ブリッジレポート:(2428)ウェルネット vol.4
(2428:東証1部) ウェルネット |
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企業名 |
ウェルネット株式会社 |
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社長 |
宮澤 一洋 |
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所在地 |
東京都千代田区内幸町1-1-7 |
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決算期 |
6月末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年6月 | 7,600 | 1,473 | 1,488 | 913 |
2013年6月 | 6,866 | 1,393 | 1,420 | 759 |
2012年6月 | 6,254 | 1,198 | 1,278 | 728 |
株式情報(3/13現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、商品やサービスを購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする「快適な直売プラットフォーム」を提供することを基本コンセプトに事業を展開。 主力サービスであるマルチペイメントサービスは、国内大手航空会社、大手高速バス会社、大手通販会社等豊富な導入実績を誇る。創業以来、常にチャレンジを続ける企業DNAも大きな特徴。 【沿革】
北海道のガス、燃料販売会社の(株)一高たかはしの、新規事業開発をミッションとした子会社として誕生。当時すでにコンビニエンスストアの店頭での公共料金の支払い取り扱いは始まっていたが、これが通信販売に拡大するとの動きを捉えて事業化に着手した。 請求書の印刷・発送から収納情報の処理まで一貫運用する「請求書発行代行サービス」、コンビニエンスストアの店頭で24時間365日支払が可能な「コンビニ収納代行サービス」を開発。販売事業者にとっては多額な開発コストのかかる収納システムを無償で配布したことにより、同社システムは急速に普及した。 続いて、紙の請求書を使用せずリアルタイムで電子請求・電子決済を同社1社との接続で実現できる、現在の中心システムを開発。利便性及び様々な収納機関と接続するための開発や契約が不要な点が評価され、航空会社、バス会社等による導入が進み、業績は順調に拡大。2004年JASDAQに上場した。 その後も、Amazon、ヤフーショッピング、楽天オークション、LCC(格安航空会社)といった大手企業への「マルチペイメントサービス」提供が進んでいる他、数多くの実績を誇るケータイチケットサービスの提供等、近年急速に進んでいる電子チケットサービスにも注力している。 【市場環境】
経済産業省の「平成25年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2014年8月26日発表)によれば、日本の消費者向け電子商取引市場(B to C)の市場規模は2013年11.2兆円で、前年に比べ17.4%の増加となった。
一方経産省調査の上記調査によれば、EC化率(商取引のうちどの程度がインターネットを通じて行われているか)は小売・サービス業全体で3.67%とまだまだ小さいものの、着実に上昇している。 これらのことから、電子商取引の伸び率は当面年率10%程度のスピードで拡大していくと見られている。 【事業内容】
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、サービスや商品を購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、同社の直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする快適な「直売プラットフォーム」を提供している。提供するサービスは①マルチペイメントサービス、②オンラインビジネスサービス、③電子認証サービスの3サービスから成る。 (1)マルチペイメントサービス
「売上高7,056百万円、売上構成比92.8%(2014年6月期実績)」
同社の受取手数料(売上高)は、初期設定料、月額基本料金、1決済毎の手数料などで構成されている。また手数料は固定制と従量制で構成されているため、事業者の初期投資を低減させている。 ①E-Billing(電子決済)サービス
Billingサービスとは異なり、決済に必要な請求書の作成及び郵送を行うことなく、ウェルネットサーバとコンビニエンスストアに設置されているKIOSK端末、POSレジ、ATMでの現金決済や、ネットバンキング、クレジットカード、電子マネー等を利用して決済を行うサービス。
<各利用方法>
◎KIOSK端末の場合消費者がインターネット等で注文や予約をし、その際に示された決済番号を端末に入力すると、注文内容が画面表示される。その内容が正しければ「確認」ボタンを押すと、バーコード付受付票が出力されるので、その後その受付票を持ってレジで代金を支払う。 ◎POSレジ&ATMの場合 レジで店員に「オンライン決済」と告げるとPOSレジのタッチパネルにテンキーが表示される。そこに消費者が決済番号を入力すると、画面に注文内容が表示される。内容が正しければ「確認」ボタンを押して代金を支払う。ATMの場合もほぼ同様の画面操作を行い、現金またはキャッシュカードで代金を支払う。 <メリット&特徴>
請求書や払込票を作成、送付する手間とコストを掛けること無く、リアルタイムの電子請求・電子決済を同社1社との接続によりワンストップで実現できる。
販売事業者は様々な収納機関(コンビニ、銀行、郵便局等)と接続するための開発や契約を個別に行う必要がなく、同社との契約のみでさまざまな決済手段を消費者に提供できる。
情報授受用モジュールは同社が無償提供。
最新の決済システムの開発や対応は同社が行うので、都度のシステム開発が不要。
延滞金や追加購入した場合等、収納内容(金額)に変更があった場合でも、同社の特徴である「リアルタイム」での対応により最新の金額による決済が可能。
2000年5月にサービス提供が開始されたこのサービスは、後述のように国内主要航空会社、主要高速バス会社、電力会社、大手通信販売会社等で利用され豊富な実績を誇っている。
②Billing(コンビニ収納代行・請求書発行代行)サービス
A:コンビニ収納代行サービス同社のバーコード付払込取扱票付請求書を発行するシステムと同社が契約するコンビニなどの請求代金回収経路を通じて、売掛金の回収業務を代行するサービス。 コンビニ・郵便局で支払可能なバーコード付払込取扱票付請求書は、同社が開発した払込取扱票発行・収納情報受信ソフト「コンペイ君」を使用することで、販売事業者自身が自ら簡単に印刷することができ、かつ入金情報受信及び入金消込も「コンペイ君」で行うことができる。 収納情報は、支払いがあった翌営業日(郵便局からの振込は2営業日後)に配信され、入金消込処理が自動化される。 現在、通信販売をはじめ燃料代金・各種会費等の主として後払い代金収納に利用されている。 <メリット&特徴>
全国のコンビニエンスストア(16チェーン。2014年12月時点)で24時間365日支払可能なので、郵便局・銀行の営業時間を気にする必要が無い。
パッケージソフトウェア「コンペイ君」を無償で提供するため、販売事業者は約1か月で運用開始可能。
自社で払込取扱票を印字でき、収納データもバーコードの数字だけなので顧客情報漏洩の心配が無い。
同社がバーコード付払込取扱票付請求書(銀行振込の場合は払込依頼書付請求書)の印刷・封入・封緘・郵送までを代行し、かつ入金確認及び入金消込まで、トータルに請求書発行・収納業務をサポートする。 特に物流を伴わないサービス等(ガス料金、各種会費)の代金収納に利用されている。 また、情報授受と収納情報授受を自動的に行うサービス(請求書発行・収納代行パッケージ「ところくん」)も提供している。 ③ネットDE受取(送金)サービス
キャンセルに伴う返金など、販売事業者から消費者への振込を、インターネットを利用して、より効率的に行うサービス。消費者は販売事業者から受け取ったIDを利用して専用サイトにアクセスし、振込みを受けるための口座情報を入力する。 <メリット&特徴>
消費者が入力した情報をもとに口座確認が行われ、自動的に振込処理が行われるため、販売事業者自らが口座確認を行う必要が無く、事務負担が軽減される。
返金処理の当日対応が可能なため、販売事業者にとっては顧客満足度向上につながる。
販売事業者は返金システムの開発が不要。
口座情報を保持する必要もないため、個人情報保護に関するリスクを低減できる。
④コンビニ現金受取(送金)サービス
「ネットDE受取サービス」同様、販売事業者から消費者へキャンセルに伴う返金などを行うサービスだが、「ネットDE受取サービス」と異なり、銀行口座が不要。ローソンの店頭KIOSK端末「Loppi」に消費者が販売事業者から交付された現金受取番号とIDを入力し、発行された引換券を店頭レジへ持参すると現金を受け取ることができる。 <メリット&特徴>
販売事業者は消費者の口座情報を持つリスクを回避できる。
郵便振替や銀行振込の手数料が発生しないことから、コスト削減が可能。
口座情報の誤りによる差し戻しなども発生せず、スムーズに返金を受け取ることができる。
⑤その他サービス
マルチペイメントサービスを特定の販売事業者向けにカスタマイズし、運用まで含めたサービス提供を行っている。
(2)オンラインビジネスサービス
「売上高500百万円、売上構成比6.6%(2014年6月期実績)」
①PINオンライン販売サービス
コンビニの店舗に設置されているPOSレジ・KIOSK端末と同社サーバー間のネットワークを利用し、携帯電話・国際電話・電子マネーなどのプリペイドカードをオンラインで販売するサービス。
②プリペイド方式のギフトカード販売サービス
コンビニの店舗に設置されているギフトカードモールで取り扱う、POSレジでPINをアクティベートすることで使用可能になるゲームや音楽購入用のギフトカード販売サービス。
<メリット&特徴>
オンライン販売により、従来のようにあらかじめカード形式のプリペイドカードを仕入れる必要がない。
販売時点の仕入となるため、キャッシュ・フローを大きく改善させると同時に欠品がなくなる。
取り扱うカードの増加、変更などが容易となるなど、オンラインシステムならではのメリット多数。
③各種申込サービス
コンビニに設置されているKIOSK端末を利用し、漢字検定、英語検定といった検定試験や大学受験、模擬試験などの各種申込を行うことができ、決済までをあわせてワンストップで行うことができるサービス。
(3)電子認証サービス
「売上高43百万円、売上構成比0.6%(2014年6月期実績)」
①電子チケットサービス
スマートフォンや携帯電話の画面に表示される二次元コードをチケットなどに利用できるシステム。マルチペイメントサービスと一緒に利用すると、申込~決済~チケット受取の全てをスマートフォンや携帯電話、PCで完結できる。 消費者がインターネットでチケット等を予約しマルチペイメントサービスで決済を済ませると携帯電話にメールが配信される。メールに記載されたURLにアクセスすると、二次元コードのチケット画面を取得でき、取得した二次元コードをコードリーダーにかざすことで入場認証を行う。 <メリット&特徴>
紙のチケット・クーポン・会員証の製作及び送付が不要。
受付からチケット発行までがオンラインで処理できるため開催まで間際まで販売できる。
ペーパーレスなので環境に優しい。
入場記録が残るのでマーケティングデータとしての利用が容易。
同社では、航空券用QRコードを日本で初めて実用化。以降、スポーツ観戦等の大規模入場認証システムに豊富な実績がある。
②「SUPER SUB」サービス
チケット発行・決済・認証をワンストップで提供するオンラインチケットソリューション。個別開発やサーバーのつなぎ込といった複雑なステップが不要なため、企業のみならず一般個人も主催者登録が可能。 航空会社、バス会社といった既存の大口事業者に加え、低コストで効率的に利用事業者数を増大させることを狙い、2012年6月に提供を開始した。 <メリット&特徴>
イベント等の主催者は、開催期間、会場、チケット単価など基本的情報を同社が提供する登録画面に入力するだけで、簡単にイベント受付、チケット受付・販売ページを作成することができる。(現在はPCサイトのみ)
同画面のリンクを自分のイベントページに設置するだけでチケット販売を開始できる。
参加申込者はPC、スマートフォン、携帯電話からチケットを購入できる。
発券されたチケットにはQRコードが付き、専用のアプリで入場認証を行う。確実に認証でき、スムーズなイベント運営をサポートする。
マルチペイメントサービス同様、豊富な決済手段を提供している。
申込から導入、チケット発売までおおよそ3週間程度と短期間で稼動させることができる。
初期費用、月額基本料は無料。コストはチケット発行手数料の5%のみで、運用コストは格安。
常設施設の入場券のみならず、期間限定イベント、ライブ、講演会・セミナー、地域イベント、有料パーティー、同窓会など、10~5,000人規模のイベントに適している。
後述のように、同社は2016年6月期、営業利益20億円、ROE15%を目標として掲げている。 2014年6月期末の自己資本は8,156百万円、当期純利益が913百万円であった。 913百万円の50%にあたる456百万円が自己資本から流出すると、自己資本は77億円となる。 今期、来期ともに利益を全て還元すると自己資本が積み上がることはないため、2016年6月期の営業利益が20億円となれば、当期純利益は12億円程度と試算され、ROEは約15%になると会社側は説明している。 |
特徴と強み |
①豊富な導入実績&強固な顧客基盤
同社のマルチペイメントサービスは、導入時の開発費および収納機関との個別契約が不要というハードルの低さが評価され、下記の様に業界を代表するリーディングカンパニーに導入されている。特にリアルタイム性が求められる航空会社、バス会社からの評価の高さは同社にとって大きな財産となっている。 この強固な顧客基盤は同社を支える重要な「見えざる資産」と評価できるだろう。 ②常にチャレンジを続ける企業DNA
E-Billingサービス、Billingサービス、各種送金サービス、ケータイチケットサービスなど、同社の開発した様々なシステムはほぼ全てが日本で初めて実用化されたものとなっており、加えて同システムの優秀さは、上記実績が証明している。同社は大企業の系列であるわけではなく、ヒト・モノ・カネといった経営資源が決して豊富な状態でスタートした訳ではない。 にもかかわらず電子決済の分野で「デファクトスタンダード」とも言える地位を確立することができた大きな要因の一つには、同社が創業時から生まれ持つ、「常にチャレンジを続ける」という企業DNAがあるのだろう。 宮澤社長は、ビジネスの意味、醍醐味を「自分の可能性を信じ続け、自分があったら便利だなと思う仕組みを自らリスクをとって開発し、すぐに提供できる具体的な形として提供する事」と考えている。 また、インタビューの中でも、「自社でなければできないものを世の中に送り出す事こそが同社の存在意義であり、それが無ければ企業として存在する意味が無い」と述べていた。 社員数は80名弱と小さな所帯ではあるが、後述する「ウェルネットアレテー」に代表される理念、心得をしっかりと掲げていることも企業DNA継承のカギとなっていると思われる。 |
2015年6月期第2四半期決算概要 |
マルチペイメントサービスが牽引し、増収・増益。計画も上回る。
売上高は前年同期比14.1%増収の42億円。EC市場の拡大に支えられ、今期も引き続きマルチペイメントサービスが牽引した。従来は原価と販管費に分けていたデータセンターに関するコストを、今期より全額原価に計上することとしたのに加え、オンラインビジネスサービスにおいて利益率の高いPINの売上が低下したため、売上原価が同約2割増加し、粗利率も3.6ポイント低下したが、販管費が同17.0%減少し、営業利益は同14.1%増加の9億円だった。営業利益率は前年同期と変わらずの21.5%。期初計画に対して、売上・利益とも上回った。 <マルチペイメントサービス>
EC市場の拡大に支えられ、今上期も堅調だった。同社の主要顧客である路線バス会社、大手およびLCCの航空各社に加え、非対面決済の導入を進めているフェリー各社へのサービス提供も好調だった。 <オンラインビジネスサービス>
プリペイド型のPINオンライン(SNSやオンラインゲーム用電子マネー)の販売は減少した。一方POSでPINをアクティベートする(コンビニなどのレジで金額をチャージする)ギフトカードの新サービスは順調だった。 <電子認証サービス>
開発に注力してきたバスIT化プロジェクト「バスもり!®」の提供を開始した。(詳細は後述)予約から電子決済及びチケット発券までのパッケージである「SUPER SUB」の拡販、シリーズ化に注力した。 (3)財政状態とキャッシュ・フロー
◎要約バランスシート 固定資産は投資その他の資産の減少で同3億円減少し、総資産は同33億円増加した。 一方負債面では、収納代行預り金の増加などで流動負債が同32億円増加し、負債合計は同32億円増加した。 純資産は同1億円の増加。 この結果、自己資本比率は前期末の32.8%から0.8%上昇し33.6%となった。 (ただし、上記収納代行預り金を資産、負債から控除して計算すると、前期末74.7%、当2Q末73.5%となる。) (4)トピックス
中期3か年計画の中心的プロジェクトであり、かねてより開発に注力してきた都市間高速バスを更に便利にするバスIT化ソリューションの開発を完了した。◎バスIT化ソリューション「バスもり!®」をリリース 「販売機会の極大化」を可能とする「快適な直売プラットフォーム」の提供を基本コンセプトとする同社が実現した一つの完成形でもある。 第1弾として、京王電鉄バス株式会社、アルピコ交通株式会社が共同運行している、中央高速バス新宿-松本線に2014年12月19日より導入された。 導入されるソリューションは、日本初のバスユーザー向け「バスルート探索スマートフォンアプリ(商品名:バスもり!ナビ)」と、タブレット端末を利用したバス会社向けの「高速バス予約情報のリアルタイム管理サービス(商品名:バスもり!MONTA)」の2つ。 【バスユーザー向け「バスルート探索スマートフォンアプリ」バスもり!ナビ】
初めての街を訪れた際、バスを利用しようと思っても、利用者に物理的にはバスは見えているが、自分の目的地まで連れて行ってくれるバスはどこの停留所から何時に出て、どの停留所で降りてそこからどう歩いて行けばいいのかを指示してくれるものは無い。このように、「乗ってもらいたいのに乗ってもらえないバス会社」と「乗りたいのに乗り方が分からない利用者」を直接つなぐのがスマホ用アプリケーション「バスもり!ナビ」。 システム開発と運営管理はウェルネットが担当し、ダイヤ情報等をバス会社が登録する両社による協働プラットフォームである。 ユーザーは「バスもり!ナビ」アプリをスマートフォンにダウンロードし、スマホ画面の地図上で、現在地と目的地を指定して経路を検索すると、現在地から最適な乗車バス停までの経路と、降車バス停から目的地までの経路が表示される。 都市間高速バスの場合は、乗車券の購入もできる。(現在は新宿-松本間の中央高速バスのみに対応。) これにより、物理的に見えていただけのバスが、本当に「見える」ことになり、バス利用者の増大につながると考えている。 【バス会社向けの「高速バス予約情報のリアルタイム管理サービス:バスもり!MONTA】
モバイルデータ通信によるリアルタイム在庫管理を実現した「バスもり!MONTA」は以下のような機能が特長で、運転手の負荷を軽減し、販売機会の極大化をもたらす。①電子座席表:現在運行しているバスの予約状況、空席状況が把握できる。 ②乗車券販売:決済が済んでないユーザーが乗車した場合 乗車区間の料金を表示できる。 ③乗車券確認・認証:ユーザーの乗車券を認証し オンライン処理を行い、予約情報を更新する。 また、利用が広がればユーザーの多様かつ膨大なデータを収集することとなるため、より効率的なバス運行のための有効な情報やデータをバス会社に提供し、新規参入があった際の競争優位性の確立も目指している。 |
2015年6月期通期業績見通し |
業績予想に変更無し。小幅ながらも増収・増益を計画。今期も純利益9億円を100%株主に還元。
売上は、前期比7.9%増の82億円。オンラインビジネスは減収が続くが、主力サービスであるマルチペイメントサービスは、航空会社、バス会社等主力顧客を中心に引き続き堅調な成長を見込んでいる。原価計上方法の変更、PIN販売減少の影響などで粗利は減少するが、札幌で行っている開発体制を、従来のスピード最優先から競争力強化・効率性向上も重視したものに変革させるため年間3億円程度かけている外注費を縮小し、内製化を進めること等から販管費も減少するため、営業利益は同5.2%の増益を計画している。 中期経営3か年計画の配当方針に従い、純利益925百万円全額を株主に還元する予定。 配当性向を50%とし、1株当たり配当は前期比1円増配の48円へ。残額全てを自己株式の取得および消却に充当する。 (3)中期3か年計画の見通し
同社は中期3か年計画において営業利益 2015年6月期15.5億円、2016年6月期20億円を掲げている。来期2016年6月期に関しては現時点で、既存ビジネスに拡充による決済トランザクションの増加、収益拡大に注力することで17.5億円はほぼ見えてきた。 残り2.5億円を新たなビジネススキームおよびカイゼンで全社挙げて挑戦する考えだ。 |
宮澤社長に聞く |
宮澤一洋(みやざわ かずひろ)社長は1960年2月生まれの現在55才。1996年3月にウェルネットの親会社であった(株)一高たかはしに入社。同年9月ウェルネットへ取締役営業部長として入社。2009年9月社長に就任した。 一高たかはしの当時の経営者は、チャレンジに意欲や想いを持った人間にチャンスを与えることを経営の根幹においていた人物だった。ただ、一高たかはしは上場企業でかつ利益もしっかりと計上していたため、社内で新規事業を立ち上げることには課題もあったため、新会社を設立した。それがウェルネットであった。 3年間という猶予を与えられた宮澤氏は、営業部長として持ち前のバイタリティで奮闘し、1997年に立ち上げた「コンビニ収納代行サービス」を軌道に載せることができた。 <中期3か年計画の進捗について>
バスIT化ソリューションはやや遅れたものの、日本初となるサービスをリリースすることが出来た。まずは新宿―松本線のみだが、北海道と離島を除く日本全国の都市間高速路線をカバーしている当社としては、バス会社の経営に資するため、多くのバス会社にこのソリューションを提供していきたい。
特にサービス提供の中で収集される膨大なビッグデータを産官学共同で解析・実証し、効率的なバス運行などを通じたバス会社の経営リソース最適化を提案できる会社を目指す。たとえ低価格で同種のサービスを提供するベンチャーが登場しても顧客に新たな価値を提供し価格競争に巻き込まれないような状況を構築する。
当面は、2016年6月期営業利益のチャレンジ分2.5億円のうちの、1億円を目指す。ややハードル高いかもしれないが、挑戦したい。また、その後もじっくりと大きなビジネスに育てていく。
中期3か年計画のもう一つのテーマである「コンシューマ向けサービスの開発・提供」はやや遅れており、この4月から着手する。当社が手掛けてきた決済サービスのコアは、事業者向けの販売代金回収モデルが主流だが、これに加え便利なコンシェルジュ機能をスマートフォンのアプリケーションとして提供することで、支払者となるコンシューマ側に立った支払代行サービスを提供していく。
<企業理念の浸透と人材育成について>
一高たかはしのチャレンジする姿勢をDNAとして引き継いだ社長としての私の役割は、これを社員に伝え、根付かせることだと思っている。
そのためには、新しいビジネスモデルを背負っていける責任者を育成しなければならない。そうしたこともあり、新規事業育成は私の直轄で進めている。
次代を担う人材を育てるにはとにかく経験させてあげることが重要と考えているので、これはという人間には「お試し期間」と称して、6か月から1年間、給与はそのままに、責任ある地位に付かせて部下も付けマネジメントを行わせ適性を見ている。
年間複数人で行っているが、これをきっかけに責任感を強く感じる人間も多く、大変頼もしいが、一方でマネジメントよりも現場で開発に取り組む事に生き甲斐を見出す人間も多いため、適材適所で人材を育成していく。
ウェルネットのベンチャー精神を浸透させるためにはとにかく社員と対話することが重要と考えており、月に2回程度は全社員の約7割が在籍する札幌事業所に足を運び、様々な機会を設けて対話を繰り返している。
<理想とする会社の姿>
会社の基本方針や社員にあるべき姿を記したウェルネットアレテーにもあるように、いつまでもベンチャー精神を持って「あったら便利な仕組み」を作り続ける会社であり続けたい。
ただ、一方でここのところ急速に事業規模が拡大し開発工程が急増したため、外注が増加し、自ら動くという瞬発力が低下しているように感じている。このため現在は「開発の内製化」を大きなテーマとして、採用を積極的に行っている。
景気回復で人材確保の困難さが言われているが、当社に限れば受託開発・下請ではない点が就職希望者に評価が高い。また北海道という土地で働きたい、北海道に帰って仕事したいという人も多く、採用は順調に進めることが出来ている。
付加価値をいかに作り出すかを最も重視している。「一人当たり生産性」で一番の会社を目指したい。
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<参考:中期経営3か年計画> |
◎中期経営3か年計画の成長戦略
成長を支える両輪として、①次世代を担うビジネススキームの確立、②カイゼン(機能拡充・システムの安定運用・コストパフォーマンスの向上=筋肉質の企業体質作り)の2つを掲げている。
◎成長シナリオ達成に向けた体制・ガバナンス
成長戦略の両輪(「事業開発」と「カイゼン」)を強力かつスピーディーに推進するために、これら関連プロジェクトを社長直轄として推進することとしている。また、若手社員の積極的な登用とともに、必要な人材は外部にも求め「想いを共有できる人」を採用し、目標を達成できる体制を整え、目的達成へのモチベーション高揚のためにストックオプションなど諸施策も有効に活用する考えだ。 社員教育にも力を入れており、会社としての存在意義と社員の行動指針を“ウェルネットアレテー”として定め実効性のあるガバナンスを実現しているが、これを改めて徹底させる。 (アレテーとはギリシャ語で、「徳」、「優れた者」、「卓越したもの」を意味する。) *ウェルネットアレテー
“あったら便利なしくみ”を作り続けることで社会に貢献します。
その「しくみ」を広く世の中に提案・普及させます。
そこから得た「利益」を社員、株主、次の投資として配分します。
*ウェルネット社員アレテー
既成概念にとらわれず発想します。
まず自分の頭で考え、全体最適な提案をします。
議論はオープンに行い「決めるべき人」が決め、組織として実行します。
「誰が」「何を」「いつまでに」を常に明確にします。
実行結果を検証し、さらに改善、を繰り返します。
報告は正直、正確、迅速に行います。
提供役務と対価を文書化して合意後に取引を行います。
清廉を旨とし、接待、贈り物を受けません。
◎数値目標
1年目、2年目に戦略的投資を実施し、最終年度2016年6月期営業利益20億円達成を目指している。2014年6月期の期初目標は14.5億円だったが、実績は14.7億円と上回った。 達成に向け全社一丸で取り組んでいるということだ。 ◎株主還元
○株主へ中期経営計画中の利益を100%還元信用力維持、中核事業の拡充、新規事業開発の原資として今後も必要十分な手元資金は維持していくが、すでに財務面の健全性は十分に備わったと判断しており、今後は、株主への還元を今まで以上にダイナミックに行うこととし、中期経営計画中の利益は100%株主に還元する。 具体的には下記の2施策を実行する。 A) 中期経営計画中の配当性向を特殊要因は除いて、従来の33.3%から50%に引き上げ、株主への安定的で高い配当利回りを目指す。 B) 税引後利益のうち、配当後残額のすべてを自己株式の取得・消却に充当し、利益の100%を株主に還元する。 現状保有する自己株式は売渡請求用の自己株式、株式給付信託「J-ESOP」等を除き消却し、新たに取得した自己株式は、用途を目標達成のためのストックオプション等に限定し、その他は消却する。 ○ROE目標15%(2016年6月期) 成長戦略の着実な推進、収益力の強化、配当額増加、自己株式の取得・消却を実施し、ROEの向上およびEPSの増加を目指す。 |
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