ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.31
(4829:東証1部) 日本エンタープライズ |
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企業名 |
日本エンタープライズ株式会社 |
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社長 |
植田 勝典 |
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所在地 |
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8 |
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決算期 |
5月 末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年5月 | 4,508 | 335 | 340 | 437 |
2013年5月 | 4,134 | 372 | 391 | 354 |
2012年5月 | 2,790 | 304 | 318 | 170 |
2011年5月 | 2,370 | 266 | 283 | 168 |
2010年5月 | 2,147 | 150 | 173 | 77 |
2009年5月 | 2,475 | 292 | 317 | 175 |
2008年5月 | 3,123 | 572 | 578 | 272 |
2007年5月 | 3,677 | 774 | 783 | 447 |
2006年5月 | 3,416 | 694 | 688 | 418 |
2005年5月 | 3,018 | 587 | 570 | 348 |
2004年5月 | 1,958 | 205 | 168 | 226 |
2003年5月 | 1,752 | 134 | 131 | 58 |
2002年5月 | 1,704 | 51 | 53 | 23 |
2001年5月 | 1,417 | 301 | 262 | 126 |
株式情報(1/16現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
自社開発へのこだわり
配信するコンテンツを自社開発する事で「提供するコンテンツの権利を自社で保有(高い収益性を実現できる)」する同社独自のビジネスモデルをベースとし、携帯電話販売会社との協業による成功報酬型コンテンツ販売(独自に開発したリアルアフィリエイト)システムと連動させる事でコンテンツの拡販に成功している。
企業グループ 連結子会社8社、非連結子会社4社
グループは、広告事業を手掛ける(株)ダイブ、音楽事業等を手掛けるアットザラウンジ(株)、交通情報を中心にした情報提供の交通情報サービス(株)、Web・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等の(株)フォー・クオリア、ネイティブアプリを主としたモバイルコンテンツ事業を手掛ける(株)HighLab、中国事業の統括に加え、携帯電話販売店を手掛ける因特瑞思(北京)信息科技有限公司、モバイルコンテンツの企画・開発・配信の北京業主行網絡科技有限公司、IT系の教育事業を手掛ける瑞思創智(北京)信息科技有限公司の連結子会社8社、及び音声通信関連のソリューションを手掛ける(株)and One、スマートフォン向けアプリケーションの企画・開発等の(株)会津ラボ、モバイル向けコンテンツ配信やキャラクタライセンス事業の瑞思放送(北京)数字信息科技有限公司、インド現地法人NE Mobile Services(India)Private Limitedの非連結子会社4社。
コンテンツの一例
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成長戦略と進捗状況 |
一方、ソリューション事業においては、受託開発(スマートデバイス)、広告(店頭アフィリエイト)、業務支援サービス(ソフトフォン、メッセンジャー等)、及び協業(アライアンス型)を成長ドライバーとして事業を拡大させていく。 (1)コンテンツサービス事業における取り組みの進捗状況
事業戦略 「コンテンツプラットフォーム」のグローバル展開
引き続きキャリア公式サイトでの月額課金とキャリア定額制サービスの拡大に取り組むと共に、「コンテンツプラットフォーム」のグローバル展開に向け、「App Store」や「Google Play」等のマーケットからコンテンツを入手するネイティブアプリを育成・強化していく考え。 尚、ネイティブアプリとは、スマートフォン等の端末にダウンロードして端末上で動作させるプログラムによって作られたアプリの事。フィーチャーフォン(FP)では、端末の性能上、ダウンロードせずにブラウザー上(サービスプロバイダーのサーバ上)で動作させるブラウザアプリが利用されていた。 キャリア公式サイトでの月額課金の拡大
携帯電話販売会社との協業、他社サイトとの連携、SNSプロモーション、及びコンテンツの横展開(キャリア定額制サービスでの二次利用)に取り組む事で販路を広げ収益拡大につなげていく。携帯電話販売会社との協業では協業先の新規開拓で取扱店舗が順調に増加しており、他社サイトとの連携では千葉県が少子化対策強化事業の一環として実施する実証実験に同社が開発したスマートフォン専用アプリ「Chiba Woman Diary」を提供すると共に運用業務を受託した。また、サービスの認知度向上と会員獲得に向け、SNSプロモーション積極的に展開していく他、コンテンツの二次利用を図るべくキャリア定額制サービスに横展開を進めていく。
キャリア定額制サービスの拡大
定額制サービスはコンテンツの二次利用につながるため収益性が高い。現在、「auスマートパス」(KDDI)、「スゴ得コンテンツ」(NTTドコモ)、「App Pass」(ソフトバンクモバイル)、「アプリ超ホーダイ」(ソースネクスト)を中心に、「Yahoo!プレミアム」(ヤフー)、「AppSeru」(インドネシア XL Axiata)の定額サービス向けにコンテンツを提供している。提供するコンテンツ数は定額サービスで先行した「auスマートパス」向けが最も多いが、今後、「auスマートパス」で人気の高いコンテンツを、「スゴ得コンテンツ」や「App Pass」等に順次展開していく考え。 ネイティブアプリのラインナップ拡充・強化
ネイティブアプリについては、ゲーム(オリジナルのネイティブゲーム)、ツール(他のアプリと連動するツールアプリ)、ヘルスケア(女性の心と体の健康サポートアプリ)、コミュニティ(スケジュールの共有や掲示板形式のコミュニティアプリ)等のジャンルを強化すると共に、200万ダウンロードを突破した無料チャットアプリ「Fivetalk」との連携を図るスマートフォン向け「コンテンツプラットフォーム」を展開していく考え(キャリア公式サイトを離れた同社のプロパービジネスの育成)。「Fivetalk」については、機能を強化して差別化を図り1,000万ダウンロードを目指すと共にプラットフォームとして他のアプリとの連携に取り組んでいく。この他、女性向け健康サポートアプリ「女性のリズム手帳」(270万ダウンロード突破)やゲームアプリ「ひっぱれ!ネコPing プラネット」(60万ダウンロード突破)も順調にダウンロード数を伸ばしている。「女性のリズム手帳」については、会員獲得が進みアクティブ率も高い事からマネタイズ化を図ると共に、500万ダウンロードを目指して他のアプリとの連携や新たなビジネスモデルの構築にも取り組んでいく。一方、「ひっぱれ!ネコPing プラネット」はマネタイズ化に向け、ユーザビリティの改善や新機能の追加に取り組み、引き続きブラッシュアップを行っていく。この他、15/5期中にカジュアルゲームアプリ3タイトルの投入を計画している。 (2)ソリューション事業における取り組みの進捗状況
この上期は、広告(店頭アフィリエイト)事業が順調に伸びる中、業務支援サービス(ソフトフォン、メッセンジャー等)においてアプリの開発と販売体制の整備が進み、海外事業(中国・上海での携帯電話販売店の運営)も黒字転換した。広告事業については、15/5期第1四半期(6-8月)は販促を強化したNTTドコモの端末販売の拡大を追い風に売上が大きく伸びたが、継続率が低下した。これを受けて第2四半期(9-11月)は継続率の改善を優先した結果、売上が減少したが、新たな提携先の開拓による取扱店舗数の増加を背景に増収基調が続いており、高水準の売上を維持した。 「BizTalk」は、業務連絡・情報共有への特化と堅牢なセキュリティ(サーバや使用する通信デバイスを限定する事が可能)を特徴とする法人向けメッセンジャーアプリであり、チャット機能、メッセージスタンプ機能、画像送信機能、イラスト作成&送信機能、通話機能、パスコードロック機能等の基本機能を網羅している。このため導入が容易で導入と共に利用を開始できるが、必要に応じてカスタマイズにも対応できる。一方、「AplosOne」はスマートフォンを活用した内線番号による無料通話アプリであり、ビジネスフォンの基本機能を搭載している。この他、現在開発中のサービスもあり、リバースオークション(購買支援システム)「Profair」と合わせたパッケージ提案を強みに差別化を図り、販売を拡大していく考え。 また、この上期は直販と代理店販売による販売体制の整備も進み、大企業1万社、中小企業51万社、小規模事業者334万社の国内法人市場を開拓していく体制が整った。 「AplosOne ソフトフォン」の導入メリット
①スマートフォンを内線電話として使用できるため、デスク上のビジネスフォン(固定電話)が不要(オフィスの固定電話番号にかかってきた外線着信の従業員スマートフォンへの直接転送等、ビジネスフォンによる従来の内線電話環境と同等の環境を提供)。②本社・拠点とスマートフォン間の内線番号による無料通話が可能。 ③管理者が内線番号や顧客番号を一元管理して各端末に保有させる事ができる「WEB連絡帳」機能を搭載。 ④オフィスの固定電話番号(東京03、大阪06 等の0ABJ 番号)での外線発信が可能なため、個人所有のデバイスを業務で利用する環境においても、公私分計を気にする事なく利用可能。 海外事業(中国・上海エリアでの携帯電話販売店の運営)
中国・上海エリアで携帯電話販売店(チャイナテレコムショップ2店舗)の運営を行っており、キャリアの販売施策に左右されない収益構造の構築に取り組んでいる(前14/5期はキャリアの販売施策変更の影響で売上高が急減した)。具体的には、大口法人への外販営業、付属品販売の強化、及び効率的な人材配置による人件費削減等のコスト削減を推進しており、15/5期上期は営業損益の黒字転換を図り、売上にも底打ち感が出てきた。
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2015年5月期上期決算 |
前年同期比15.7%の増収、同58.3%の経常減益
売上高は前年同期比15.7%増の25億14百万円。ゲーム・交通情報をけん引役にコンテンツサービス事業が同8.2%増、広告(店頭アフィリエイト)事業が同2.1倍に拡大したソリューション事業が同24.8%増と、両事業共に順調に売上が伸びた。一方、営業利益は同60.9%減の62百万円。コンテンツサービス事業におけるキャリア定額制サービス向けコンテンツの寄与で原価率が51.8%と0.4ポイント改善したものの、同じくコンテンツサービス事業における広告宣伝費の積極投下(14/5上期:2億09百万円→15/5期上期:4億28百万円)に伴う販管費の増加を吸収できなかった。四半期純利益が増加したのは、投資有価証券売却益3億31百万円を特別利益に計上したため(前年同期は投資有価証券売却益1億07百万円を計上)。 尚、広告宣伝費は、店頭アフィリエイト関連、定額サービス関連、及びネイティブアプリ関連の3つに大きく分ける事ができ、定額サービス関連の広告宣伝費が投下した月に回収できるのに対して、店頭アフィリエイト関連は回収に6~10カ月を要し、ネイティブアプリ関連は事業育成のための種まきとしての位置付けである。また、店頭アフィリエイトは、キャリア公式サイトでの自社コンテンツの販売にかかるプログラム(コンテンツサービス事業の月額課金会員の獲得)と他社コンテンツの販売にかかるプログラム(ソリューション事業における広告)の2つに分かれる。 一方、ソリューション事業は検収案件の多寡で四半期ベースの売上の振れが大きくなるが、足元、スマートフォンやタブレット関連で開発案件は豊富。今期は第3四半期(12-2月)に検収のピークを迎える予定で、開発が順調に進んでいるようだ。 (3)株式会社 会津ラボの株式取得(子会社化)
14年11月28日、開発力の強化を念頭に、iOS・Androidアプリの開発及び受託開発を手掛ける(株)会津ラボ(福島県会津若松市)を子会社化した。2007年1月4日会社設立の(株)会津ラボは会津大学発のベンチャー企業で資本金29百万円。ネイティブアプリの開発力強化、エンジニアの持続的な供給、大学・自治体等との共同研究をベースとした日本エンタープライズアプリ開発による事業領域の拡大等の効果が期待されている。
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2015年5月期業績予想 |
通期業績予想に変更はなく、前期比13.8%の増収、同32.4%の経常減益
11月28日に修正した通期業績予想に変更はなかった。売上高は前期比13.8%増の51億30百万円。下期も好調を維持するキャリア定額サービスや広告が増加する他、受託開発の検収も進む。新サービス「AplosOne(ソフトフォン)」の開発期間が延びた事が売上の下振れ要因となるが、広告を中心に既存事業の好調でカバーしてほぼ期初予想に沿った着地が見込まれる。ただ、利益面では、ゲーム等のネイティブアプリの開発費の増加や販促強化に伴う広告宣伝費の増加が利益を圧迫する。期初予想との比較では、連結子会社(株)HighLabにおける無料チャットアプリ「Fivetalk」及びゲームアプリ「ひっぱれ!ネコPingプラネット」等への積極的なプロモーションを踏まえ、広告宣伝費を上積みした事が下振れ要因となる。広告宣伝費は、前期の5億15百万円から7億24百万円に増加する見込みで、期初予算(6億円)に1億24百万円上積みする。 尚、(株)HighLabは、ゲームを中心とした「ネイティブアプリ」の開発、メッセンジャーアプリとの相互連携による「コンテンツプラットフォーム」のグローバルに展開等を目的に14年4月に設立した戦略子会社である。 配当は普通配当を1円増配の期末3円
配当は、期初発表の通り、1株当たり3円の期末配当を実施する予定。記念配1円を落とし、普通配を1円増配する考えで、配当性向は65%となる予定。
(2)新株式発行及び株式売出し
14年12月に新株式発行と株式売出しを行った。新株式発行により調達した8億53百万円は、コンテンツサービス事業におけるゲームコンテンツ等のネイティブアプリの開発体制及びソリューション事業における法人向け情報システムの開発体制強化に向けた、人件費、外注費、専門分野の技能を有する人材の採用費、更にはネットワーク投資等に充当する予定している。また、株式売出しは、株主分布状況の改善及び株式流動性の向上を目的としたものだ。
公募及び売り出しの概要
公募 普通株式 2,357,000株、発行価格382円、調達額8億53百万円(発行総額9億円) 売出し 普通株式 464,000株 オーバーアロットメントによる売出し 普通株式423,000株 第三者割当増資
公募増資及び株式売出しに加え、「オーバーアロットメントによる売出し」に対応した第三者割当増資を、15年1月21日を払込期日として実施する。この第三者割当増資により1億53百万円の資金調達が追加され、調達する資金は公募増資により調達した資金と合わせて上記の投資に充当する。第三者割当による新株式発行 423,000株、払込金額1億53百万円 (1株当たり362.10円) ※14年11月末現在の発行済株式総数 : 37,700,000株 公募増資による増加株式数 2,357,000株 第三者割当増資による増加株式数 423,000株 14年1月末現在の発行済株式総数 : 40,480,000株 |
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