ブリッジレポート
(9616) 株式会社共立メンテナンス

プライム

ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.41

(9616:東証1部) 共立メンテナンス 企業HP
石塚 晴久 会長
石塚 晴久 会長
佐藤 充孝 社長
佐藤 充孝 社長
【ブリッジレポート vol.41】2015年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「ホテル事業では前年同期比で増収を確保し、消費税率引き上げの影響は限定的と捉えている。上期予想に対する進捗率は売上高46.5%、営業利・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年10月7日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社共立メンテナンス
会長
石塚 晴久
社長
佐藤 充孝
所在地
東京都千代田区外神田 2-18-8
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 105,216 7,490 6,796 3,829
2013年3月 99,472 6,521 5,599 3,206
2012年3月 91,170 6,017 4,602 2,376
2011年3月 84,983 4,610 3,308 1,052
2010年3月 84,513 4,033 3,012 1,254
2009年3月 82,303 5,349 4,510 2,133
2008年3月 75,606 4,492 4,167 2,740
2007年3月 66,287 3,745 3,787 2,413
2006年3月 63,084 4,611 4,823 2,010
2005年3月 58,014 4,407 4,411 2,343
2004年3月 54,080 4,004 4,059 2,137
2003年3月 50,108 4,148 3,884 2,039
2002年3月 50,064 3,908 3,580 1,821
2001年3月 37,884 2,827 2,643 1,146
2000年3月 36,787 2,368 2,281 906
株式情報(9/2現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
4,580円 13,037,294株 59,711万円 11.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
48.00円 1.0% 306.81円 14.9倍 2,678.69円 1.7倍
※株価は9/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
共立メンテナンスの2015年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
"ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する"と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
事業の種類別セグメントと売上構成(14/3期)は次の通りである。
 
 
【沿革】
設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部に上場した。
 
【中期計画とホテル事業の推進】
2011年12月に公表した中期経営計画「Kyoritsu Value Up Plan!」(12/3期~16/3期)が進行中である。同計画では、「寮事業の構造改革の仕上げと新たな成長戦略の遂行」、「収穫期入りしたホテル事業の収益拡大の加速」、「第三の柱となる新規事業の育成」、「人材育成と適正配置」を重点施策として掲げ、最終の16/3期に売上高1,377億円、営業利益110億円、経常利益89.5億円の達成を目指している。中期経営計画3年目である14年3月期は主力事業である寮事業の期初稼働率が前年を0.5ポイント上回る好調なスタートから始まり、ホテル事業ではビジネスホテルおよびリゾートホテルともに稼働率と客単価が改善したことから経常利益は計画を上回る進捗となっている。
 
中期計画の数値目標
 
 
ホテル事業の推進
同社の展開するホテルは好評を得ており、今後も積極展開を見込む。オリンピック控えた東京では、都心部の店舗数が少ないとして強化する方針を打ち出している。
 
 
 
2015年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比3.1%の増収、同11.4%の経常増益
売上高は前年同期比3.1%増の255億13百万円。主力事業である寮事業における期初稼働率は、前年比0.2ポイント増の97.2%と好調なスタートとなった。成長著しいホテル事業についても、ドーミーイン事業、リゾート事業共に前期に引き続き好調に推移した。販管費率が0.5ポイント上昇し営業利益は前年同期比2.2%増の11億2百万円。支払利息が前年同期2億73百万円から2億28百万円に減少、為替差益が同25百万円から69百万円に増加したことなどにより、経常利益は前年同期比11.4%増の9億14百万円となった。税負担の減少により四半期純利益は同31.4%増の5億51百万円となった。
 
 
寮事業
売上高は前年同期比2.6%増の107億76百万円、営業利益は同9.8%増の12億82百万円。期初稼働率は97.2%と前年を0.2ポイント上回る水準でのスタート、6月末現在の稼働契約者数は31,786名で前年同期比654名の増加となった。学生寮が堅調に推移したことに加え、社員寮において企業の採用人数の増加や一部の大手企業における新入社員の全寮制への回帰等による寮の活用が増加したこと等により好調に推移した。
 
 
ホテル事業
売上高は前年同期比8.7%増の105億60百万円、営業利益は同7.5%減の4億85百万円。ドーミーイン事業では前期にオープンした「天然温泉 茶月の湯 ドーミーインEXPRESS掛川」、「天然温泉 夕霧の湯 ドーミーインPREMIUMなんば」が好調に推移し、また既存の事業所においても海外の顧客を含め多くの顧客が利用し、高い稼働にて推移した。
リゾート事業では前期にオープンした「いにしえの宿 伊久」をはじめ、既存の事業においてもきめ細やかな営業が功を奏し、前期を上回る高い稼働にて推移した。
なお、営業利益については、顧客満足度を高めるためのリニューアル工事を一部事業所において行った結果、営業減益となった。尚、リニューアル工事は当初より計画していたもので、業績については計画を上回っての推移である。
 
その他の事業
売上高は前年同期比4.2%減の68億16百万円、営業損失1億31百万円(前年同期は1億円の損失)。
総合ビルマネジメント事業は売上高25億37百万円(前年同期比12.9%減)、営業損失2百万円(前年同期は10百万円の損失)。前期における区分所有物件の売却及びその売却に伴った賃貸借物件契約解約の影響により賃貸収入等が減少した。
フーズ事業は売上高12億72百万円(前年同期比2.2%増)、営業損失10百万円(前年同期は45百万円の損失)。消費税増税による個人消費回復の遅れや原材料の高騰など厳しい事業環境の中、徹底したコストコントロールを図った。
デベロップメント事業は売上高8億11百万円(前年同期比36.5%減)、営業損失19百万円(前年同期は1百万円の損失)。開発原価の急激な高騰等により一部で工事の着工順延となった。
その他事業は売上高21億94百万円(前年同期比30.9%増)、営業損失97百万円。(前年同期は41百万円の損失)。
 
 
1Q末の総資産は現預金の減少などにより、前期末比74億19百万円減の1,245億76百万円となった。負債は長期借入金、前受金の減少などにより同77億52百万円減少し、896億53百万円となった。純資産は利益剰余金の増加などにより同3億32百万円増加し、349億22百万円となった。
第1四半期末自己資本比率は前期末比1.8ポイント増加し28.0%となった。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
前期比6.5%の増収、同4.5%の経常増益予想
通期予想に修正はなく、売上高が前期比6.5%の増の1,121億円、経常利益は同4.5%の71億円を計画する。尚、上期予想は売上高が前年同期比6.3%増の549億円、経常利益は同3.8%増の39億円を見込んでいる。収益の鍵となる4月の寮事業期初稼働率が97.2%と好調なスタートとなった。14/3期に大きな牽引役となったホテル事業において、15/3期は新規開業が1棟にとどまり、16/3期以降に集中開業となるため、一時的におだやかな伸びとなる見通し。配当は48円(うち上期24円)を予定している。
 
 
今後の注目点
ホテル事業では前年同期比で増収を確保し、消費税率引き上げの影響は限定的と捉えている。上期予想に対する進捗率は売上高46.5%、営業利益で25.9%。夏(2Q)は特にリゾートホテル事業の収益貢献が大きくなると見込まれることや、ドーミーイン事業におけるリニューアル工事の影響を考慮すると着実なスタートといえるだろう。これまでホテル事業が牽引し躍進してきたが、今期はおだやかな伸びを見込んでいる。しかし、夏場のリゾートホテル事業の貢献や海外からのインバウンド顧客の増加が予想を上回る可能性もあり、引き続き今後のホテル事業の動向に注目したい。