ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

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ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.30

(4829:東証1部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.30】2015年5月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期(6-8月)は増収・減益となった他、今般、業績予想の修正に至った主たる要因は、広告宣伝費を中心にした販管費の増加であるが、この・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年12月24日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年5月 4,508 335 340 437
2013年5月 4,134 372 391 354
2012年5月 2,790 304 318 170
2011年5月 2,370 266 283 168
2010年5月 2,147 150 173 77
2009年5月 2,475 292 317 175
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(11/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
452円 37,700,000株 17,040百万円 10.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3.00円 0.7% 9.28円 48.7倍 111.27円 4.1倍
※株価は11/7終値。
 
日本エンタープライズの2015年5月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。生活実用系や交通情報等のコンテンツを制作しスマートフォン等に配信するコンテンツサービス事業と、企業のコンテンツ制作・運営、システム構築、広告(店頭アフィリエイト)、リバースオークションやIP電話といった業務(コスト削減)ソリューション等のソリューション事業が2本柱。また、日本のコンテンツを世界へ広げるべく海外展開にも力を入れており、中国とインドでは国内コンテンツプロバイダの先頭を走る。
 
自社開発へのこだわり
配信するコンテンツを自社開発する事で「提供するコンテンツの権利を自社で保有(高い収益性を実現できる)」する同社独自のビジネスモデルをベースとし、携帯電話販売会社との協業による成功報酬型コンテンツ販売(独自に開発したリアルアフィリエイト)システムと連動させる事でコンテンツの拡販に成功している。
 
企業グループ 連結子会社8社、非連結子会社4社
グループは、広告事業を手掛ける(株)ダイブ、音楽事業等を手掛けるアットザラウンジ(株)、交通情報を中心にした情報提供の交通情報サービス(株)、Web・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等の(株)フォー・クオリア、ネイティブアプリを主としたモバイルコンテンツ事業を手掛ける(株)HighLab、中国事業の統括に加え、携帯電話販売店を手掛ける因特瑞思(北京)信息科技有限公司、モバイルコンテンツの企画・開発・配信の北京業主行網絡科技有限公司、IT系の教育事業を手掛ける瑞思創智(北京)信息科技有限公司の連結子会社8社、及び音声通信関連のソリューションを手掛ける(株)and One、スマートフォン向けアプリケーションの企画・開発等の(株)会津ラボ、モバイル向けコンテンツ配信やキャラクタライセンス事業の瑞思放送(北京)数字信息科技有限公司、インド現地法人NE Mobile Services(India)Private Limitedの非連結子会社4社。
 
コンテンツの一例
女性にとって大切な生理日管理に特化したアプリです。生理サイクルの記録・管理をはじめ、妊娠しやすい期間・生理日・排卵日の予測など様々な情報やアドバイスを提供(App Store、Google Play)。
“心と身体をキレイに”をテーマに、女性を一生サポート。生理日・排卵日の予測から、痩せ期を使った効率的なダイエット法やストレス診断等、女性のためのメニューが盛りだくさん(dメニュー、auポータル、SoftBank、スゴ得コンテンツ、auスマートパス,Yahoo!プレミアム、フィーチャーフォン)。
高速道路及び一般道路の独自の交通情報や、乗換案内、運行・遅延情報の鉄道情報やその他、駐車場・フェリー・お天気等の便利な情報が満載。(dメニュー、auポータル、SoftBank、スゴ得コンテンツ、auスマートパス,Yahoo!プレミアム、フィーチャーフォン)
レジャーに役立つスポット情報プラスアルファの情報として、駐車場情報をより充実させたサイト!(dメニュー、auスマートパス,Yahoo!プレムミム)
 
 
成長戦略と進捗状況
 
コンテンツサービス事業において、スマートフォン(SP)向けの定額制コンテンツや月額課金コンテンツの強化・拡充によりキャリア公式サイトでの収益基盤強化を図ると共に、「ネイティブアプリ」を中心に開発・拡充を図るゲーム分野、ツール分野、ヘルスケア(ライフスタイル)分野、コミュニティ分野を連携させる「コンテンツプラットフォーム」を展開していく。一方、ソリューション事業においては、受託開発(スマートデバイス)の拡大、広告(店頭アフィリエイト)の拡大、IP電話やリバースオークションといったコスト削減Iソリューションの拡大、協業(アライアンス型)モデルの拡大、といった4つの課題に取り組んでいく。
 
(1)コンテンツサービス事業
第1四半期(6-8月)は、スマートフォン向けの売上高がセグメント売上高の66%を占めた。定額制や月額課金によるアプリの提供といったキャリア公式サイト経由でのSP向けサービスが順調に拡大しており、収益基盤強化の強化が着実に進んでいる。
 
 
「コンテンツプラットフォーム」戦略と足元の状況
定額制サービス向けコンテンツの利用促進及び追加投入により、引き続きキャリア経由でのサービス拡大に取り組んでいくが、これと並行して同社のプロパービジネスとしてスマートフォン向け「コンテンツプラットフォーム」を育成していく。ネイティブアプリを中心としたスマートフォンゲームでヒット作を生み出し、日本発の世界に通用する「コンテンツプラットフォーム」を創出したい考え。
 
 
足元、無料チャットアプリ「Fivetalk」(100万ダウンロード突破)と女性向け健康サポートアプリ「女性のリズム手帳」(250万ダウンロード突破)が順調にダウンロード数を伸ばしている。
 
 
また、スマートフォン向けゲームアプリ市場への本格参入を目指し2014年4月に設立した連結子会社(株)HighLabが、8月22日にネイティブゲームアプリ「ひっぱれ!ネコPing プラネット」の事前登録受付(Android™版)を開始した。「ひっぱれ!ネコPing プラネット」は、宇宙ネコ「コーネー」が乗り込んだ宇宙ポッド(小型宇宙船)を引っ張って飛ばしながら、さらわれた幼馴染を助けに行くアクションゲーム。ゆるくて憎めないキャラクター、指一本の簡単タッチで遊べる操作性、ギミックを駆使してクリアする爽快感等を特徴とし、老若男女を問わず幅広い層のユーザーを対象としている。
 
 
(2)ソリューション事業
第1四半期(6-8月)は、広告(店頭アフィリエイト)の売上高が4億4百万円と前年同期(2億7百万円)及び前四半期(2億25百万円)の実績を大きく上回った。携帯電話販売会社との連携強化や取り扱い店舗数の拡大に加え、新規の携帯電話販売会社の開拓に取り組んだ事が成果をあげた。
 
 
また、千葉県の少子化対策強化事業の一環として実施する実証実験の受託やスマートフォンを活用した内線番号による無料通話アプリ「AplosOneソフトフォン」の販売開始等、新たな収益機会の獲得に向けた取り組みも進展。今秋の発売を目指し、セキュリティ管理を徹底した法人向けメッセンジャーアプリの開発も進んでいる。メッセンジャーアプリはクライアント毎にカスタマイズして提供していく考えだ。
 
千葉県少子化対策強化事業の実証実験の受託(スマートフォン専用アプリ「Chiba Woman Diary」の提供と運営)
千葉県が少子化対策強化事業の一環として実施する実証実験を受託し、2014年9月5日に業務を開始した。この案件は、同社が開発したスマートフォン専用アプリ「Chiba Woman Diary」の運用業務であり、サービスプラットフォーム形成で、結婚から、妊娠・出産、子育てまで切れ目なく支援する。千葉県の10 市町に在住する結婚・妊娠・出産・育児のライフステージにある女性から参加モニターを募り、「Chiba Woman Diary」を通して、「支援情報」、「医療とヘルスケアの専門家による健康・育児相談窓口」、「カレンダーや便利な健康管理ツール」等を提供し、千葉県と連携して支援サービスの有用性を検証していく。
250万超のダウンロードを誇る「女性のリズム手帳」や「女性のキレイ・リズム」、「カップルノート」等の女性向けアプリ提供の実績が評価され、今回の受託につながった。同社は、本案件を成功させると共にノウハウの蓄積を図り、他の自治体向けにも同様のサービスを広げていきたい考え。
 
 
スマートフォンを活用した内線番号による無料通話アプリ「AplosOneソフトフォン」の販売開始
コスト削減ソリューションの一環として、2014年8月18日にスマートフォンを活用した内線番号による無料通話アプリ「AplosOneソフトフォン」の販売を開始した。「AplosOne ソフトフォン」は、IP-PBXソリューション「AplosOne」のオプション製品であり、連結子会社(株)and Oneが開発したVoIPエンジン「Primus SDK」を採用している。中小企業(51万社)や小規模事業者(334万社)を対象に、高品質なソフトフォンを利用したコスト削減サービスを提供していく。
 
「AplosOne ソフトフォン」の導入メリット
①スマートフォンを内線電話として使用できるため、デスク上のビジネスフォン(固定電話)が不要(ビジネスフォンの基本機能を搭載しているため、オフィスの固定電話番号にかかってきた外線着信の従業員のスマートフォンへの直接転送等、ビジネスフォンによる従来の内線電話環境と同等の環境の提供が可能)。
②本社・拠点とスマートフォン間の内線番号による無料通話が可能。
③管理者が内線番号や顧客番号を一元管理して各端末に保有させる事ができる「WEB連絡帳」機能を搭載。
④オフィスの固定電話番号(東京03、大阪06等の0ABJ 番号)での外線発信が可能なため、個人所有のデバイスを業務で利用する環境においても、公私分計を気にする事なく利用可能。
 
海外事業(中国・上海エリアでの携帯電話販売店の運営)
同社は中国・上海エリアで携帯電話販売店(チャイナテレコムショップ2店舗)の運営を行っている。前14/5期はキャリアの販売施策変更の影響で収益が下振れしたため、現在、キャリアの販売施策に左右されない収益構造の構築に取り組んでいる。具体的には、大口法人への外販営業、付属品販売の強化、及び効率的な人材配置による人件費削減等のコスト削減を推進しており、早期の黒字化を目指している。
 
 
2015年5月期第1四半期決算
 
 
前年同期比15.6%の増収、同5.1%の経常減益
売上高は前年同期比15.6%増の13億16百万円。内訳は、キャリア定額制サービス向けを中心に、交通情報、ライフスタイル、及びゲームが伸びたコンテンツサービス事業の売上が同11.7%増の6億47百万円、広告(店頭アフィリエイト)がけん引役となったソリューション事業の売上が同19.6%増の6億69百万円。

コンテンツサービス事業では、提供コンテンツの拡大(auスマートパス向けに「コミュカラ」の提供開始)に加え、インドネシア大手通信キャリアXL Axiata社の「AppSeru(アップセル)」やソフトバンクモバイルの新サービス「App Pass(アップ パス)」といったキャリアの新たなサービスへの対応により、キャリア定額制サービス向けのコンテンツ提供が拡大。無料チャットアプリ「Fivetalk」が、100万ダウンロードを突破した他、ネイティブゲームアプリ「ひっぱれ!ネコPing プラネット」の事前登録を開始した。一方、ソリューション事業では、店頭アフィリエイトの売上がほぼ倍増。携帯電話販売会社との連携強化や取り扱い店舗数の拡大に加え、新規の携帯電話販売会社の開拓に取り組んだ事が成果をあげた他、キャリアの販売施策による来店顧客数の増加も追い風となった。この他、千葉県の少子化対策強化事業「ChibaWomanDiary」を受託した他、電話アプリ「AplosOneソフトフォン」の販売を開始した。

利益面では、売上の増加と携帯電話販売でのコスト削減等による原価率の改善で売上総利益が同20.6%増加したものの、コンテンツサービス事業での積極的な広告宣伝費(1億13百万円 → 2億12百万円)の投下による販管費の増加を吸収できず営業利益が52百万円と同12.4%減少した。ただ、補助金収入の計上等で営業外損益が改善。投資有価証券売却益の増加による特別利益の増加で(1億07百万円→3億31百万円)、四半期純利益は2億12百万円と同159.1%増加した。
 
キャリアの新たな定額制サービスへのアプリの提供
XL Axiata社「App Seru(アップ セル)」
XL Axiata社のアプリ取り放題サービス「AppSeru」に、Woman's DIARY(女性のリズム手帳)、A Walk in the Clouds(ぷかぷか散歩)、A Space Odyssey(わくわく宇宙遊泳)の提供を開始した。XL Axiata社はインドネシアの移動体通信事業界で第2位(契約件数7,000万件)。「App Seru」とは、XL Axiata社の運営するアプリストア「Gudang Aplikasi」内で提供されているアプリ取り放題サービスであり、現在、ゲームなど約100本のアプリケーションが配信されている。
 
ソフトバンクモバイル「App Pass (アップ パス)」
ソフトバンクモバイルの「App Pass」に、ちょこっとゲームの提供を開始した。「App Pass」は、ソフトバンクモバイルが2014年8月29日に配信を開始した4G スマートフォン向けのアプリ取り放題サービス。総額4万円以上の人気アプリを月額370円(税抜き)の定額で利用できる。一方、「ちょこっとゲーム」は、電車の中や休憩時間などの隙間時間に誰もが気軽に遊べる、定番のミニゲームを配信するポータルサイト。同社は、「ソリティア」、「リバーシ」の定番ゲーム、「脳トレゲーム」など10種類の人気ゲーム配信からスタートし、順次ラインアップを追加していく考え( PC/スマホ共通アクセス: http://ent.mb.softbank.jp/apl/appsu_w/index.jsp)。
 
 
 
 
 
 
第1四半期末の総資産は前期末に比べて72百万円減の54億69百万円。借方では、売上が順調に伸びた事で売上債権が増加する一方、投資有価証券の売却で投資その他が減少。貸方では、納税や配当金の支払いで、未払法人税等や純資産が減少した。第1四半期末の自己資本比率は76.7%。
 
 
2015年5月期業績予想
 
 
通期業績予想を変更、前期比13.8%の増収、同32.4%の経常減益
売上高は前期比13.8%増の51億30百万円(期初計画52億10百万円から80百万円下方修正)。新サービス「AplosOneソフトフォン」の開発期間が延びたことで、期初計画より下回るものの、第2四半期以降もキャリア定額サービスや広告が好調を維持する他、受託開発もスマートフォン向けをけん引役に通期では売上が増加する見込み。
利益面では、ゲームやツール系のネイティブアプリの開発及び販促強化に伴い営業費用が増加するものの(広告宣伝費:5億15百万円 → 6億円を予定)、増収効果と中国での携帯電話販売事業の損益改善で吸収して営業利益が4億15百万円と同23.7%増加する見込みであったが、ネイティブアプリの販促を積極的に進めていることを主たる要因(広告宣伝費:6億円→7億24百万円に増額)として期初計画を下方修正(営業利益:415百万円→220百万円、経常利益430百万円→230百万円、当期純利益350百万円→150百万円)。

配当は1株当たり3円の期末配当を予定は変更なし。記念配1円を落とし、普通配を1円増配する考え。
 
 
今後の注目点
第1四半期(6-8月)は増収・減益となった他、今般、業績予想の修正に至った主たる要因は、広告宣伝費を中心にした販管費の増加であるが、この先行投資を来期以降に収益化する事で増収・増益を達成する考えだ。
いち早くアプリのスマートフォン対応を進めると共にキャリア公式サイト向けを強化する事で、フィーチャーフォンからスマートフォンへの市場の変化をとらえ業績を拡大させた同社だが、現在は更なる事業拡大に向けた踊り場にある。既存事業の強化と共に、コンテンツサービス事業におけるネイティブアプリの強化によるキャリアを離れたビジネスの拡大、ソリューション事業におけるコスト削減ソリューション(IP電話、リバースオークション)や協業(同社のコンテンツやサービスを活かしたアライアンス)事業の拡大、が今後のポイントとなる。
コンテンツサービス事業においては、定額制や月額課金によるアプリの提供といったキャリア公式サイト経由でのSP向けサービスが順調に拡大しており、収益基盤強化の強化が着実に進んでいる。また、ソリューション事業においても、広告が順調に回復する中、千葉県の少子化対策強化事業の支援やスマートフォンを活用した内線番号による無料通話アプリの販売開始等、新たな収益機会の獲得に向けた取り組みが進んでいる他、11月にはセキュリティ管理を徹底した法人向けメッセンジャーアプリの提供も始まっている。取り組みが進んでいる事から、今後の展開が期待される。