ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.50

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 会長兼社長
小林 徹 会長兼社長

【ブリッジレポート vol.50】2014年12月期第3四半期業績レポート
取材概要「第2四半期(4-6月)の売上、利益の低下は一過性であったことが、今回の決算でより明確となった。第3四半期時点での通期予想に対する進捗率も・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年11月18日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
会長兼社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年12月 23,582 2,108 2,628 1,620
2012年12月 20,699 1,398 1,680 825
2011年12月 18,502 1,677 1,830 1,033
2010年12月 17,395 1,705 1,761 981
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(11/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,971円 16,549,384株 32,618百万円 8.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
35.00円 1.8% 111.78円 17.6倍 1,269.42円 1.6倍
※株価は11/7終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
オプテックスの2014年12月期第3四半期決算概要について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界シェア40%を誇る屋外用防犯用センサや世界シェア30%・国内シェア60%の自動ドアセンサを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛ける。産業機器用センサ事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。
ファイバーセンシス社及びレイテック社とは、それぞれの強みを融合した大型重要施設向けソリューション(施設への侵入警戒システム)を展開している。また、国内及びEUに強みを持つオプテックス(株)、北米を中心とした米州や中近東等に強みを持つファイバーセンシス社、更には英国及びEUでの売上が大半を占めるレイテック社と、事業エリアの面でも補完関係にあり、オプテックス(株)による中東への展開やレイテック社による北米、中南米、中東等への展開等、グループ企業の販路を活かした事業展開でも実績を上げつつある。
 
【事業内容】
事業は、防犯関連や自動ドア関連等のセンシング事業、産業機器用センサを手掛けるFA事業、中国工場で展開する電子機器受託生産サービス(EMS)の生産受託事業、及び客数情報システム・電子部品の開発・販売、スポーツクラブ運営その他に分かれる。
 
 
 
2014年12月期第3四半期決算概要
 
 
前年同期比8.8%の増収、同12.8%の経常増益
売上高は前年同期比8.8%増の187億34百万円。国内は同4.6%増、海外は同11.0%増。セグメント別ではセンシング(防犯)、センシング(自動ドア)、FA共に堅調に推移した。為替の影響はプラス10億10百万円で、これを除くと増収率は2.9%増。
営業利益は同21.1%増の20億77百万円。販管費増(人件費194百万円増、経費70百万円増、合弁会社新設費用132百万円増、為替影響291百万円増)を粗利増(増収効果260百万円増、原価率低下135百万円増、為替影響654百万円増)で吸収した形だが、為替の影響を除くとほぼ前年同期並みにとどまった。経常利益は為替差益減少の影響で同12.8%増の22億95百万円だった。
 
 
 
第1四半期(1-3月)は消費税率引き上げ前の駆け込み需要が売上・利益を押し上げたものの、第2四半期(4-6月)はその反動で売上が減少。販管費も増加したが、米州、EMEA(欧州・中東・アフリカ)でのHead Quarter設立、米国・英国でのセキュリティ関連の展示会出展、及び子会社による中国合弁会社の立ち上げ等一時的なものであったため、第3四半期は(7-9月)は売上、利益ともに回復した。(販管費:第1四半期25億58百万円、第2四半期27億92百万円、第3四半期26億19百万円)。
 
 
センシング事業
売上高131億16百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益13億86百万円(同21.6%増)。売上高の内訳は、防犯関連が95億13百万円(前年同期比8.5%増)、自動ドア関連が31億6百万円(同9.7%増)。
防犯関連は、国内は同5.1%の減収。警備会社向け受注は堅調に推移した一方、原発関連の受注はピークを過ぎて減少した。海外は、北米同6.3%増、ヨーロッパ同14.1%増、アジア同23.1%増など好調だった。南欧向け住宅用屋外警戒用センサ、韓国販売会社が順調に伸びた。
自動ドア関連は、国内は同4.0%の増収。消費増税に伴う駆け込み需要の反動が軽微にとどまる中、建築業界の活況に伴い堅調に推移した。海外は、北米同15.8%増、ヨーロッパ同23.0%増など、大手自動ドアメーカー向けの売上が順調に推移した。
 
FA事業
売上高38億62百万円(前年同期比14.6%増)、営業利益1億92百万円(同13.1%減)。
国内は同17.1%の増収。物流、電子部品、自動車業界の活発な設備投資を背景に売上が増加した。海外は、独SICK社向けが中心の欧州及び中国で合弁会社の設立効果があったアジアが好調だった。(ヨーロッパ同6.3%増、アジア同52.8%増。)
ただ、売上構成の変化による利益率の低下と中国合弁会社の本格的な稼働に伴う販管費の増加で利益は減少した。
 
生産受託事業
売上高6億11百万円(前年同期比15.5%減)、セグメント利益221百万円(同64.9%増)。
受託製品の減少で売上が減少したものの、原価率の改善等で利益は増加した。
 
 
9月末の総資産は前期末に比べて11億96百万円増の287億28百万円。借方では、たな卸資産が同534百万円、投資有価証券が同532百万円増加。貸方では利益剰余金増により純資産が同10億44百万円増加した。この結果、自己資本比率は前期末と変わらず76.3%であった。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
東証発表の「決算短信集計」によると、東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の14/3期のROEは、金融を除く全産業8.65%(前期は4.99%)、製造業8.55%(同4.53%)、非製造業8.79%(同5.67%)。同社の13/12期のROEは8.24%。円高修正を受けた利益率の改善で前12/12期の4.65%から大きく上昇した。12/12期、13/12期共に、ほぼ東証上場企業製造業の平均的なROEの水準である。更なるROEの改善には、株主還元の拡充を含めて潤沢なキャッシュを有効活用しつつ、15/12期に売上高300億円、19/12期に売上高500億円、と言う目標を確実に達成していく事がポイントと考える。
 
(4)トピックス
◎カメラ専用補助投光器15機種をラインアップに追加
カメラ専用補助投光器(※)Raytec Varioシリーズ15機種の発売を2014年9月より開始した。

子会社レイテックの侵入者監視向けカメラ専用補助投光器は、発電所、工場、空港など重要施設のセキュリティ用途として国内外で豊富な実績を有し、グローバルのシェアは50%となっている。
今回新たにラインアップに加わった投光器Raytec Vario シリーズは、広範囲・長距離・均一に照射できることが特長で、設置環境やカメラの仕様によって光の角度や範囲、距離など目的に合わせて選択・組み合わせが自在にでき、セキィリティ以外にも、防災監視や安全監視など多様化するカメラ需要に対応するもの。
主な市場ターゲットとして、以下の様な用途を想定し市場を開拓する。
・防災監視:ダム・河川の水量、積雪計、火山、土砂崩れ
・安全監視:交通記録、鉄道
・その他 :車両のナンバープレート認識システム向け、既設カメラに対する監視パフォーマンスの向上
 
 
国内外においてセキュリティ意識の高まりからカメラ市場は年率約10%で成長している。また、アナログカメラからネットワークカメラへの移行、PTZカメラや全方位カメラなど1台で広範囲のカメラ撮影をする需要の拡大など、画像処理や画像認識技術の高度化が進んでいる。同社では監視カメラ関連を有望な成長市場と考え、積極的な製品開発・供給に取り組んでおり、今回のRaytec Varioシリーズは合計で当面、年間5億円の売上を目指す。
 
(※)カメラ専用補助照明とは
監視カメラは、近年の技術革新により高解像度の製品が発売されているが、暗所での撮影の際には、ひとつの画素に得られる光量が減少するため、映像が不鮮明になる傾向がある。そこで投光器と監視カメラを組み合わせることで、カメラの画角や撮像距離に応じて、最適な照度を提供することができ、夜間でもカメラが持つ本来のポテンシャルを発揮しより鮮明な映像を取得することが可能となる。
 
 
2014年12月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。2ケタの増収増益を見込む。
業績予想に変更は無い。セグメント別売上高は防犯136億12百万円(前期比14.6%増)、自動ドア41億98百万円(同7.0%増)、FA53億6百万円(同13.7%増)、その他35億84百万円(同15.1%増)と堅調な推移を見込む。下期は対上期でも2ケタの増収増益を予定している。一株当たり配当金は創立35周年記念配5円を含む20円の中間配当、15円の期末配当の合計年間35円を予定している。予想配当性向は31.1%。
 
 
今後の注目点
第2四半期(4-6月)の売上、利益の低下は一過性であったことが、今回の決算でより明確となった。第3四半期時点での通期予想に対する進捗率も概ね順調と見られる。
ただ、為替の影響が売上、利益ともに大きく、それを控除すると実質的には前年同期並みの実績であったことは気になるところだ。
会社側にヒアリングしてみると、当然ではあるがその点は課題であると十分認識しており、固定費の更なる削減による利益体質の強化に今まで以上に取り組むということだ。
短期的には足元でさらに加速している円安の影響も合わせて、そうした体質強化の進捗に、中期的には、製品ラインアップを充実させている、監視カメラ市場開拓の実績に期待したい。
 
 
 
<参考:事業戦略の進捗状況(2014年第2四半期レポートより)>
 
これまで同社は事業部制の下で経営を進めていたが、14/12期期初に組織変更を行い、EMEA(欧州、中東、アフリカ)、米州、アジア、及び日本の4つの営業統括本部が、防犯関連、自動ドア関連、及び新規事業を横断的に手掛ける事業と地域のマトリックス制に移行した。事業間シナジーの更なる追求と管理効率の向上を目的としたもので、各営業統括本部は現地化を進め、グループ全体でグローバル展開を進めていく。
 
 
事業と地域のマトリックス制の下、更に強固な技術力と販売力、ビジネスフィールドの拡張を目指して、グループの技術、製品、販売チャネル等のリソースを共有すると共にシナジーを追及していく考え。当面の目標として、15/12期に売上高300億円以上、経常利益41億円以上を掲げている。

事業毎の取り組みは下記のとおりである。
 
防犯関連
最大の注力地域であるEMEA地域では、南欧でのセキュリティ用屋外センサのトップシェア維持と中東・アフリカ諸国への営業展開が2大方針。セキュリティ用屋外センサは屋外事前防犯の認知度向上を背景に市場拡大が見込まれる成長分野であり、中東では石油施設等でハイエンド・センサの需要が強く、アフリカ諸国では各種プロジェクト案件が増加している。
EMEA地域に次ぐ注力地域である米州では、Visual Verification(視覚による確認)への対応を強化する。米国等では画像で侵入者を確認した後に警察官等が現場対応するケースが一般化しており(法改正がなされた州もあると言う)、センサとカメラをセットにしたアラームシステムの需要が増加している。
この他、国内ではメガソーラー等へのハイエンド・セキュリティの拡販に努めると共に、駐車場やカーディーラー等へのLED照明を使ったシステムの展開を進め、アジアではインフラ整備に伴い需要が増えているハイエンド・セキュリティとレジデンシャルマーケット向けセルフプロテクション(自己完結型)の拡販に取り組む。

尚、同社の説明によると、セキュリティ業界の市場規模はワールドワイドで10兆円。このうち8兆円を現金輸送や駆けつけサービスが占め、機器類の市場規模は2兆円。機器類の中の防犯カメラシステムの市場規模は8,000億円、アラームシステムの市場規模は3,000億円で、侵入センサはこのうちの1,000億円(屋外センサに限れば約300億円)と言う。侵入センサ市場でトップシェアを有するのは、Honeywellで18.5%。以下、tyco11.5%、United Technologies10.0%、同社7%、BOSCH6%。同社は、センサカメラやカメラ用照明等の取り扱いを増やす事でセキュリティシステム全体の需要を取り込んでいく考え。
 
自動ドア関連
自動ドア関連の最注力地域でもあるEMEA地域では、欧州安全規格やドア規格に準拠した製品のラインナップ拡充に取り組んでいる(主要センサのラインナップ拡充は完了した)。今後は周辺機器の拡充を図る他、自動ドアメーカーとのロードマップ共有による信頼関係構築にも取り組んでいく。EMEA地域と並ぶ注力地域である米州では、強みである赤外線技術で差別化を図る考え。具体的には、全機種にドアウェイ(立ち止まりに対する安全性)機能を搭載する事で赤外線技術の信頼性をアピールしていく。
この他、国内において顧客の満足レベルを維持するべく製品投入を計画的に実施していく他、高品質で信頼性の高い製品が徐々に浸透してきたアジアにおいて、営業の効率化を図るべく現地ローカルメーカーとの協業を模索していく。
 
新規事業フィールド
同社は、下に示す「事業展開マトリックス」に沿った成長戦略を推進している。「事業展開マトリックス」では、市場展開と製品展開のマトリックスによって、「コア事業の拡大」、「新規アプリケーションの開拓」、「新興国市場の開拓」、及び「新規事業フィールドへの挑戦」、といった4つの取り組みが示されている。このうち「新規事業フィールドへの挑戦」として取り組んでいるのが、電鉄や交通機関、或いは車両検知等の分野で、現在、英国での電鉄分野及び米国での車両検知分野で事業化に向けた取り組みが具体化している。

英国では踏切事故予防にレーザスキャンセンサを導入するケースが増えている。
一方、米国においては、パーキングメーター用センサの実証実験が進行中である。
 
 
※FA事業(連結子会社オプテックス・エフエーの事業領域)
自動車、半導体、電気・電子、三品(食品・医薬品・化粧品)、物流関連などの業界へのソリューション提案を積極化して、国内及び海外(主に新興国)で新規顧客の開拓に取り組む。この一環として、国内では、既存提携先である三菱電機との取り組みを強化すると共に協業の輪を広げていく。また、海外では、人から装置へと生産の自動化が進む中国において、今後の現地販売の中核を担う中国販売会社(合弁会社)が本格稼働した。
【オプテックスグループの主要企業】
オプテックス(株) 赤外線を利用した各種センサ及びシステムの開発・販売
国内
オプテックス・エフエー(株)   光電センサ、産業用画像検査、計測装置の開発、製造、販売
ジックオプテックス(株) 汎用型光電センサの開発。独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社
技研トラステム(株) 客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売
(株)ジーニック 画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売
オーパルオプテックス(株)   社員の福利厚生施設も兼ねた会員制アウトドアスポーツクラブ
海外
FIBER SENSYS INC.(米国) 光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売
FARSIGHT SECURITY SERVICES
LTD.(英国)
遠隔画像監視による警備会社
RAYTEC LIMITED.(英国) 監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売