ブリッジレポート
(4319) TAC株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4319)TAC vol.14

(4319:東証1部) TAC 企業HP
斎藤 博明 社長
斎藤 博明 社長

【ブリッジレポート vol.14】2015年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「本文中でも触れたが、2桁の減収減益は計画通りで、進捗率も通期予想に対して利益で5割以上となっている。事業構造改革を終えて攻めに転じると決・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年8月12日掲載
企業基本情報
企業名
TAC株式会社
社長
斎藤 博明
所在地
東京都千代田区三崎町3-2-18
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 20,526 1,034 1,299 816
2013年3月 20,999 136 377 977
2012年3月 22,578 -606 -530 -799
2011年3月 24,575 465 283 -244
2010年3月 23,991 623 442 40
2009年3月 21,092 1,330 1,352 669
2008年3月 20,741 1,069 1,230 443
2007年3月 20,553 1,173 1,333 742
2006年3月 19,828 421 631 249
2005年3月 19,669 459 558 81
2004年3月 19,542 988 943 470
株式情報(7/31現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
277円 18,503,932株 5,125百万円 21.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1.00円 0.4% 33.24円 8.3倍 224.46円 1.23倍
※株価は7/31終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
TACの2015年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。
 
 
【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。
 
【強み】
(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み高い生産性を実現していることも強みとなっている)。
 
(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員試験は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
 
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。
 
 
 
 
同社のROEは前々期、前期共に非常に高い水準にある。ただ、前々期は特別利益に移転補償金17億円が計上された影響がある。一方それが無くなった前期も21.9%と東証1部の平均を大きく上回る。
ただ、要因を見てみると、前々期の6.59から4.79へと低下はしているが有利子負債増等によるレバレッジが効いている事が高ROEの背景にある。今後は売上高利益率の向上も期待したい。
 
 
2015年3月期第1四半期決算概要
 
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。
 
 
消費税増税の反動減大きく、コスト削減進めるも減収・減益
現金ベース売上高は前年同期比13.8%減の40億66百万円。発生ベース売上高は同4.2%減の54億4百万円。
消費税増税前の駆け込み需要(売上)は単体で5億73百万円あったが、反動減が大きく減収となった。
講師料を中心として売上原価を同1億2百万円(3.3%減)削減したものの、販管費はほぼ前年同水準の18億22百万円となった結果、営業利益は同22.3%減少の575百万円となった。
加えて、支払利息負担7百万円、持分法による投資損失4百万円などもあり経常利益も同約3割減少の567百万円となり、四半期純利益も同じく約3割減少の352百万円となった。
 
 
【個人教育事業】
現金ベース売上高は前年同期比19.5%減少の25億9百万円。
税理士講座、公務員講座、司法書士講座などが、消費税増税の駆け込み申込みの反動で大きく減少した。
講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用を1億21百万円削減(同3.6%減少)し32億79百万円としたものの、現金ベースの営業損失は7億69百万円となり前年同期の損失額2億85百万円を上回る結果となった。
発生ベースの売上高は同5.9%減少の37億40百万円、営業利益は同19.7%減少の460百万円だった。
 
【法人研修事業】
現金ベース売上高は前年同期比3.7%減少の10億75百万円。
法人研修事業セグメント売上高の約6割を占める企業研修は、アベノミクスによる景気回復を追い風に企業が採用人員を増加させたことから内定者研修や新人研修の受注が好調だったが、地方の不採算案件を一部受注しなかったこともあり、同1.0%減であった。
各分野別では、簿記会計研修が同13.8%減、ビジネススクールが同6.2%の減少、情報処理が同7.8%と不振だったが、税務系研修(同18.6%増)、宅建(同14.7%増)、証券アナリスト(同5.5%増)、法律系研修(同3.2%増)、CompTIA研修(5.2%増)は好調だった。
提携校事業(2014年6月末現在15校)は税理士、司法書士、公務員などの駆け込み申込みの反動のため同10.9%の減少となり、地方の専門学校に対するコンテンツ提供も同様の理由でマイナスとなった。提携校数は7月末現在14校。
一方大学内セミナーは、簿記(同27.2%増)、公務員(同21.4%増)が好調で同6.3%増となった。この他では、自治体からの委託訓練および税務申告ソフト「魔法陣」がそれぞれ同8.2%増、41.1%増と好調だった。魔法陣に関しては消費税ソフトのバージョンアップという特需も追い風となった。
営業費用は前年同期比微増の830百万円となり、現金ベースの営業利益は同19.6%減少の244百万円となった。
発生ベースでは売上高11億82百万円(同変わらず)、営業利益351百万円(同5.0%減)となった。
 
【出版事業】
売上高は前年同期比4.4%増加の4億18百万円。
前期より刊行点数を絞り込んでいる。第1四半期の刊行点数は「TAC出版」が77点(前年同期は81点)、子会社による「W出版」が5点(同10点)とした。刊行点数の減少を商品力や販売力の強化で補い増収を維持するために、書店向けの提案営業、直販サイト「サイバーブックストア」やアマゾンでの販売強化などに力を入れた結果、増収となった。
営業費用の圧縮を進めたため、営業利益は同8.3%増加の86百万円となった。
当事業では、前受金調整がないため現金ベースと発生ベースの売上高は一致する。
なお、2013年度のジュンク堂書店における出版社売上ランキングにおいて、39位のTAC出版(200百万円)と118位の早稲田経営出版(72百万円)を合算すると24位(273百万円)に相当するが、これは資格書籍専業の出版社としては有数の規模となる。
 
【人材事業】
売上高は前年同期比24.6%減少の70百万円。
子会社の(株)TACプロフェッションバンクが手掛ける人材事業は、会計士・税理士受験者向けの就職説明会が好調で求人広告売上は増加したが、人材紹介は微減。人材派遣は就職環境の好転により正社員志向が強まったこと等による登録者減少で減収となり、全体でも減収となった。
営業費用も79百万円と同15.0%減少したが、営業損失は前年同期の0百万円から拡大し9百万円となった。
2014年6月30日に買収した株式会社医療事務スタッフ関西が行う医療事務関係の人材派遣については第2四半期からの寄与となる。(同M&Aに関しては後述)
 
 
【マーケット概要】
当社が取り扱う資格の2013年の本試験申込者は2,606千人(前年比 -4.6%)と3年連続して減少した。試験別の傾向を見ると、会計士 同-4.6千人、税理士 同-3.1千人と会計系は減少が続いている。宅建は戻りが一服。司法試験 同-0.9千人、司法書士 同-1.9千人、行政書士 同-4.9千人と法律系も減少が続いている。一方、簿記は同-6.3千人とマイナスではあったが、下げ止まり感がでてきたようだ。公務員は総合・一般が1万人近く減少した一方、地方上級公務員は前年並みを維持している。

(以下、同社動向。)
 
財務・会計分野
発生ベース売上高は前年同期比18.4%減少の7億10百万円。
公認会計士試験については、新規株式公開件数の回復等を背景に大手4大監査法人は昨年から積極採用姿勢に転じ、本試験合格者はほぼ全員が採用されている。合格率も前年を上回っており、公認会計士試験の受験環境は好転している。
そうした中ではあるが、年間2回の短答式試験の受験者数(名寄せ合計ベース)自体が平成26年度は前年比17.8%減の10,870名と低迷が続いており、新規学習者向けの入門コース受講申し込み者数の停滞につながっている。この結果公認会計士試験講座の現金ベース売上高は前年同期比10.9%の減少となった。
簿記検定講座は、4月に駆け込み申込みの反動減はあったが、日商簿記2級本試験問題の難易度が正常化したこともあり、徐々に回復に向かっている。スマートフォンにも対応したWeb通信講座は反動減を吸収し前年並みの受講申し込み件数を確保したが、DVD通信教材が減少し、簿記検定講座の現金ベース売上高は同13.8%の減少となった。
 
経営・税務分野
発生ベース売上高は前年同期比10.0%減の12億40百万円。
平成26年の税理士試験の受験申込者数は49,876名(前年比9.9%減。国税庁発表速報値)と例年よりも減少率が大きくなった。
こうした状況下、同社の講座申し込みは厳しい環境にはあるが、日商簿記2級の合格率が改善したこと、公認会計士講座の簿記入門と統合した新コースを投入したこと、夜の時間帯の講義時間を変更して受講しやすくしたこと等により、平成27年の受験を目標とするコースの申込みは好調に推移しており、8月本試験後の開講時期での挽回を目指している。しかし、駆け込み申込みの反動減が大きく、現金ベース売上高は同37.0%減となった。
中小企業診断士講座は、最近数か月間、新規学習見込み者が減少しており、現金ベース売上高も同19.7%減と厳しい状況が続いている。
 
金融・不動産分野
発生ベース売上高は前年同期比5.4%増の7億28百万円。
景気回復や不動産市場の活発化を背景に、駆け込み申込みの反動減の影響は他分野と比較して小幅であり、不動産鑑定士、宅建主任者、マンション管理士といった不動産系講座は、同3~5百万円程度の減収でとどまった。
一方FP講座は、市販書籍の好調もあり現金ベース売上高は同1.0%増、証券アナリスト講座はNISA(少額投資非課税制度)の追い風もあり前年を上回る受講申込みを確保した。ビジネススクール講座は、法人研修部門で地方の採算割れ案件を中止した分が減収となっているが、徐々に回復に向かっている。法人研修向けのヒューマンスキル講座の現金ベース売上高も前年並みであった。
 
法律分野
発生ベース売上高は前年同期比12.7%減の5億万円。
予備試験受験者数が約12,600人を超えるなど法科大学院よりも人気が出てきており、事業環境に明るい兆しも見えてきた司法試験講座においては、同社の「4A基礎講座」が初心者を中心に好評なものの、駆け込み申込みの反動減で現金ベース売上は同19.5%減となった。反動減は司法書士及び行政書士講座でより著しく、それぞれ現金ベース売上高は同42.9%減、同25.9%減となっている。弁理士講座は、国の政策として過去数年間、高い合格率で推移してきたが、昨年来、合格者を絞るように試験が難化しているため受講申込みが減少し、現金ベース売上高は同31.4%減となった。
 
公務員・労務分野
発生ベース売上高は前年同期比6.9%増の15億70百万円。
社会保険労務士講座では、本試験難化傾向に対応して手厚いカリキュラムにした新規開講の「総合本科生Wide」が好評で、駆け込み申込みの反動減を穴埋めし、現金ベース売上高は前年並みの水準を確保することができた。
公務員講座では、国家総合職・外務専門職コースにおいて大学3年生向け本科生の動きが鈍り、現金ベース売上高は同18.0%減となった。国家一般職・地方上級コースは、民間の就職状況が好転しているためニーズが低下し、現金ベース売上高は同15.3%減となった。現金ベース売上高は上記のように減少したが、3月末まで申し込み分の公務員講座の前受金の戻りが大きく、発生ベース売上高は前述のように増収となった。
 
情報・国際分野
発生ベース売上高は前年同期比10.3%減の3億33百万円。
情報処理講座では、企業研修が好調で前年同期の現金ベース売上高を上回って推移したが、個人向けではITパスポートなど初心者向けコースは通信系へのシフトが多く、また、基本情報処理技術者コースは単価が切り下がり減収となった。この結果、情報処理講座全体の現金ベース売上高は同10.1%減となった。また、CompTIA講座は、メインの企業研修は前年並みを維持し、通信講座が微増となった。米国公認会計士講座は、6月は前年同月比プラスに転じたものの4~5月のマイナスが残り、前年同期比で15.2%の減少となった。
 
その他
売上高(現金ベース売上高=発生ベース売上高)は前年同期比11.0%増加の3億20百万円。
税務申告ソフト「魔法陣」は消費税ソフトのバージョンアップがあり売上高は同41.1%増となったほか、出版物ではTACBOOKで時機を捉えた企画ものが好評で、同1.8倍となった。
一方、人材子会社TACプロフェッションバンクが行う人材ビジネスについては、夏の会計業界向け就職説明会を含む広告売上高が前年を上回ったが、派遣売上が低迷し、売上高は同24.6%減となった。
なお、2014年6月30日に買収した株式会社医療事務スタッフ関西が行う医療事務関係の人材派遣等については、第2四半期からの寄与となる。
 
 
当第1四半期における受講者数は、駆け込み申込みの反動減の影響が大きく、前年同期比11.5%減の65,308名となった。
個人受講者は同10.8%減の45,164名、法人受講者は同13.1%減少の20,144名となった。
個人・法人を合わせた講座別では、公認会計士講座が同0.5%増と前年並みをキープしたほか、ビジネススクールが同20.3%増となった。一方、減少が大きかった講座としては、税理士講座(同24.7%減)、司法書士講座(同29.9%減)、行政書士講座(同23.6%減)、通関士講座(同22.1%減)、知財検定講座(同26.9%減)、社会保険労務士講座(同10.7%減)、公務員講座のうち国家総合職・外務専門職コース(同23.8%減)等が上げられる。
売上への貢献が最も大きい公務員講座(国家一般職・地方上級コース)の受講者数は、ほぼ前年並みを維持している。
法人受講者は、通信型研修が同6.7%増、自治体等の委託訓練が同2.5%増と堅調だったが、大学内セミナーが同27.2%減、提携校が同20.7%減となる等、法人受講者の中の個人的色合いが濃い分野が減少した。
 
 
資産における対前期末比の主な増減は、現預金9億47百万円減少、M&Aに伴うのれんを含む無形固定資産1億47百万円増加、などで、資産合計は同10億23百万円減少した。
負債では、有利子負債(長短借入金)同4億89百万円増加、前受金同12億50百万円減少などで、負債合計は同13億58百万円減少した。
純資産は利益剰余金の同3億33百万円増加などで、3億34百万円増加した。
この結果、自己資本比率は25.6%と、前期末の22.3%から3.3%上昇した。
 
(6)トピックス
◎事業領域の深化と拡大を目指したM&Aを実施
2014年6月30日、事業領域の深化と拡大を目指し株式会社医療事務スタッフ関西及び株式会社クボ医療を子会社化した。

<子会社化の理由・背景>
両社はどちらも久保勝史氏が株式の100%を保有する企業。クボ医療は、神戸市を中心に阪神圏で40年間一貫して医療機関の事務部門に特化した人材サービスを提供し、また、そのノウハウを活かしながら医療事務スタッフ関西が医療事務に関する労働者派遣事業及びレセプト作成業務を行っている。これらの受付・レセプト作成業務に関する教育サービスのノウハウを保有していることが強みとなっている。
TACは両社の株式を100%取得することにより、同社が有する教育インフラ(教室、DVD・Web・スマートフォンやタブレット等のモバイル機器による通信)と医療事務関係のコンテンツとを結びつけ、全国に展開する。また、TACグループにおける人材派遣・人材紹介事業を担う株式会社TACプロフェッションバンクと協力しながら、自社で育成した医療事務系人材を幅広いエリアの医療機関に提供することも目指している。
TACグループは、このM&Aにより会計系・法律系及び公務員関係の資格取得スクールだけでなく、医療事務系事業に進出すると共に、これまで培ってきた人材サービス事業にさらなる厚みと広がりを持たせ、医療事務スタッフ関西及びクボ医療と協力しながら全国展開を図っていく。
なお、2015年3月期の業績予想に与える影響は軽微とのことだ。
 
 
 
<株式の異動>
TACは2014年6月30日付で久保 勝史氏より両社の全株式を取得した。取得価額は非開示だが、外部専門家のデュー・デリジェンスの実施を踏まえ、公正妥当な金額にて取得しているとのこと。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
 
業績予想に変更無し。営業利益ベースで微減収・微増益を見込む。
第1四半期実績の第2四半期(累計)および通期見通しに対する進捗率は上記のように順調だが、業績予想に変更は加えていない。2ケタの減収減益ではあったが、駆け込み申込みの反動減は期初計画に織り込み済み。ただ、その影響が消えるまでには相当程度の期間を要すると見込んでいる。
コスト削減効果が一巡する今期も継続的なコスト削減努力は緩めず、売上原価同3.9%減、単体ベースの講師料同2.2%減、教材費等の外注費同1.4%減、を計画している。配当は前期と同じく1.0円/株の予定。
 
 
今後の注目点
本文中でも触れたが、2桁の減収減益は計画通りで、進捗率も通期予想に対して利益で5割以上となっている。事業構造改革を終えて攻めに転じると決算説明会で表明した同社は早速事業領域の深化と拡大を目指したM&Aを実施した訳だが、上期と下期の利益バランスを見ると、今回行ったM&A関連を含めて新たな投資やコストが下期から出てくるということかと思われる。第2四半期決算が出る際には、今期業績の行方が大まかながらも見えるようになるだろうから、まずは次回決算を注目したい。
加えて、(株)増進会出版社とのアライアンスを始めとして前期より発表している様々な取り組みの具体的な進捗についての説明を投資家としては期待したいところだ。