ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.39

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
江草 康二 社長兼CEO
江草 康二 社長兼CEO

【ブリッジレポート vol.39】2015年6月期業績レポート
取材概要「広告主が「売り」への直接的効果をプロモーションに対して求める傾向が年々強まっており、これを反映して非マス広告費は拡大傾向が続いている・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年9月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
社長兼CEO
江草 康二
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年6月 13,442 1,335 1,349 818
2014年6月 12,188 1,026 1,035 638
2013年6月 12,346 850 864 428
2012年6月 13,935 973 987 508
2011年6月 10,570 378 377 131
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
株式情報(8/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
699円 22,408,540株 15,664百万円 13.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.75円 3.0% 41.54円 16.8倍 281.37円 2.5倍
※株価は8/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
テー・オー・ダブリューの2015年6月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベントプロデュース業界において、独立系ではNO.1の総合プロモーションカンパニー。「世界一の“感動体験”をクリエイトし、笑顔を増やす」を経営理念とし、イベントをはじめとするデジタルプロモーションに加え、Webサイト、ノベルティグッズ、印刷ツール、キャンペーン事務局といった各種セールスプロモーションメニューもラインナップ。マスメディア以外は全て対応可能なワンストップ体制とプロモーション提案力を強みとする。同業他社が約8000社あり、その大半が中小・零細企業といわれる中、同社は頭一つ抜け出た存在だ。グループは同社の他、イベントの「制作」・「運営」を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブとイベントの「演出」及び「映像制作」を手掛ける(株)ソイルの連結子会社2社。社名のテー・オー・ダブリューは、「Top Of The World」の頭文字に由来する。
 
【事業の概要】
15/6期の売上構成比は、イベント30.9%、セールスプロモーション59.2%、その他(企画売上高)0.7%、子会社売上高9.3%。
イベントでは、企画からイベント本番まで(「企画」、「制作」、「運営」、「演出」)を受注する。実際の業務は、照明、音響、映像、舞台制作、モデル・コンパニオン・警備員の派遣、整理、撤収、清掃など種々雑多。専門業者である外注先(連結子会社2社を含む)に業務毎に発注し、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースする事で主催者の意図を来場者に伝える。一方、セールスプロモーションでは、「企画」、「デザイン」、「制作」を主な業務とし、印刷、プレミアム、グラフィックデザイン、事務局運営、OOH(Out Of Home:交通広告や屋外広告等)、Web制作等を手掛ける。
もっとも、イベントとセールスプロモーションは独立したものではなく、そのシナジーを追求する事がポイントで、広告業界で主流となりつつある「インタラクティブ・プロモーション(IP)」のクオリティを左右する需要な要素となっている。尚、「インタラクティブ・プロモーション」とは、デジタル技術とアイデアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共有させるプロモーションである。
 
 
業種別では(企画売上高を除く個別ベース、15/6期)、情報・通信の構成比が24.2%と最も高く、次いで自動車17.4%、食品・飲料・嗜好品17.2%、化粧品・トイレタリー・日用品10.0%、官公庁・団体6.5%、精密機器その他製造6.2%、流通・小売5.8%、金融3.8%、その他8.9%。
 
 
尚、売上に季節性がある事も特徴で、売上が第2四半期(10-12月)と第4四半期(4-6月)に集中する傾向がある(夏のボーナス商戦に向けての販促キャンペーン等は10月~12月、4月~6月に実施される事が多い)。近年、企業の販売促進を目的としたキャンペーンイベントやそれに付随する印刷物・販促グッズの制作、新商品の発表会等の比率が高くなっている。
 
【強み】
国内外の大手広告代理店10社以上と取引、大型会場でのイベントに1社単独での対応が可能
日本では大半のイベントが、イベント主催者(クライアント)からの発注を受けた大手広告代理店によって開催されている。このため、同社を含めた実際にイベントの企画・制作・運営を行う会社は、イベント主催者から直接受注するのではなく、大手広告代理店を介して受注するケースが多い。ただ、競合他社が限られた大手広告代理店との取引にとどまっているのに対して、同社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引しており、顧客基盤で競合他社を圧倒している。加えて、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイト等、大型会場でのイベントに1社単独で対応できる事も大きなアドバンテージである。
 
ワンストップソリューションを提供する総合プロモーションカンパニー
「企業のコミュニケーションの中でのプロモーション展開を考える際に、様々な知識と経験を持ったプロモーションの専門家によるトータルプランニングこそが、プロモーション効果を高めるために最も重要である」との考えの下、イベント制作における実績を生かしたライブコミュニケーションに加えて、プレミアム、ツール、WEb等のセールスプロモーションコンテンツの専門部署を発足させ、プロデューサー・プランナー・ディレクターが一元的にクライアントのプロモーションニーズに応える事ができる。言い換えると、「プロモーション・パートナー」という新しい業態として、ワンストップソリューションの提供が可能な総合プロモーションカンパニーとして機能している。
 
 
 
1976年7月の会社設立以来、リーダーとして業界をけん引
同社は、1976年7月に有限会社テー・オー・ダブリューとして設立され、以来、一貫してイベントに関する企画・制作・運営・演出・管理等を手掛けてきた。イベントが広告ツールとして社会的に認知され始めたのは、大阪万博以降であると言われており、それから30年間、同社は常に業界のリーダーシップを取り続けてきた。

実際、同社がこれまで手掛けてきたイベントには、「ウォークマン(第1号モデル)発売キャンペーン」、「東京湾横断道路(アクアライン)開通記念式典」、「FIFA 2002ワールドカップ抽選会」等、話題性に富んだ案件が多く、「そういえば、あの時こんなことがあったっけ…」というふうに、今でも多くの方の記憶に残っているものと思われる。

同社のこうした取組みは、大手広告代理店をはじめとする多くの優良得意先との信頼関係を年を重ねる毎に堅固なものとなったが、更なる飛躍を遂げるべく、昭和から平成への新たな時代の到来を契機に、1989年3月、有限会社から株式会社へと生まれ変わり、現在に至っている。
 
インタラクティブプロモーション(IP)に注力
創業以来、多くのリアルイベントで実績を残してきた同社だが、2009年~2010年にデジタル分野に進出(11/6期にデジタルプロモーション室を開設)。各種キャンペーンサイト等のWebサイト制作、Facebook等のソーシャルメディアの運用支援、更にはアプリ開発等、制作で実績を残した。

しかし、デジタル(テクノロジー)は進化と共にコミュニケーションとの融合が進み、コミュニケーションはテクノロジーとの融合で「一方的に」メッセージを伝えるものから、「インタラクティブ」な人を動かすものに進化していった(そして今もなお進化を続けている)。このため、同社は、2014年7月に「デジタルプロモーション室」を「インタラクティブプロモーション室」に名称変更し、制作面でのデジタルの活用からリアルイベントでのデジタルの活用に軸足を移し、デジタルとリアルイベントを統合(インテグレート)した新しいプロモーションプロデュースを本格化した。

デジタルに留まっていると広がりが限定的になるため(感動体験が拡散しない)、リアルの領域を絡ませないと広告主の期待に応える事ができない。リアルイベントを中心としたプロモーションプロデュースが生業の同社にとって、インタラクティブなコミュニケーションとは“体験装置”と“導線設計”によって成り立つものであり、「テクノロジーを利用したリアルコミュニケーションを深く突き詰め、デジタルメディアを活用して情報拡散させる事で人を動かす事ができる」と言う。

デジタルとリアルを統合させた深い体験や感動を空間軸や時間軸を超えて人々に伝える取り組みが成果をあげ、15/6期は売上・利益を大きく伸ばす事ができた。16/6期はやや保守的な予想だが、売上・利益共に過去最高の更新が見込まれる。
 
 
2015年6月期決算
 
 
大手代理店グループが伸長、2期連続増収・3期連続増益
売上高は前期比10.3%増の134億42百万円。重要顧客である大手代理店グループにフォーカスした営業活動が成果を上げ、自動車(前期比27.0%増)や食品・飲料(嗜好品と併せて同29.4%増)といった業種で新製品発表会等の案件の取込みが進んだ。会社別では、インタラクティブ・プロモーション(以下、IP)力を武器に受注を伸ばした(株)テー・オー・ダブリュー個別の売上高が121億96百万円と同4.8%増加した他、イベントの「制作」・「運営」を手掛ける子会社(株)ティー・ツー・クリエイティブ(T2C)の外部売上が前期の約5億円(前々期約4億円)から約11億円に拡大。T2Cはかねてから外部売上の拡大に取り組んでおり、当期は(株)テー・オー・ダブリューからのディレクター3名・兼務プランナー6名の受け入れに加え、新卒採用と中途で計6名増員した。

利益面では、「利益率に拘りながら売上伸長」プランの成果があり、連結ベースの売上総利益率が15.4%と1ポイント改善した。販管費を小幅な伸びに抑えて営業利益が同30.0%増の13億35百万円と大きく伸びた。

期末配当は、1株当たり3円50銭増配の17円50銭を予定(上期末配当と合わせて年5円増配の33円)。
 
 
 
「食品・飲料・嗜好品」(前期比29.4%増、売上高構成比17.2%)、「化粧品・トイレタリー・日用品」(同24.8%増、同10.0%)、「自動車」(同27.0%増、同17.4%)が前期からの好調を持続。この他、NHKエンタープライズの「宇宙博」関連の受注でその他(構成比8.9%)が同35.6%増加した他、金融(同3.8%)も同5.3%増加した。
一方、精密機器その他製造(同17.9%減、同6.2%)、官公庁・団体(同36.1%減、同6.5%)、流通・小売(同27.3%減、同5.8%)が減少した。
 
 
 
 
期末総資産は前期末に比べて11億63百万円増の101億43百万円。借方では、潤沢なキャッシュ・フローを反映して現預金が増加した他、売上の増加で売上債権も増加。一方、ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額である未収入金が減少した。貸方では、仕入債務や純資産(好業績に加え、ストックオプションの行使もあった)が増加した。
流動比率257.4%(前期末259.5%)、固定比率20.8%(同21.8%)、自己資本比率62.2%(同62.7%)。投下資本利益率(ROIC)も前期の9.3%から11.8%に上昇した。
 
 
税引前利益の増加に加え、未収入金の減少や仕入債務の増加等による資金効率の改善で前期は86百万円のマイナスだった営業CFが12億87百万円に転換。投資CFは有形固定資産の増加等で小幅マイナスとなったものの(前期は敷金・保証金の回収や保険の解約による収入があった)、12億20百万円のフリーCFを確保した。配当金の支払いで財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物期末残高は32億27百万円と前期末に比べて10億31百万円増加した。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE =売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
15/6期のROEは13.72%と14/6期に比べて2.01ポイント改善した。デジタルとリアルが絡んだ付加価値の高い統合プロモーション案件が増加する中、「利益率に拘りながら売上伸長」プランの成果が顕在化した事で売上高当期純利益率が6.09%と0.85ポイント改善した事が要因だ。米系大手総合情報サービス会社によると、東証1部上場企業の14年度(15年3月末)のROEは8.15%(13年度の8.56%から低下)。同社はレバレッジに依存する事無く、良好な財務内容を維持しつつROEを改善させている。
 
 
2016年6月期業績予想
 
 
前期比6.3%の増収、同5.4%の経常増益予想。売上高、利益共に過去最高を見込む
異業種とのコラボや幹部人材を含めた人材の強化・拡充によるIP力の一段の強化で成長が続く非マス広告費(TV・ラジオ・新聞・雑誌以外)分野の需要取り込みを図ると共に、バイリンガル人材を持つ子会社(株)ソイルを吸収合併してインバウンド・アウトバウンド両面からの制作力を強化した(株)ティー・ツー・クリエイティブの外部売上を伸ばす考え。
 
 
期初の受注残高は前年同期比8.2%増の54億74百万円。通期予想売上高128億75百万円を達成するために必要な期中受注・期中制作高は前期比3.3%増の74億01百万円であり、企画・提案中の案件及び提案案件のうち受注確度の高い案件(50%以上の確度)の合計額(46億15百万円)が既に62.4%に達している。
 
 
1株当たり配当金は上期末10.25円、期末10.50円の年20.75円
同社は、利益配分の指標として、連結ベースの配当性向及び株価配当利回りの二つを基本としており、具体的には、16/6期の予想当期純利益(9億30百万円)に対して、配当性向40%で算出された一株当たりの予想配当金(16.61円)と、同決算発表日の前日(2015年8月6日)の終値(654円)に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された一株当たりの配当金(29.43円)のいずれか高い方を最低配当金として配当金を決定する事としているが、内部留保確保の基本方針に基づき、連結配当性向換算で50%を上限とし配当額を決定している。
 
(2)16/6期の方針
事業環境
(株)電通「日本の広告費」によると(2015年2月発表)、2014年(1月~12月)の国内総広告費は前年比2.9%増の6兆1,522億円と3年連続で前年実績を上回った。特に非マス広告費(TV・ラジオ・新聞・雑誌以外)の伸びが大きいようで、「広告と経済」(2015年8月1日発行)によると、広告における非マス広告(大手代理店3社合計)のシェアの上昇が顕著であると言う。実際、スマートフォンで情報を受発信する人が増えており、博報堂DYメディアパートナーズ゙・メディア環境研究所調査によると、日本人一人当たりのメディア接触度は、10年前との比較で(2006年と2015年の比較)、4マスメディアが267分から215分 へ50分減少したのに対して、スマートフォン・PC・タブレットは67分から169分へ拡大している。
 
 
広告主が強く求めているプロモーション効果(TOWのプロモーション設計)
非マス広告に注目が集まる広告業界にあって、今、広告主が強く求めているプロモーション効果は、実施の「売り」につながる「共感とシェア」である。この効果を得るためには、デジタルとリアルを統合させた深い感動体験をデジタルメディアの活用により情報拡散させる(バズらせる)必要があり、これを可能にするのがインタラクティブプロモーション(IP)である。

同社は受注競争力強化のためのポイントとて、①“IP力の標準装備化の加速”とさらなる“異業種コラボ”の推進、②IP含む“統合プロモーション力”強化、及び③“グループ力”の更なる強化という3つの付加価値を上げている。
 
競争力強化のための“3つの付加価値”
① “IP力の標準装備化の加速”とさらなる“異業種コラボ”の推進
デジタルマーケティングを総合的にプロデュースするCreative Studio(株)ワン・トゥー・テン・デザイン(京都市下京区)との業務提携(2015年6月終了)に続き、バズるコンテンツ作成を得意とする(株)カヤック(神奈川県鎌倉市)との業務提携によりIPコラボ第2弾が2015年7月にスタートした。(株)カヤックは、インターネット広告、スマートフォンアプリ、コミュニティサイト等の規格・開発・運用等を手掛けており、今回の提携の下で始動したインタラクティブ・プロモーション プロジェクト「TOWAC(トワック)」では、新たに発足した「チーム・トワック」が、“バズるイベント”を仕掛けていく(ポップアップストアや試乗会等でのバズるイベントの提供)。
尚、IPコラボ第1弾の(株)ワン・トゥー・テン・デザイントンとの提携では、リアル×デジタルのハイブリッドユニット「1→TOW(ワン・トゥー・ダブリュー)」を結成し、着実に実績を積み上げている。

上記に加え、日本屈指のクリエイティブ・ディレクター4名が集うクリエイティブ・ラボ(株)パーティー(東京都渋谷区)の指定ネットワーク会社との関係を強化した他、インタラクティブプロモーション室の人員を10名から18名に増員し戦力強化を図った。(株)パーティーは、インターネットの進化による社会の「ネットワーク化」と「グローバル化」に対応したビジュアル、コミュニケーション、プロダクト、サービス、イベント、コンテンツ、空間等、デジタル技術を活用したデザイン開発を手掛けるクリエイティブ・ラボ。また、インタラクティブプロモーション室の戦力強化では、本部員の異動に加え、外部クリエーターも採用。本部から切り離し、独立したルームも開設した。
 
② IP含む“統合プロモーション力”強化
デジタルを起点としたコミュニケーション構築に強みを持ち、カンヌ国際広告賞等、数々の受賞歴を持つクリエイティブ・ディレクターの阿部晶人氏が、2015年7月、同社初のクリエイティブ・ディレクター(インタラクティブプロモーション室)に就任。

阿部晶人氏は、デジタルを起点としたコミュニケーション構築を得意とし、数々のキャンペーンを成功に導いてきた。TIA金賞、カンヌ銅賞など多数の受賞実績を有し、クリオ賞日本代表審査員、OneShow日本代表審査員等を歴任。今後、阿部晶人氏を中心にクリエイティブ力を強化していく(リアル×デジタル×クリエイティブの時代への対応)。著書に「WEBキャンペーンのしかけ方。」(共著)がある。
 
③ “グループ力”の更なる強化
引き続き(株)ティー・ツー・クリエイティブ(T2C)の外部売上げの拡大に取り組む。この一環として、増加しつつあるインバウンド・アウトバンド需要に対する制作対応力を強化するべく、バイリンガル人材を持つ子会社(株)ソイルをT2Cが吸収合併した。また、代理店の内製化に対応して、T2CとTOWの役割を明確化した。

また、“グループ力”の更なる強化の一環として、TOWグループの全社員を対象に、“マイレージ型ストックオプション”を導入した。同オプションは、四半期毎の予算達成に対し権利を付与する。
 
(3)監査等委員会設置会社へ移行
ガバナンスを強化するべく、2015年9月25日開催予定の第39 期定時株主総会での承認を条件として、監査等委員会設置会社へ移行する。経営の健全性、業務執行の適法性、妥当性の観点からの監査、また業務執行取締役への監督によりコーポレートガバナンスの強化と透明性の高い経営の実現を目指す考え。社外取締役 監査等委員に、倉見晴夫氏(委員長)、萩原新太郎氏、吉田茂生氏が就任する予定で、社外取締役に(株)カヤック社長の柳澤大輔氏を迎える。
 
 
今後の注目点
広告主が「売り」への直接的効果をプロモーションに対して求める傾向が年々強まっており、これを反映して非マス広告費は拡大傾向が続いている。非マス広告の中でも、リアルプロモーションとネット上での情報拡散施策を組み合わせたインタラクティブ・プロモーション(IP)への広告主の期待は特に大きく、同社はその期待に応え、実績を積み上げる事で好業績につなげている。
形態別の引合案件数と金額をみると、指定案件は件数・金額共に増加している事に加え、単価の上昇も顕著である事から、同社のインタラクティブ・プロモーション力に対する大手広告代理店の認知や評価が高まっているものと思われる。2014年(1月~12月)の国内総広告費が3年連続で前年実績を上回る等、事業環境は良好だが、同社においては、好業績が事業環境に依存しているだけではない事に注目したい。