ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.39

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.39】2014年9月期第3四半期業績レポート
取材概要「14/3期第3四半期の地域別の売上をみると、当第3四半期(4-6月期)は欧州地域で前年同期比28.0%の増収になるなど回復傾向が強まっていること・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年8月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年9月 11,158 1,340 1,299 799
2012年9月 8,606 97 143 65
2011年9月 9,047 395 371 217
2010年9月 10,078 898 978 638
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(8/1現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,634円 13,771,990株 22,503百万円 10.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
58.00円 3.5% 116.17円 14.1倍 548.02円 3.0倍
※株価は8/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
SHOEIの2014年9月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界約60ヵ国を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
① 「世界一の品質」…Made In Japanのグローバルブランド
② 「世界一のコスト競争力」…ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
③ 「世界一の楽しい会社」…お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及
という、3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
【事業内容】
二輪乗車用ヘルメット(以下、「プレミアムヘルメット」)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
【プレミアムヘルメットのグローバルカンパニー】
プレミアムヘルメットは「いわゆる」高級品であり、世界規模で今後も安定した発展が見込まれる市場。同社は、こうした市場において、「海外トップシェア」、「高収益性」、「グローバル規模の販売・サポート体制」を構築している。
 
 
① 海外トップシェアを誇るブランド力
同社は、世界のプレミアムヘルメット市場の50%以上のシェアを占め、欧米を中心とした海外での売上げが約8割を占める世界に認められたワールドワイドなブランド。国内の上場企業において、海外売上50%以上・コンシューマーグッズ販売・高品質なMade In Japanという特長を持つ企業は、非常に少ない。
② 3つの安定性によるさらなる高収益の追求
同社の事業には、3つの安定性がある。(1)ヘルメットという安全性の高い商品を取り扱っているため、定期的な買換需要が見込めるという需要の安定性。(2)大きな設備投資の必要がない、投資の安定性。(3)限界利益率(売上高- 変動費= 限界利益)が約50%であり、売上高増加額の約半分が利益に寄与するという利益成長の安定性。これら3つの特長を踏まえたリスクの低い経営が、安定した高収益性を生み出している。
③ グローバル規模の販売・サポート体制の構築
主力市場であるドイツおよびフランスに、ディストリビューターとして100%子会社を置き、直販体制の徹底を図るとともに、海外代理店による保守・修理サービスネットワークを構築し、顧客満足度の向上を実現。また、最大市場であるアメリカにおいて新製品投入によるシェアアップを目指すと共に、今後はロシア・東欧・ブラジルなどの新興市場における販売拡大を目指す。
 
【SHOEIシステムヘルメットの新製品】
 
<Z-7>
軽く。小さく。シールドシステムをはじめとする全てを刷新し生まれ変わった、新たな「Zシリーズ」。
シリーズのコンセプトである、軽量かつコンパクトフォルムをさらに進化させ、躍動感あふれるエアロフォルム、高効率なベンチレーションシステム、静粛性を高め快適なかぶり心地を極めた内装、それらすべてが創り出す新たなピュアスポーツフルフェイス。Z-7が新しいスポーツライディングの世界を開く。
 
 
<J-Cruise CLEAVE>
開閉式インナーサンバイザーなど、ツーリングに求められるあらゆる機能を装備した革新のオープンフェイス「J-Cruise」に、グラフィックモデル「CLEAVE」(クリーブ)が新たにラインナップ。2014年7月発売予定
 
 
<Z-7 MYSTIFY>
軽量かつコンパクトフォルムをさらに進化。躍動感あふれるエアロフォルム、高効率なベンチレーションシステム、静粛性を高め快適なかぶり心地を極めた内装、それらすべてが創り出す新たなピュアスポーツフルフェイス「Z-7」に、グラフィックモデル「MYSTIFY」(ミスティファイ)が新たにラインナップ。2014年7月発売予定
(同社HPより)
 
 
2014年9月期第3四半期決算
 
 
前年同期比27.2%の増収、同124.1%の経常増益
売上高は前年同期比27.2%増の99億52百万円。国内市場は、4月以降消費税増税前の駆け込み需要の反動があったものの、新製品効果により前年同期比増加した。海外については、上期において底入れ感が出てきた南ヨーロッパの二輪車市場も含め、欧州子会社のヘルメット販売が好調に推移した他、オーストラリア、アジア向け等その他の地域向けの販売も増加した。一方、上期は順調であった北米は、その反動と船の出港遅れによる期ずれ等により、4-6月期においては前年同期比減少した(北米の第3四半期累計は前年同期比11.7%増加)。なお、出港遅れの売上は7月に計上された模様。更に、同社の期中平均レートが、ドル円において前年同期比9.54円の円安となったことや、ユーロ円において同20.08円の円安となったことも売上高の増加に寄与した。

利益面でも、売上高の大幅な増加、円安の影響、好調なヘルメット販売に伴う工場稼働率の上昇などにより、売上総利益が前年同期比大幅に増益した。連結ベースの粗利率は8.0ポイントの大幅上昇。販売管理費の伸び率が売上高の伸び率を下回り、売上高対販売管理費率も1.9ポイント低下したことから営業利益は、前年同期比125.1%増加し22億63百万円となった。為替予約の影響で、営業外費用の為替差損が前年同期の41百万円から、115百万円に増加したものの、その他に大きな営業費用や特別損失の計上はなく、経常利益以下の利益も前年同期比大幅に増加した。
 
 
 
 
 
 
 
今四半期末の総資産は前期末比16億22百万円増の110億29百万円。現預金は10億40百万円の増加。資産面は現預金とたな卸資産が、負債純資産面は仕入債務と利益剰余金が増加の主な項目。総資産の約47%を現預金が、約85%を流動資産が占める等、資産の流動性が高く、しかも無借金。自己資本比率も約80%と、高水準を維持している。
 
 
2014年9月期業績予想
 
 
通期業績予想は、前期比21.0%の増収、同96.2%の経常増益
14/9期第3四半期の好調な業績を反映し、14/9期の通期業績予想は、売上高が期初予想の120億円から135億円へ、経常利益が期初予想の20億円から25億50百万円へ上方修正された。
売上面では、販売が全地域で好調に推移したことに加え、為替相場の円高修正も伴って、大幅に増加する見通し。
利益面でも、為替予約に伴い1億15百万円の為替差損を計上する予定であるものの、売上の増加や円安効果や海外子会社の採算好転などが寄与し大幅に増加する見込み。特に、円安による日本からの輸入採算の向上により、欧州子会社の営業利益が大きく伸びる。
また、1株当たりの期末配当予想も期初の45円から58円(前期末比29円の増配)に上方修正された。
 
 
 
今後の注目点
14/3期第3四半期の地域別の売上をみると、当第3四半期(4-6月期)は欧州地域で前年同期比28.0%の増収になるなど回復傾向が強まっていることが確認された。回復が遅れていた南ヨーロッパの二輪車市場が底打ちしてきたことに加え、欧州主要国の販売が好調に推移していることがその背景にある。顧客満足度の高い付加価値の高い新製品の継続的な投入が、同社のシェアアップに結びついているものと思われるものの、同社が最も大きな影響を受ける欧州市場が回復してきたことは非常に明るい材料と言えよう。更に、国内においても、当第3四半期(4-6月期)は同7.5%の増収となった。消費増税前の駆け込み需要があった前第2四半期(1-3月期)は前年同期比63.4%の大幅増収となっており、4月以降は消費税増税前の駆け込み需要の反動減の影響が懸念されていた。これに対し、新製品効果により、消費税増税の影響を回避できた点は、極めて評価ができる。一方で、当第3四半期(4-6月期)の北米の売上が、前年同期比で31.8%の減収となった点は気がかりである。船の出港の遅れによる売上計上の期ずれの影響が大きいと思われるものの、回復傾向にあった北米二輪車市場が踊り場を迎えている可能性もあり、今後の市場動向を注視する必要があろう。
リーマンショック以降の市場環境が厳しい中で、同社は顧客ニーズを満たす付加価値の高い新製品の継続的な投入により、販売シェアを拡大し業績を回復させてきた。企業体質が強化された局面における市場の拡大は、今後の業績の大幅な拡大につながることが多いことから注目される。中でも、同社が最も大きな影響を受ける欧州二輪車市場の今後の回復の動きに注目したい。
加えて、来期以降の最高益更新のためには、更なる顧客ニーズを満たす付加価値の高い新製品の投入が不可欠と思われる。引き続き、新製品の開発状況とその販売状況に注目していきたい。