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ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.48

(4709:東証2部) インフォメーション・ディベロプメント 企業HP
舩越 真樹 社長
舩越 真樹 社長

【ブリッジレポート vol.48】2015年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「今1Qは営業減益となったものの、前年同期の利益率がやや高すぎた反動であり、好環境を背景とした好調な業績を持続している。上期予想に対す・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年8月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インフォメーション・ディベロプメント
社長
舩越 真樹
所在地
東京都千代田区二番町 7-5
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 17,578 735 765 372
2013年3月 16,446 427 448 -490
2012年3月 16,137 629 659 365
2011年3月 16,450 839 892 447
2010年3月 17,263 850 864 155
2009年3月 18,458 1,057 1,109 563
2008年3月 18,032 1,200 1,191 594
2007年3月 14,692 1,024 1,024 550
2006年3月 13,028 851 845 430
2005年3月 11,378 550 557 119
2004年3月 11,203 625 628 203
2003年3月 11,668 598 591 274
2002年3月 11,081 548 546 272
2001年3月 9,738 756 735 242
2000年3月 8,468 640 586 320
株式情報(8/1現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
870円 7,132,302株 6,205百万円 6.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
24.00円 2.7% 75.71円 11.5倍 827.91円 1.0倍
※株価は8/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インフォメーション・ディベロプメントの2015年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更した。
 
【事業セグメント】
事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。
 
システム運営管理  (14/3期売上構成比60.7%)
1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウエアのカスタマイズからハードウエアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。
 
ソフトウエア開発・保守 (14/3期売上構成比35.8%)
500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。
 
その他 (14/3期売上構成比3.5%)
セキュリティ&コンサルティングを中心に展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が51.2%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが31.2%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が17.6%。
 
 
【IDグループ】
グループは、同社の他、国内外の連結子会社7社。このうち国内(4社)は、システム運営管理を手掛ける(株)日本カルチャソフトサービス(出資比率100%。以下、CS)、日本ユニシス(株)との合弁会社(株)ソフトウエア・ディベロプメント(同80%、SD)、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(同54.4%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(3社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでソフトウエア開発やシステム運営管理等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。
 
 
【IDグループのサービスの特徴  - i-Bos24®(ID's Business
 Operations-Outsourcing Service 24)-】
同社グループはコンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウエア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行する事で顧客の業務効率化に貢献する。
 
 
【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向
 
内閣府が5月15日に発表した14年1-3月の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.6%増、年率換算で6.7%増となった。また、情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)は7.6%と大幅に拡大した。経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(14年7月16日発表。5月確報値)を見ると、受注ソフトウエアおよびシステム等管理運営受託の売上高の5月前年同月比はともに+3.9%と好調で、情報サービス産業全体でも同+3.7%。10ヶ月連続の前年同月比増となっており、回復傾向が鮮明になっている。消費税率引上げ後の影響でGDPは4-6月にはマイナスが見込まれているものの、4~5月の情報サービス業については、事業環境は良さそうだ。
 
(2)同社の取り組み
キーワードは、「BOO戦略」、「グローバル」、及び「iD-CLOUD」。具体的には、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を“i-Bos24®” のブランドで展開し、既存顧客1,000社から抽出した14企業グループを深耕する。また、「グローバルの推進」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本仕様で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携でグローバルなITサポート体制の構築を進めている。

一方、顧客企業のIT投資額に占めるクラウドコンピューティングへの投資比率は今後ますます増加することが予想されるため、「iD-CLOUD」の拡大に積極的に取組んでいく。
特に、クラウドの採用にあたり顧客企業が注視するのはセキュリティレベルの高さであるため、新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れ、クラウドおよびセキュリティとオペレーションを組み合わせた、より専門的なサービス提供を機動的に推進していく。
また、クラウド環境の設計・構築に欠かせないプラットフォーム系開発業務においては、要員育成による体制強化を進め、売上拡大を目指す考えだ。なお、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスのこと。

中長期的な経営戦略として「継続的成長」という基本的考え方のもと、重点戦略として①ダイバーシティの推進、②BOO戦略の推進、③クラウドサービスの推進、④グローバル推進、⑤グループ経営の効率化と業務プロセスを掲げる。17/3期に売上高210億円、営業利益率7.5%を目指す。
 
 
これまでの業績推移と今後のイメージ
 
 
2015年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比8.2%の増収、同4.4%の経常減益
売上高は前年同期比8.2%増の45億2百万円。システム運営管理事業、ソフトウエア開発事業、その他事業がいずれも増収となった。好調な事業環境下にあり、同社の売上も順調に伸びた。利益面では外注費の増加や積極的な人員採用に伴う販管費の増加により営業利益は前年同期比3.9%減の2億10百万円となった。経常利益は同4.4%減の2億5百万円。税負担の減少により純利益は同5.0%増の1億23百万円となった。
 
 
システム運営管理事業の売上高は前年同期比6.4%増の27億73百万円。主要顧客である金融系の受注が増加、一部顧客におけるプラットフォーム系開発業務の売上が拡大した。また、大手ITベンダー経由によるシステム統合案件も増収に寄与した。
ソフトウエア開発・保守事業の売上高は前年同期比12.0%増の16億15百万円。景気回復に伴い案件が増えるなか、中断していた案件の再開などにより金融系が堅調に推移し、公共系も法改正により売上が増加した。
その他事業の売上高は前年同期比1.4%増の1億13百万円。海外現地法人の売上が増加し、コンサルティング売上も増加した。
 
 
四半期ごとに見ると、今1Qは前年同期比で増収減益ながら、前期(14/3期4Q)比、では減収増益となっている。前年同期の営業利益率は通常の四半期より高水準にあり、前年同期比の減益は前年同期がやや良すぎた反動と捉えるのが妥当であろう。
 
 
15/3期1Q末の総資産は前期末比7億98百万円減の88億71百万円。現預金が2億46百円、売上債権が5億55百万円減少した。負債は前期末比7億36百万円減の28億48百万円。有利子負債が3億65百万円減少し、賞与引当金が3億41百万円減少した。純資産は前期末比62百万円減の60億22百万円。四半期純利益1億23百万円及び配当金の支払い1億78百万円あった。自己資本比率は65.9%で前期末比4.8ポイント改善した。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
通期予想に修正はなく、売上高が前期比6.5%増の187億30百万円、経常利益は同22.8%増の9億40百万円を予想する。各種施策の効果が下支えとなり、企業収益が改善傾向を強めるなかで、設備投資意欲も緩やかに増加し、今後も顧客の事業活動やIT投資は成長することが期待される。このような状況のもと、同社グループは、主力のシステム運営管理事業をさらに強化すると同時に、中期経営計画で掲げる「ダイバーシティの推進」、「BOO戦略の推進」、「クラウドサービスの推進」、「グローバル推進」、「グループ経営の効率化と業務プロセスの改善」に注力する。
配当は1株当たり24円の期末配当を予定する。
 
 
今後の注目点
今1Qは営業減益となったものの、前年同期の利益率がやや高すぎた反動であり、好環境を背景とした好調な業績を持続している。上期予想に対する営業利益の進捗率が61%と高いことがその証左といえるだろう。
中期的には、「ダイバーシティの推進」においては、新入社員に占める外国籍社員の割合が18%を超えるなど、グローバル化への対応を積極的に進めている。「グループ経営の効率化と業務プロセスの改善」においては、7月に稼働を開始したパートナー管理システムを皮切りに、変化の激しい事業環境への対応力、及び同社リソースの最大化を目的として、購買管理システムを導入、15年4月稼働を計画する。これにより、グループ会社間でパートナー情報を共有し、グループ経営の効率化を進める考え。
また、さらなる事業拡大並びに顧客へのサービス向上のため、4月には米国に本社を置くOpenIAM,LLCと業務提携契約を締結した。OpenIAMはシングルサインオン、IDマネジメント、アクセスコントロールを統合するもので、セキュリティと利便性の向上を実現する欧米の最新の統合認証管理ソリューションである。クラウドサービスにも対応しており、「iD-CLOUD」の強化にもつながる。
足元の好調な業績だけではなく、これら中期的な戦略の具現化にも注目したい。