ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.19

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.19】2015年8月期上期業績レポート
取材概要「カラオケ事業では、昨年4月の消費税増税の影響も少なく、同業他社が苦戦する中で既存店が堅調に推移した。過去2~3年は第1四半期後半から第2四半期・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年5月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(4/17現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,693円 18,454,640株 49,698百万円 20.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.1% 138.95円 19.4倍 663.39円 4.1倍
※株価は4/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2015年8月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略を推進。安定成長を続けるカラオケ事業と高い成長を続けるフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業を育成中である。
尚、「既存業種新業態」戦略とは、既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変え、従来と異なる新たな顧客層をターゲットとする事で全く新しいサービスや運営手法を生み出し、独自のビジネスモデルを確立していく事業手法。
 
【企業理念 -豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献-
企業理念は、「進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、そして全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献すること」。この企業理念の下、①安近短の身近な余暇の分野において既存業種新業態を追求する、②各国地域並びに各業種の実情に即した最適な業態、仕組みを開発する、③顧客のニーズを探求し、驚きと感動を与える質の高いサービス・商品を常に提供する、④強い志と企業家精神を持って活躍する人材を育成する、及び④業態間のシナジーを図り、グループ力を最大限に発揮する、の4つをビジョンとして掲げている。
 
【沿革】
1954年に都内で飲食店として創業し、64年に現在本社のある群馬県前橋市に移転。67年に(有)新盛軒として法人組織に改組した。会社が大きく変わり始めたのは、現在、社長を務める腰髙博氏に実質的な経営権が委ねられてから。博氏のリーダーシップの下、90年にカラオケボックス事業に参入。レーザーディスクを使ったスナックやバー等でのカラオケから通信システムを活用したカラオケボックスへ需要がシフトする流れをつかみ事業を軌道に乗せた。95年8月の腰髙博氏の社長就任以降は、不況等で廃業するカラオケボックスを利用する出店モデル(居抜き出店)を開発し業容を拡大。2000年3月に(株)コシダカに組織及び名称を変更した。

06年3月には(株)カーブスジャパンのフランチャイジーとしてフィットネス事業に進出。07年6月のJASDAQ上場を経た08年10月には(株)カーブスジャパンを子会社化(実質持株比率90%)し、現在、グループでFC(フランチャイズチェーン)本部の運営とフィットネスクラブの直営店展開を行っている。

10年9月には純粋持ち株会社へ移行し、(株)コシダカホールディングスに組織及び名称を変更。海外展開も進め、11年6月に韓国ソウルにカラオケ本舗まねきねこ海外1号店を開設。13年11月に中間持株会社(東南アジアにおけるカラオケ事業の統括会社)KOSHIDAKA INTERNATIONAL Pte.Ltd.を設立。その傘下でシンガポールでのカラオケ事業を統括するKOSHIDAKA MANAGEMENT SINGAPORE PTE.LTD.が、14年2月にシンガポール国内でカラオケ店舗11店舗を直営展開しているK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD. を子会社化した。14年7月に本社機能を東京に移転。15年4月には、カラオケやネットカフェ20店舗を、神奈川県を中心に展開する(株)ムーンを子会社化した。
 
【事業セグメントとグループ】
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業に分かれる。14/8期の売上構成比は、カラオケ事業54.9%、カーブス事業40.8%、温浴事業3.6%、不動産管理事業0.7%。利益構成比は、カラオケ事業33.2%、カーブス事業69.1%、温浴事業 △5.0%、不動産管理事業2.7%。
 
 
【成長戦略 -「総合余暇サービス提供企業」を標榜し、“既存業種新業態」戦略”を推進-】
約65兆円の国内余暇市場は同社にとって無限とも言える広さだ。特にシニア市場は、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの間、高い成長が見込まれている。こうした中、同社は「総合余暇サービス提供企業」をコンセプトに、「アクティブシニア層」をターゲットとし、“アミューズメント(カラオケ)”、“スポーツ・フィットネス(カーブス)”、“観光・行楽(温浴)”、“趣味・教養”の4分野において、事業間シナジーを追求すると共に「既存業種新業態」戦略を進め業容の拡大を図っていく考え。グループ売上高1,000億円を中長期の目標としている。

尚、「カラオケ白書2014」によると、2013年度(13年4月1日~14年3月31日)の国内カラオケ市場は3,957億円(12年度3,912億円)。09年以降、概ね3,800億円~3,900億円で推移している。また、新聞報道等によると、フィットネスクラブの市場規模は4,100億円程度で、ここ数年は横ばいの状態が続いているという。
 
カラオケ事業における取り組み
国内のカラオケ産業は大手チェーンへの集約が進み、大手チェーン間での顧客獲得競争が激化している。同社は店舗網の拡充を図ると共に、同社店舗の特徴である「安心、安全、リーズナブル、フレンドリー」の浸透とカラオケの新しい楽しみ方や新しいサービスを開発に取り組む事で差別化を図っていく考え。具体的には、「首都圏攻略」の方針の下、首都圏中心に新規出店を進めており、自社開発のカラオケ用新システム(カラオケコマンダー)「すきっと」の導入で新しい楽しみ方を提案。「すきっと会員」やワンカラの「シンガーズクラブ会員」の組織化で顧客の固定客化を図っている。「すきっと」は、コンテンツホルダーとのコラボレーション企画等でカラオケルームでの楽しみ方の幅を広げており、その機能が関係各方面から注目されている。

同社は、韓国とシンガポールでカラオケ事業の海外展開も進めている。5店舗を展開する韓国ではビジネスモデルの確立に成功し(店舗段階ではほぼ黒字)、「5年以内に100店舗体制」を目指している。一方、シンガポールでは、現地でカラオケ事業を展開しているK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD.(以下、K BOX)への「まねきねこ」のノウハウ注入と店舗網の見直しを進めている。
 
カーブス事業における取り組み
当事業のコンセプトは、高齢化社会が急速に進展する中で、一人一人が正しい運動方法を身につけ習慣づけていく事を支援し、既存の会員と共に、こうした仲間を増やしていく活動を通して未病率の改善や健康寿命の延伸に貢献すると共に事業の拡大を図っていく事。この事業コンセプトの下、顧客視点に立った通いやすい店舗(加盟店)網の構築と、各店舗を会員が成果を実感し、それを喜び合えるようなコミュニティに創り上げていく事を目指して本部と加盟店が一体となって取り組みを進めている。

14年10月には、店舗数と会員数がマイルストーンとしていた1,500店舗、650千人を突破した。既存加盟店の追加出店を中心に引き続き積極出店を続けると共に、既存加盟店の1店舗当たり会員数の増加に取り組んでいく考え。当面の店舗数の目標は既存加盟店の追加出店を中心に1,800店舗。退会率が低い口コミ紹介による入会の増加を図るべく、更なる会員満足度の向上にも努める。また、トレーニングとの相乗効果が高いプロテイン等、会員向けの物販の強化に加え、商品購入につなげるべく、会員の簡易食事診断を実施し、これを基にした食生活改善提案を行っていく。
 
温浴事業における取り組み
現在、東京健康ランドまねきの湯(東京都)、郡山湯処まねきの湯(福島県)、箕郷温泉まねきの湯(群馬県)、大分森温泉まねきの湯、大分らんぷの湯花園店(共に大分県)の5店舗を運営しており、早期の事業損益の黒字転換を目指している。社員教育面での人材育成システムを活用した固定費削減や店舗営業(接客サービス)等、カラオケ事業で培ってきた様々なノウハウを活かすと共に、省エネ化の実現等で温浴施設の再生に取り組んでいる。

省エネ化では、全店舗で、節水シャワーやガスを燃料に発電と給湯を同時に行うコージェネレーションの導入、貯湯タンクの増設による天然温泉の活用促進、更には循環回収水の効率化等の施策を講じており、主力となる「東京健康ランドまねきの湯」では温泉掘削が完了し、14年11月に天然温泉による運営が始まった(光熱水道費の削減効果や集客効果が期待できる)。この他、お笑いライブイベントや健康歌体操教室の開催等による集客の強化に取り組んでいる。
 
 
 
*ROA(総資産利益率)は、「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」の2要素を掛け合わせたもの。
*ROE(自己資本利益率)は、「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
同社は経営指標としてROA(総資産利益率)を重視している。投下資本を可能な限り抑制しつつ、売上規模の拡大と利益確保に取り組む事、そしてこの結果として投資の早期回収を実現する事に経営の重点が置かれている。この方針の下、上記の通り、高水準のROAを実現し維持している。

自己資本の効率性を表すROEも同様に高水準を維持している。過去5年間のROEは11/8期に大きく上振れした後に低下しているが、その要因は、特別利益の計上による一時的な売上高当期純利益率の変動、先行投資、及び好調な業績を反映した急ピッチの財務体質改善である。

売上高当期純利益率は特別利益の計上で振れが大きいが、営業利益率は11~12%で安定している。総資産回転率は、ボウリング事業(13/8期に子会社を売却)・温浴事業といった新規事業の育成や、カラオケ事業における国内出店の積極化(有形固定資産の増加)、カラオケボックス用新システム(カラオケコマンダー)「すきっと」の開発(無形固定資産の増加)、更にはM&Aを含めた海外展開(無形固定資産・投資その他の増加)等の継続的な先行投資で低下している。

一方、レバレッジは、カーブス事業の買収に伴い増加した有利子負債の削減と株主資本の充実が進み、低下傾向にある(財務体質の改善が進んでいる)。同社は配当性向を継続的に引き上げており、15/8期は増配(株式分割考慮後で実質2.5円の増配)に加え、自社株買いを実施する(500千株、900,500千円)等で総還元性向(15/8期は55.1%程度になる見込み)を意識した対応を進めている。このため、今後は業績拡大と株主還元強化を通じたROEの向上が期待できるのではないだろうか。
 
 
カラオケ事業(シダックス、第一興商)やフィットネス事業(ルネサンス、セントラルスポーツ)を手掛ける上場企業との比較でも、ROE及びROAの高さは群を抜いている。
 
 
 
 
 
 
2015年8月期上期決算
 
 
前年同期比21.7%の増収、同32.2%の経常増益
売上高は前年同期比21.7%増の213億33百万円。新店や新たに連結したK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD.(以下、K BOX)の寄与でカラオケ事業の売上が同23.2%増加した他、店舗増によるロイヤリティ収入等の継続的な収入の増加やショッピング売上(主に会員向けプロテイン販売)の増加でカーブス事業の売上も同22.7%増加。苦戦していた2店舗を閉鎖した温浴事業も、残る5店舗が堅調に推移し、同2.8%の減収にとどまった。尚、K BOXは、シンガポール国内でカラオケ店舗11店舗を直営展開している。

営業利益は同34.2%増の27億03百万円。利益率の高いカーブス事業の売上が伸びた事に加え、カラオケ事業も、首都圏攻略に向けた新店の好調や既存店が堅調に推移した事で利益率が改善。原油安の追い風もあり、温浴事業の損失も減少した。店舗の閉鎖(カラオケ事業6店舗、温浴事業2店舗)やリニューアル(カラオケ事業18店舗)に伴い、特別損失2億56百万円(固定資産除却損98百万円、減損損失75百万円、店舗閉鎖損失82百万円)を計上したものの、四半期純利益は12億92百万円と同8.9%増加した。
 
 
売上高117億12百万円(前年同期比23.2%増)、セグメント利益9億85百万円(同37.1%増)。売上増(22億04百万円増)に最も寄与したのは、新規出店で11億27百万円(まねきねこ:10億33百万円、ワンカラ:94百万円)。次いで新規連結したK BOXの寄与10億09百万円。この他、既存店9百万円(まねきねこ:16百万円、ワンカラ:△7百万円)、その他60百万円。
利益面では、新規出店の増加等で売上総利益率が0.4ポイント低下したものの、増収効果で吸収して大幅な増益。子会社では、K BOXの営業損益がほぼ均衡(連結ベースでは、のれん償却費1億円が発生)。韓国コシダカも、ビジネスモデルが確立された事で店舗段階では利益を確保したようだ。

上期末の国内店舗数は前年同期末(349店舗)に比べて26店舗増の375店舗(前期末店舗数366店舗)。15店舗(前年同期13店舗)の新規出店を行う一方、6店舗を閉鎖(同2店舗)した他、18店舗でリニューアルを実施した(同20店舗)。また、海外店舗数は16店舗(シンガポール11店舗、韓国5店舗)と韓国で1店舗増加した。
新規出店(居抜き12店舗、建築3店舗)は、首都圏攻略の方針の下、「都市型」、「駅前」、「繁華街」をキーワードに推進。ビジネス関連の需要取り込みを念頭に置いた「赤坂店」(会議・打ち合わせの利用も需要に対応すると共に、高級感のあるメニューをラインナップ)を14年11月にオープンした他、14年12月には日本初のハラル対応店「四谷三丁目店」をオープンした。また、訪日観光客の増加が顕著な中国、台湾、香港を中心にインバウンド需要への対応も進めている。一方、既存店は、客数が若干減少したものの、単価の上昇で補い、ほぼ前年同期並みの売上を確保した様だ。
 
 
売上高86億96百万円(前年同期比22.7%増)、セグメント利益20億51百万円(前年同期比36.8%増)。売上増(16億07百万円)に最も寄与したのは、ショッピング売上で8億78百万円、次いでロイヤリティ収入等の継続的な収入であるベース売上が5億81百万円。この他、加盟金収入や出店にかかる一時的な収入であるスポット売上1億03百万円、直営店売上46百万円。 利益面では、ショッピング売上が伸びた事等で原価率が0.6ポイント上昇したものの、諸経費の抑制が成果をあげ、販管費はほぼ前年同期並み(同1.4%増)にとどまった。

上期末の国内カーブス店舗数は前年同期末(1,397店舗)に比べて137店舗増の1,534店舗(内グループ直営店50店舗)、会員数は同61千人増の650千人(前期末は1,475店舗、641千人)。カーブス会員の年齢別構成比は、30代以下5.4%、40代11.1%、50代26.0%、60代37.2%、70代以上20.3%。40代以上が94.6%を占めた。
 
 
1店舗当たりの会員数が減少したのは、季節的な要因によるところが大きい。冬場は会員の施設利用率が低下するため、この上期は会員募集よりもサービス強化を優先した。また、現在、退会率の低い紹介入会(新入会の60%を占める)に力を入れており、春から夏にかけて紹介入会がピークを迎える。
 
 
2店舗の閉鎖で売上高が7億66百万円と前年同期比2.8%減少したものの、不振店の閉鎖効果に加え(地代家賃:△8百、人件費:△9百万円、備品消耗品費:△14百万円)、原油安による水道光熱費の減少(△41百万円)もあり、セグメント損失が前年同期の1億10百万円から63百万円に減少した。主力の「東京健康ランドまねきの湯」では、温泉掘削が完了し、14年11月に天然温泉による運営が始まった(光熱水道費の削減効果や集客効果が期待できる)。また、事業セグメント間のシナジーを追及するべく、カラオケ本舗まねきねこを併設した。

上記の他、不動産管理事業が売上高1億57百万円(前年同期比13.7%増)、セグメント利益69百万円(同9.0%増)。
 
 
業容拡大で上期末の総資産は270億36百万円と前期末に比べて11億10百万円増加した。借方では、売上と店舗の増加で売上債権や有形固定資産が増加した他、K BOXを連結した事で、前期末は21百万円だった「のれん」が11億71百万円に増加(この影響で関係会社株式が17億20百万円から31百万円に減少)。貸方では、円安による為替換算調整勘定の増加等で純資産が増加した他、仕入債務や有利子負債もわずかに増加した。流動比率120.8%(前期期末117.1%)、固定比率129.9%(同127.7%)、自己資本比率48.1%(同48.5%)。
 
 
利益率の高いカーブス事業の売上増に加え、カラオケ事業も収益性の改善を伴って売上が増加した事で営業CFが大幅に増加。一方、設備投資関連やM&A関連の支出の減少で投資CFのマイナス幅が縮小したため、前年同期は35億49百万円のマイナスだったフリーCFが15億83百万円の黒字に転じた。財務CFがマイナスになったのは、フリーCFが改善したため新規の借り入れを抑制できた事と自己株式の取得及び配当金の支払いによる。

尚、14年12月に、東証の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により、500千株(取得価額900,500千円)の自社株買いを実施した。
 
 
2015年8月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比15.8%の増収、同15.9%の経常増益
通期業績予想に変更はなかったが、上期の実績を踏まえると、カーブス事業(15/8期期末の前提:店舗数1,565店舗、会員数684千人)に上振れ期待がある一方、温浴事業に下振れリスクがある。また、現状では概ね期初予想に沿った着地が予想されるカラオケ事業では、消費税増税から1年が経過したことにより既存店売上高が同2~3%減少するとみており、K BOXや(株)ムーンの体制整備で利益率も悪化する見込み。

配当は1株当たり15円の期末配当を予定しており、上期末配当と合わせて年30円となる(14年9月1日の株式分割を考慮すると、実質2.5円の増配)。
 
 
(2)セグメント別の取り組み
カラオケ事業
神奈川県を中心に20店舗(ネットカフェ1店舗を含む)を展開する(株)ムーンを4月1日付けで子会社化したため(上期の新規出店15店舗と合わせて35店舗)、通期の国内新規出店計画35店舗は既に達成されている。営業面では、アーティストとのコラボレーションやキャラクター戦略などカラオケコマンダー「すきっと」を通じた各種コンテンツ戦略を推進する。5月に全店舗でのポイントサービス「Ponta」の導入を予定している他、アジアを中心(中国、台湾、香港)にインバウンド需要への対応も強化する。尚、(株)ムーンの直近14/3期は売上高15億34百万円、当期純利益23百万円。期末純資産1億31百万円、総資産4億73百万円。

海外では、韓国コシダカの店舗数が期末までに9~10店舗に拡大する見込み。郊外型、繁華街型共に出店ノウハウの蓄積が進んでおり、「5年以内に100店舗」を目標にFC展開や企業提携を模索していく。一方、シンガポールを拠点とするK BOXは店舗の見直しに伴い、1店舗程度の減少が見込まれる(上期末11店舗)。K BOXの今期は、売上高20億円、のれん償却前での損益均衡を目指している。

この他、人事戦略として、若手人材を積極的に登用していく他(執行役員制度を導入した(株)コシダカで3名の30代執行役員が誕生)、有給休暇の取得奨励やダイバーシティを推進していく。
 
カーブス事業
14年10月に目標としていた1,500店舗を達成したため、目標を1,800店舗に引き上げたが、年間の閉店が1~2店舗にとどまる等、既存店の好調が続いているため既存加盟店の増店意欲は引き続き旺盛だ。新規出店は既存加盟店の増店のみに限定しているが、現在の出店ペースを維持すると17/8期中には目標に到達する。同社自身は、カーブス店舗間での競合に注意を払い、店舗数の上限目標を慎重にみているが、店舗運営や会員募集における既存加盟店の努力は同社の想定以上。実際の出店余地も同社の想定以上に大きい可能性がある。

このため、更なる目標の引き上げも視野に入れ、会員募集を強化すると共に、コーチスキルの向上や会員ニーズに合った商品の開発等で会員満足度の向上にも取り組んでいく。会員満足度の向上に向けた取り組みの一環として、筋力、平衡性、柔軟性がわかる「上体起こし」、「片足立ち上がり」、「長座体前屈」の3つの測定項目で体力年齢を推定できる「体力年齢測定プログラム」(独立行政法人国立健康・栄養研究所 宮地元彦氏監修)を全店舗で導入する予定。また、「未病率の改善」や「健康寿命の延伸」をテーマに自治体との連携も強化していく考えで、既に鳥取県大山町と事業進出協定の締結や神奈川県認定の健康啓発施設(未病センター)開設等で成果をあげている。
 
温浴事業
シニア層から若年層までの幅広い年齢層の取り込みを図る営業戦略と省エネルギーの取り組みを引き続き推進する。幅広い年齢層の取り込みでは、販促活動の強化とコンテンツの拡充に努め、この一環として、郡山湯処まねきの湯でビュッフェを開設した他、女性サウナイベント(箕郷温泉まねきの湯)やキッズ向けイベント「ヒーローショー」(郡山湯処まねきの湯)等を開催している。省エネルギーでは、全店舗で節水シャワーやガスを燃料に発電と給湯を同時に行うコージェネレーションを導入済み。また、「東京健康ランドまねきの湯」を天然温泉にリニューアルした。
 
 
今後の注目点
カラオケ事業では、昨年4月の消費税増税の影響も少なく、同業他社が苦戦する中で既存店が堅調に推移した。過去2~3年は第1四半期後半から第2四半期前半にかけて売上が落ち込んだが、今期は特段の落ち込みがなかったと言う。また、首都圏での集中出店も成果をあげている。その先兵となった新宿歌舞伎町店(東京都新宿区)は1年目こそ苦戦したが、2年目から3年目にかけてオペレーションが軌道化し、その後好調が続いている。同社の店舗運営の特徴である「安心、安全、リーズナブル、フレンドリー」が利用者に浸透した事が好調の背景にあるようで、大手チェーン間の競争が激しい首都圏でも、これまでに培ってきたノウハウが強みとなる事が証明された。このため、同社は「首都圏攻略」に自信を深めており、4月16日に開催された決算説明会でも自信のほどをうかがわせた。上記のノウハウは企業文化に起因するものであり、他社は容易に追従できないと思われる。

カーブス事業では、当面の目標としていた1,800店舗が視野に入ってきたが、いずれ目標店舗数が引き上げられる可能性がある。同社自身は、カーブス店舗間での競合に注意を払い慎重だが、既存加盟店オーナーの事業意欲は旺盛で、店舗運営や紹介入会・退会防止に力を入れており、実際に成果もあがっている。このため、同社の想定以上に店舗網の密度を高める事ができそうだ。

一方、温浴事業は苦戦が続いている。省エネ施策は順調に進んでいるが、トップラインの引き上げで成果が今一つ。上期は原油安の恩恵も受けたが、コスト削減には限界があり、損益分岐点を超える売上を安定的に確保できる体制を早期に確立する必要がある。

今後は海外展開にも注目していく必要がある。カラオケ事業はビジネスモデルが確立できた韓国での事業展開を加速する考えで、来期は、より具体的な計画が示されそうだ。また、現在は事業化が日本に限定されているカーブス事業も、将来的な海外展開の可能性を否定するものではないようだ。