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(4709) 株式会社IDホールディングス

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ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.49

(4709:東証1部) インフォメーション・ディベロプメント 企業HP
舩越 真樹 社長
舩越 真樹 社長

【ブリッジレポート vol.49】2015年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「通期予想に対する進捗率は売上高で48.6%、営業利益で43.8%。下期偏重の同社業態からすれば業績は順調に推移しているといって良いだろう・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年1月13日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インフォメーション・ディベロプメント
社長
舩越 真樹
所在地
東京都千代田区二番町 7-5
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 17,578 735 765 372
2013年3月 16,446 427 448 -490
2012年3月 16,137 629 659 365
2011年3月 16,450 839 892 447
2010年3月 17,263 850 864 155
2009年3月 18,458 1,057 1,109 563
2008年3月 18,032 1,200 1,191 594
2007年3月 14,692 1,024 1,024 550
2006年3月 13,028 851 845 430
2005年3月 11,378 550 557 119
2004年3月 11,203 625 628 203
2003年3月 11,668 598 591 274
2002年3月 11,081 548 546 272
2001年3月 9,738 756 735 242
2000年3月 8,468 640 586 320
株式情報(12/30現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
910円 7,168,482株 6,523百万円 6.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 3.3% 75.33円 12.1倍 827.91円 1.1倍
※株価は12/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インフォメーション・ディベロプメントの2015年3月期第2四半期決算概要および舩越社長へのインタビューをご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場した。
 
【事業セグメント】
事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。
 
システム運営管理  (14/3期売上構成比60.7%)
1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウエアのカスタマイズからハードウエアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。
 
ソフトウエア開発・保守 (14/3期売上構成比35.8%)
500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。
 
その他 (14/3期売上構成比3.5%)
セキュリティ&コンサルティングを中心に展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が51.2%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが31.2%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が17.6%。
 
 
【IDグループ】
グループは、同社の他、国内外の連結子会社7社。このうち国内(4社)は、システム運営管理を手掛ける(株)日本カルチャソフトサービス(出資比率100%。以下、CS)、日本ユニシス(株)との合弁会社(株)ソフトウエア・ディベロプメント(同80%、SD)、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(同54.4%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(3社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでソフトウエア開発やシステム運営管理等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。
 
 
【IDグループのサービスの特徴  - i-Bos24®(ID's Business
 Operations-Outsourcing Service 24)-】
同社グループはコンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウエア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行する事で顧客の業務効率化に貢献する。
 
 
【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向
 
内閣府が12月8日に発表した14年7-9月の国内総生産(GDP)第2次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%減、年率換算で1.9%減となった。年率1.7%減、年率換算6.7%減の4-6月に続き2四半期連続のマイナスで、消費税増税の反動が大きく反映された形となった。一方、情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)の前期比は、4-6月には4.7%減と大きく減少したが、7-9月は同0.4%減と減少幅は縮小した。また、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(14年12月17日発表。10月確報値)を見ると、情報サービス全体および受注ソフトウエア売上高は、7-9月に消費税増税後の反動で前年同月比伸び率は低下したものの、10月はそれぞれ3.9%、5.1%と再び上向き、システム等管理運営受託売上高も好調に推移している。消費税増税の影響はあったものの、さほど大きな落ち込みには繋がらず、事業環境は引き続き良好のようだ。
 
(2)同社の取り組み
キーワードは、「BOO戦略」、「グローバル」、及び「iD-CLOUD」。具体的には、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を“i-Bos24®” のブランドで展開し、既存顧客1,000社から抽出した14企業グループを深耕する。また、「グローバルの推進」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本仕様で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携でグローバルなITサポート体制の構築を進めている。

一方、顧客企業のIT投資額に占めるクラウドコンピューティングへの投資比率は今後ますます増加することが予想されるため、「iD-CLOUD」の拡大に積極的に取組んでいく。
特に、クラウドの採用にあたり顧客企業が注視するのはセキュリティレベルの高さであるため、新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れ、クラウドおよびセキュリティとオペレーションを組み合わせた、より専門的なサービス提供を機動的に推進していく。
また、クラウド環境の設計・構築に欠かせないプラットフォーム系開発業務においては、要員育成による体制強化を進め、売上拡大を目指す考えだ。なお、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスのこと。

中長期的な経営戦略として「継続的成長」という基本的考え方のもと、重点戦略として①ダイバーシティの推進、②BOO戦略の推進、③クラウドサービスの推進、④グローバル推進、⑤グループ経営の効率化と業務プロセスを掲げる。17/3期に売上高210億円、営業利益率7.5%を目指す。
 
 
これまでの業績推移と今後のイメージ
 
 
2015年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比7.4%の増収、同19.1%の経常増益
順調な推移となった。売上高は前年同期比7.4%増の90億98百万円。第2四半期の過去最高を更新した。その他事業は減収だったが、良好な事業環境を受け、主力のシステム運営管理事業、ソフトウエア開発事業は増収となった。顧客別では、金融機関が前年同期比12.4%増と好調。全売上の約3割を占めるみずほファイナンシャルグループ向けが同12.8%と伸張した。情報・通信・サービスも同4.7%増と堅調だった。プロジェクトの採算性も良好に推移。また直接契約の売上高構成比も前年同期の75.3%から76.0%へと上昇したことも利益率向上に繋がった。パートナー企業向け外注費が増加し、賞与など人件費中心に販管費も増加したが増収で吸収し、営業利益は同16.3%増の4億12百万円、経常利益同19.1%増の4億24百万円、四半期純利益同23.3%増の2億30百万円と2桁の増益となった。
 
 
システム運営管理事業の売上高は前年同期比6.3%増の55億31百万円。主要顧客である金融系の大型案件、既存案件の要員増が寄与。また、一部顧客におけるプラットフォーム系開発業務の売上が拡大したほか、注力中のクラウド導入支援も好調だった。
ソフトウエア開発・保守事業の売上高は前年同期比10.5%増の33億16百万円。引き続き金融系が好調で、公共系も法改正対応により順調に推移した。
その他事業の売上高は前年同期比7.2%減の2億50百万円。コンサルティング及び製品販売が減少した。次の柱として育成中の分野が含まれているだけに、減収はやや気になるところとの会社側コメントだった。
 
 
四半期ごとに見ると、今2Qは前年同期比では増収増益だが、前期(1Q)比では増収減益だった。粗利率は前年同期比を上回り、前期と同水準。販管費率が前期より上昇しているのは賞与など一時的な要因のようだ。
 
 
15/3期2Q末の総資産は前期末比3億8百万円減の93億62百万円。売上債権が3億75百万円減少した。負債は前期末比4億34百万円減の31億49百万円。有利子負債が3億30百万円減少し、退職関連引当金が62百万円減少した。純資産は前期末比1億26百万円増の62億12百万円。利益剰余金が52百万円増加した。自己資本比率は64.5%で前期末比3.4ポイント改善した。
 
 
営業CFは、税金等調整前当期純利益4億23百万円、減価償却費61百万円、のれん償却額31百万円、売上債権の減少額3億85百万円、未払消費税等の増加額1億45百万円を主体に5億87百万円の流入となった。投資CFは、貸付による支出52百万円、有形固定資産の取得による支出31百万円主体に、98百万円の流出となった。財務CFは、短期借入金の純減少額3億円、長期借入金の返済による支出30百万円及び配当金の支払額1億75百万円を主体に5億3百万円の流出となった。
その結果、現金及び現金同等物期末残高は前期末比4億8百万円増加し26億17百万円となった。
 
(3)トピックス
◎米国Fow Corporationに戦略投資を実施
2014年7月、リアルタイム・ビッグデータを活用するシステムを開発している米国Flow Corporationへの業務戦略的投資を行った。
Flow社は、インターネット上のソーシャルデータや外部のデータ源などあらゆるリアルタイム・データを収集・分析した上で、ビジネスにおける意思決定の判断材料を求めているユーザーへ提供している。
IBM社は同社をコア・パートナーとして認定。また2013年のガートナー社の「Cool Vendor」にも選出されている。

IDは、40年以上のIT業界での実績を基に蓄積した自社のデータと、Flow社のリアルタイム・データ処理機能を融合させ、高度なリアルタイム分析を実施して、幅広い顧客に有用な情報を提供することを目指している。
一例としてはセキュリティ・ソリューション。
インターネット上に公開された新たなウィルスや攻撃手法のデータと、IDが管理する顧客の環境情報を統合して分析することにより影響を受ける可能性のある顧客に対しリアルタイムに情報を連携し対策を提案する事が可能になる。

投資額は50万USドル。今後は両社の連携を推進し最新の技術と最適なソリューションを融合することで、新規および既存顧客に最先端データ技術を提供していく考えだ。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
通期予想に修正はなく、売上高は前期比6.5%増の187億30百万円、経常利益は同22.8%増の9億40百万円を予想する。金融機関の統合化案件等、今後も顧客のIT投資は拡大することが期待される。一方、顧客側の人手不足により案件によっては遅れが出る可能性もあるということだ。
このような状況のもと、同社グループは、主力のシステム運営管理事業をさらに強化すると同時に、中期経営計画で掲げる「ダイバーシティの推進」、「BOO戦略の推進」、「クラウドサービスの推進」、「グローバル推進」、「グループ経営の効率化と業務プロセスの改善」に注力する。
好調な業績を受け、普通配当を一株当たり24円から4円増配し28円へ修正すると共に、「東証1部上場」および「創立45周年」に伴い記念配当2円の実施を決定した。今期の配当は30円となる予定。予想配当性向は39.8%。普通配当のみでは37.2%。
 
 
舩越 真樹社長に聞く
 
同社は2014年9月8日、東京証券取引所市場第1部に上場した。
そこで、舩越真樹社長にあらためて同社の経営理念や人的資本活性化の取組み、投資家へのメッセージなどを伺った。

舩越社長は1959年8月生まれの55歳。鳥取県出身。大手損害保険会社で営業職として勤めた後、1995年同社入社。取締役、代表取締役副社長等を経て、2006年1月より代表取締役社長。現在は、経済同友会会員、(社)情報サービス産業協会理事などの他、中国湖北省武漢市にある華中科技大学、湖北経済学院、江漢大学にて客員教授を務める。
趣味はスケッチ、クラシック音楽鑑賞、登山、ピアノ。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」、「一灯を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ、ただ一灯を頼め」(佐藤一斎)。
 
東証1部上場おめでとうございます。
「ありがとうございます。創立45周年にあたる今年2014年に東証1部に上場できたのは、大変感慨深いものがあります。様々な困難もありましたが、このステージに辿り着けたのは、ひとえに、お客様、パートナー企業様および必死に頑張ってくれた社員一同のお蔭です。」

「ご支援くださっている株主の皆様に感謝の意を表すべく、「東証1部上場」および「創立45周年」を記念して、1株当たり2円の記念配当を実施させていただきます。また、業績も堅調であることから、普通配当を24円から4円増配し、28円に修正することといたしました。この結果、2015年3月期の期末配当金は、普通配当に記念配当を加えた30円とし、来年の株主総会でお諮りする予定です。」
 
御社の経理理念や行動規範などについて、またどうやって社内での共有を図っているのかお聞かせください。
「当社の経営理念は「IDentity」。まさに揺るがない一貫性を創業以来維持してきました。創業者から伝承された、当社の三命「卓越した技術はIDグループの生命」、「高品質のサービスはIDグループの使命」、「未知への挑戦はIDグループの命題」をミッションとして日々意識して行動しています。」

「またそれに加え、私は私も含めた当社のメンバーの行動基準として「損か得かで判断するのではなく、正しいか正しくないかで判断する」を重視してきました。この行動基準があったからこそ、ITバブルの崩壊、リーマンショックなどを始めとした困難な時期を会社一丸となって乗り越えてこられたと思っています。」

「日々、目先の仕事に追われがちな社員に対しそうした理念を浸透させるために様々な取り組みを行っています。年次別のヒューマンリソース研修では1時間程度のスピーチを必ず行いますし、社内イントラネットを使って様々な問いかけや日々感じたことをメッセージとして伝えています。また最近私の読んだ本の紹介等もしていますね。こうしたことからいろいろな気付きを社員が持って欲しいと思っています。」

「また行動基準と深く関係しますが、お客様の重要な情報に日々接する当社にとってコンプライアンスは最も重要な課題です。ですからコンプライアンスに関しては、コンプライアンスハンドブックを自社で作成し、全グループ社員に配布して行動規範として活用しています。また、勉強会を実施したり、社内外にコンプライアンス相談窓口を設置するといった取り組みも行っています。」
 
社長の仕事に向き合う姿勢のベースにある考え方は何でしょうか?
「一言で言えば『今に見ていろ』ですね。若いころ色々なことで苦労したこともあり、くじけずに常に前を向いて進むことが重要だと考えてきました。」

「当社に入社してからも決してこれまでの期間、順風満帆できたわけではありません。まだ当社の規模が小さいころは理不尽な思いをしたことがありますし、業績低迷で降格も経験しました。それでも『こんしくしょう。今に見ていろ』と心を奮い立たせ前に進んできました。これからもその気持ちは忘れずにいたいと思います。」
 
次に、御社を支える「人的資本」についての社長のお考えをお聞かせください。
「私は1995年に縁あって畑違いの大手損害保険会社の営業職から当社に入社しました。まずは当社および業界を知らなければならないので、色々な企業を訪問し、多くの方々とお会いしました。その時に感じたこと、思ったことは、総じて無機質で、人を感じさせる企業が大変少ないという事でした。そこで私は、IDを『人を感じさせる企業』にして行こうと考えました。情報サービス産業というと、コンピュータと一日中向き合っているというようなイメージしか持たれていないのが一般的ですが、そうではなく社員一人一人がイキイキと働いている姿がお客様にも、社会にも、そして株主の皆様にも感じてもらえるような企業にしたいと思ったのです。技術力はもちろん大事ですが、同時に社員の人間力も高めることが極めて重要で、それがあって初めて企業は持続的成長が可能になると考えています。」

「そうした意味で、常々いろいろな場で申し上げていますが、当社にとって社員は最も重要なステークホルダーです。お客様、株主様も勿論重要ですが、社員の働きが無い限りお客様に満足のいくサービスを提供することはできませんし、結果として株主様に十分な利益や配当でお応えすることもできません。」

「そのため、社員の働き易さ、なかでも、仕事と子育ての両立ができる職場環境をいち早く整備してきたと自負しています。男性従業員による育児休暇取得の増加、子どもの傷病に係る休暇制度の導入、産前産後や育児、介護などにより休業中の社員への職場復帰支援、所定外労働の削減などの実績が認められ、2013年2月に厚生労働大臣認定「くるみん」マークを取得しました。これは2007年10月、2009年11月に続く3度目の取得となります。」

「また、人的資本の活性化にも積極的に取組んでいます。昨今「女性の活用」という言葉をよく耳にしますが、当社では活用ではなく「活躍」をキーワードとして積極的に女性社員を採用しています。その結果、現在、女性社員比率が28.4%と高いことに加え、10名の女性管理職および1名の執行役員が重要な責務を果たしています。
加えてグローバル展開を進めていく上でダイバーシティ(多様性)の重要性も強く認識しています。東京の本社では外国籍社員の採用を進めており、現在は159名の外国籍社員が活躍しています。早晩、初めての外国籍管理職も誕生する予定です。」

「人的資本の活性化には組織作りも重要な要素です。『「前向きな姿勢」を怠らない組織』、『「明日の組織造り」を怠らない組織』、『「人間力作り」を怠らない組織』を掲げ、会社全体だけでなく、部や課単位で意識し、そうした組織作りに取り組んでいます。」

「社員には日頃から、「気配り、目配り、心配り」の大切さを伝えています。ちょっとしたことですが、この3点に気を付けていれば人間的な成長が続けられると思います。また常に全ての人に対する感謝の気持ちを忘れないでほしいと言っています。」
 
コーポレート・ガバナンスについてはどうお考えですか?
「まだ実現できておりませんし、具体的にいつからとは現時点では申し上げられないのですが、ボードは全て社外取締役としCEOを始めとした執行を監督するという風に、監督と執行は完全に分離すべきだと思っています。」

「監督機能と執行機能を一人で兼務する現在の日本企業の一般的な姿はやはり無理があると思いますから、一気にそこまで行くことは難しいのですが、着実に進めて行きたいと考えています。」
 
積極的なCSR活動が大変印象的ですが、どんな取り組みを行っているのでしょうか?
「現在は、「全国植樹祭への協賛」、「華中科技大学における奨学金制度設立」、「江漢大学における日本語学習奨学金制度設立」等の他、少子化の現代を生きる子どもと大人が直面している問題について考察する、臨床心理士・岩宮恵子氏の研究支援などを行っています。
加えて、芸術文化活動の支援についても強い意識を持っており、新内浄瑠璃の継承者、重要無形文化財保持者(人間国宝)である鶴賀流第11代家元鶴賀若狭掾師匠、LYNX(フルートアンサンブル)、森音楽事務所(クラシックコンサート企画・制作)の活動を支援しています。また、地域とのつながりを重視し、千代田区在住のお年寄りを対象に、シニア向けパソコン教室を開催するほか、盆踊り大会(8月開催)への協賛や、会場設営のお手伝い、地域清掃活動、通学路の交通指導などのボランティアを行っています。」

「企業はいろいろなステークホルダーに支えられて初めて成り立つものですから、還元という本来の目的に加え、社員の意識向上という側面も考え、今後も継続していきたいと考えています。」
 
最後に、投資家へメッセージをお願いいたします。
「おかげさまで、やや時間がかかったものの東証1部へと上場することが出来ました。ただもちろんこれがゴールであるはずもありません。まずは3か年計画最終年度である2017年3月期までに構造改革を進めつつ成長分野を拡大させ売上高210億円突破を目指します。そしてその後も、人を感じさせる企業であり続け、『わくわくする未来創りに参加する情報サービス企業』となるための4つのビジョン「Challenge、High Technology、Global、Creative」を掲げ成長を続けて参りますので、これからも是非「ID」を応援してくださいますようお願い申し上げます。
 
 
今後の注目点
通期予想に対する進捗率は売上高で48.6%、営業利益で43.8%。下期偏重の同社業態からすれば業績は順調に推移しているといって良いだろう。
一方、舩越社長は成長のための次の柱をどう打ち立てるかが課題であると認識している。グローバルの推進やダイバーシティの推進といった中から次代のエースを発掘したいと考えているが、現在は模索中ということで、その進捗に引き続き注目していきたい。
また約1時間の舩越社長へのインタビューは社長の人柄を感じることのできる大変興味深いものだった。今後もこういう機会を通して同社の素顔を伝えて行きたい。