ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

プライム

ブリッジレポート:(2317)システナ vol.26

(2317:東証1部) システナ 企業HP
逸見 愛親 社長
逸見 愛親 社長

【ブリッジレポート vol.26】2015年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「市場が縮小傾向にある端末開発支援や利益率の低い物販等のビジネスから、市場の拡大が見込まれるサービスの企画・開発・検証・運用支援や付・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年12月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社システナ
社長
逸見 愛親
所在地
東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 33,969 1,656 1,746 1,797
2013年3月 31,662 2,244 2,292 1,203
2012年3月 30,630 1,822 1,918 904
2011年3月 39,176 2,579 2,661 2,957
2010年3月 3,636 490 536 340
2009年10月 8,161 1,261 1,258 1,180
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
2002年10月 1,940 398 380 196
2001年10月 1,524 180 175 93
株式情報(12/3現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
839円 25,382,100株 21,296百万円 14.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 3.6% 53.87円 15.6倍 517.95円 1.6倍
※株価は12/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
システナの2015年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末のほぼ全ての工程に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識と基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。連結子会社7社及び持分法適用会社3社と共にグループを形成。
 
 
【事業内容】
事業は、ソリューションデザイン事業、フレームワークデザイン事業、ITサービス事業、ソリューション営業、クラウド事業、コンシューマサービス事業及び海外事業に分かれる。尚、ソリューションデザイン事業は2014年4月1日付けで、プロダクトソリューション事業とサービスソリューション事業を統合して新たにセグメントした。
 
ソリューションデザイン事業
スマホアプリやWebアプリの開発、スマートデバイスを利用したネットビジネスの企画から設計・開発・運用までを一貫してサポートするサービスソリューション事業と、スマホアプリやWebアプリの性能・評価・品質検証、サービスプロバイダー向けのサーバー監視・運用サービス等のクオリティデザイン事業に分かれる。スマートデバイスの開発企業やネットビジネス関連企業に加え、端末開発やWeb関連の開発で培った技術を活かしつつ、情報家電、公共事業、ホームセキュリティ、自動車業界等の非携帯端末分野、更には、エンドユーザの業務システム開発等、幅広くユーザニーズを取り込んでいく考え。
 
フレームワークデザイン事業(14年10月1日より金融・基盤システム事業からセグメントの名称を変更)
国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発経験を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システム及び対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。本事業は金融系以外の市場への進出を図るため2014年10月1日から「フレームワークデザイン事業」へ名称変更した。現状では、業務全体の7割を金融系システムの開発・運用が占めているが、今後10年程度かけて徐々に他業種へ展開していく考え。
 
ITサービス事業
システムやネットワークの運用・保守・監視、ヘルプデスク・ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等。
 
ソリューション営業
ITプロダクト(サーバー、PC、周辺機器、ソフトウエア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売型のビジネスからサービス提供型のビジネスへシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へのニーズの変化に対応する事で事業拡大、高付加価値化を図っている。顧客は電機メーカー、外資系企業。
 
クラウド事業
クラウド型サービスの導入支援からアプリケーションの提供までを手掛けており、「Google Apps for Business(以下、Google Apps)」と同社が開発した「cloudstep」の組み合わせによるシステナ版グループウエアと一体となったシンプルなクラウドサービスを提供している。「cloudstep」とは、「Google Apps」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上させるための業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。 現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。
 
コンシューマサービス事業
連結子会社(株)GaYaを中心に事業を進めている。スマートフォン向けソーシャルゲームの企画・開発・提供、受託開発・開発支援に係る収益がセグメントされている。自社タイトルやエンジンの複数プラットフォームへの展開とPC/スマホの垣根を越えたマルチ対応ゲーム制作に取り組んでいる。
 
海外事業
タイの現地法人Systena(THAILAND) Co.,Ltd.及び米国の現地法人Systena America Inc.の連結子会社2社を中心に事業を進めている。タイの現地法人(バンコク)は、東アジアの成長をシステナグループに取り込むべく、13年4月に設立され、10月に営業を開始した。監視カメラサービス事業とサーバー構築事業が立ち上がっており、14年6月にはバンコクグルメサイト「バングル」のサービスを開始した。2年での黒字化を目指している。

一方、米国の現地法人(カリフォルニア州)は13年11月に設立され、14年1月に営業を開始した。①米国に進出した国内大手通信キャリアや米国でデバイス及びサービスを展開するメーカー向けのモバイル及び通信関連の開発・検証支援、②FirefoxやTIZEN等、第3のOSを搭載したスマートデバイスやオートモーティブデバイスの研究開発、及び③SNSゲームや自社商材コンテンツを利用したスマホアプリの展開等を事業領域とし、最新技術・サービスの動向調査やインキュベーションセンターとしての機能も担っている。
 
 
 
成長戦略
 
「日本を代表するIT企業となり、日本経済を底辺から支える!」と言う基本方針の下、旧システムプロ系事業、旧カテナ系事業及び海外事業を3本柱に収益力を強化して業容拡大を図っていく考え。

旧システムプロ系事業では、携帯電話の端末開発支援(組み込みソフトの開発・検証)から、サービス(アプリケーション)の企画・開発・検証及び運用支援にシフトすると共に、スマートフォンはもちろん、自動車、情報家電、公共事業、ホームセキュリティ等へ事業領域を広げていく。一方、旧カテナ系事業では、金融機関向けで培ってきた基幹系の開発技術、豊富な顧客資産を有するIT関連商品の法人向け販売とシステムインテグレーション、更にはシステムの運用・保守やヘルプデスク等のユーザサポートを連携させると共に、必要に応じてソリューションデザイン事業(オープン系技術)や現在育成中のクラウド事業とも連携する「ALLシステナ体制」で、物販・開発から業務システム全般にわたるソリューションへ事業の軸足をシフトさせ付加価値を高めていく。また、海外の成長力を取り込むべく、タイ及び米国の子会社を中心に海外事業を育成していく他(ベトナム子会社はオフショア拠点として国内事業の支援が中心となる)、将来的には上記3事業とのシナジーや安定収益(ストックビジネス)が期待できるクラウド事業の育成にも取り組んでいく。
 
 
【事業セグメント毎の戦略】
ソリューションデザイン事業   新たなビジネスモデルの構築
事業の軸足を、スマートフォンや携帯電話の開発支援・検証から、スマートフォンをはじめとするスマートデバイスを利用したサービスの企画・開発・検証・運用支援へシフトさせると共に、顧客ターゲットを大手メーカーやキャリアから中堅顧客へ広げ多様なニーズを取り込んでいく。また、ストックビジネスともなる自社オリジナルのサービスの充実と拡大に取り組むと共に慢性的なリソース不足解消に向けニアショア・オフショア拠点の拡充も進める。
 
組み込みソフトの開発からサービスの企画・開発・検証・運用支援へ
スマートフォンやタブレットの組み込みソフトの開発・検証を縮小して、市場の拡大が見込めるスマートフォンやタブレットを使ったサービスに必要なアプリケーションの企画・開発・検証やサーバーサイドの開発・検証・運用支援へシフトを進める。ただ、自動車、情報家電、公共事業、ホームセキュリティ等の分野では、組み込みソフトの開発・検証にも力を入れ、サービスの企画・開発・検証・運用支援と並行して事業を進めていく。
この上期は、通信キャリアからインターネットサービスの大型案件を受注した他、サービス・証券・教育等のネットビジネス分野からの受注も増加。スマートシティ(ITや環境技術等により省エネを実現する環境配慮型都市)など社会インフラ関連の引き合いも増えてきた。
 
大手顧客からの大口受注偏重から中堅顧客の受注拡大へ
従来の携帯端末関連(組込ソフト開発・検証)の事業は、大手メーカーや通信キャリアからの大口案件が中心だったため、特定顧客の開発動向で収益が大きく振れる傾向があった。このため、既存・新規の中堅ネット・サービス企業からの受注拡大に取り組み、バランスのとれた安定的な受注モデルへの転換を図る。
 
自社サービスの充実と拡大
ストックビジネスの拡大に向け自社サービスの強化・充実にも取り組む考え。この一環として、スマートフォン向けフィッシング詐欺防止ソリューション「Web Shelter」、デジタルサイネージ、更にはMDM(モバイル・デバイス・マネジメント)サービス等の商品及びサービスの開発や販売に力を入れている。「Web Shelter」が複数の金融機関で採用される等、既に成果があがりつつあり、今期中に年商1億円規模のストックビジネスに成長する見込み。
尚、MDMサービスとは、企業等が社員に支給するスマートフォンなど情報端末のシステム設定等を統合的・効率的に管理するサービス。
 
慢性的なリソース不足解消に向けたニアショア・オフショア拠点拡充
昨今、リソース不足が受注の制約要因となっている事から、国内開発センター(札幌、名古屋、西日本)の更なる拡充を図ると共に、オフショア拠点としてベトナムに子会社を設立して、オンサイト・オフサイト両面から開発業務を立ち上げた。また、名古屋では、自動車関連需要の取り込みを図るべく営業所も開設した。開発センターとのシナジーを追求していく考え。
 
フレームワークデザイン事業   組織改革完了
既存顧客で基幹系の更新案件が増加している。更新実績を基に顧客内の他領域の開発案件の獲得に取り組むと共に、ベンダーの情報を活用して、システム化計画や要件定義等の上流工程からの参画にも力を入れる。大型案件にはベトナム子会社の活用で対応していく。
また、新規顧客の開拓では、ソリューションデザイン事業が有するオープン系のノウハウやソリューション営業が有する顧客資産を活かすと共に、強みである基幹系の開発を銀行・金融以外の業種に広げていく。
 
ITサービス事業   ビジネスモデルの再構築完了
グループのリソースをフル活用した「1クライアント複数サービスの提供」を積極展開していく。具体的には、同社の他の事業の顧客に対して、システム運用・ヘルプデスク・インストラクター等の幅広いサービスの提案を行い受注につなげる。
また、シェア拡大、パイの拡大、売上拡大を図るべく、新規顧客開拓にも力を入れる。具体的には、英語対応・チーム対応による高付加価値・高収益案件の獲得、クライアントPCの入れ替え・増設の際のPCキッティングやタブレット端末の導入支援の際のトレーニング案件、更には、新たに開拓したSIer、メーカー、情報システム子会社に関して、顧客ビジネスの受注支援も行い横展開を進める。
上記施策を進めるにあたって必要なマンパワー確保のため、社員の採用・教育にも力を入れる。
 
ソリューション営業   付加価値サービスの収益拡大
クライアントビジネスから、より付加価値の高いサーバー・ストレージサービスへ軸足を移し、クラウドとの連携も含めてソリューションを提供していく。また、ソリューションデザイン事業、フレームワークデザイン事業、ITサービス事業等、他事業との連携による新規クライアント発掘にも取り組む。営業力の強化に向け、人員も増強する。
この上期はWindows XPのサポート終了に伴うリプレースでウィルスソフトのインストールサービスを受注した他、フレームワークデザイン事業やITサービス事業との連携による、機器販売から、インフラ構築、システム開発、保守運用に至るワンストップサービス案件も増加した。
 
クラウド事業   自社商材拡充
クラウド化の遅れているグループウエア導入済み企業をターゲットに、代表的なクラウド型サービスである「Google Apps」と同社のオリジナル商材である「cloudstep」を組み合わせたシンプルなシステナ版グループウエアのクラウドサービスを提供している。「cloudstep」は、現在、掲示板、スケジューラ、ワークフロー等の機能を提供しており、機能強化に向けた付加価値化投資も継続している。今後、改修やR&Dといった業務も含めてベトナムのオフショア活用の比重を高めコストダウンを図っていく。一方、販売面では、ソフトバンクテレコムとの協業を強化する。営業力強化、開発力強化の両面から人材投資が必要である。
 
※「cloudstep」とは、「Google Apps」や「Microsoft Office 365」等のクラウドサービスの使い勝手の向上や安全性の向上を目的とした業務アプリケーションや運用者向けの管理ツールを同社独自のソリューションとして展開するサービス群。
 
コンシューマサービス事業   単月黒字定着
コンシューマゲームの開発・配信に加え、釣りゲームやカードバトルゲームのエンジン展開、ゲームの企画や既に配信されている他社開発ゲームの買取・運営、更にはPCブラウザゲームへの展開等で収益の多様化を進めている。
釣りゲームのエンジン展開では、同エンジンを使った7タイトルを、GREE、Mobage、dゲーム、mobcast、ヤマダゲームに提供しており、カードバトルゲームのエンジン展開では、Mobage、DMM等へライセンスを提供。既に配信されている他社開発ゲームを買い取り、ベトナム子会社が運営するビジネスも立ち上がった。また、PCブラウザゲームは、14年11月に新たに開発した育成シミュレーションゲームのエンジンのライセンス提供が始まった。同エンジンは、第4四半期にYahoo!、Mobage版の提供も始まる予定。
 
海外事業
タイ子会社Systena(THAILAND) Co.,Ltd.と米国子会社Systena America Inc.を中心に進めている。

タイ子会社(バンコク)は、14年6月にサービスを開始した、スマートフォン向けモバイルアプリサービスとしてバンコク版レストラン検索アプリ「バングル」が好調。アプリダウンロード数が、既に17,000件を超えている(タウン誌の販売を例にとると、タイでは1万部でヒットと言われている)。これを受けて日系・非日系のレストランからの掲載申込が増加しており、下期からサービス課金を開始した。今後は、サービス向上のための新機能開発とタイ人向け広告宣伝活動を強化する。また、登録飲食店の更なる増加を図ると共に、既存登録店の有償化を進める。「バングル」の実績が評価され、タイの日系サービス企業からのモバイルアプリ開発の引き合いも増えている。
この他、政情不安から立ち上げが遅れていた、地場有力パートナーとの連携によるサーバー・ソリューション(サーバー販売・構築、既存システムのリプレース)事業にも力を入れていく。

一方、米国子会社(カリフォルニア州)は13年11月に設立され、14年1月に営業を開始した。①米国でのモバイルや通信関連の開発・検証支援、②FirefoxやTIZEN等、第3のOSを搭載したスマートデバイスやオートモーティブデバイスの研究開発、及び③SNSゲームや自社商材コンテンツを利用したスマホアプリ展開を進めている。また、米国子会社は、最新技術・サービスの動向調査やインキュベーションセンターとしての機能も担っている。同社は、高齢化社会の進展で市場拡大が見込まれるモバイルヘルス分野等に注目しているようだ。
①米国でのモバイルや通信関連の開発・検証支援では、キャリア案件として、通信試験Labの構築案件や検証業務(今冬にサービス開始)で成果をあげている。また、メーカー案件として、アプリ検証、フィールド検証を受注している。また、今期中にソフトバンクの子会社である米国携帯電話大手SPRINTの本社があるカンザス州に拠点を開設する予定だ。

尚、米国にはモバイル端末やサービスの品質に関する認証機関が3機関あり、新端末の発売やサービスの開始に当たっては、この認証機関の認定を受けた企業の検証を受ける必要がある。同社は3機関の全てと協力関係の構築を進めている。
 
 
2015年3月期上期決算
 
 
前年同期比11.0%の増収、同73.8%の経常増益
売上高は前年同期比11.0%増の169億78百万円。スマートフォンや携帯電話の開発支援からスマートフォンをはじめとするスマートデバイスを利用したサービス等の企画・開発・サポートに軸足を移したソリューションデザイン事業が同15%増と伸びた他、メインフレーム案件など基幹システムの開発で培った技術を強みに案件の取り込みが進んだ金融・基盤システム事業の売上も同14%増加。事業部間連携により機器販売とソリューションの一体営業を進めたITサービス事業とソリューション営業の売上も増加した。
営業利益は同77.0%増の10億41百万円。利益面では、BPR(business process reengineering:業務の流れや組織等の最適化)の進展でサービスの高付加価値化が進んだ金融・基盤システム事業、ITサービス事業、ソリューション営業の収益性が大きく改善。サービス等の企画・開発・サポートが軌道に乗りつつあるソリューションデザイン事業も利益率の改善が進んだ。
 
期初予想との差異
この主たる要因は、陳腐化したビジネスモデルを一新し、サービスを絡めたソリューション営業事業と、付加価値の高いITマネジメントビジネスの売上が増加したITサービス事業、メインフレーム関係の希少な技術を活かして受注を伸ばした金融・基盤システム事業、更にはスマホアプリ・セキュリティ分野への経営資源の再配置及びビジネスモデルの転換が成果をあげたソリューションデザイン事業の売上・利益が期初予想を上回った。尚、9月25日に上期予想を上方修正しており、実績は上方修正値をも上回った(修正値:売上高168億66百万円、営業利益10億19百万円、経常利益10億47百万円、純利益7億89百万円)。
 
 
ソリューションデザイン事業
売上高54億55百万円(前年同期比15.3%増)、営業利益4億49百万円(同48.7%増)。非端末分野でソフトウエア開発やサービス開発が増加した他、自社開発のスマートフォン向け不正送金・フィッシング詐欺対策アプリ「Web Shelter」の売上も増加。性能・評価・品質検証も非モバイル分野が増加した。
 
サービスソリューション事業
売上高35億46百万円、営業利益3億25百万円。通信キャリアのインターネットサービス、インターネットを利用したサービス、ゲーム、証券、教育、社会インフラといった注力分野でソフトウエア開発やサービスの受注が伸び売上が増加。また、同社の独自開発のスマートフォン向け不正送金・フィッシング詐欺対策アプリ「Web Shelter」が多くの金融機関で採用され、利益率の向上に寄与した。この他、同社のモバイル端末開発の豊富なノウハウと実績が評価され、情報家電やホームセキュリティ、車載関連で組込み系分野の引き合いが増えている。
 
クオリティデザイン事業
売上高19億09百万円、営業利益1億23百万円。市場の縮小でモバイル端末関連が減少したものの、情報家電、ホームセキュリティ、車載、ロボット等の組み込みソフトの開発が増加。ソフトバンクモバイルの米国展開への対応や通信キャリア及び国内端末メーカーの海外進出支援を背景に米国子会社のモバイル検証も増加した。
 
金融・基盤システム事業(10月1日よりフレームワークデザイン事業)
売上高19億円(前年同期比14.0%増)、営業利益1億77百万円(同74.0%増)。既存顧客の深耕(1顧客から複数の案件を受注)や他社が手掛けたメインフレームの更新案件の取り込みが進んだ。また、ソリューション営業と連携した提案営業により、大型のシステム更新案件(インフラ周りの調達、アプリケーション基盤構築、開発)の受注に成功した。

尚、当事業は金融機関向けシステム開発で培ってきた希少性の高いメインフレーム周りの技術を強みとする。今後は、この技術を活かして幅広い業種にサービス展開していく考えで、この一環として、14年10月1日付でセグメントの名称を「フレームワークデザイン事業」に変更した。
 
ITサービス事業
売上高24億12百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益1億39百万円(同64.0%増)。企業合併に伴うシステム統合案件、PC・タブレット端末導入支援等のスポット案件、社内システムサポートの長期継続案件等の取り込みで売上が増加。英語対応のヘルプデスク等、高付加価値案件の寄与で、前年同期は3.9%だった利益率が5.8%に改善した。
 
ソリューション営業事業
売上高69億03百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益2億44百万円(同189.6%増)。中小企業を中心に4月以降もWindows XPの更新が続いた事に加え、キッティングやセキュリティソフトのインストール等により付加価値を高めた機器販売が増加。仕入先である外資系パソコンメーカーの企業向けサポートの代行や仮想化等のサーバー構築案件の取り込みも進んだ。付加価値サービスの拡大で、前年同期は1.3%だった利益率が3.5%に改善した。
 
クラウド事業
売上高2億25百万円(前年同期比7.5%減)、営業利益22百万円(同33.5%減)。前年同期に新規顧客の大型の初期導入があった事や今期からOpneCube(ワークフロー・ソリューション)事業の売上を他部門に移管した影響で売上が減少する中、営業力強化に向けた人員増強で営業費用が増加した。
ただ、主力取扱商品「Google Apps」と組み合わせて提供する「cloudstep」シリーズの拡充が奏功し、足元、グループウエアの刷新を目的に「Google Apps」を検討している企業からの引き合いが堅調だ。
 
コンシューマサービス事業
売上高1億30百万円(前年同期比228.4%増)、営業利益27百万円(前年同期は21百万円の損失)。内容拡充とマルチプラットフォーム化で自社タイトルの売上が増加した他、他社タイトルの運営巻き取り(既に配信されている他社タイトルを買い取り運営する事)も寄与。月次ベースの黒字が定着した。
 
海外事業
売上高29百万円(前年同期は売上高計上なし)、営業損失28百万円(前年同期は10百万円の損失)。海外事業は、タイ子会社Systena (THAILAND) Co.,Ltd.と米国子会社Systena America Inc.を中心に進めている。
タイ子会社は、6月に開始したスマートフォン向けバンコク版レストラン検索アプリ「バングル」サービスが好調。アプリダウンロード数が既に17,000件を超えており、これを受けて日系・非日系のレストランからの掲載申込が順調に推移しており、下期からサービス課金も開始した。今後はユーザーがコメントや写真を投稿できる等、サービス機能の拡充を図っていく。
一方、米国子会社は、設立当初に既に受注を見込んでいたソフトバンクモバイルとメーカーからの受注に加え、新たに他の通信キャリア(現地でのソフトエアの検証)とメーカーからの受注にも成功した。
 
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比3.0%の増収、同27.0%の経常増益
上期業績が上振れしたものの、通期の業績予想を据え置いた。下期は、システナブランドの知名度向上による営業強化と採用強化を目的にテレビCM放映を行うため広告宣伝費の予算を増額した。
通期では、消費増税による需要の先取りの影響からソリューション営業の売上減少を見込んでいるため、売上高全体では小幅な伸びにとどまるが、新たなビジネスモデルの構築が進むリューションデザイン事業、組織改革が一巡したフレームワークデザイン事業(旧金融・基盤システム事業)、ビジネスモデルの再構築が完了したITサービス事業及び付加価値サービスが拡大するソリューション営業の各事業において、収益性の改善を伴って売上が大きく伸びる。タイ子会社や米国子会社が通期で寄与する海外事業やラインナップの拡充が進むコンシューマサービス事業は共に売上が損益分岐点に達する見込み。

配当は1株当たり15円の期末配当を予定。同社は機動的なM&Aを念頭に資金確保に努めつつ、配当性向40~50%を目処に配当を実施していく考え。
 
 
 
今後の注目点
市場が縮小傾向にある端末開発支援や利益率の低い物販等のビジネスから、市場の拡大が見込まれるサービスの企画・開発・検証・運用支援や付加価値の高いソリューションへのシフトが進んでいる事が、先行投資負担を吸収して大幅に利益が増加した上期決算で確認できた。
スマートフォンやタブレット端末向けのサービスを提供するためには、アプリ(ネイティブアプリ)が必要になる。例えば、保険会社が保険の購入や契約者への各種サービスを提供するためにアプリが必要だし、証券会社が取引口座の開設や口座保有者が証券売買をするためにもアプリが必要となる。一方、こうしたアプリの開発会社は、組込みソフト開発から展開してきた会社(端末サイド)とWebアプリ開発から展開してきた会社(サーバー・サイド)に分ける事ができる。それぞれが強みと弱みを有し、端末サイドの開発会社は運用面での視点に欠け、しかも日本の端末メーカーが撤退や事業縮小を余儀なくされる中で多くが淘汰されてしまった。一方、サーバーサイドの開発会社は端末についての知見が乏しいため、動作検証等のハードルが高く、端末の高速処理ニーズにも応えきれていない。これに対して、同社は端末サイドとサーバーサイドの両岸で実績を有する数少ない会社であり、この技術は、自動車、情報家電、公共事業、ホームセキュリティ等、今後、開発需要の増加が見込める分野でも活かす事ができる。
また、物販や派遣を中心にした旧カテナは利益管理の甘さもあり、付加価値の低下が著しかったが、半世紀近くをかけて積み上げてきた4000社の顧客資産を有していた。このため、付加価値化と顧客資産の有効活用を図るべく、社員の意識改革の推進と積極的な人材採用で人的リソースの質を高めると共に、事業の軸足をALLシステナ体制で臨むソリューションにシフトさせた。この成果が顕在化しつつあり、パソコンの納品のみにとどまっていた法人向けパソコン販売が、セキュリティの提案営業の成果で、セキュリティソフトをインストールしたパソコンの納品に変わり、コストパフォーマンスに優れた最新のサーバーと各種のソリューションをセットにした提案営業の成果で、サーバーの更新期を迎えた顧客から仮想化等のサービスを加えたサーバーの構築案件を受注する等のケースが増えてきた。また、人材派遣では、取引先の要望を重視するあまり、案件単位での採算管理が甘くなり、利益の出ていない案件が少なくなかったが、不採算案件からの撤退やスキルに応じた人員配置等で収益化を進めた。この他、バイリンガルの人材採用を強化して英語対応を可能にしたヘルプデスクが外資系企業から高い評価を受けている。
業績予想について、同社は慎重な姿勢を崩していないが、上記の取り組みの成果で第1四半期、第2四半期と期を追う毎に業績モーメンタムが強さを増している事から、下期以降の見通しは明るい。