ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.18
(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン |
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企業名 |
イー・ガーディアン株式会社 |
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社長 |
高谷 康久 |
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所在地 |
東京都港区麻布十番1-2-3 |
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決算期 |
9月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年9月 | 2,471 | 200 | 235 | 132 |
2013年9月 | 2,487 | 188 | 228 | 129 |
2012年9月 | 2,232 | 83 | 110 | 51 |
2011年9月 | 1,907 | 176 | 161 | 88 |
2010年9月 | 1,340 | 204 | 212 | 119 |
2009年9月 | 858 | 123 | 123 | 116 |
2008年9月 | 461 | 0 | 0 | -5 |
2007年9月 | 362 | 15 | 15 | -6 |
2006年9月 | 606 | -9 | -17 | 0 |
2005年9月 | 684 | 6 | 3 | -133 |
2005年3月 | 1,425 | 79 | 77 | 43 |
株式情報(8/5現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【連結子会社4社を含め東京・大阪・宮崎・宮城の4都市に7拠点を展開(24時間365日の監視センターは6拠点)】
グループは、同社の他、ローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイーオペ(株)、人材派遣・紹介サービスのリンクスタイル(株)、デバッグ業務等を手掛けるトラネル(株)、及び2015年4月に子会社化した脆弱性診断サービスのHASHコンサルティング(株)の5社。尚、2015年5月、(株)パワーブレインはリンクスタイル(株)に商号を変更した。
【沿革】
1997年11月、コンテンツプロバイダー(株)ホットポットとして創業し、無料レンタル掲示板事業やレンタルサーバー事業を開始した。1998年5月に株式会社に改組し、同年7月に携帯電話向けコンテンツ配信事業を開始。現在の収益基盤である投稿監視事業は自社コンテンツの品質管理の一環として行っていた監視業務が発展したもので、コンテンツプロバイダーに対してサイトの健全運営を望む通信キャリアの要請が需要拡大の背景にあった。2003年4月には掲示板投稿監視事業として営業を本格化し、2005年10月にはイー・ガーディアン(株)に商号を変更すると共にコンテンツ配信部門を会社分割して(株)エディア(東京都千代田区)に承継。サイト管理や運営支援のアウトソーシングサービスに経営資源を集中させる事で業容を拡大し、2010年12月に東証マザーズ市場に株式を上場した。 2012年6月にローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイーオペ(株)を子会社化。以後、グループとしての業容拡大を推進し、2014年9月に人材派遣・紹介サービスを手掛ける(株)パワーブレインを子会社化し(2015年5月にリンクスタイル(株)に社名変更)、2014年10月には社内で手掛けていたデバッグ業務の強化拡大を目的にトラネル(株)を設立。2015年4月には脆弱性診断サービスを提供するHASHコンサルティング(株)を子会社化した。 【事業区分と成長戦略】
事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセスの3業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。
ソーシャルサポート 14/9期売上高12億83百万円(売上構成比52%)
ソーシャルネットワークサービス(SNS)等のソーシャルメディアに対して、投稿監視やCS(ヘルプデスク等)に加え、多言語対応、運用、分析等の関連サービスを提供。人による目視監視(ヒューマンリソース)と、投稿監視システム「E-Trident」や自動識別型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」(14/9期第4四半期にリリース)といったITシステムの活用による高付加価値化と幅広いニーズの取り込みに力を入れている。
自動識別型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」
既にサービスを提供している投稿監視システム「E-Trident」は言語の監視を行うシステムだが、近年、動画や静止画のWebでの利用が一般化しており、これらの投稿に対する監視の必要性が高まっている(言い換えると、動画・画像解析によるフィルタリングシステムのニーズが増えている)。自動識別型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」は、こうしたニーズに応えたもので、東京大学原田研究室との共同開発の成果である。同研究室の画像認識技術、アノテーション技術(※)、及び追加学習機能と、国内NO.1の監視ノウハウを有する同社の大量かつ正確な教師データ(※)を融合する事で低コストかつ高品質なシステムを実現した。このシステムをベースにビッグデータ解析や児童ポルノ取り締まり等、サイト毎に最適なフィルタリングシステムを構築する事ができる(将来的には、ウェアラブルデバイスのツール、グーグルグラスのコンテンツ技術、更には自動運転の技術への応用も期待されている)。※アノテーション技術とは、データに注釈となる情報をメタデータとして追加する技術
※教師データとは、機械学習の仕組みを構築する際の初期学習のデータの事。(いずれも同社資料より) ゲームサポート 14/9期売上高8億87百万円(売上構成比36%)
ソーシャルゲームの運営に不可欠な監視、CS、アクティブサポートに加え、多言語対応等のサービスも提供している。新規顧客の開拓と既存顧客の深耕によるシェアアップと新たなサービスの育成で多様化するニーズを取り込んでいく考え。新規顧客の開拓と既存顧客の深耕で順調に売上を伸ばしており、新たなサービスの育成では、14年10月1日付けでデバッグ(プログラムの「バグ」と呼ばれる「誤り」を探し、取り除く事)業務を手掛ける戦略子会社トラネル(株)を設立した。脆弱性診断サービスを提供する連結子会社HASHコンサルティング(株)や資本業務提携先である日本マルチメディアサービス(株)との連携も含めて事業拡大を図る考え。
日本マルチメディアサービス(株)との資本業務提携
セガサミーホールディングス(株)傘下で10年を超える大規模コールセンター運営の実績を有する。Web投稿監視やCSサポート業務の経験と国内6拠点で24時間365日稼働する監視センターを有するイー・ガーディアン(株)と日本マルチメディアサービス(株)のインフラとノウハウを融合して相互活用する事で、新規顧客開拓や既存顧客での販路拡大に取り組むと共にコールセンター及び監視センターのコスト低減につなげていく。また、日本マルチメディアサービス(株)が強みを持つ遊戯機器系のデバッグ業務への展開も模索していく考え。この業務提携を促進するために、日本マルチメディアサービス(株)は、イー・ガーディアンの発行済普通株式の3%程度を市場買付等により取得した。
アド・プロセス 14/9期売上高2億99百万円(売上構成比12%)
広告審査業務、広告枠管理、入稿管理、及び広告ライティング等のサービスを手掛けており、広告入稿管理業務を円滑に実施するためのシステム開発とのセット販売等で競合他社との差別化に成功している。また、ネット広告市場の成長に合わせた新商材の開発や顧客へ常駐し業務を実施する常駐型案件の獲得にも注力している。
新規事業の育成
上記の他、新規事業として、人財分野とサイバーセキュリティ分野での事業育成に取り組んでいる。人財分野はリンクスタイル(株)が核となる。具体的には、リンクスタイル(株)がイー・ガーディアンに代わり人材を採用・育成し、グループ内企業に人財を供給すると共に、顧客先常駐(派遣型)ニーズに応えていく。いっぽう、サイバーセキュリティ分野は、2015年4月に子会社化したHASHコンサルティング(株)が核になる。監視、サポート、デバッグといった既存サービスとHASHコンサルティング(株)が提供する脆弱性診断サービスをセットで提供する事でサイトの安心安全を総合的に提供すると共にグループシナジーを追及していく。
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2015年9月期第3四半期決算 |
前年同期比18.9%の増収、同63.8%の経常増益
売上高は前期比18.9%増の21億79百万円。コンシューマー向けゲーム大手の新規案件獲得やソーシャルゲーム関連の増加に加え、子会社を設立して取り組みを本格化したデバッグ業務の寄与もあり、ゲームサポートが同20.2%増と増収をけん引。国内インターネット広告市場の拡大を追い風にアド・プロセスが同39.9%増と高い伸びを示した他、人工知能型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」の対応分野を増やしサービスの高付加価値を図ったソーシャルサポートも同3.9%増と堅調に推移。この他、人材派遣業務にかかる売上91百万円を計上した。利益面では、人工知能型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」の機能強化(対応分野拡大)に加え、リンクスタイル(株)の体制整備やデバッグ業務等を手掛けるトラネル(株)の立ち上げ等もあり、営業費用(売上原価+販管費)が19億34百万円と同14.2%増加したものの、売上の増加と監視体制の再編効果等による売上総利益率の改善(28.3%→29.9%)で吸収。営業利益は2億45百万円と同75.5%増加した。 ソーシャルサポート
近年急成長しているソーシャルメディアにおいて、監視・CSだけではなく運用や分析といった多種多様な新サービスの展開や大型案件の獲得に注力した。また、人工知能型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」の対応分野を増やし、ECモール事業者、ECサイト向けサービス事業者及びCtoCサービス事業者向けの「模倣品画像検知システム」の開発や人工知能がお勧めアイテムを学習するレコメンド機能の追加により、サービスの高付加価値化を図り、既存顧客の深耕、新規開拓、競合からのスイッチングに取り組んでいる。
ゲームサポート
運用実績とノウハウの蓄積による既存顧客との関係強化に加え、コンシューマー向けゲームを作成している大手企業からの新規案件獲得に注力した。また、市場の拡大が続いているソーシャルゲームへの展開に力を入れた他、多様化する顧客ニーズやデバッグ需要に対応するべく、会社分割によりトラネル(株)を新設しデバッグ業務を集約した。更なるノウハウの蓄積によりサービスの付加価値を高め、事業拡大及び収益性向上につなげていく考え。
アド・プロセス
既存の広告審査業務だけでなく、広告枠管理から入稿管理、広告ライティング等の提供サービスの拡大に注力すると共に、広告入稿管理業務を円滑に実施するための独自システム開発をセットで販売する事で競合他社との差別化を図っている。また、顧客へ常駐し業務を実施する常駐型案件の受注体制の整備と拡大にも取り組んでいる。
その他
人材派遣業務やサイバーセキュリティ対策関連業務の収益を計上するべく新たにセグメントされた。人材派遣業務はリンクスタイル(株)の事業領域であり(2014年9月に完全子会社化した(株)パワーブレインが2015年5月に社名変更)、サイバーセキュリティ対策関連業務は2015年4月に完全子会社化した「脆弱性診断サービス」を主業務とするHASHコンサルティング(株)の事業領域である。人材派遣業務は、グループ全体の人材を採用・育成し、顧客先常駐(派遣型)ニーズに応える事で規模拡大を図っていく考え。一方、サイバーセキュリティ対策関連業務は、サイバーセキュリティ対策へのニーズが本格化する今日、同社代表者によるサイバーセキュリティに関する啓蒙及び出版活動を通じて着実に受注を増やしている。 人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」にレコメンドフィルタ機能を追加
同社は人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の機能強化に取り組んでおり、この一環として、4月にレコメンドフィルタ機能を追加した。レコメンドフィルタ機能は、フリマアプリ(フリーマーケット形式で商品の販売・購入ができるアプリ)等のC to Cサービス向けに提供されるもので、不適切画像の識別に用いる画像識別エンジンと教師データとなる画像の学習プロセスを応用した。この機能は、フリマアプリ等のCtoCサービスにおいて、サービス内で購入率の高い商品・PV数が多い商品など人気商品の画像データを基に、サービス内にストックされた画像データから利用者の好みに合致する画像データを抽出する。これにより、1点物が多くテキストキーワードではタイムリーなピックアップが難しいフリマアプリ等のサービスにおいても、レコメンド対象アイテムをピックアップする事が可能になる。また、自動判定により速やかに結果が算出されるため、新規商品を出品と同時に判定する事も可能。このため、新規ユーザーの出品アイテムも注目されやすく、サイト利用者の満足度とサイト内売上の向上につなげる事ができる。 尚、2015年4月1日付けで、サイバーセキュリティを専門とするHASHコンサルティング(株)の全発行済株式を取得した。監視、サポート、デバッグといった既存サービスとHASHコンサルティング(株)が提供する脆弱性診断サービスをセットで提供する事で、クライアントが抱える多くの課題解決に貢献していきたい考え。 HASHコンサルティング(株)
代表者 :徳丸 浩
本店所在地 :東京都港区麻布十番 1丁目2番3 設立 :2008年4月 資本金 :5百万円 代表者の徳丸 浩氏は1985年に京セラ(株)に入社し、ソフトウェアの開発、企画に従事。2008年に独立した。現在、京セラコミュニケーションシステム(株)技術顧問や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)非常勤研究員も務める。
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2015年9月期業績予想 |
第3四半期決算と足元の好調を踏まえて通期業績予想を上方修正
同社は上方修正の理由として、①新規受注の増加によるアド・プロセスの好調、②宮崎センターをはじめとする各センターの稼動率向上による原価率の良化の継続、及び③2014年10月に新設したトラネル(株)及び2015年4月に連結子会社したHASHコンサルティング(株)の想定以上の連結決算への寄与、の3点を挙げている。営業利益が10/9期の最高益を更新する見込みで、売上高が8期連続、経常利益が3期連続の過去最高更新となる。 1株を3株に分割
投資単位当たりの金額を引き下げて株式の流動性の向上及び投資家層の拡大を図るべく、9月末を基準日として(効力発生日:10月1日)、1株を3株に分割する予定である。一方、配当は未定だが、同社は、利益配分について、「企業価値の継続的な拡大を念頭に株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績と市場動向に応じて、継続的かつ安定的に実施していく」としており、財政状態及び経営成績、設備投資計画等を勘案しつつ前向きに検討していくものと思われる(1株当たり配当金の実績は、13/9期:10円、14/9期:12円)。 |
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