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(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.39

(8860:東証1部) フジ住宅 企業HP
宮脇 宣綱 社長
宮脇 宣綱 社長

【ブリッジレポート vol.39】2015年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「同社の第2四半期決算は消費税増税の反動減の影響により減収減益となったものの、非常に評価できる内容であったと言えよう。評価ポイントと・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年12月2日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
宮脇 宣綱
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 86,363 5,806 5,660 3,261
2013年3月 66,047 3,809 3,761 2,268
2012年3月 71,594 4,928 4,903 2,767
2011年3月 59,796 3,648 3,680 2,027
2010年3月 48,614 2,137 2,118 1,237
2009年3月 45,300 2,584 2,388 1,361
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
2000年3月 34,268 1,596 1,117 -2,237
株式情報(11/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
630円 36,087,274株 22,735百万円 14.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.00円 4.1 % 77.59 8.1倍 676.44円 0.9倍
※株価は11/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
※ROE、BPSは前期実績
 
フジ住宅の2015年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府下全域の他、兵庫県一部(阪神間)・和歌山県北部地域で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向けの賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。
販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長である。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。
 
(1)事業内容
分譲住宅事業(14/3期売上構成比48.0%)
戸建とマンションの分譲を手掛けており、「自由設計方式」と「街づくり」を特徴とする戸建では、用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。
 
 
住宅流通事業(同 31.4%)
「快造くん」のブランド名で展開している中古住宅の再生・販売及び新築建売住宅の販売に係る収益が計上されている。エリア毎に住まい探しの情報拠点となる「おうち館」や、仕入・販売の拠点となる「フジホームバンク」を設けており、中古住宅では地域密着営業により交差点単位での地域情報の収集・分析力をベースとした物件の鑑定力や仕入・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォーム業者の育成やマニュアル化等、独自のノウハウを強みとする。一方、新築建売住宅では、泉州地区(泉佐野、熊取、貝塚、岸和田中心)で小規模分譲地を開発し手頃な価格の建売住宅を販売。当事業は分譲住宅事業でカバーできない低価格ゾーンをカバーしている。
 
 
土地有効活用事業(同 8.4%)
賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸アパートの収益が計上されている。建築請負では、遊休地の有効活用を目的とした賃貸マンション・アパート等の建築提案を行なっており、市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の運営管理までを一貫してサポート。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。飛び込みによる営業活動は行っておらず、金融機関や既契約者からの紹介、及びリピートを中心に案件を獲得。また、個人投資家向け一棟売賃貸アパートでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。
 
 
賃貸及び管理事業(同 11.2%)
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けている。安定収益源となるばかりでなく、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
 
注文住宅事業(同 0.9%)
市況の影響を受けにくい非不動産販売事業育成の一環として、戸建住宅の新築や建替えを請負うといった事業を行っている。会社の第5の柱として展開中。
 
 
(2)同社の強み
住まいのあらゆるニーズに対応できる住まいのトータルクリエーターであること
土地の仕入れ・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体勢を備えた戸建住宅事業で築き上げたノウハウを基盤に、中古住宅販売、土地有効活用、個人投資家向け賃貸アパート販売、賃貸及び管理の幅広い事業を、相乗効果を図りながら展開。地域密着型経営の特長を活かしながら各事業で独自のノウハウを蓄積し、優良な物件を適正な価格で提供するとともに、居住者が安心して、長く、豊かに暮らすことができるよう、きめ細やかなアフターサービスを提供。
 
 
市況にあわせて、注力事業を変化させる柔軟性の高い経営体質であること
市場の大きな変動によって、不動産販売は大きく影響を受けやすい。また、その時々の事業により、好不況の影響を受ける度合いが異なる。同社は、市況にあわせて注力する事業を柔軟に変更し、財務体質の強化を図ることによって、景気に左右されにくく、着実に利益を伸ばすことのできる経営体質を確立している。
 
自由設計やリフォームなど、顧客ニーズに積極的に対応し、売れる住まいを提供していること
市場リサーチの結果や購入後の評価を踏まえて、広くて厚い顧客層のニーズをとらえる不動産およびサービスを提供。近年関心の高まる住まいの「安全性」については、基礎や柱などの構造強化策を講じ、安心の住まいを提供。更に、外観・間取り・設備・庭づくりなど、顧客の希望に沿った自在な設計プランに対応する「わがまま自由設計」を販売している。また中古不動産市場においてはリフォーム付きマンションの販売を推進するなど、付加価値の高い街づくり・住まいづくりによって、販売戸数の増加、売上の増加につなげている。
 
 
 
2015年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比11.4%の減収、同45.2%の経常減益
売上高は前年同期比11.4%減の351億54百万円。前期末の高水準の受注残が寄与した土地有効活用セグメントなどが増加したものの、消費税増税前の駆け込み需要の反動減により新規分譲マンションの引渡しが減少した分譲住宅セグメントなどが減少した。中古住宅の仕入・販売が順調に推移した住宅流通セグメントの増加により、売上高は期初計画を上回った。また、販売状況を示す受注契約高は、中古住宅の受注が増加した住宅流通セグメントで増加したものの、分譲マンションの受注減少が影響した分譲住宅セグメントや消費税増税の影響を受けた賃貸住宅等建築請負の受注が減少した土地有効活用セグメントなどで減少し、同10.2%減少した。また、9月末の受注契約残高も、自由設計住宅などの減少により前年同月末比10.4%減少した。
経常利益は、前年同期比45.2%減の14億79百万円。売上が増加した土地有効活用セグメントや賃貸及び管理セグメントにおいて増加したものの、新築分譲マンションが減少した分譲住宅セグメントや利益率の高い新築建売住宅が減少した住宅流通セグメントなどにおいて減少した。売上総利益率は同0.8ポイント低下。売上が減少する中、販管費が前年同期比微増となったことから、営業利益は同44.8%減の14億98百万円となった。
 
 
分譲住宅セグメントの売上高は前年同期比36.2%減の119億10百万円、セグメント利益は同72.4%減の5億54百万円。売上及び利益の減少は、自由設計住宅と分譲マンションの減少が影響した。また、受注契約高は消費税増税前の駆け込み需要の反動減の影響を受け、自由設計住宅が今上期298戸(前年同期は309戸)、分譲マンションが今上期160戸(前年同期は269戸)となり、154億円38百万円と同18.9%減少。受注契約残高も同234億88百万円と同20.7%減少した。
 
住宅流通セグメント売上高は前年同期比0.9%増の124億59百万円、セグメント利益は同14.7%減の3億32百万円。売上及び利益の減少は、利益率の高い新築建売住宅の販売が減少したことが影響。中古住宅の仕入れが回復傾向となった中古住宅の受注契約戸数が659戸(前年同期は634戸)と増加し、住宅流通セグメントの受注契約高は128億75百万円と同2.4%増加。受注契約残高は中古住宅と建売住宅がともに減少し、28億57百万円と同17.3%減少した。
 
土地有効活用セグメントの売上高は前年同期比46.2%増の53億55百万円、セグメント利益も同32.0%増の5億89百万円。売上及び利益の増加は、前期末の高水準の受注残の案件引渡しが順調に進んだもの。一方、消費税増税後の影響を受けた賃貸住宅等建築請負が減少し、受注契約高は72億4百万円と同5.6%減。受注契約残高は個人投資家向け一棟売賃貸アパートが増加し128億44百万円と同24.4%増加した。
 
上記の他、賃貸及び管理事業セグメントは、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び管理物件の取扱い件数が増加したことや中古住宅アセット事業による中古賃貸物件の増加により売上高が51億94百万と前年同期比10.0%増加し、セグメント利益も4億55万円と同59.4%増加した。また、立ち上げ期にある注文住宅事業は、売上高が2億33百万円と同20.7%減少したものの、前期に実施した集客効果が望めない住宅展示場の閉鎖整理による収益性の改善からセグメント利益は17百万円(前年同期は3百万円の損失)と改善した。
 
 
 
 
 
2014年9月末の総資産は883億52百万円と前期末比25億円増加した。資産サイドではたな卸資産の増加18億33百万円や有形固定資産の増加5億3百万円が、負債サイドでは短期借入金の増加34億64百万円が主な増加要因。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産186.7億円(前期末174.4億円)、仕掛販売用不動産163.1億円(同132.4億円)、開発用不動産329.2億円(同353.8億円)。有利子負債は29億29百万の増加。2014年9月末の自己資本比率は28.2%と前期末とほぼ同水準であった。
 
 
CFを前上期と比較すると、当期純利益の減少や法人税等の支払いなどにより営業CFがマイナスへ転じた。また、有形固定資産の取得などで投資CFのマイナス幅も前若干拡大し、フリーCFがマイナスとなった。一方、長期借入金の返済額の減少などにより、財務CFはプラスとなった。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
前期比7.4%の減収、同24.0%の経常減益予想
15/3期の会社予想は、売上高が前期比7.4%減の800億円、経常利益が同24.0%減の43億円の期初予想を据え置き。15/3期第2四半期は、売上・利益ともに期初の会社計画を上回ったものの、消費税増税後の住宅需要の全般的な落ち込み傾向の継続や円安による建築資材の高騰などの影響を考慮している。
売上面では、2013年10月以降の消費税増税の駆け込み需要の反動により、戸建住宅の売上戸数が減少する見込み。また、マンション建築にかかる労務費・材料費の高騰により、適正利益の確保が困難となることから、マンション供給を大幅に抑制する計画となっている。一方、前期の受注水準が高かった土地有効活用セグメントは大幅に増加する見込み。
利益面でも、売上高が増加する土地有効活用セグメントが大幅な増益となるものの、売上高が減少する分譲住宅セグメントの減益幅が大きくなる予想。また、仕入単価上昇の影響を考慮し、住宅流通セグメントの利益率が悪化する計画となっている。
配当も、前期と同じ1株当たり年26円(上期末13円、期末13円)の期初予想から変更なし。
 
 
 
15/3期上期は、期初の会社予想に対し、売上面、利益面とも上回った。上期の連結売上高実績351億54百万円に、14/9月末の受注契約残高うち、当期売上予定の279億96百万円を加えた631億50百万円(通期目標の78.9%)がほぼ確実に今期の売上に計上される見込み。これに、今後大きなブレのない10月以降の賃貸及び管理の売上51億6百万円を加えた売上は、通期目標の85.3%となる。通期目標との差額である117億44百万円(通期目標の14.7%)は、10月以降の受注のうち今期売上に計上される予定の建売・中古住宅及び分譲マンションの販売額となる。
会社計画の達成に向け順調に推移しているものの、同社では消費税増税後の住宅需要の全般的な落ち込み傾向の継続や円安による建築資材の高騰などの影響を慎重にみている。
 
 
15/3期の受注は、第1四半期及び第2四半期ともに、会社計画を上回った。消費税増税前の駆け込み需要の反動減を予想していたものの、自由設計住宅・分譲マンション・中古住宅及び個人投資家向け一棟売賃貸アパートの受注実績が会社計画を上回った模様。
 
今後の注目点
同社の第2四半期決算は消費税増税の反動減の影響により減収減益となったものの、非常に評価できる内容であったと言えよう。評価ポイントとして、第一に中古住宅及び個人投資家向け一棟売り賃貸アパートの好調により受注が会社計画を上回ったこと、第二に中古住宅の仕入・販売が順調に推移し、期初計画に対し売上・利益がともに上回ったこと、第三にストック系の事業の拡大である賃貸及び管理セグメントの増益率が高くなったことがあげられる。厳しい環境ながら、市況にあわせて、注力事業を変化させる同社の経営体質の柔軟性を改めて確認することができる内容であった。中でも、賃貸及び管理セグメントの利益拡大は、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び管理物件の取扱い件数の増加や中古住宅アセット事業による中古賃貸物件の増加によってもたらされている。これらの事業の拡大は、業界環境の変化に影響を受けにくい安定的な成長を可能にするものであり、同社の収益構造の強化につながる。
一方で、自由設計住宅や分譲マンションの落ち込みは続いている。同社は今後新築分譲一戸建住宅の販売拡大を図るべく、前期の後半に優良なたな卸資産の積み増しを実施した。同社の今期受注は、これらの販売が本格化する年後半以降、大きく伸びる計画となっている。今期の新築分譲一戸建住宅の販売動向に注目したい。また、マンション建築にかかる労務費・材料費の高騰により、適正利益の確保が困難となったとの判断により現在供給を大幅に抑制している分譲マンションであるが、労務費・材料費の高騰が一服し、供給拡大の時期が近づいている。新築分譲マンションの販売拡大は同社の業績拡大に直結することから、新築分譲マンションの供給拡大の動きにも注目していきたい。