにかかる課金収入が減少したものの、新たなサービスにかかるネット系他のストック収益が増加したことから、全体として88百万円増加した。また、子会社の売上総利益は、1億71百万円の大幅増加。
 
 
販管費は、人件費やIP&Mobileソリューション事業における収益性の高いネット系ストック収益(「iSmart接続」)の獲得に伴う前払販売奨励金の償却費の増加などにより2億45百万円増加した。
 
 
IP&Mobileソリューション事業 売上高21億43百万円(前年同期比4.8%増)、セグメント利益1百万円(同94.0%減)
主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。新サービスの提供や収益性の高いISPを主体とするネット系ストック収益(「iSmart接続」)が増加したことから増収となったものの、前払販売奨励金の償却負担など先行してコストが増加したことから減益となった。
 
ドキュメント・ソリューション事業  売上高4億92百万円(前年同期比21.3%増)、セグメント利益96百万円(同139.2%増)
主に普通印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。顧客製造業の業績が好調に推移したことなどから引き続き堅調に推移する中、大口契約が計上されたことから収益性が高まった。
 
コンサルティング事業  売上高5億77百万円(前年同期比16.7%増)、セグメント利益57百万円(同23.7%減)
主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。(株)保険ステーション、請求代行サービス(おまか請求)、セキュリティコンサルティングサービス(セキュリティ本舗)などが好調に推移し増収となったものの、(株)保険ステーションの体制整備などに伴う人件費の増加などにより減益となった。
 
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比9.8%の増収、同14.5%の経常増益
売上高は前期比9.8%増の136億円の期初計画から変更なし。売上高は、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット系ストック収益やおまか請求及びコンサルティングなどから生じるストック収益の拡大を図りつつ、新サービスAmaVoの提供を通じて通話系のストック収益の底上げを図る計画。
営業利益は、同8.3%増の6億30百万円の計画。利益面は、増収効果によりIP&Mobileソリューション事業、ドキュメント・ソリューション事業、コンサルティング事業の全て分野で増加する見込み。販管費において人件費やISPコールセンター費用の増加が一服するものの、引き続き積極的な前払販売奨励金の償却が見込まれることから、売上高営業利益率は4.6%と前期比0.1ポイント低下する保守的な計画となっている。一方、前期計上した固定資産売却損が減少することから、当期利益の増益率は高くなる。
配当も15/3期と同額(上期末7円、期末8円)の1株当たり年間15円(株式分割考慮後)の期初予想を据え置き。
 
(2)16/3期の戦略
① AmaVo&iSmartひかりの拡大を通じて通話系のストック収益の底上げを図る
NTT光コラボレーションモデルを活用した通信サービスにより料金のさらなる低額化・短納期・早期収益化を既存・
新規の販売パートナー群と協業して実現する。
② iSmart接続-Fひかりの拡大
基幹商材として販売チャネルの更なる拡大を図るなどマス市場で攻勢をかける。
③ おまか請求の拡大
顧客登録や受注登録から請求・回収・督促まで請求に係る周辺業務代行とWEB提供により、「選ばれるサービス」を作り続ける。
④ コンサルティングの拡大
保険サービスの契約数の増加を図るとともに、マイナンバー制度導入・個人情報保護法改正に対応し認証維持・更新コンサルの拡大を図る。更に、対応ISO規格の拡充を図る。
 
 
今後の注目点
16/3期第1四半期決算は、前期比9%増収、同10.6%営業増益の良好な決算となった。中でも、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット系ストック収益の増加が従来型の通話系ストック収益の減少を上回りフォーバルテレコム単体で増収となったことは最大の収穫と言えよう。同社がこれまで目指してきたネット系ストック収益の拡大によるフォーバルテレコム単体の売上拡大に道筋が付けられた四半期と言える。また、ドキュメント・ソリューション事業が非常に好調に推移していることが確認できたことも明るい。しかし、こうした環境下、IP&Mobileソリューション事業とコンサルティング事業のセグメント利益が前年同期比で減益となったことは気がかりである。IP&Mobileソリューション事業では前払販売奨励金の償却の増加が、コンサルティング事業では保険業法改正に伴う(株)保険ステーションの体制整備のためのコストの増加が影響している。どちらも中長期的な収益基盤強化のためには避けて通れない先行投資ではあるものの、短期的な業績へのインパクトをチェックする必要があろう。今第2四半期のIP&Mobileソリューション事業とコンサルティング事業のセグメント利益の動向が注目される。
また、新しくサービスを開始したAmaVoの拡大は、新規顧客から通話料やオプション利用料などの収益がもたらされ、通話系のストック収益の減少に歯止めがかかると期待されている。AmaVoを開始して日が浅いこともあり、通話系のストック収益の反転にはつながっていない。引き続き、今後のAmaVoの動向と通話系のストック収益の底入れのタイミングに注目したい。