ブリッジレポート
(4317) 株式会社レイ

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ブリッジレポート:(4317)レイ vol.32

(4317:JASDAQ) レイ 企業HP
分部 至郎 社長
分部 至郎 社長

【ブリッジレポート vol.32】2016年2月期第1四半期業績レポート
取材概要「14/2期以降のLEDディスプレイ等への投資と、コンサートやテーマパーク等、エンターテイメント系への営業強化の成果が現れつつあるようだ。DVDや・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年8月11日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社レイ
社長
分部 至郎
所在地
東京都港区六本木 6-15-21
決算期
2月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年2月 11,471 501 449 304
2014年2月 10,366 696 645 338
2013年2月 10,205 666 612 447
2012年2月 9,525 899 841 368
2011年2月 8,430 570 509 295
2010年2月 7,439 207 147 124
2009年2月 8,720 334 297 106
2008年2月 9,576 -628 -497 -635
2007年2月 9,861 31 -35 -28
2006年2月 9,533 782 773 416
2005年2月 8,237 386 380 226
2004年2月 7,649 434 429 207
2003年2月 6,761 142 126 34
2002年2月 8,184 800 763 429
2001年2月 7,030 634 599 266
株式情報(7/23現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
216円 12,894,014株 2,785百万円 9.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
6.00円 2.8% 23.47円 9.2倍 266.39円 0.8倍
※株価は7/23終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
レイの2016年2月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
セールスプロモーション(SP)やテレビコマーシャル(TVCM)等の、企画、制作、プロモーション、更にはイベントまでをカバー。ポストプロダクション(編集スタジオ)機能や映像機器を保有し、実制作部隊を備える事で、顧客ニーズに合った総合的な提案やサービスができる事が強み。
 
【経営理念】
・会社はステージ、社員をアクター、経営者を演出家、そしてお客様と株主の皆様を観客と、置き換えることができると考えております。
・最先端のステージ(会社)で、アクター(社員)、演出家(経営者)全員が、それぞれプロ意識に徹し、十分にその実力を発揮し、多くの観客(お客様と株主の皆様)から拍手をいただくことは大変素晴らしく、当社グループの理想とするところです。
・当社グループは、その理想の下、常に会社組織、投資機材の一層の拡充、最先端化と全社員の絶え間ない質的向上を経営の基本方針としております。
 
同社は、小さなベンチャー企業から発展し、広告、プロモーションや番組等の映像制作ビジネスを立ち上げてきた。その発展を支えてきたのは上記の経営理念である。この経営理念の下、強みであるデジタル映像制作加工技術及びデジタル映像演出技術を活かせる市場機会への俊敏な取り組み、そして市場より得られたリターンをデジタル技術に再投資する事で能力を高め、その高められた能力を基に新たな市場機会に挑戦する、と言う不断のイノベーションを経営戦略として推進している。
 
【沿革】
学生サークル「早稲田大学レーザーディスプレイ研究会」を母体とし、1981年6月に(株)スタジオ・レイとして法人化、文系出身者が多い業界において数少ないコンピュータを扱える技術者集団として、レーザーイベント(レーザー光はコンピュータ操作で行う)の演出等を数多く手掛けた。

90年8月、高度なコンピュータ操作の延長線上にあるデジタルの映像加工技術と映像演出技術を活かし、三菱商事(株)と合弁会社を設立してデジタル映像事業に進出し、91年10月に現商号に変更。その後、映像機材レンタル(92年10月)、TVCMの映像制作(96年2月)へと事業領域を広げ、2000年5月には(株)ウイーズ・ブレーンを子会社化して企画制作領域へ展開。01年10月に社団法人日本証券業協会に店頭登録した(JASDAQ上場)。

06年4月に映像企画制作事業の拡大を目的に(株)ティーシー・マックスを子会社化。08年3月には経営資源の選択と集中を図るべくコンテンツ事業の抜本的見直しを行い、事業セグメントを広告ソリューション事業とテクニカルソリューション事業の2本に集約した。
14年3月には(株)ウイーズ・ブレーンなど子会社2社を吸収合併する一方、映像企画制作事業の拡大を図るべく、(株)ニッポンムービー、及びその子会社(株)ニッポンムービー大阪他3社を子会社化。15年3月には効率的な運営体制を構築し、より効率的かつ合理的な経営を行うべく、(株)ニッポンムービーを(株)クレイに商号変更し、(株)ティーシー・マックス及び(株)ニッポンムービー大阪他2社を吸収合併した。
 
 
【事業セグメント】
事業は、SP(セールスプロモーション)やTVCM(テレビコマーシャル)等の企画制作を行う広告ソリューション事業と保有する各種映像インフラを活用した実制作やデジタル映像機材のレンタルを行うテクニカルソリューション事業に分かれる。同社グループは、企画制作領域と実制作領域をカバーする事で一貫したサービスを提供できる事が強みだ。15/2期の売上構成比は、それぞれ51.2%、48.8%。連結調整前利益の構成比は、それぞれ31.5%、68.5%。
 
広告ソリューション事業
企業のSP、キャンペーン、イベント、展示会、ショールーム等の企画制作・運営を手掛けるSP・イベント部門とTVCMの企画制作を行うTVCM部門に分かれ、(株)レイと(株)クレイが事業を手掛けている。
尚、広告の制作は、クライアント及び広告代理店が方向性や戦略を決定し、戦略に基づいて企画・制作会社が詳細な実施計画を立案し、実制作作業を各種業者に発注する。
 
 
テクニカルソリューション事業
(株)レイの事業領域である。広告ソリューション事業が提案する企画制作を実現する事業だが、現在、グループ外への売上が全体の85%を占め、広告ソリューション事業向けの社内売上は15%にとどまる。イベント、展示会、コンサート、学会、会議等で使われる映像システム、特殊演出システム、ビジネスプレゼンテーション機器等のレンタル・オペレーションサービスを行う映像機器レンタル部門と、デジタル映像を中心に各種映像(テレビコマーシャル・番組等)の編集及びDVD・ブルーレイディスク・CG制作等を行うポストプロダクション部門に分かれ。

広告ソリューション事業と同じく請負事業で、主に制作会社から受注しているが、設備の償却負担がコストに占める割合が大きく、各種機材の稼働率が利益面での課題となる。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
東証1部上場企業の14年度(15年3月末)のROEは8.15%と13年度の8.56%から低下したが(米系大手総合情報サービス会社)。同社はセールスプロモーションやテレビコマーシャル等の企画制作と保有する各種映像インフラを活用し実制作をワンパッケージで提供する事で市場平均を上回るROEを実現している。
新社屋(名称:Rayビル)を建設したため(土地も取得)、総資産回転率が低下し、14/2期以降のROEの低下につながっているが、2013年1月に編集スタジオの五反田・天王洲事業所を閉鎖し新社屋に集約したため(スタジオ数自体は増加)、中長期的には、スタジオ数の増加と集約による業容拡大と効率化がROEの向上に寄与すると思われる。

既に説明した通り、得られたリターンをデジタル技術に再投資する事で能力を高め、その高められた能力を基に新たな市場機会に挑戦する、と言う不断のイノベーションが同社の経営戦略である。この経営戦略の下、業容の拡大と共に中長期的に継続して安定した利益確保ができる企業を目指し、人材・機材への投資を継続的に行っていく考え。
 
 
成長戦略
 
【新経営体制と組織】
16/2期の期初には経営陣の世代交代を進めると共にグループを再編した。今後は、社内からの登用を中心としつつも、社外からの登用にも積極的にチャレンジし、次の30年に向けた新しい企業の創造に取り組んでいく。
 
経営体制
代表取締役社長  分部至郎
取締役   執行役員   イベント事業本部担当  岩田政治
取締役 執行役員 管理本部担当  牧田渉
  執行役員 クリエイティブ・デザイン事業本部担当  三上司
(株)クレイ代表取締役社長
  執行役員 コミュニケーションデザイン事業本部担当  天野純
  執行役員 映像技術事業本部担当  大谷朋之
 
組織
効率的な運営体制を構築し、より効率的かつ合理的な経営を行うべく、15年3月、(株)ニッポンムービーを(株)クレイに商号変更し、(株)クレイが(株)ティーシー・マックス及び(株)ニッポンムービー大阪他2社を吸収合併した。
 
 
【今後の方針 -第二の創業本格始動-】
キーワード 100億をベースにさらなる躍進
第二の創業と位置付け、①主要取引先のフィールド深耕と領域の拡大、②エンターテイメント及びMICE(※)関連の領域拡大、③業界再編を起点とする顧客フィールドの拡大(M&Aの検討、活用)に取り組んでいる。
具体的には、大手広告代理店の深耕とサービス領域の拡大を図ると共に、エンターテイメント系を中心に一般企業との直接取引や学会関連ビジネスを拡大させていく。現在、大手広告代理店からの直接・間接(制作会社経由)の受注が全体の50%を占める等、広告代理店向けビジネスへの依存度が高い。その意味で、これまで同社は広告代理店に育てられてきたと言えるが、今後は、大手広告代理店との取引を拡大させつつ、取引先の拡大も図っていく。
 
※ MICE
企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨(Incentive)、国際機関・団体、学会が行う国際会議(Convention)、及び展示会・見本市、イベント( Exhibition/Event)の頭文字をとったもの。多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称。
 
 
2016年2月期第1四半期決算
 
 
前年同期比6.6%の減収、同37.6%の経常減益
広告業界は緩やかな回復基調が続いているが、価格競争が激しさを増している。こうした中、同社の16/2期第1四半期は、LEDディスプレイ(発光ダイオード表示装置)等の機材投資の効果もあり、映像機器レンタル部門でコンサート案件等の取り込みが進んだものの、他の部門で、一部案件の売上計上の後ずれや消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動、更には価格競争激化の影響もあり、売上高が26億85百万円と前年同期比6.6%減少した。

利益面では、売上減少の影響や価格競争の激化による収益性の低下に加え、SP・イベント部門における採用の遅れによる外注コストの増加もあり、営業利益率が5.5%と2.2ポイント低下した。持分法投資損失や出資金運用損の増加で営業外損益も悪化し、経常利益は1億36百万円と同37.6%減少した。ただ、税効果会計の影響(連結子会社の繰延税金資産計上に伴うもの)で当期純利益は1億44百万円と同31.5%増加した。
 
 
広告ソリューション事業
売上高12億72百万円(前年同期比8.2%減)、営業利益53百万円(同29.5%減)。当事業はSP(セールスプロモーション)・イベント部門とTVCM部門に分かれる。SP・イベント部門は、第1四半期に売上を見込んでいた案件の計上が第2四半期以降にずれ込んだ事等で売上が下振れする中、採用の遅れで外注コストが期初の想定以上に嵩んだ。一方、TVCM部門は価格競争の激化で売上が減少したものの、前期に実施した事業所統合等の効果による経費の減少で前年同期並みの利益を確保した。
 
テクニカルソリューション事業
売上高14億13百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益は2億62百万円(同8.7%減)。当事業は映像機器レンタル部門とポストプロダクション部門に分かれる。映像機器レンタル部門は、レンタルやそのオペレーションの需要が高まっているLEDディスプレイ等への機材投資の効果もあり、コンサート案件等の取り込みが進んだ。一方、ポストプロダクション部門は、編集スタジオの稼働は堅調だったが、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動が大きかった事に加え、価格競争も厳しかった。
 
(3)財政状態
第1四半期末の総資産は前期末とほぼ同水準(86百万円減)の87億03百万円。流動比率126.6%(前期末125.4%)、固定比率102.8%(同108.5%)、自己資本比率39.8%(同38.7%)。
 
 
 
2016年2月期業績予想
 
 
業績予想の変更はなく、通期で前期比4.6%の増収、同0.2%の経常増益予想
第2四半期以降は、景気の緩やかな回復が続く中、駆け込み需要の影響が一巡し、4部門で受注・売上の堅調な推移が見込まれる。ただ、広告主各社の広告支出への慎重な姿勢の継続、発注コストの上昇、競争激化、価格値下げ圧力等で利益面では厳しい環境が続く見込み。事業所移転に伴う一時的な費用がなくなるものの、スタジオ機材、LED、プロジェクター等を中心にした設備投資の増加(15/2期:6億30百万円→16/2期:7億65百万円)で減価償却費も増加する。

配当は、1株当たり1円増配の期末6円を予定(配当性向は前期の21.0%から25.6%に上昇する見込み)。
 
 
今後の注目点
14/2期以降のLEDディスプレイ等への投資と、コンサートやテーマパーク等、エンターテイメント系への営業強化の成果が現れつつあるようだ。DVDやブルーレイの制作で取引がある映像コンテンツ会社でもLEDディスプレイ等の利用機会が多いため営業を強化している。また、同じく営業を強化している学会向けでは、事務局業務の補助をきっかけに、限界利益率の高い映像機器のレンタルやオペレーション等の需要を取り込んでいく考え。共に今後の成果に期待したい。