ブリッジレポート:(3189)ANAP vol.3
(3189:JASDAQ) ANAP |
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企業名 |
株式会社ANAP |
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社長 |
家髙 利康 |
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所在地 |
東京都渋谷区神宮前2-31-16 |
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決算期 |
8月末日 |
業種 |
小売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年8月 | 8,590 | 402 | 621 | 261 |
株式情報(11/7現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【沿革】
一方、当初より同社専務取締役であった現 代表取締役社長の家髙 利康氏が運営する「株式会社ヤタカ・インコーポレーテッド」は、製造・卸によるプロダクト・アウト型企業として自社ブランドを展開していたが、フランチャイズとして「ANAP」ブランドの販売にも参画し、フランチャイズ11店舗を出店。両社は緊密な協力関係を構築していった。 両氏ともにファッション業界を取り巻く時代の変化を感じる中、お互いの強みを融合させることにより強力なシナジー効果を追求することができ、それが今まで以上に顧客目線を重視した経営に繋がると判断し、2006年8月、両社は合併。翌2007年、社名を現在の「株式会社ANAP」に変更した。 「ANAP」をメインブランドとしながら、コンセプトの異なる多種多彩なサブブランドを展開して、幅広い顧客ニーズをとらえると共に、原宿、渋谷など首都圏を起点としつつ、イオンモールなど大型ショッピングモールへの出店も進めて全国へ店舗を展開。 2002年1月には独自の自社ブランド販売サイト「ANAPオンラインショップ」を開設するなど、業界の中でもインターネット販売にいち早く着手し、2013年9月には、(株)スタートトゥデイ(東証1部、3092)が運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始。2013年11月、東京証券取引所JASDAQ市場に上場した。 【企業理念など】
企業理念として以下のコンセプトを掲げている。『「ファッション」とは、その時楽しいことが何より重要』
『お客様が「ファッション」を「オンタイム」で楽しめることが何より大事』
『現在(いま)であることにこだわり、欲しいものが手頃な価格でいつでも手に入る「リアルクロージング」のお店』
【市場環境】
同社の主要顧客層は10代~20代の女性。同社の調べによれば、アパレル業界においては市場全体の約6割強を占める婦人服市場に属している。また、婦人服の販売チャネルでは、百貨店が下降傾向にあるのに対し、専門店、ネット販売等が上昇傾向にあり、。今後もインターネットを通じた販売の比率(EC化率)も上昇が予想されている。 こうしたことから、同社では後述するように、インターネット販売の売上構成比の拡大を目指して様々な取り組みを進めている。 【事業内容】
メインブランド「ANAP」を中心に、リーズナブルにおしゃれを楽しみたいという、多様なニーズをとらえるため、幅広い年齢層から支持されている全国ブランド、定番もの、流行もの、個性的アイテムまでコンセプトの異なるサブブランドを数多く展開している。豊富なアイテム数とリーズナブルな価格設定が特長となっている。近年は新しい年齢層のKIDSやGIRLに注力しながら、アクセサリーやバック、小物類についてもブランドとして扱っている。2014年8月末現在、ANAPを始めとした18の主要ブランドを展開。これを店舗、インターネット、卸の3形態で販売している。 (1)店舗販売事業
「ANAP」とそのサブブランド等からなるANAPブランドの主要な販売チャネルとして原宿や渋谷等に位置する路面の旗艦店舗、各地のファッションビルおよび郊外に位置する大型ショッピングモールへの出店など、全国に94店舗を展開している。(路面店 25、ファッションビル 18、ショッピングモール 51。2014年8月末現在)「2014年8月期 売上高 5,423百万円(売上構成比 61.3%)、セグメント利益 289百万円」 「顧客にANAPブランドの魅力を実感してもらうためのチャネル」として重視すると同時に、「市場動向、流行、顧客ニーズを掴むためのアンテナ」、「インターネット販売への導線」として位置づけている。 その理由の一つが効率の高さ。オーナーに支払う売上歩合の一般的な比率は、ファッションビルに対し、ショッピングモールは約半分となっており、ショッピングモールへの出店は効率性の点で大きく上回る。 2000年に入りショッピングモールの建設が地方を中心に増加していった当初、繁華街や一等地への出店を志向するファッション業界の同業他社はモールへの出店には消極的であったが、米国型のフロア効率の良いビジネスを目指した同社は積極的に出店を進めていった。 こうした姿勢がショッピングモール側からも評価され、中でもイオンモールとは2004年に第1号店として「イオンモールりんくう泉南店(大阪府)」を出店して以来長期間にわたる信頼関係を構築しており、円滑な新規出店戦略遂行の大きな支えとなっている。 また多数のアイテムを有する同社にとっては1店舗当たりの面積が広いショッピングモールの方が、効果的なディスプレイを行う上で適しているという側面もある。 出店を検討するに際しては投資回収期間を個別案件ごとに判断し、役員会での承認を絶対条件としている。 (2)インターネット販売事業
業界に先駆けて2002年1月より「ANAPオンラインショップ」としてANAPブランドのショッピングサイトの運営を開始した。2014年8月末の会員数は65.5万人。うち、過去1年以内に購入実績のあるアクティブ会員数は14.1万人となっている。「2014年8月期 売上高 2,832百万円(売上構成比 32.0%)、セグメント利益 529百万円」 常時1万アイテム以上の自社商品を品揃えしながら、ANAPカラーを全面に押し出したPOPなデザインのサイトで、ターゲットとする年代層が興味を持つ音楽や映画等の海外エンターテイメント情報を提供している。 ファッション雑誌を見ているかのような感覚や、ウィンドウショッピングを楽しんでいるかのような感覚になれることを意識して、掲載商品をコーディネートし、顧客が自ら着用した姿をイメージしやすくするといったサイト作りに力を入れている。 受注管理、売上管理、在庫管理、購入分析などを自社で一元的に管理している他、自社開発であるため、新たな機能の追加や従来機能の改善が容易であるというメリットがある。例えば、オンラインショップ担当スタッフが発案した顧客に楽しんでもらうためのアイディアや、顧客からのリクエスト等を即座にサイト上に反映して表現することができる。同社の商品戦略を機動的に実現する重要な仕組みとなっている。 同サイトにアクセスしてみると、例えば、「期間限定の950円均一セール」、「会員限定の送料無料キャンペーン」といったイベントが行われていることが分かるが、その内容は随時、極論すればアクセスの度に異なっており、その動的コンテンツのためにユーザーにとって魅力的なWebsiteとなっている。 こうした仕組みも自社開発したシステムによる自動プログラミングで実行されているため、極めて効率的にキャンペーンを展開することが出来るようになっている。 また、消費者のユーザビリティーを常に考慮し、使用デバイスとしてもPC、携帯を経ていち早くスマートフォン、タブレットへの対応も進めてきた。スマートフォンではデータ量の大きい画像への対応が必須だが、クラウドの利用などでこの課題をクリア。この結果、スマホ・タブレット受注割合は2014年8月で79.0%と極めて高い。 同社では中期的な経営目標として「インターネット販売事業の売上構成比50%超」を掲げている。 そのためには自社サイトのみでなく様々なサイトに多くのアイテムを出品する必要があるとの考えから、2013年9月には、(株)スタートトゥデイが運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始した。同様な理由で、卸売販売としてネット通販大手「Amazon」にも出店している。 加えて、2014年5月28日からは、クルーズ株式会社が運営するファストファッションサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」における販売を開始している。 (3)卸売販売事業
全国のセレクトショップ向けに卸売販売を行っている。「ANAP」の各ブランドは他社バイヤーに対しセレクト商品を納品し、「Factor =」、「AULI」、「Romeo y JuLieta」のブランドについては展示会受注によって商品を納品している。
売上規模は大きくないが、業界のトレンドに加え、大手アパレルやバイヤー動向などの情報を収集するための重要な機会と捉えている。
「2014年8月期 売上高 588百万円(売上構成比 6.7%)、セグメント利益 18百万円」 |
特長と強み |
安定性を生み出すビジネスモデル
同社では、専属バイヤーがアジアを中心とした現地に出向いて日本のユーザーのニーズを捉えると判断した衣料品等のサンプル品を仕入れ、同社独自のデザインを施し、中国や香港の専門業者に生産を依頼というスタイルが中心となっている。(一部、為替リスク回避のため商社仕入も実施。)このため、大きなコストを掛けることなく多品種・少ロットでの生産および商品展開が可能になっており、一つの商品の好不調が売り上げ全体に大きく影響しにくい構造となっている。 また、前述のように多彩な独自ブランドを並行して展開しているため、各ブランドのシーズン毎の好不調を全体としてカバーすることができる。 このように、「多彩なブランド展開」と「多品種・少ロットでの豊富な品揃え」により年間を通して安定した売上を確保できる点が同社のビジネスモデルの大きな特長・強みとなっている。 ①ブランド力・ブランド認知度
創業時から変わらない「個性的でリーズナブルな普段使いの衣料品」というコンセプトやブランドカラーを継続している一方、商品の入れ替わりが早く、消費者にとっては常に新鮮な品揃えとなっている。また、テレビや雑誌などメディアへの露出度も高い。こうしたことからブランドの魅力が向上し、直営店舗における販売力の向上と、オンラインショップにおける集客力の向上に結び付いている。 イオンモール、ZOZOTOWNおよびネット通販大手「Amazon」に出店が可能なのは、同社商品が低価格ではあるが「ブランド」として認知されているためといえるだろう。 ②多彩な商品とスピーディーな供給力
同社では多彩な商品をスピーディーに取り揃えるために、仕入(直接買付)の場において現場主義を取り入れている。これは、仕入を行う際、経験豊富な本部のバイヤーに、店舗の店長スタッフが帯同するというもので、市場動向、流行、顧客ニーズを素早く仕入に反映させることにより、販売機会のロス低減につなげている。加えて、次世代バイヤー育成の意図も含んでいる。 また、同社の海外仕入れに関するリードタイム(発注から仕入れまでの期間)は大変短く、特に売れ筋商品に関するリピートオーダーがあった際に大きなメリットをもたらしている。 ③魅力ある店舗づくり
同社の店舗では、「幅広いターゲット層」を対象に、「個性的な商品」を「ポップなオリジナルカラー」で取り揃えている。加えて、スタッフはそれぞれがANAP商品を着こなしており、店舗内でANAPブランドの世界観を構築している。こうした演出により顧客に対し楽しいショッピングの機会と商品を選ぶ楽しみを提供している。 ④オンラインショッピングサイトの販売力
業界に先駆けてインターネット販売に取り組んできた同社だが、業界紙「繊研新聞社」の調査によれば、2013年度のアパレル通販専業を除くアパレル専門店を対象としたネット通販売上高ランキングにおいて、同社はまだ小規模な企業ながらも、第19位にランキングされている。同社の有するブランド力と、前述したように自社開発システムによる高い機動性を活かした独自のインターネット販売への取り組みが、こうした実績に結び着いていると言えるだろう。 |
2014年8月期決算概要 |
ネット販売好調で増収となるも、在庫コントロールに苦戦し損失計上
売上高は前年同期比3.0%増の88億円。不安定な天候、円安の進行による輸入原材料の高騰など、厳しい事業環境の下、店舗販売は微減だったものの、インターネット販売は好調だった。ただ、在庫増に伴うセール販売を増加させたため、粗利は同12.2%減少し、粗利率も同約9%低下した。 販管費は、商品の出荷・配送・保管のためのアウトソーシングに伴う業務委託費用の増加などで、同6.0%増加し、この結果営業利益は480百万円の損失となった。不採算店舗の発生に伴う減損損失108百万円等があり、当期純利益も損失となった。 ◎店舗販売事業
ショッピングモールへ8店舗新規出店した一方、7店舗退店し、期末店舗数は94店舗となった。また、店舗改装4店舗、店舗ブランドの変更2店舗を行った。店舗数は1店舗増加したが、既存店売上が前期比85.4%と不振だったため、売上高は減収となり、セール販売の増加により営業利益は大幅に減少した。 ◎インターネット販売事業
「ZOZOTOWN」、「LABOO」に加え、5月からは「SHOPLIST.com by CROOZ」での販売もスタート。「LINE@」を中心としたネット媒体の活用もあり、売上高は堅調に増加。自社サイト売上は前期比約230百万円増加、2013年9月よりスタートした他社サイト売上は約350百万円だった。ネット販売の売上高構成比は前期比6%上昇し32%となったが、セール販売実施により利益は減少し、利益率も前年同期に比べ低下した。
引き続き、他社ECモールへの新規出店を今後も積極化させるとともに、「LINE@」を始めとした他社媒体等を活用した自社ショッピングサイトの集客力向上を通じて、経営目標である売上構成比率50%の達成を目指していく。 ◎卸売販売事業
既存取引先への販売が減少し減収となった。
(3)キッズ・ジュニアブランド動向
同社は親子連れの顧客に対するキッズ・ジュニアブランドの販売強化策を進めているが、同ブランドの売上高は前期比37.9%増の21億円と好調で、売上高構成比も前期の18%から、25%へと着実に上昇している。(ANAP KIDSが同14.4%増、ANAP GiRLが同104.0%増) 新規出店を強化しているショッピングモールにおけるファミリー層の親子購買を促す店作り等を進め、経営目標としている売上高構成比30%の達成を目指している。 短期借入金の減少などで、流動負債は同322百万円減少し、社債および長期借入金の増加等により固定負債は同302百万円増加した結果、負債合計は同19百万円減少した。株式公開に伴い資本金、資本剰余金が増加した一方、利益剰余金が当期純損失により減少した結果、純資産は同27百万円の減少となった。 この結果、自己資本比率は44.2%と、前期末より0.1%低下した。 |
2015年8月期業績予想 |
ネット販売中心に4期連続の増収。在庫圧縮完了し黒字確保へ。
インターネット販売中心に売上高は前期比3.0%増加の91億円。在庫圧縮はほぼ完了したが、上期は前期の影響が残るため、本格的な回復は下期と見込んでいる。 配当については現時点では未定としているが、期末配当の実施を目指している。 将来的には、内部留保と投資のバランスを勘案しながら、配当性向30%を基準とした継続的な配当を行う考え。 |
成長戦略 |
①新規出店
前期はANAPイオンモール幕張新都心店を含む新規8店舗を出店した。今期も、「顧客にANAPブランドの魅力を実感してもらうためのチャネル」であると同時に、「市場動向、流行、顧客ニーズを掴むためのアンテナ」としての位置づけは変わらず、第1四半期の5店舗出店を含め、収益性の高いショッピングモールを中心に、年間8店舗程度の出店を継続する。一方、都心型店舗(交通の便がさほど良好でない路面店やファッションビル店舗)は採算を吟味して継続・閉店を判断していく。既に7店舗の閉鎖を決定している。 ②新たな顧客層の取り込み
前述のように、KIDS、GIRLが順調に伸びている中、これらを強化すると共に、新たなブランドとして「ANAP SCHOOL」、「ANAP BOY」をスタートさせた。加えて、「ANAP」より上の年齢層をターゲットとした新規ブランド「Add too」(仮名)を立ち上げた。 また、2013年9月より出店を開始した「ZOZOTOWN」は順調に取扱高が拡大している。 自社サイトとの競合を懸念する声も外部にはあるが、「同業他社による類似ブランドの出品が少ないこと」、「ZOZOTOWNの商品購買年齢層は20代から30代と同社の中心顧客年齢層よりも高いこと」などから、カニバリゼーション(自社製品同士の顧客の取り合い)を上回る、広告効果を含む高い相乗効果を発揮していると会社側は判断している。 加えて、「ANAP」と「ANAP KIDS、ANAP GiRL」の間のポジションを埋めるブランドの立上げも検討中とのことだ。 ③オンラインショッピングサイトの集客力アップ
若年層に人気のSNS「LINE」のビジネスアカウント「LINE@」のファッションカテゴリにおいて同社のユーザー登録数は2014年10月現在約15万名で、第2位と高い人気を獲得している。月間2回程度店舗のクーポンを配布するほか、オンラインショップの情報も提供しており、「Online to Offline」、「Online to Online」両方での集客を図っている。 その他、Facebook、Twitter、docomoなど他社媒体を通じた自社サイトの認知度向上に積極的に取組んでいる。 ④在庫の一元管理
2012年5月、オンラインショップの物流業務をアウトソーシングし当日発送が可能になったのに続き、2013年2月には自社店舗への商品出荷配送をアウトソーシングしたが、さらにアウトソーシングを進め、2014年2月には全ての事業セグメントにおける在庫の共有化を開始した。これまでは、各事業セグメントの在庫がそれぞれ別の場所に区分管理されていたため、全社レベルでの在庫水準の最適化が難しかった。また、インターネット販売事業においては欠品が発生するケースもあった。 今回の在庫一元管理の開始により、「適正在庫水準の維持」、「在庫管理業務の効率化」が実現すると共に、「インターネット販売事業における機会損失の低減と販売機会の増加」が期待でき、同事業の更なる拡大と収益性向上に大きく貢献すると考えている。店舗販売事業においても同様の効果を見込んでいる。 |
家髙 利康 社長に聞く |
<事業環境に関する認識>
若年層の購買行動が更に変化している。「モノ」を買わないと言われている年齢層が拡大していると感じる。
そうした激しい変化に対応するため今期は今まで以上に「スピードアップ」を基本理念として事業を再構築、展開していく。
<インターネット販売の拡大>
固定費が安い、自社開発のシステムを使用しているため機動的に販売戦略が展開できるというメリットに加え、実店舗ではなかなか複数枚購入してくれないが、ネットでは複数枚購入してくれる顧客も多く、客単価が高いという点も特徴的だ。
前期30%まで上がってきた売上構成比を目標である50%まで早急に引き上げたい。
<店舗展開の早急な見直し>
「モノ」を買わない世代が増加している中、都心型店舗における当社マーケットは限定的と考えており、利便性や家賃の点から、路面店、ファッションビル店舗は採算を厳しく吟味していく。ただ、「顧客にANAPブランドの魅力を実感してもらうためのチャネル」としての重要性に変化は無いので高採算店は当然運営を続ける。
モール店舗中心に展開するが、これも厳選する。サブブランド店舗なども出店してみたが、却って自社ブランドが希釈化してしまう結果になってしまった。やはり最も差別化が図れる「ANAP」に絞り、他社店舗の出店状況も見ながら出店を検討していく。
<社内改革>
今迄は3つのビルに分散していた本社機能を11月より1ヵ所に集約した。「Face to face」の情報交換、共有が進み、コミュニケーションが今まで以上に密になる事が期待できる。
<自社のポジショニングと理念の継続について>
厳しい環境の下、これからの当社のあるべきポジショニングや、当社の企業理念が果たして正しいのか?を社内で何度も議論を重ね、考えに考えた。
現在のマーケット環境を見れば「多品種・少ロット販売へのこだわり」は即していないと、大多数の人間が考えるだろう。この理念を変え、新しいブランドを立上げそれに集約する事は多分たやすい。
ただ、創業以来のこの理念を変えれば当社を支える全ての根幹が揺らぐだろう。
一方で、他社の動向を見ると多くの企業がブランドの集約化を進めている。
そうした中で、理念を変えず従来通り「現在にこだわり、多品種・少ロットにこだわる」ことは、「当社ならではの個性」を活かし、「ユニークさ」を際立たせることに繋がり、当社独自のポジショニングに確立に繋がると結論付けた。
「我慢する事」が現時点においては攻めの姿勢だ。「ANAP」にはそれだけの守るべき歴史、価値、ブランドがあると信じている。
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