ブリッジレポート:(6826)本多通信工業 vol.4
(6826:東証2部) 本多通信工業 |
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企業名 |
本多通信工業株式会社 |
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社長 |
佐谷 紳一郎 |
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所在地 |
東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
電気機器(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年3月 | 14,824 | 932 | 975 | 1,479 |
株式情報(12/10現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【沿革】
【経営理念など】
特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事をめざし、「Segments No.1」を掲げている。
【佐谷 紳一郎社長プロフィール】
佐谷紳一郎社長は1957年11月生まれの現在57才。松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)では事業戦略企画部門に在籍し、M&Aや他社とのアライアンス締結等に長年に亘り携わってきた。そうした中、コネクタ事業のアライアンス先として幅広い技術力・製品ラインアップを有する企業を調査している中、本多通信工業の実力に着目し、アライアンスを推進、2008年資本業務提携を実現させた。同年、取締役就任。2009年にはパナソニック電工を退社し、同社副社長に就任。2010年4月に同社社長に就任した。社長就任後は中期経営計画「Plan 80」を策定・実行。基本戦略として「Segments No.1」を設定し、複数のニッチ分野でNo.1となることを目指すと共に、様々な構造改革を断行し、黒字体質の確立、財務基盤の安定化を実現した。現在は次の中期経営計画「DD15」を推進中で、成長分野への投資による更なる事業拡大と企業体質の一層の強化に取り組んでいる。
【事業内容】
事業セグメントはコネクタ事業と情報システム事業の2つ。
◎コネクタ事業
「2014年3月期 売上高 12,826百万円、営業利益 845百万円、営業利益率 6.6%、売上構成比 86%」
<コネクタとは?>
電子回路や光通信において配線基板同士を接続し、電気や信号を繋ぐために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。
<利用分野>
長年の経験で培われた高い技術力により、以下の6分野を中心に付加価値の高く、顧客志向のコネクタを始めとした製品をラインアップしている。
なかでも、安全性向上や運転性アップの観点から車載カメラやセンサの搭載台数が増加しているカーエレクトロニクス分野の成長に対応して投資や製品開発を進めている。 ◎情報システム事業
「2014年3月期 売上高 2,058百万円、営業利益 87百万円、営業利益率 4.3%、売上構成比 14%」
システム開発から保守運用まで幅広いソリューションを展開している。なかでも仮想化(*)サーバの構築では業界屈指の技術を有し、クラウドコンピューティングの広がりに貢献している。 *仮想化とは?:1台のサーバ(物理サーバ)を複数台の仮想的なサーバ(仮想化サーバ)に分割して利用する仕組み。それぞれの仮想化サーバではOSやアプリケーションを実行させることができ、あたかも独立したコンピュータのように使用することが可能となる。
サーバ台数の適正化や消費電力を含めた運用管理コストの低減など、企業のITコスト見直しニーズに対応し、注目が集まっている。 また、仮想化環境下ではハードウェア等を新たに購入しなくても新サーバを容易に追加することができるため、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応するというITシステムニーズに対する有効なソリューションの一つとなっている。 |
特徴と強み |
① 幅広い設計技術力
前述のように、同社のコネクタは、様々な分野で用いられている。同社は、日本電信電話公社(現NTT)を始めとした多くの顧客からの様々なニーズに対応したカスタマイズによる製品作りに長年取り組んできた。この「顧客密着度の高さ」が、同社の幅広い設計技術力の源泉である。 ② 長期信頼性と堅牢性を武器にFA分野、通信インフラ分野に強み
売上構成で見ると、FA分野、通信分野の2つでコネクタ事業の約5割を占めている。特に制御装置に用いられる「1.27mmピッチコネクタ」、FTTH(Fiber To The Home:光通信のための光ファイバーを家屋内に引き込むこと)に用いられる「シャッター付きSC形プラグ」、プロジェクタに用いられる「高耐圧電源用コネクタ」などで強みを持っている。 これらは、顧客から長期信頼性や堅牢性が求められる分野であり、長年に亘って培ってきた同社の技術力や製造能力が顧客に高く評価されている証となっている。 ③ 多品種少量生産
同社は現在約4,000品目のコネクタを生産しているが、このうちの月間生産個数が1万個未満の品目数は94%を占める。また生産金額ベースでも1万個未満の生産が62%、1万個以上が38%と、多品種少量生産が同社の特長となっている。こうした状況に対応し、国内工場、海外工場の2つの車輪で最適なものづくりを行っている。 国内工場(松本工場)は1万個未満の多品種少量生産の拠点。今後も同社の得意技を磨き、迅速な納入を行うため国内で稼動を続ける。 海外工場(深圳工場)は1万個以上の中量品の一気通貫生産を行い、機動力を高め世界で戦うための拠点とする。 |
2015年3月期第2四半期業績概要 |
車載、FA向けコネクタが好調で修正計画から上振れ、前年同期比2桁の増収増益。
売上高は前年同期比10.9%増の80億円。車載分野、FA分野、情報システムが2桁の伸びを見せた。戦略投資を続けており売上原価が同8.9%増、販管費は同10.4%増加したが、増収及び合理化で吸収し、営業利益は同37.6%増加した。為替差益で経常利益は約5割増加した。 9月11日発表の修正計画を上回っての着地となった。 (2)上期のポイント
半期ベースの売上、営業利益の推移を見ると、前の3か年計画最終年の13年3月期下半期と比べ売上高で15%増、営業利益で倍増の水準まで業容は拡大している。
各分野毎の推移は以下の様になっており、車載、FA、情報システムが2桁増と好調だった。
一方、負債合計は仕入債務が増加したが退職給付に係る負債の減少もあり、前期末とほぼ同水準だった。純資産は、利益剰余金の増加などで同828百万円増加した。自己資本比率は前期より2.7%上昇の65.8%となった。 財務CFのマイナス幅拡大は配当金支払額増加による。キャッシュポジションは大幅に上昇。 |
2015年3月期業績予想 |
通期業績見通し及び配当予想を上方修正。
好調な第2四半期決算を受け、通期見通しを上方修正した。売上高は前期比6.6%増の158億円へ。車載分野、情報システム事業が牽引する。引き続き成長のための戦略投資を行うが、利益は2桁増へ。当期純利益は3割減少するが、前期あった本社移転に係る売却損益を除いたベースでは、同35.3%の増益。配当も4円増配の16円/株へ修正した。6期連続の増配となる。予想配当性向は19.3%。 |
今後の技術・商品戦略 |
その中で、主として以下の2つの技術・商品の大きな成長を見込んでいる。 ◎車載用コネクタ戦略
現在好調に推移している車載用コネクタだが、市場規模は2014年の3,000万個から2020年には6,000万個にまで倍増するとの調査がある。車載用カメラは安全性や操作性向上の観点から今後は全ての車種に搭載される可能性が高く、また1台で前方用・後方用など複数のカメラが搭載されるようになる。一方でカメラだけでなく、ミリ波レーダーなど車間距離の測定などに使われる車載センサの搭載数も増加する。 同社は次世代コネクタを開発するとともに水平展開で納入先を増やしシェアの拡大を図る。 主要納入先のTier 1企業への2016年、2017年の納入計画もほぼ見えてきたため、自動化を含めた量産投資も検討段階に入ってきたということだ。 またロック付きUSBコネクタの拡大にも取り組む。 通常のUSBと違い自動車は振動も大きく、USBが簡単には外れないようなロック(ひっかかり)機能が付いたUSBが必要で、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)と呼ばれる自動車の様々な機能を制御するマイクロコントローラ(コンピュータ)で使用されるほか、カメラ、センサ、ナビモニター、スマホ、ドライブレコーダーなど様々な機器に欠かせないものである。自動車の制御の内容が高度化していることに加え、制御するシステムが増加しているため、搭載するECUも増加している。 こうした環境の下、2012年で年間30万個の出荷であったロック付きUSBコネクタだが、ここの所極めて好調で、本来は2020年に年間200万個と目標を置いていたものが、5年も前倒しで来年2015年には月間20万個、年間200万個も見込めるという。 こうした取り組みにより、現在25%の車載分野のウェイトを3分の1(2020年売上高250億円のうち80億円程度)まで引き上げたいと考えている。 ◎4K/8K対応コネクタ戦略
表示パネルの画素数が、フルハイビジョンの4倍または16倍ある高画質化を追求したテレビモニター(4K/8Kモニター)がようやく離陸しようとしている。これらのモニターはその超高精細性から、映画やテレビだけでなく、医療用モニターやセキュリティカメラ、デジタルサイネージ、自動車などの工業デザインや設計など幅広い分野での活用が見込まれており、大きな市場が形成されると見られている。 しかし、この超高精細画像データを保存したり、送信したりするには、これまでのカードやケーブルではもちろん対応できないため、新たなデバイスが必要である。 そこで同社ではこうした需要に対し具体的に2つの製品で対応する。 1つは、データを送る「POF(Plastic Optical Fiber)」。 POFは光信号が通過するコア材にアクリルを、コア材を覆うクラッド材にフッ素樹脂を用いた光ファイバー。 石英系の光ファイバーに比べ安価で、曲げに強く折れにくいという特徴がある。このため、デジタル家電や自動車など、民生用の短距離通信用途に広く使用されている。 さらに高速大容量のPOFであるGI-POF(Grated Index Plastic Optical Fiber)を開発しようというプロジェクトが産学官連携で進行しており、同社は通信基幹系で培った光接続技術を更に磨き、GI-POF用簡単接続コネクタの開発を進めている。 もう一つがデータをためる「SDカードソケット」 カメラから4K/8K用データを取り出し、編集・加工するためにPCに取り込むには、大容量かつ書き込み・読み込みの高速処理が可能なSDカードソケットが不可欠となる。 以前よりSDカードソケットを開発してきた同社は、従来の3倍のスピードでの処理を可能にした最新版のSDカードソケットを開発した。プロ仕様のため使用頻度も高く堅牢性も求められる同製品に対し、現在カメラメーカーからの発注が増加しており、高性能PCへの搭載も進んでいるという。 同社のFlag Ship商品として、価格競争に巻き込まれるリスクの小さい産業用やプロ向けに特化して市場ニーズを取り込んでいく。 |
トピックス |
◎全社GC運動の展開
佐谷社長就任以降、順調に業容および時価総額を拡大させてきた同社だが、現在全社挙げてGC(グッドカンパニー)運動に取り組んでいる。この運動は、株価は確かに上がったが本質的な企業価値はどうなのか?と浮かれることなくもう一度自分の足元を見つめ直そうというもの。世間の当り前と社内の当り前を比較し、問題点を一つ一つ潰している。 顧客、取引先、投資家、従業員、社会、全てのステークホルダーからバランスよく信頼され、期待される「良い会社」を目指しており、今後に控えている東証1部へのステップアップはもちろんのこと、その後の持続的な成長のためにも必要な取り組みであると佐谷社長は考えている。 ◎Next Leader研修の実施
2020年に過去最高の売上・利益を更新すべく事業拡大を進めている同社だが、ここから10年程度で管理職クラスの社員がまとまった数で定年に達する。業績不振時に新卒採用を止めていたこともあり、これによって生じるギャップの解消は対処すべき大きな課題であると佐谷社長は考えている。しかし一方で、売り手市場の就職状況で十分な新卒社員を確保することもなかなか難しいのが現状である。 そこで、現在在籍する社員の育成、レベルアップが不可欠であると考え、「Next Leader 研修(NL研)」を昨年から実施している。 執行役員手前の10名の社員を選抜して行った昨年に続き今年は、35歳前後の課長職前の社員10名3班、約30名を公募で選出し、月1回、土曜日を使い佐谷社長が半日プラス夕食時までじっくりと語り合い、議論する。 「何故Segments No.1を目指すのか」、「ポートフォリオ経営とは何か」といった経営のあり方について時間をかけて社長の考えを伝える。 それまでも社内報や全体会議などで語っていても実は詳細には理解できていないことも多く、こうした膝詰めで話す重要性を改めて感じたということだ。 30名の社員は自ら手を上げた社員であるため問題意識のレベルも高く、大変心強いと社長は考えている。 現在の同社の社是、理念はかなり昔に策定した、本多通信工業として国内のみで事業を展開していたころのものであるが、海外へ展開し、情報システム事業にも事業ドメインを広げている現在の「HTK」にはそぐわないものとなっているので、昨年及び今年のNL研参加社員によって新しい理念の策定に向け自由な議論を行わせている。 同社の強みや社会的な存在意義を活発に討議する、非常に楽しい場となっているということだ。 人材育成、社内活性化のために今後も継続的に実施していく考えだという。 ◎株式情報
順調な業績に加え、認知度向上のための積極的なIR活動(昨年度16回に対し今年度は上期だけで32回)の結果、時価総額は100億円を回復し、機関投資家の保有比率が半年で10%増加した。また出来高も2年前の5倍、昨年の約3倍へと急増しており、多くの投資家の関心が高まっている。
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<参考:中期経営計画「DD15」> |
(1)基本コンセプト
DD15は「Double-Digits by 2015」の略で、2015年度に向け3つの2桁(double digits)で成長性・収益性・効率性をワンランクアップさせ、特長と魅力ある「Segments No.1プロバイダ」となることを目指している。また、DD15には「どんどん 行こう!」という意味も含めている。 早い・軽い・上手いが特長の、業界No.1のフットワークを武器に、以下の数値目標の達成に挑戦する。 ① 基幹分野での2桁利益率
一般的に少品種大量生産は生産性・効率性が高く、多品種少量生産となるほど生産性や効率性が低くなるというトレードオフが働いてしまうが、同社は、FA分野、通信分野といった基幹事業分野においてこのトレードオフ関係の解消を目指しており、営業利益率を現在の8%台から10%超へと引き上げることを目指している。
「1week デリバリー」
多品種少量生産ながらも短納期を実現させ、顧客満足度を向上させるべく2013年から積極的に取組んでいるのが、「1weekデリバリーサービス」だ。これは、顧客から発注を受けたら1週間以内での製品配送を確約するもの。 同社は多品種少量生産を特徴としてきたが、一方で多品種少量生産は一般的には納期が遅くなりがちで、同社もそれは仕方のない事という認識があった。 佐谷社長は、こうした多品種少量生産のデメリットを克服し、進化したものづくり実現のためにこの「1week デリバリー」というアイデアを導入した。 コンビニ3兄弟の取り組みの結果、同社製品約4,000品目のうち「1week デリバリー」の対象品目数は、2013年10月の150品目から、2014年4月には500品目へ大幅に拡充され、今後も対象品目を拡大していく。 サービスの拡充と品目数の拡充により「1week デリバリー」を同社の看板サービスとすることを目指している。 「ECサイト:HTK AZショップ」
4月1日より会員制ネット販売サイト「HTK AZショップ」をオープンし、顧客の拡大を進めている。同サイトは、直接的な売上の拡大を目的とするというよりは、現在は取引のない潜在顧客からの試作品の注文などを同サイト経由で受け付ける事で、顧客の窓口を拡大することを狙いとしている。この他、4月14日には24時間フルタイムの組み立て工場が稼働を開始した。 同社の特長である多品種少量生産を鍛え、国内においては「ものづくりの強化」を、海外においては「地産地消化」を進める。 ② 新・旬分野での2桁成長
新たな事業分野や旬の市場分野を年率10%超のスピードで拡大させ、2016年3月期には現在の倍 60億円の売上、売上構成比30%を目指す。
<新事業分野での取り組み>
大きな成長が見込まれるカーエレクトロニクス市場で、同社の特長を生かした製品開発、販売を進める。*コネクタ事業 自動車メーカーは各社とも、「環境、安全、快適」を高めるためにカーエレクトロニクスの進化に取り組んでいる。 中でも、自動走行を含めた走行制御、ドライバーの負荷を減らす運転アシスト、危険警告の進化などの機能強化に伴い、車体周辺の状況を常に監視・感知するアラウンドビューカメラ、バックカメラ、路面センサ、衝突探知センサなど、搭載するカメラやセンサの台数が増加している。 また、自動車メーカーは、快適な運転をサポートするためのナビゲーションやエンタテインメント機能の充実にも力を入れており、カーナビ、リアモニター、スピーカー、スマートデバイスとの接続など、車内・車外の通信機能の進化が著しい。 こうした状況下、同社では「車載カメラ用コネクタ」や「車載高速伝送コネクタ」などにフォーカスし販売を拡大する。 車載カメラ用コネクタに関しては、前期、電機メーカー3社目への納入が決まり、売上は前期比5割増となったが、今後も4社目、5社目の納入先を開拓し、水平展開を進める。 また両コネクタとも、同時並行で、収益性向上のための合理化および次世代製品に向けた投資・開発を行っていく。 車載関連分野は高い安全性や信頼性が求められる分野である。同社は特長・強みであげたように、長年にわたる製品開発で培ってきた長期信頼性・堅牢性に関するノウハウを活用し、上記2つのコネクタにとどまらず、カーエレクトロニクスの新しい部位へも進出していく考えだ。 実用化に向け先行したポジションにあり、今後は使い易さの向上に注力していく。 *情報システム事業
同社の強みの一つである機器制御技術を活かして、スマートメーター等の通信・制御機能を活用して停電防止や送電調整のほか多様な電力契約の実現や人件費削減等を可能にした電力網「スマートグリッド」、家電や設備機器を情報化配線等で接続し最適制御を行うことで、生活者のニーズに応じた様々なサービスを提供する「スマートハウス」といった、コンピュータネットワークに繋がれた機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御が行われるシステムである「M2M:Machine to Machine System」におけるビジネス拡大を目指す。初期の設計段階である上流工程からいかにして参画するかが課題と認識している。
<旬市場分野>
コアとする技術、製品、ソリューションを以下の旬市場で応用展開。業種別営業体制による顧客開拓に取り組む。
*コネクタ事業 ◎医療
多品種少量対応、高信頼性という強みを武器に活躍できる分野と考えており、カスタム対応で市場に参入する。
◎セキュリティ
監視カメラ世界No.1メーカーに採用されている実績を武器に、グローバルマーケットでの水平展開を目指す。
◎環境エネルギー
通信技術資産をフルに活用し、スマートグリッドや蓄電池、パワーコンディショナー(*)などでの応用展開を図る。
*パワーコンディショナー(パワコン):太陽光発電システムや家庭用燃料電池を利用する上で、発電された電気を家庭などの環境で使用できるように変換する機器であり、インバータの一種。ソーラーパネルなどから流れる電気は通常「直流」であり、これを日本の一般家庭で用いられている「交流」に変換することで、通常利用可能な電気にすることができる。
同社には、従来規格の「UHS-Ⅰ」がある。これはソケットの両面を金属シェルで構成し、堅牢性と耐ノイズ性で業務用・産業用途に浸透し高い信頼性を得ている製品で、「UHS-Ⅱ」は、この特徴を継承した上で更に進化させたもの。 今後搭載が始まるプロ用ハイエンド機種への採用を狙う。 既に国内外で高評価を得ており、レンズ交換式カメラ・PCから引き合いが入っている。 このほか、「Segments No.1」製品を中国や新興国市場で拡販し、海外売上高比率を現在の35%から40%まで引き上げる。 *情報システム事業
得意とする仮想化技術を更に深めてクラウドコンピューティングのインテグレーターを目指す。
③ 経営効率を高め、2桁のROA(総資産利益率)実現
同社は前中期経営計画「Plan 80」において過剰資産の売却、在庫削減、有利子負債の返済でバランス・シートをスリム化し、総資産回転率を引き上げるとともにROAを8%まで引き上げてきたが、総資産回転率1.5回を堅持しつつ、高回転ビジネスモデルを確立し、ROA10%を目指す。
(3)成長戦略のためのインフラ投資
今回の数値目標を達成するためには風土改革も必須と佐谷社長は考え、様々な基盤強化への投資も行っている。
◎本社移転と最新設備への投資
2014年2月24日、創業以来約80年間本社を置いていた東京・目黒から品川のオフィスビルへ移転した。旧本社は、面積は広いが部門間が分断される構造であり、社員間のコミュニケーションが取りづらい状況だった。 新本社は、「Close Communication」というコンセプトに基づいて設計された。 顧客に対しては、什器備品を一新し、新しい「HTK」で迎えるほか、3Dプリンター備えた試験室を設置し、顧客に対する提案のスピードアップを図っている。 従業員に関しては、営業と設計と本社部門が1フロアに集結。広々とした様々なエリアで部署・部門を超えてのコミュニケーションを加速させ、生産性の向上を目指している。 また、ITの活用により業務、テレビ会議、打合せなどがいつでもどこでも可能になったほか、整理整頓から服装までの5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を佐谷社長自らの徹底で進めている。例えば、社員は毎日終業し帰宅する際は、机の上に何も置いてはならず、全て自分のロッカーにしまわなければならない。また、移転に当たり多くの書類や資料をデジタル化し、不要な紙の資料を廃棄した。 こうして、本社移転を契機とした「風土改革」により、『早い・軽い・上手い』という業界No.1のフットワークを実現させ、生産性を一気に高めることを狙っている。 実際に社員の声として、「企業風土や仕事の仕方を大きく“CHANGE”するきっかけになる本社移転であった。企業に変革を促す有効な手法の一つだと認識した。」との声も上がっている。 ◎組織と人材の強化
組織力及び人材の強化は今後の経営における大きなポイントと認識しており、人材育成、増員、処遇アップにより事業活動のベースを固めていく。
グループ新卒採用は2014年度17名に拡大
中堅リーダーの育成
管理職の指導力強化
執行役員への若手起用
これは、同社の「変えなければならない古い部分」を壊すためには外部の風や力が必要との考えからきている。 |
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