ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

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ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.32

(4829:東証1部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.32】2015年5月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期予想に対する進捗率は、売上高72.9%、営業利益52.2%、経常利益54.8%(純利益は投資有価証券の売却益の計上で108.3%)。期末にかけ・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年5月19日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年5月 4,508 335 340 437
2013年5月 4,134 372 391 354
2012年5月 2,790 304 318 170
2011年5月 2,370 266 283 168
2010年5月 2,147 150 173 77
2009年5月 2,475 292 317 175
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(4/1現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
342円 40,480,000株 13,844百万円 10.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3.00円 0.9% 4.63円 73.9倍 126.23円 2.7倍
※株価は4/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本エンタープライズの2015年5月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。生活実用系や交通情報等のコンテンツを制作しスマートフォン等に配信するコンテンツサービス事業と、企業のコンテンツ制作・運営、システム構築、広告(店頭アフィリエイト)、リバースオークションやIP電話といった業務(コスト削減)ソリューション等のソリューション事業が2本柱。また、日本のコンテンツを世界へ広げるべく海外展開にも力を入れており、中国とインドでは国内コンテンツプロバイダの先頭を走る。
 
自社開発へのこだわり
配信するコンテンツを自社開発する事で「提供するコンテンツの権利を自社で保有(高い収益性を実現できる)」する同社独自のビジネスモデルをベースとし、携帯電話販売会社との協業による成功報酬型コンテンツ販売(独自に開発したリアルアフィリエイト)システムと連動させる事でコンテンツの拡販に成功している。
 
企業グループ 連結子会社8社、非連結子会社4社
グループは、広告事業を手掛ける(株)ダイブ、音楽事業等を手掛けるアットザラウンジ(株)、交通情報を中心にした情報提供の交通情報サービス(株)、Web・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等の(株)フォー・クオリア、ネイティブアプリを主としたモバイルコンテンツ事業を手掛ける(株)HighLab、中国事業の統括に加え、携帯電話販売店を手掛ける因特瑞思(北京)信息科技有限公司、モバイルコンテンツの企画・開発・配信の北京業主行網絡科技有限公司、IT系の教育事業を手掛ける瑞思創智(北京)信息科技有限公司の連結子会社8社、及び音声通信関連のソリューションを手掛ける(株)and One、スマートフォン向けアプリケーションの企画・開発等の(株)会津ラボ、モバイル向けコンテンツ配信やキャラクタライセンス事業の瑞思放送(北京)数字信息科技有限公司、インド現地法人NE Mobile Services(India)Private Limitedの非連結子会社4社。
 
コンテンツの一例
『女性のリズム手帳』 女性にとって大切な生理日管理に特化したアプリです。生理サイクルの記録・管理をはじめ、妊娠しやすい期間・生理日・排卵日の予測など様々な情報やアドバイスを提供(App Store、Google Play、App Pass)。
『女性のキレイ・リズム』 “心と身体をキレイに”をテーマに、女性を一生サポート。生理日・排卵日の予測から、痩せ期を使った効率的なダイエット法やストレス診断等、女性のためのメニューが盛りだくさん(dメニュー、auポータル、SoftBank、auスマートパス、アプリ超ホーダイ、フィーチャーフォン)。
『ATIS交通情報』 高速道路及び一般道路の独自の交通情報や、乗換案内、運行・遅延情報の鉄道情報やその他、駐車場・フェリー・お天気等の便利な情報が満載。(dメニュー、auポータル、SoftBank、スゴ得コンテンツ、auスマートパス、フィーチャーフォン)
『レジャー&駐車場情報』 レジャーに役立つスポット情報プラスアルファの情報として、駐車場情報をより充実させたサイト!(dメニュー、スゴ得コンテンツ、auスマートパス)
 
 
成長戦略と進捗状況
 
コンテンツサービス事業では、キャリアの公式サイトや定額制コンテンツ等で収益基盤の拡充を図る一方、ゲームを中心とした「ネイティブアプリ」(注)やメッセンジャーアプリとの相互連携による「コンテンツプラットフォーム」をグローバルに展開していく。一方、ソリューション事業は、スマートデバイス関連の受託開発、業務支援サービス、広告(店頭アフィリエイト)、及び協業(アライアンス型)を成長ドライバーとして事業を拡大させていく。

(注)ネイティブアプリとは、スマートフォン等の端末にダウンロードして端末上で動作させるアプリの事。フィーチャーフォン(FP)では、端末の性能上、ダウンロードせずにブラウザー上(サービスプロバイダーのサーバ上)で動作させるブラウザアプリが利用されていた。
 
 
キャリア定額制サービス向けやキャリア公式サイトでの月額課金によるアプリの提供といったスマートフォン(以下、SP)向けサービスが堅調に推移しており、第3四半期(12-2月)はスマートフォン(以下、SP)向けの売上高がセグメント売上高の69%を占めた。
 
キャリア定額制サービスの拡大
現在、アプリを提供しているキャリア定額制サービスは、「auスマートパス」(KDDI)、「スゴ得コンテンツ」(NTTドコモ)、「App Pass」(ソフトバンクモバイル)、「アプリ超ホーダイ」(ソースネクスト)など。コンテンツの追加投入や新たな定額制サービスに提供する事で、引き続き増収基調を維持していく考え。
 
アプリを提供している主なキャリア定額制サービスと提供コンテンツ
 
提供するコンテンツ数は定額サービスで先行した「auスマートパス」向けが最も多いが、「auスマートパス」で人気の高いコンテンツを、「スゴ得コンテンツ」や「App Pass」等に順次展開していく考え。
 
 
ネイティブアプリのラインナップ拡充 -キャリア公式サイトを離れた同社のプロパービジネスの育成-
ゲーム(オリジナルのネイティブゲーム)、ツール(他のアプリと連動するツールアプリ)、ヘルスケア(女性の心と体の健康サポートアプリ)、コミュニティ(スケジュールの共有や掲示板形式のコミュニティアプリ)等のジャンルを強化すると共に、これらのアプリとメッセンジャー(無料チャットアプリ「Fivetalk」)との連携を図りシナジーを追及していく(スマートフォン向け「コンテンツプラットフォーム」の展開)。
 
 
この第3四半期(12-2月)は、新機能追加やゲームアプリとの連携、更には全体的な品質改善により「Fivetalk」を強化した他、「女性のリズム手帳」において、女性向けゲームとの連携や新たなビジネスモデルの構築に取り組んだ。
 
 
配信開始年月
・「ひっぱれ!ネコPingプラネット」(Android版):14年10月
・「ニャーミのタップにゃんば~」(Windows):14年12月
・「ハニープラス」(Android版):
15年3月
・「ウチの旦那はイケてない」(Android版):15年3月
 
(2)ソリューション事業における取り組みの進捗状況
ソリューション事業の成長ドライバーとして、スマートデバイス関連の受託開発、業務支援サービス、広告(店頭アフィリエイト)、及び協業(アライアンス型)を挙げている。

スマートデバイス関連の受託開発では、BYOD、メッセンジャー、テレマーケティング、IVR(自動音声応答)、IP電話、スマートグリッド、ビッグデータ、IoT等、スマートデバイス時代に対応するべく事業領域を拡大させていく。

一方、業務支援サービスは、法人向けメッセンジャーアプリ「BizTalk」、スマートフォン専用内線電話網構築アプリ「AplosOne」、及びリバースオークション(購買支援システム)「Profair」が三本柱。

広告(店頭アフィリエイト)では、第2四半期(9-11月)以降、継続率を重視しつつ、新たな提携先の開拓を進めている。引き続き、タッチポイント(店舗数)の拡大による増収と退会率改善による広告価値の向上に取り組んでいく。
 
 
2015年5月期第3四半期決算
 
 
ソリューション事業の好調と広告宣伝費のピークアウトにより第2四半期比で営業利益が増加
第3四半期(12-2月)の連結売上高は12億25百万円。コンテンツサービス事業はコンテンツ毎に振れがあるものの(同事業の避けられない特性)、ソリューション事業は、ソリューション、広告(店頭アフィリエイト)、海外といった全てのサブセグメントで前年同期及び第2四半期(9-11月)の実績を上回った。
営業利益は52百万円。ソリューション事業における広告の売上増等による原価率の上昇とコンテンツサービス事業における開発費や広告宣伝費の増加で前年同期の95百万円を下回ったものの、広告宣伝費の投下がピークアウトしたため(計画に沿った減少)、第2四半期の10百万円から回復した。
 
 
前年同期比14.1%の増収、同51.4%の経常減益
売上高は前年同期比14.1%増の37億40百万円。売上が倍増した広告(店頭アフィリエイト)をけん引役にソリューション事業の売上が18億29百万円と同26.5%増加した他、キャリア定額制サービス向け提供コンテンツの拡大でコンテンツサービス事業の売上も19億11百万円と同4.4%増加した。
一方、営業利益は同55.0%減の1億14百万円。ソリューション事業の広告店頭アフィリエイト)の売上構成比の上昇等で売上総利益率が48.0%と0.6ポイント低下する中、ネイティブアプリを中心にした開発費や広告宣伝費(3億37百万円→5億82百万円)の増加で販管費が16億80百万円と同25.8%増加した。四半期純利益が経常利益を上回ったのは、投資有価証券売却益3億31百万円を特別利益に計上したため(前年同期は5億16百万円を計上)。
 
 
キャリア定額制サービス向けでは、スゴ得コンテンツ(NTTドコモ)に「レジャー&駐車場情報」の提供を、アプリ超ホーダイ(ソースネクスト)に「女性のキレイ・リズム」及び「スタンプ★つくり放題」の提供を、App Pass(ソフトバンクモバイル)に「カップルノート」の提供を、それぞれ開始した。
 
 
内線電話アプリ「AplosOneソフトフォン」及び法人向けメッセンジャーアプリ「BizTalk」の販売パートナー募集や3月の年度末需要に向けた受託案件の獲得でも成果をあげた。
 
 
新株式発行(8億53百万円)及び第三者割当増資(1億53百万円)により10億円強の資金を調達した事で、第3四半期末の総資産は61億63百万円と前期末に比べて6億22百万円増加した。また、併せて連結子会社の資本増強も行った(HighLab:2億円、フォー・クオリア1億円)。
 
 
2015年5月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比13.8%の増収、同34.4%の営業減益
キャリア定額サービスへのコンテンツ提供や広告(店頭アフィリエイト)の好調に加え、期末にかけて受託開発の検収も進み、売上高が51億30百万円と前期比13.8%増加する見込み。ただ、ゲーム等のネイティブアプリの開発費の増加や販促強化に伴う広告宣伝費の増加が負担となり営業利益は2億20百万円と同34.4%の減少が見込まれる。投資有価証券売却益の減少等で当期純利益は1億80百万円と同58.8%減少する見込みで、14年12月から15年1月にかけての公募増資及び第三者割当増資に伴う発行済株式数の増加もあり、1株当たり利益は4.63円となる見込み(前期実績:11.59円)。
尚、広告宣伝費は期初予算の6億円に1億24百万円上積みした7億24百万円を計画している(前期実績:5億15百万円)。

配当は1株当たり3円の期末配当を予定。記念配1円を落とし、普通配を1円増配する考えで、配当性向は67%となる見込み。
 
 
今後の注目点
通期予想に対する進捗率は、売上高72.9%、営業利益52.2%、経常利益54.8%(純利益は投資有価証券の売却益の計上で108.3%)。期末にかけて受託開発の検収が進むため、売上高は想定に沿った進捗と思われる。一方、営業・経常利益についても、広告宣伝費を絞り込めば通期予想の達成は可能だ。ただ、15/5期は更なる成長のための踊り場と位置付けられているため、業績予想の達成よりも、来期以降を見据えた投資を優先するのではないだろうか。国内には約6千万台のスマートフォンがあり、調査会社の予測では、スマートフォンゲーム(ネイティブゲーム)市場は2014年に6,584億円と前年比20%増加し、16年には8,000億円を超える見込み。市場の成長を業績拡大につなげる事ができるか、注目していきたい。