ブリッジレポート:(3667)enish vol.7
(3667:東証1部) enish |
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企業名 |
株式会社enish |
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社長 |
安徳 孝平 |
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所在地 |
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー |
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決算期 |
12月末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年12月 | 6,624 | 1,109 | 1,078 | 653 |
2012年12月 | 4,430 | 666 | 654 | 373 |
2011年12月 | 2,590 | 526 | 523 | 298 |
2010年12月 | 415 | 64 | 71 | 55 |
2010年1月 | 22 | -40 | -41 | -41 |
株式情報(7/31現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
尚、ネイティブアプリとは端末にダウンロードして楽しむアプリで、主にスマートフォン向けに提供されている。一方、ブラウザアプリはダウンロードせず、GREE、mixi、Mobage等のプラットフォームにアクセスしてブラウザ上で楽しむ。いずれも、アプリは無料だが、アプリを進める上で有効なアイテム等(「ぼくのレストランⅡ」の場合、店を繁盛させるために必要なレシピや店舗を飾るアイテム等)を購入した場合、課金が発生する。ブラウザアプリでは、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。 【事業内容】
事業はソーシャルアプリ事業の単一セグメント(ゲームはアプリのカテゴリーの一つ)。ブラウザアプリを収益基盤にネイティブアプリを強化している。ゲームは無料だが、ゲームを展開する上で有効なアイテム等(「ぼくのレストランⅡ」の場合、店を繁盛させるために必要なレシピや店舗を飾るアイテム等)を購入した場合、課金が発生する。ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。
【沿革】
創業まもなく始まった「SNSプラットフォームオープン化」を背景に、実質的創業者である安徳氏と公文氏が「世の中にまだ存在しない、作り手もユーザもワクワクできるサービスを創り出す」という考えの下、09年10月、ソーシャルアプリの提供を開始した。ソーシャルアプリ市場は順調に拡大したものの、SAP事業者(Social Application Provider:ソーシャルアプリの開発や運営を手掛ける企業)の新規参入が急増。既存のゲームソフトメーカーの進出も相次ぎ競争が激化したため、同社は改めて体制整備に着手。株式公開を視野に事業拡大に向けた組織化を進め、11年6月には、占いコンテンツ大手ザッパラス(3770)を東証1部上場へ導いた杉山氏(前代表取締役社長)と松本氏(現在、管理本部担当取締役)が合流。経営及び管理体制の強化が進んだ。 創業から4年を経た12年12月に東証マザーズに上場し、13年12月には東証一部に市場変更。13/12期で開発体制の整備と財務基盤の強化が進んだ事、そして、ネイティブアプリのビジネスを拡大させていく必要がある事を踏まえて(13年10月にネイティブアプリの開発を開始し、11月に韓国子会社を設立)、代表取締役社長が交代。14年3月、サービステクノロジーに精通した安徳孝平氏が代表取締役社長に就任した。 第2の創業期と位置付ける事ができる14/12期。同社は新たに「世界中にenishファンを作り出す」というミッションステートメントを定め、これまでの国内市場だけでなくグローバルな市場で事業拡大する方針を明確に打ち出した。ネイティブアプリでの成功と日中韓3つの市場で開発・展開する体制づくりを進めている。 |
2014年12月期上期決算 |
前年同期比3.4%の増収、同67.9%の営業減益
売上高は前年同期比3.4%増の32億54百万円。既存タイトル(ブラウザアプリ)の一部で運用ミスもあり、売上が想定以上に落ち込む中、新規タイトル(ネイティブアプリ)のリリースが遅れた。このため、前年同期比増収ながら期初予想を大きく下回る着地となった。営業利益は同67.9%減の2億30百万円。開発費(労務費、外注費)を中心に売上原価が同23.6%増加する中、採用費(前年同期比2.6倍)・人件費(同22%増)の増加や海外関係のコスト計上で販管費も同28.5%増加した。 尚、同社は開発費を資産計上せず、発生期に費用計上している。このため、今期計上される開発費には、来期以降にリリースされるタイトルの開発費も含む。 上期末の従業員数は前年同期末に比べて50名増の194名(うち業務委託等で19名)。内訳は、エンジニア29%、デザイナ34%、ディレクタ23%、管理等14%。開発体制の整備を急ピッチで進めてきたが、体制整備が進んだ事から、今後は厳選した採用を実施していく考え。 売上の減少が響き営業利益が10百万円に減少
売上高は既存タイトルの苦戦が響き第1四半期比15.4%減の14億91百万円。カテゴリー別では、主要カードバトルゲームが同28.9%減と想定以上に落ち込んだ。主要シミュレーションゲームも同8.1%減少したが、減少は想定の範囲内。新規タイトルについては、同社初のフルネイティブアプリ「ぼくのレストラン3」を14年5月に、ネイティブ版に先行してブラウザ版でも配信することを決定した「バハムートクライシス」を同年6月に(NTTドコモが運営する「dゲーム」にて配信開始)、それぞれリリースした。ただ、共にゲームの完成度と運用後の体制強化を念頭にチューニングを優先したため、広告宣伝費の投入を控えた(本格的なプロモーションは下期以降)。営業利益は第1四半期の実績(2億20百万円)を大きく下回る10百万円。営業費用が減少したものの、上記要因による売上の減少が響いた。営業費用では、開発費(売上原価)が増加した他、海外関係のコストを含む支払手数料(販管費)が増加したものの、売上の減少でプラットフォーム各社に払う売上見合いの支払手数料(売上原価)が減少した。 *ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記の各データは決算短信及び有価証券報告書のデータを基にしており、ROE、総資産回転率、及びレバレッジの算出に当たっては総資産及び自己資本の期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。 |
2014年12月期業績予想 |
(1)下期及び通期業績予想益
新規タイトルのプロモーション費用と来期リリースアプリの開発費等で下期は2億20百万円の営業損失
売上高は前年同期比6.5%減の32億50百万円。既存タイトルは漸減傾向が避けられないが、運営体制の強化で収益の向上を図る。一方、新規タイトルは1タイトルのリリースを予定。期初には下期において3タイトルのリリースを予定していたがゲームの完成度を高めると共に運用体制の更なる充実を図るべく1タイトルに絞り込んだ。営業損益は2億20百万円の損失。上期投入分を含めた新規タイトルのプロモーション費用に加え、来期リリース予定のタイトルの開発費や海外展開関連の費用を織り込んだ。コストコントロールの継続はもちろんだが、必要なコストについては機動的に対応していく考え。通期予想は売上高65億円(前期比1.9%減)、営業損益以下の各段階で損益均衡 (2)下期以降の取り組み
既存タイトル
現在、安定運用体制の再構築に取り組んでおり、「各種ノウハウの教育と共有」、「アートワーク品質向上」、及び「イベントバランス修正」といった社内体制の整備とシステムチューニングを実施すると共に「新プラットフォーム展開」を進めている。
新規タイトル
上期にリリースした「ぼくのレストラン3」と「バハムートクライシス」のプロモーションを本格化すると共に、「バハムートクライシス」についてはマルチプラットフォーム展開を加速する。また、ネイティブアプリ「千年の巨神」を秋にリリースする他、「ぼくのレストラン3」と「千年の巨神」の海外配信の準備を進める。
今後のパイプライン
現在、東京(1タイト)、韓国ソウル(日本向け2タイトル)、中国上海(中国向け1タイト)で計4タイトルの開発を進めており、「ぼくのレストラン3」と「千年の巨神」はアジア市場へ展開していく予定でローカライズが進行中である。
今後の成長戦略の方向性
「ネイティブアプリ」への移行を進めると共に、成長市場であるアジアを中心とした「グローバル展開」を図る。また、ゲーム周辺事業として「O2O事業」を推進していく。尚、O2OとはOnline to Offlineの略で、事業ゲームにおけるユーザのモチベーションやロイヤリティを利用して、実店舗における購買活動に結びつけ、実店舗の集客支援につなげる仕組みである。 |
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