ブリッジレポート:(7776)セルシード vol.20
(7776:JASDAQ) セルシード |
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企業名 |
株式会社セルシード |
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社長 |
橋本 せつ子 |
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所在地 |
東京都新宿区原町3-61 桂ビル4F |
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決算期 |
12月末日 |
業種 |
精密機器(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年12月 | 86 | -601 | -577 | -582 |
2013年12月 | 105 | -534 | -581 | -584 |
2012年12月 | 75 | -846 | -842 | -913 |
2011年12月 | 86 | -1,418 | -1,358 | -1,442 |
2010年12月 | 66 | -1,204 | -1,002 | -1,009 |
2009年12月 | 87 | -785 | -788 | -790 |
2008年12月 | 61 | -778 | -644 | -650 |
2007年12月 | 40 | -809 | -614 | -616 |
2006年12月 | 23 | -672 | -464 | -470 |
2005年12月 | 34 | -412 | -336 | -343 |
2004年12月 | 53 | -257 | -214 | -215 |
株式情報(8/27現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
事業は、細胞シート再生医療製品及びその応用製品の研究開発・製造・販売を通じて、細胞シート再生医療の普及を推進する「細胞シート再生医療事業」、細胞シートの基盤ツール(培養器材)である温度応答性細胞培養器材及びその周辺製品の研究開発・製造・販売を行う「再生医療支援事業」に分かれる。 【細胞シート工学と細胞シート再生医療】
「細胞シート工学」は再生医療の汎用的なプラットフォーム技術となるもの。患者から細胞を採取し、これをシート状に培養し治療に用いるが、「細胞シート工学」の画期的なところは、温度応答性細胞培養器材を用いる事で、従来不可能だった無傷の状態での細胞回収を可能にした事だ。細胞は通常、培養皿で培養する(増殖させる)が、この場合、細胞は培養皿の表面に密着して増殖する。そして細胞を回収する際に皿から剥がすが、その際、トリプシン等のタンパク質加水分解酵素を用いて剥がすため、細胞表面のタンパク質(細胞外マトリクス)が壊れてしまい、本来の生きた細胞とは異なったものになってしまう(傷付けてしまう)。このため、これを再生医療に用いても、きちんと生着できず機能を十分に発揮できない。 一方、同社が開発した温度応答性細胞培養器材は、温度を変える事で細胞が密着している培養面の表面の性質が変わり、表面から細胞が自然と剥がれるため、タンパク質を保持した生の状態に近い細胞をシートとして回収できる(生体組織、臓器に近いものを手に入れる事ができる)。細胞表面のタンパク質(細胞外マトリクス)は、細胞外の空間を充填すると共に、骨格的役割や細胞間結合の足場的役割を担う他、細胞の増殖・分化も制御する。細胞を細胞として機能させるために不可欠な物質であり、患部の修復(再生)に働く。
温度応答性細胞培養器材は温度を下げると、温度応答性ポリマーの性質が変わり、細胞シートが剥離するため、細胞表面のタンパク質(細胞外マトリクス)を破壊する事無く回収できる。
従来、細胞の回収に際してトリプシン等のタンパク質加水分解酵素を用いていたが、タンパク質加水分解酵素は細胞間の結合因子や接着因子を破壊し、細胞に大きな傷害を与える。 |
市場環境とセルシードのミッション |
「バイオ医薬品」が登場した当時は、技術的な難易度の高さやコスト面での課題(高額な医療費が必要になる)に加え、現在のように法整備による後押しも政策的な支援もなかったため(逆に化合物医薬品を前提にした法規制がバイオ医薬品普及の足かせとなった)、市場の確立そのものが疑問視されていたが、30年たった今では医薬品の売上の3割を占めるに至っている。現状では技術面やコスト面でハードルが高い「組織医薬品」ではあるが、安倍政権の成長戦略の一翼を担う分野であり、実際、医薬品医療機器等法による「早期承認制度」や再生医療等安全性確保法による「細胞培養加工の外部受託」の導入等に代表されるように、法改正も含めて普及に向けた環境の整備が進んでいる事等から、「バイオ医薬品」等よりも速いスピードで普及が進むと見られている。 (3)セルシードのミッション
・再生医療を一日も早く実現する・細胞シート工学技術を世界に発信する ・安全で品質の高い製品及びサービスの提供による医療の変革に貢献する |
中期戦略(15/12期~17/12期)と進捗状況 |
【中期経営計画の概要 -細胞シート再生医療製品を開発し、世界市場への普及を目指す-】
2014年11月の再生医療関連新法の施行を踏まえて日本を細胞シート再生医療開発最優先拠点と位置付けた。再生医療関連機器の開発・販売で収益を確保しつつ、再生医療製品の早期事業化に取り組んでいく考え。優先的に自社開発を進めるパイプラインとして、「食道再生上皮シート」と「軟骨再生シート」を設定しており、開発した細胞シート再生医療製品はグローバル展開も進めていく。
売上高については、再生医療支援事業の売上のみを織り込んだ。ラインナップの拡充を図ると共に情報提供やカスタマーサービスを強化して、再生医療分野はもとより、細胞を扱う多様な研究機関や企業等にも販路を広げていく。損益については、治験関連費用、営業強化等による人件費の増加、更には温度応答性細胞培養器材の新製品開発等に伴う開発費用の増加を織り込んでいる。また、CPCが16/12期中に稼働する予定であり、CPCの減価償却費も織り込んだが、17/12期は売上増によるスケールメリットや温度応答性細胞培養器材の大日本印刷(株)への製造移管等による収益性の改善で売上の増加以上に損益の改善が進む見込み。 【進捗状況】
(1)細胞培養施設の新設
CPCを東京都江東区青海二丁目5番10号 テレコムセンタービル内に新設する(延べ床面積:約763 ㎡)。設備投資額は630百万円を予定しており、完成予定は2016年上期。商業生産を視野に細胞シートの安定的な供給体制を早期に確立し、2014年11月施行の「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」に準拠した設備運営を行っていく。CPCは4つの独立したユニットからなり、現在の培養方法で年100人分の細胞シートの作成が可能。自動化装置の開発も進め、生産性や生産能力の増強にも取り組んでいく。また、業務の効率化を図るため、本社機能も同ビルに移転する(2016年1月を予定)。
(2)再生医療製品の早期事業化
食道再生上皮シート
食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道狭窄予防)として東京女子医大先端研が開発した治療法で、患者の口腔粘膜から細胞を採取し、温度応答性培養皿を用いてこれを培養し作成した細胞シートを、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。
国内外で30症例の医師主導臨床研究の実績
食道再生上皮シートを用いた食道がん再生治療は、医師主導臨床研究で、日本20症例(東京女子医科大学10症例、東京女子医科大学他10症例)とスウェーデン10症例(全てカロリンスカ大学病院)の実績があり、論文や学会報告等でこの治療法の有効性・安全性が報告されている。
日本とスウェーデンで企業治験を開始
企業治験に向け、日本では東京女子医科大学と開発基本合意契約を締結した。今期中の治験届提出に向け、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に戦略相談を含めて、治験実施体制の整備を進めている。また、海外では、欧州での販売承認取得に向け、スウェーデンでの企業治験を計画しおり、その推進役となるCellSeed Sweden AB(スウェーデン)を15年5月に設立した(後述)。尚、PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)は医薬品や医療機器等の安全性向上のための製造業者等への指導及び助言を行っている。 市場規模
国立がん研究センター対策情報センター及び日本経済新聞「食道がん治療の実力病院・80症例以上の手術ありの47病院」調査を基にした同社の推計によると、2012年の食道癌患者は20,700人で、このうちの約20%(4,140人)の症例が内視鏡による癌切除手術を受けている。この4,000人強が、細胞シートによる治療対象患者と考える事ができる。食道がんは男性に多く、年々、罹患率は上昇しているが、死亡者数は罹患数ほど増えていない事から、食道癌除去後の手術部位治癒及び食道狭窄防止のニーズは増えていると推測できる。
軟骨再生シート
軟骨再生シートは、スポーツによる損傷やエイジングを原因とする軟骨欠損や変形性関節症を適応症としており(いずれも、現在、根治する方法がない)、軟骨細胞を培養して作製した細胞シート(軟骨再生シート)を患部に移植し、軟骨表面を根本的に再生する。
(3)世界へ向けた事業展開
既に説明した通り、15年5月、スウェーデンに100%子会社 CellSeed Sweden ABを設立した(ABは日本における株式会社の意)。CellSeed Sweden ABが欧州での食道再生上皮シート治験の母体となる(既に現地CROとの契約も締結済みである)。また、6月にスウェーデンのストックホルムで開催された国際幹細胞学会(ISSCR)にも参加し、カロリンスカ研究所の教授達とディスカッションを行った。
CellSeed Sweden ABの概要
(4)器材開発の促進と収益機会の拡大
「温度応答性細胞培養器材」の大日本印刷(株)による受託製造(同社における委託製造)が、この春に本格化した。また、細胞培養器材や細胞シート移植用デバイス等の新製品開発にも力を入れ、従来からの研究用分野での製品開発に加え、臨床応用用途での製品開発にも力を入れ収益の拡大につなげていく。
(5)資金調達 :第三者割当による新株予約権の発行
17/12期にかけての治験に必要な資金は既に確保しているが、自社細胞培養施設の準備・運営資金、再生医療支援事業関連仕入、及び国内外での業務推進のための運転資金の確保を目的に、2015年8月31日、第三者割当方式により新株予約権を発行する。
第13回新株予約権
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2015年12月期上期決算及び通期業績予想 |
温度応答性細胞培養器材の販売で29百万円の売上を計上
再生医療支援事業において、下期に受注を予想していた製品の受注が上期に発生した事で売上高が29百万円と期初予想の25百万円を上回った。一方、損益面では、細胞シート再生医療事業において、当初は上期に予定していた一部の研究開発費の計上が下期にずれ込んだ事ため営業損失が期初予想を大きく下回った。販管費の内訳は、研究開発費134百万円(前年同期98百万円)、その他209百万円(同227百万円)。
売上高については、再生医療支援事業の売上のみを織り込んだ。一方、損益については、治験関連費用、営業強化等による人件費の増加、更には温度応答性細胞培養器材の新製品開発等に伴う開発費用の増加等が織り込まれている。 |
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