ブリッジレポート:(4290)プレステージ・インターナショナル vol.17
(4290:東証1部) プレステージ・インターナショナル |
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企業名 |
株式会社プレステージ・インターナショナル |
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社長 |
玉上 進一 |
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所在地 |
東京都千代田区麹町1-4 |
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決算期 |
3月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2015年3月 | 24,236 | 3,151 | 3,182 | 1,957 |
2014年3月 | 22,223 | 2,809 | 2,704 | 1,981 |
2013年3月 | 24,225 | 2,380 | 2,158 | 1,409 |
2012年3月 | 23,385 | 2,621 | 2,651 | 1,543 |
2011年3月 | 19,210 | 2,291 | 2,360 | 1,145 |
2010年3月 | 16,174 | 2,390 | 2,434 | 1,587 |
2009年3月 | 14,729 | 2,316 | 2,311 | 1,410 |
2008年3月 | 13,438 | 1,806 | 1,817 | 1,074 |
2007年3月 | 12,829 | 1,631 | 1,634 | 877 |
2006年3月 | 10,040 | 1,298 | 1,206 | 655 |
2005年3月 | 8,306 | 1,052 | 1,055 | 566 |
2004年3月 | 7,101 | 458 | 387 | 353 |
株式情報(6/16現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
連結子会社25社、持分法適用関連会社1社とグループを形成している。 【グループ経営理念とグループ事業方針】
グループ経営理念
エンド・ユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く事業創造を行い、その発展に伴い社会の問題を解決し、貢献できる企業として成長する。
グループ事業方針
プレステージ・インターナショナルグループは、社会に必要とされ、クライアント企業から信頼され、エンド・ユーザーから感謝されるソリューションを提供できるグループを標榜し、社会貢献を常に念頭におきながらクライアント企業、株主、社員、地域と共に繁栄できるグローバルカンパニーを目指します。
【2015年4月より、新コーポレートロゴマークを導入】
シンボルマークの外形である正方形は、世の中をトリミングしている窓を表している。社会をよく見てみると、そこここに、"P"の文字が見え隠れしている。時には目に見え、時には目に見えないところで、プレステージ・インターナショナルは社会のために貢献したい。
このシンボルマークはそのようなプレステージ・インターナショナルのあり方を形にした。 (同社資料より) 【事業セグメントの概要】
成長分野の情報をより明確に数値化する事を目的に、15/3期より下記の通りセグメントを変更した。遡及修正した15/3期の売上構成比は、ロードアシスト35%、プロパティアシスト12%、インシュアランスBPO12%、ワランティ12%、ITソリューション4%、カスタマーサポート21%、派遣・その他4%。
【特徴】
玉上社長が、7年間にわたる海外生活で言葉や文化の違いにより不便な思いをした経験から、「海外でも日本にいるときのように高品質で心のこもったサービスを受ける事ができればいいのに・・・。」と言う思いが会社設立(1986年10月)の動機。その翌年にニューヨークへ進出し、トラブルに遭った日本人からの問い合わせに24時間日本語で対応するサービスを開始した。その後、アジア、ヨーロッパの主要都市にネットワークを広げると共にサービス内容を拡充。国内でのサービスも育成して業容を拡大した。
日常生活における“お困りごと”を24時間365日、電話を通じて「解決する」、様々なサービスを提供
【強み】
同社の強みは、安定したストックビジネス、高品質なサービスを支えるサービス拠点、そして、この結果としての高い収益性と経営効率を実現している事。
(1)安定したストックビジネス
クライアント企業である損害保険会社等の既存顧客向け付加価値サービス(保険特約)が中心のため、外部環境による収益の振れが比較的小さい。主たる業務委託契約フィーは、サービス対象者数×予想利用率によって算出され、サービス対象者やサービス対象者一人当たりの利用が増えると、翌期の委託契約フィーに反映される。特に自動車のトラブル対応は認知度の向上で導入企業や利用者が増加しており、継続的なサービス対象者数の増加と利用率の向上につながっている。自動車メーカーや販売会社がサービス収入の拡大に力を入れている事も追い風となっている。不動産関連サービスも同様に、フローの物件売り切りビジネスに依存していたマンションデベロッパー等がストックビジネスとして強化している事が追い風になっている。また、海外事業として手掛けているヘルスケア・プログラム(海外赴任での健康トラブル対応)は、業績改善による企業活動の活発化で需要が増えている。
(2)高品質なサービスを支えるサービス拠点
人材の安定化を求め地方都市に展開するコンタクトセンター
高品質なサービスの提供を実現するべく、国内にコンタクトセンターを保有し現場部隊を内製化すると共に、世界14ヶ国17拠点のグローバルネットワークを有する。コンタクトセンターは人材の安定化を念頭に地方都市に開設しており、現在の稼働施設は、秋田BPOキャンパス(秋田県秋田市)、山形BPOガーデン(山形県酒田市)、及び14年8月に開設した秋田BPOキャンパスにかほブランチ(秋田県にかほ市)の3施設。
全国主要都市において現場部隊を内製化 -独自ブランドPremierAssist(プレミアアシスト)の展開-
全国主要都市に内製化した現場部隊を展開しており、拠点数は、ロードアシスト24拠点、ホームアシスト11拠点、パークアシスト8拠点の計43拠点。トラブル現場で顧客対応するスタッフは清潔感のあるユニフォームで統一された正社員である。スタッフには定期的にマナー講習等が実施され、サービス品質向上に取り組みには余念がない。同社グループ企業の正社員による現場対応への評価は高く、競争力の源泉となっている。また、世界14ヶ国18拠点のグローバルネットワークを有し、各海外拠点では、海外で病気・ケガをした際の医療費の査定やキャッシュレスで受診可能な病院ネットワークの開拓を行っている。 ※CSRの一環として働く女性を応援 -従業員が喜びと誇りを持って働くことのできる職場環境を目指して-
「エンド・ユーザのお困りごとを解決する」というコンセプトに基づき事業を展開している同社だが、社会貢献に対する意識も高い。地方都市にサービス業としての雇用を創造し継続する事で社会に貢献すると共に、夢を持って働ける職場を創造する事で女性の社会進出を応援している。こうした企業理念が反映された山形BPOガーデンは、女性に優しく、かつ従業員のコミュニケーションを促す設計が評価され、「2014年度グッドデザイン賞」、「第27回日経ニューオフィス賞」を受賞している。
企業内託児所では、20~30名程度の幼児を預かる事が可能(1月1日~3日を除き、毎日8:30~21:30で営業)。
また、産前産後の通院休暇として、定期健診の為の休暇が計5日付与される(半日休暇で計10回の取得が可能)他、人材の流出を防ぐため、育児休業者職場復帰プログラムも用意されている(出産・育児が一息つけば会社に復帰)。 |
2015年3月期決算 |
売上高、営業利益、経常利益が過去最高を更新
売上高は前期比9.1%増の242億36百万円。主力のロードアシスト事業が同12.8%増と高い伸びを示す等、契約内容(売上計上方法)変更の影響等があったワランティ事業を除く全てのセグメントで二桁の増収となった。切り口を変えて、売上高を、同社個別、国内グループ企業、海外グループ企業に分けると、それぞれ148億75百万円(構成比53.9%)、81億69百万円(同29.6%)、45億46百万円(同16.5%)。前期比では、7.4%増、8.8%増、ブラジル、台湾、フィリピンの現地法人が稼働した海外グループ企業が18.1%増(営業利益ベースでは、1:1:1)。 利益面では、増収効果と原価抑制の取り組みに加え、円安効果もあり、売上総利益率が25.0%と1.8ポイント改善。サービス拡充に向けた人員増や富山BPOタウンの開設に伴う先行費用等による販管費の増加を吸収して営業利益が31億51百万円と同12.2%増加した。損害保険ジャパン日本興亜(株)との合弁会社でロードサービスを手掛ける(株)プライムアシスタンスの収益拡大による持分法利益の増加(24百万円→1億60百万円)等で営業外損益も改善。特別利益が大幅に減少したものの(8億43百万円→17百万円)、ほぼ前期並みの当期純利益を確保した(前期は有価証券売却益5億16百万円や補助金収入3億18百万円を特別利益に計上した)。 設備投資は30億43百万円(富山BPOタウン建設費29億65百万円、業務システム等78百万円)、減価償却費6億99百万円。 期末配当は1株当たり1円増配の6円を予定しており、上期末配当5円と合わせて年11円となる見込み。 (2)セグメント別動向
ロードアシスト事業
売上高85億87百万円(前期比12.8%増)、営業利益11億86百万円(同57.5%増)。主に損害保険会社や自動車メーカー向けにロードサービスを提供している。15/3期は認知度の向上やサービス利用増加等で既存受託業務が拡大。サービス利用に伴う費用の抑制やシステム化による手配工数削減等の生産性改善策が奏功し営業利益率が3.9ポイント上昇した(営業利益率:9.9%→13.8%)。
プロパティアシスト事業
売上高27億83百万円(前期比11.5%増)、営業利益1億53百万円(同10.9%減)。分譲・賃貸マンション・戸建ての占有部の一次修繕を行うホームアシストとコインパーキングのメンテナンスサービスを行うパークアシストが二本柱。15/3期はホームアシストをけん引役に売上が増加したものの、人財の採用・教育と拠点の拡充等、フィールドワーク専門子会社の機能強化のための先行投資が利益を圧迫した。ホームアシストは、ほぼ全ての大手デベロッパーと取引があり、業界内でブランドが定着しつつある。こうした取引先の要望に応えていくためには、サービス品質の向上とサービスネットワークの拡充に向けた不断の努力が欠かせない。
インシュアランスBPO事業
売上高29億29百万円(前期比20.8%増)、営業利益3億98百万円(同5.9%増)。クレームエージェントサービスやヘルスケア・プログラムといった海外事業と少額短期保険事務代行等を行っている。15/3期は新たに4~5社と契約した事や既存顧客の海外駐在員の増員等で海外関連事業の売上が伸びて増収をけん引。海外拠点拡充等の先行投資を売上増と円安効果で吸収した。
ワランティ事業
売上高29億72百万円(前期比15.5%減)、営業利益2億31百万円(同33.9%減)。自動車延長保証、自動車メンテナンスプログラム、家賃保証、住宅設備延長保証、介護費用保証といった保証に関するサービスを提供している。自動車中心から家賃等へサービス対象が広がりつつあるものの、15/3期は家賃保証における契約内容変更の影響に加え(売上計上方法の変更)、新車販売の低迷による自動車延長保証の苦戦や収益重視の観点からの自動車メンテナンスプログラムにおける一部受託業務の終了もあり売上が減少。売上の減少で利益も減少した(利益面で家賃保証における契約内容変更の影響はなかった)。
ITソリューション事業
売上高9億24百万円(前期比10.9%増)、営業利益75百万円(同41.4%減)。コンタクトセンターの電話交換機(PBX)システム、各事業の基幹システム、自動手配システム、査定システム等、コンタクト業務における独自開発のITインフラを企業に提供している(コンタクトセンターを自社で保有する企業等が顧客)。IT関連子会社において既存受託業務が堅調に推移し売上が増加したものの、新規事業の立ち上げによる営業費用の増加で利益が減少した。
カスタマーサポート事業
売上高51億02百万円(前期比11.7%増)、営業利益9億68百万円(同2.7%増)。通販会社等のカスタマーサポート業務と購買データ分析などデータベースマーケティングのノウハウを提供するCRMサービス、損害保険会社の顧客である被保険者からの緊急要請に対する事故受付業務、及び海外(米国・中国・香港)の日本人駐在員向けに現地通貨で決済できる独自のクレジットカード「プレミオカード」の発行と運営サービスを提供している。15/3期は「選択と集中」を進めた結果、一部の業務が終了したCRMサービスの売上が減少したものの、日本人駐在員向けクレジットカードサービスの好調で吸収。利益面では、一部の業務終了の影響が大きかったが、原価管理を徹底した効果に加え、円安も追い風となり、利益が増加した。
派遣・その他事業
売上高9億35百万円(前期比22.5%増)、営業利益1億46百万円(同70.0%増)。ロードアシスト事業やインシュアランスBPO事業と連動した事業である。15/3期は持分法適用会社(株)プライムアシスタンスに対する人材派遣業務が好調に推移し売上が増加。増収と間接費用の抑制で収益性も改善した(営業利益率:11.3%→15.6%)。
流動比率243.3%(前期287.5%)、固定比率55.5%(同40.9%)、と財務内容は流動性に富み、かつ長期的な安定性にも優れる。実質無借金で自己資本比率は68.4%(同72.0%)。投下資本利益率(ROIC)は15.6%と2.3ポイント上昇した。 *ROE(自己資本利益率)=「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」×「総資産回転率(売上高÷総資産)」×「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」となる。ROE =売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
コーポレートロゴマークをリニューアル
2015年4月より、新コーポレートロゴマークを導入した(会社概要 参照)。
CSRへの取り組み:スポーツ活動 http://www.prestigein-sports.jp/
スポーツで地域を活性化するべく、2015年4月にバレーボール(山形)とバスケットボール(秋田)の実業団チームが本格稼働した。17/3期には富山BPOタウンにおいても実業団チームを立ち上げる予定。
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2016年3月期業績予想 |
前期比11.4%の増収、同6.8%の経常増益予想
売上高は前期比11.4%増の270億円。利益重視の観点から選択と集中を進めるカスタマーサポート事業の売上が減少するものの、その他の全セグメントで売上が増加する見込み。営業利益は同3.1%増の32億50百万円。富山BPOタウンの稼働に伴う減価償却費の増加に加え、人員増強や拠点拡充等、ロードアシスト事業やプロパティアシスト事業におけるフィールドワーク専門子会社への先行投資も増加するが、増収効果で吸収して増益基調を維持する(営業利益率も会社目標である12%を達成できる見込み)。営業外では、持分法投資利益1億50百万円を織り込んだ。 対ドル為替レートは若干の円高を前提としている(15/3期120.17円、16/3期119.96円)。設備投資は、富山BPOタウン第2期工事6億円の他、秋田BPOキャンパスリニューアル費用やシステムの更新費用等で12億円を予定(前期は30億43百万円)。減価償却費は9億24百万円(同6億99百万円)を織り込んだ。 (2)配当は1株当たり1円増配の年12円を予定
配当は、1株当たり上期末配当を1円増配し、上期末6円、期末6円の年12円を予定している。同社は事業計画や事業規模の拡大に向けた内部留保の充実を勘案しつつ、各期の連結ベースの利益水準及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、継続的かつ安定的に配当を実施していく考え。また、配当性向については、連結ベースで15%~20%を目途としている(15/3期実績:17.3%、16/3期予想:17.8%)。
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新中期経営計画(16/3期~18/3期) |
【前中期経営計画(13/3期~15/3期)】
新たなビジネスモデルの開発をメインテーマに掲げ、①業務委託先からパートナーへ進化するためのビジネスパートナーモデルの開発、及び②人員、システム、設備を個別に提供するサービスプロバイダー・モデルの開発を推進した。また、③自社開発システムを他社展開(外販)するべくIT投資を積極化した他、④第2 BPOキャンパスの開設にも取り組んだ。①及び②では、損害保険ジャパン日本興亜(株)との合弁会社でロードサービスを手掛ける(株)プライムアシスタンスの業務拡大をサポートした他、ロードサービスの現場部隊が首都高速指定業者に採用される等で成果をあげた。また、③では、自社開発PBXの他社への導入に成功し、④では、13年11月に山形BPOガーデン、14年8月ににかほブランチ、15年4月に富山BPOタウン、をそれぞれ開設した。上記テーマと共に、自動車延長保証、ヘルスケア・プログラム、ホームアシストを注力分野として、その強化にも取り組んだ。ヘルスケア・プログラムについては、ブラジル、台湾、フィリピンの現地法人を設立する等で売上が順調に拡大。ホームアシストでは、分譲物件の深掘りと横展開及び賃貸物件の横展開に取り組み、ほぼ全ての大手デベロッパーと業務委託契約を締結する等で成果をあげた。一方、延長保証については、国産メーカーへの展開で課題を残した。 【新中期経営計画(16/3期~18/3期)】
(1)新中期経営計画の骨子と基本戦略
骨子として、「継続的・安定的な成長」、「プレステージ・インターナショナルでしか実現できないサービスの創造」、「地方都市での雇用の創造・継続」、及び「女性の雇用機会の創出」、の4つを掲げており、この4つを効果的に融合させ、バランスのとれた経営を行う事で、成長・収益性・効率性の向上・維持と強固な組織の構築を目指す。4つの骨子に基づく戦略は次の通り。「継続的・安定的な成長」では、同社サービスの価値を認めるクライアント企業と長期的な関係を構築し、併せて雇用の継続も実現する(当面の売上確保を目的とする短期的・事務的な業務の受託はしない)。「プレステージ・インターナショナルでしか実現できないサービスの創造」では、エンド・ユーザーの「感謝・感動」につながる同社ならではの差別化されたサービスの創造に取り組むと共に、価格競争にさらされない同社でしか実現できない品質と独自性を追求する。「地方都市での雇用の創造・継続」では、職場環境の快適性に工夫を盛り込んだBPO拠点を整備すると共に、長期的なクライアントとの関係と劣化しない独自性・差別化を追求する。「女性の雇用機会の創出」では、託児所やカフェテリア等、女性が長く働ける環境に配慮した施設の整備と、女子スポーツチーム等、女性の活躍の場の創造に継続的に取り組んでいく。 (3)セグメント別の戦略
各セグメントで横展開と縦展開及び新規分野の開拓を進める。
ロードアシスト事業
横展開では、フィールドワーク専門子会社「プレミアアシスト」のサービス体制の充実とパッケージ化した商品構成により、ダイレクト系損保会社への訴求力を高める。2014年4月にダイレクト系損保1社向けの新規業務がスタートした事で、2014年4月に3.5%だった1日当たりの平均稼働率が2015年4月には4.0%に上昇した(稼働率の改善は業務効率の向上につながる)。プレミアアシストの2015年4月末の拠点数は首都圏を中心に24拠点、同人員は146名、同車両数は135台。一方、縦展開及び新規分野の開拓では、ロードサービス モバイルアプリ「Premier Call」等のアプリを活用した付加価値サービスを提供すると共に、事故予防分野への展開を視野に、IoT(Internet of Things)やビッグデータ分野の研究を進める。ロードサービス モバイルアプリ「Premier Call」を利用すると、位置情報と車両状態を瞬時にオペレーターへデータ送信する事ができるため迅速で的確な事故対応等が可能になる。 プロパティアシスト事業
横展開では、ホームアシストにおいて、ホームアシスト開発企業としての新たな価値創造に取り組むと共に、ストックマーケットへ展開する(新築物件だけでなく、既存物件へも展開)。また、強みであるグループでの一貫サービスに磨きをかけるべく、ホームアシスト、パークアシスト共に、フィールドワーク専門子会社の規模と地域の拡大を図る。一方、縦展開及び新規分野では、ホームアシストにおいて、シルバー世代(点検を兼ねた安否確認)、中古住宅売買(居住者と接する事でいち早く情報を入手できる)、スマートシティ(IoT活用等によるホームアシストサービスの提供)へ展開し、「住まい」の問題解決企業から「社会」の問題解決企業への進化に取り組む。そのためには、ホームアシストはもちろん、パークアシストも含めて、フィールドワーク専門子会社の機能強化が不可欠であり、機能修繕と美的修繕が一体となったサービスの提供、警備、見守り、環境整備等をキラーコンテンツとして個々の機能を強化していく(この結果として、総合力の向上につなげる)。尚、ホームアシストのフィールドワーク専門子会社「プレミア プロパティサービス」は、水、電気、カギ等、住いに関するあらゆるトラブルに対応する多能工集団として、2015年4月末現在、国内に11拠点を展開(車両数40台、人員66名)。また、パークアシストのフィールドワーク専門子会社「プレミア パークアシスト」は、トラブル対応、機器メンテナンス、集金、警備、清掃、見守り等、コインパーキングに関するプロフェッショナル集団として、2015年4月末現在、国内に8拠点を展開している(車両数62台、人員131名)。 インシュアランスBPO事業
横展開では、日本人駐在員向け「ヘルスケア・プログラム」の拡充と海外拠点の拡充を進める考えで、インド、インドネシア、ベトナム、メキシコ等での拠点開設を計画している。また、海外拠点は海外拠点でしかできないサービスに集中させるため、バックオフィス業務を「にかほブランチ」(秋田県にかほ市)で集中処理させる(海外拠点が最も有効に機能するオペレーション体制を構築する)。一方、縦展開及び新規分野では、東南アジアや中南米等、日本と医療事情が異なる地域において、手厚いサポートのニーズが高まっている事に対応して、ヘルプデスクモデルを導入する。具体的には、各拠点にサービス受付を設置すると共に主要病院に専用デスクを設置し、日本人駐在員や帯同家族のサポートを強化する。
ワランティ事業
横展開では、自動車延長保証や家賃保障・住宅設備保証といった既存サービスで業界トップシェアを目指し、縦展開及び新規分野では、総合保証サービスへの挑戦として、「生活の安心=保証」を切り口に、介護費用保証、医療費用保証、管理費保証等へ、モバイル活用も含めて、ノウハウを活かした他分野展開を進めていく。
カスタマーサポート事業
クライアント企業やエンド・ユーザーの満足度をより高い水準で実現するべく、横展開として、富山BPOを拠点として独創的な新しいサービスの創造に取り組み、縦展開及び新規分野の一環として、オペレーションにおける意識を「処理」から「ノウハウの蓄積」へ変革する。
(4)経営課題への取り組み
事業拡大に不可欠な人財採用と人財育成は、同社にとって永遠の課題である。人財採用における取り組みとしては、BPO拠点(秋田、山形、富山)において、女性従業員が長く活躍できる職場を提供するために企業内託児所をはじめとした環境の整備や、若年層や育児休業明けの雇用を積極的に促進するため、ワークライフバランスのとれる環境の整備を進める。また、女性活躍推進の取り組みの一環として、女子スポーツチームを設立し、2015年4月に始動させた。一方、人財育成における取り組みでは、「高品質かつホスピタリティのあるサービスを提供するため、新人研修やマナー研修、階層に応じたスキル研修、管理職研修を実施する」と言う教育方針の下、失敗を恐れずチャレンジして結果を出して成長できる人財を評価する人事制度を構築する。具体的には、表彰制度・インセンティブプランを充実させる他、スキル、能力による定量的評価に加え、情報共有、課題形成、問題解決等の定性的評価を取り入れ、多様性のある人財育成につなげる。また、女性の社会進出をサポートするべく、産前産後の通院休暇や、出産・育児が一息つき再び職場復帰する従業員に対する支援等、女性のライフステージに合ったサポートについても継続的に取り組む。 (5)財務戦略
18/3期にかけて、業容の拡大と成長・効率化投資により、財務内容の改善を伴いつつ、総資産が増加する見込み。借方では、成長・効率化投資の一環としての秋田BPOリニューアルや山形・富山の機能拡充で有形固定資産が、効率化に向けたシステム投資で無形固定資産が、アライアンス等の推進で投資その他が増加する他、新規成長投資準備、事業拡大のための運転資金、更には株主還元の原資として流動資産も増加する。借方では、収益の拡大を反映して利益準備金が増加する一方、富山BPOタウンの建設資金として調達した借入金の返済が進む。 (6)株主還元戦略
15/3期に17.3%(個別ベースでは52.3%)だった連結配当性向が16/3期は17.8%に上昇する見込み。同社は、現状の配当性向に満足している訳ではないが、同社グループでは医療費や保険金の立替金を行っている海外連結子会社において一定のキャッシュポジションが必要であり、その他の国内で保証を行っているグループ会社での資金ニーズもあるため、常にある程度のキャッシュを手元に確保しておく必要がある(海外事業は立て替え期間の長さが参入障壁の一つとなっている)。このため、新中期経営計画においては、グループ会社各社で適正なキャッシュポジションのコントロールに努めると共に、将来の投資を勘案した余剰資金のプレステージ・インターナショナル単体への還流スキームの構築に取り組む事で、プレステージ・インターナショナル単体のキャッシュポジションを向上させ連結配当性向20%の実現を目指す考え。 |
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