ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.16

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.16】2014年8月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期業績予想に対する進捗率は、売上高72.5%(前年同期の実績ベースの進捗率73.1%)、営業利益71.2%(同79.2%)、経常利益71.9・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年8月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(8/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
4,125円 9,477,401株 39,094百万円 33.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
55.00円 1.3% 277.50円 14.9倍 1,122.85円 3.7倍
※株価は8/7終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2014年8月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略を推進。安定成長を続けるカラオケ事業と高い成長を続けるフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業を育成中である。尚、「既存業種新業態」戦略とは、既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変え、従来と異なる新たな顧客層をターゲットとする事で全く新しいサービスや運営手法を生み出し、独自のビジネスモデルを確立していく事業手法。
 
【事業セグメントとグループ】
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」(郊外中心)やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」(都心や地方都市の繁華街で展開)を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業等のその他に分かれる。13/8期の売上構成比は、カラオケ事業54%、カーブス事業40%、温浴事業5%、その他1%。
 
 
カーブス事業において直営店を展開する北海道コシダカとシュクランを14年9月1日付けで合併する予定(北海道コシダカを合併存続会社とし、シュクランを消滅会社とする吸収合併方式)。経営統合により、経営効率の向上と更なるサービス強化を図る考え。
 
【成長戦略 -「総合余暇サービス提供企業」を標榜し、“既存業種新業態」戦略”を推進-】
約65兆円の国内余暇市場は同社にとって無限とも言える広さだ。特にシニア市場は、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの向こう10年程度、高い成長が見込まれている。こうした中、同社は「「総合余暇サービス提供企業」をコンセプトに、「アクティブシニア層」をターゲットとし、"アミューズメント(カラオケ)"、"スポーツ・フィットネス(カーブス)"、"観光・行楽(温浴)"、"趣味・教養"の4分野において、事業間シナジーを追求すると共に「既存業種新業態」戦略を進め業容の拡大を図っていく考え。グループ売上高1,000億円を中長期の目標としている。
 
カラオケ事業
国内カラオケ市場はリーマン・ショックを境に4,200億円前後から3,800億円前後に縮小し、その後、横ばいが続いているが、同社のカラオケ事業は"地域密着によるリーズナブルでフレンドリーな接客サービス"を強みに店舗ネットワークを広げ、売上を伸ばしている。今後は「カラオケ=健康」のコンセプトの下、アクティブシニア層の開拓にこれまで以上に力を入れていく。具体的な取り組みとして、オリジナルのカラオケボックス用新システム「すきっと」(後述)導入による差別化戦略の徹底、社員独立型フランチャイズ(FC)チェーン制度「ビーアンビシャス(Be Ambitious)」(オーナーシップによる営業力強化)、及び都市部でのワンカラのドミナント展開による国内500店舗体制の早期構築の3点を挙げている(14年2月末349店舗)。
また、海外展開も進め、韓国・東南アジアでの多店舗展開に取り組む。4店舗を運営している韓国では既に多店舗展開に目処を付けており、東南アジアでは13年11月に中間持株会社(東南アジアにおけるカラオケ事業の統括会社)KOSHIDAKA INTERNATIONAL Pte.Ltd.を設立。その傘下でシンガポールでのカラオケ事業を統括するKOSHIDAKA MANAGEMENT SINGAPORE PTE.LTD.が、14年2月にシンガポール国内でカラオケ店舗11店舗を直営展開しているK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD. を子会社化した(売上高21億円、店舗利益1億95百万円、営業損益均衡。同国のカラオケ事業者では売上高・店舗数共にトップ)。
 
カーブス事業
「~筋トレを歯磨きに~」のコンセプトの下、日本中に運動習慣をひろげるべく改革・改善に継続的に取り組んでおり、当面の目標としていた1,500店舗(14/2期上期末1,397店舗)、70万会員(同58.9万人)の達成まであと一歩のところに来ている。ビルインタイプ、ロードサイドタイプ、ショッピングセンタータイプと、多様な出店スタイルが可能な上、FC加盟企業の多店舗展開意欲も旺盛(現在の新規出店は既存FCの増店のみ)。中長期的にはカーブスを中心としつつも、健康長寿サポート企業(運動・食事・睡眠)へと進化できるか否かがポイント。
 
短期間のサーキットトレーニングが高齢者の認知機能改善に効果
子会社(株)カーブスジャパンは、認知症等の加齢脳疾患やがん克服を目的に研究を進める東北大学加齢医学研究所と共同研究を行い、短期間のサーキットトレーニングが高齢者の認知機能改善に寄与する事を科学的に実証した。サーキットトレーニングは高齢者でも取り組みやすいため、高齢者の認知症予防や認知機能リハビリ等への応用が期待される。
 
 
温浴事業
シニア・ファミリー層に特化した業態開発とカラオケ事業で培った集客ノウハウを活かして、1店舗当たり入場者数の増加と満足度向上を図っていく。また、当初は燃料価格の変動等でコスト管理に苦労したが、オペレーションの効率化による労働生産性の向上、節水シャワーやコージェネレーション(ガスを燃料に発電と給湯を同時に行う装置)の導入による節水・省エネの追求、更には貯湯タンクの増設による天然温泉の活用促進や循環回収水の効率化に取り組んでおり、前期に続き、期末にかけての単月黒字化が見えてきた。
 
 
2014年8月期第3四半期決算
 
 
前年同期比9.3%の増収、同0.7%の経常増益
売上高は前年同期比9.3%増の275億83百万円。新規出店・会員獲得共が順調に進んだカーブス事業の売上が同18%増加した他、カラオケ事業も、冬場の降雪の影響等を新規出店成果と第2四半期以降の既存店回復で吸収して売上が増加した。

利益面では、国内での新規出店及び改装の増加等、カラオケ事業の先行投資を利益率の高いカーブス事業の売上増や温浴事業の損失の減少で吸収。営業利益が33億07百万円と同0.5%増加した。四半期純利益が大幅に減少したのは、前年同期は固定資産売却益15億39百万円を特別利益に計上したため。
 
 
カラオケ事業
売上高145億42百万円(前年同期比4.8%増)、セグメント利益11億68百万円(同34.1%減)。第3四半期末の国内店舗数は前期末に比べて14店舗増の352店舗(前年同期末334店舗)。新たに22店舗(前年同期15)をオープンする一方、8店舗(同4)をスクラップ。この他、28店舗(同0)で改装を実施した。また、海外では、韓国で4店舗目の店舗を出店した他、シンガポールでのカラオケ事業を統括するKOSHIDAKA MANAGEMENT SINGAPORE PTE.LTD.が、14年2月にシンガポール国内でカラオケ店舗11店舗を直営展開し、同国で売上高・店舗数共にトップのK BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD.(以下、K BOX社)を子会社化した。

第1四半期(9-11月)の既存店の苦戦や第2四半期(12-2月)の降雪の影響で売上が伸び悩む中、新規出店や改装の増加が利益を圧迫したが、コストコントロールは機能しており、コストは想定通り。料金の値上げ等による水道光熱費の負担増や消費税率の引き上げを踏まえて4月に価格改定を実施した。
 
カーブス事業
売上高116億60百万円(前年同期比18.2%増)、セグメント利益25億06百万円(同27.8%増)。第3四半期末の国内カーブス店舗数は前期末に比べて84店舗増の1,423店舗(内グループ直営店49店舗)、会員数は15千人増の601千人。ロイヤリティ収入等のベース売上や直営店売上が増加した他、既存会員の深耕に取り組んだ結果、人気のあるプロテインの定期購入を中心に会員向け物販も増加した。
 
温浴事業
売上高11億64百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント損失1億73百万円(前年同期は2億78百万円の損失)。営業損失となったものの、オペレーションの効率化による人件費や削減に向けた取り組みの成果が表れた水道・光熱費等を中心に原価低減が進んだ。
 
 
積極的な投資と長期借入金を中心にした資金調達で第3四半期末の総資産は249億94百万円と前期末に比べて43億46百万円増加した。投資の概略は、新規出店・改装、シンガポール子会社の設立・M&A、及び不動産(神奈川県厚木市)の取得等。資金調達については、好条件での借り入れが可能な足元の状況を踏まえて、今後の必要資金を前倒しで調達した面もある。この結果、第3四半期末の自己資本比率は48.4%と前期末に比べて3.1ポイント低下した。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
高い利益率と資産効率の良さが同社の特徴であり、市場平均を大幅に上回るROEを実現している。13/8期はカーブス事業の買収で増加した有利子負債の削減が進むと共に収益性の高いカーブス事業が拡大した事で売上高当期純利益率が上昇する一方、レバレッジが低下した。尚、東証発表の「決算短信集計」によると、東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の14/3期のROEは、金融を除く全産業8.65%(前期は4.99%)、製造業8.55%(同4.53%)、非製造業8.79%(同5.67%)。
 
 
2014年8月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比10.3%の増収、同11.3%の経常増益予想
前期比約3倍の新規出店を計画しているカラオケ事業は期を通して先行投資負担が重いものの、第2四半期以降、既存店が回復基調にある上、価格改定や新店及び改装効果が顕在化しつつある。一方、カーブス事業は店舗数と会員数の増加に加え、既存会員の深耕による物販の増加もあり、好調を持続。温浴事業も期末には月次ベースの損益が黒字転換する見込み。
期末配当は1株当たり5円増配の30円を予定している(上期末配当と合わせて年55円)。

尚、1株当たりの投資金額を引き下げる事で株式の流動性を高めると共に投資家層の拡大を図るべく、9月1日付けで1株を2株に分割する予定。基準日は8月31日(日)だが、実質的には8月の最終売買日の29日(金)。
 
 
(2)“すきドル” 最終決定LIVE ~すきドルグランプリ~の開催 -歌を通じたローカルアイドル応援の取り組み-
「“すきドル” 最終決定LIVE ~すきドルグランプリ~」が、7月12日(土)に浅草六区ゆめまち劇場(東京都台東区)で開催された。

「“すきドル”最終決定LIVE ~すきドルグランプリ~」は、子会社(株)コシダカの主催による「すきっと公式アイドル=すきドル」を決定する最終決定LIVEであり、子会社(株)コシダカが運営する「カラオケ本舗まねきねこ」や「ひとりカラオケ専門店ワンカラ」で導入している同社グループ開発の参加型カラオケシステム「すきっと」を活用したキャンペーン「すきドルPROJECT」の一環である。

「すきドルPROJECT」は、歌を通じてローカルアイドルを応援する事を目的としており、全国32組のローカルアイドルが参加し、「すきっと」の機能を用いて一般投票によって“すきドル”を決定する。投票方法は、アイドルの楽曲を歌う、アイドルのオリジナル録画コンテンツをカラオケの背景動画に指定する、利用者の歌唱動画をネット上に投稿する等、「すきっと」の機能を使って行う。言い換えると、応援するアイドルの歌を「すきっと」の機能を使って歌う事で票をのばす事ができる。

7月12日に開催された「すきドルグランプリ」は、6月22日に締め切られた一次投票の上位6組と復活投票による1組の計7組で争われ、“すきドル”に決定したアイドルは、「すきっと」アンバサダーとして、1年間にわたって「すきっと」の紹介を通じて歌の楽しさを伝える活動を行っていく。

※ すきドルPROJECT公式サイト https://www.skit-net.com/web/pc/skidol/
 
 
 
今後の注目点
通期業績予想に対する進捗率は、売上高72.5%(前年同期の実績ベースの進捗率73.1%)、営業利益71.2%(同79.2%)、経常利益71.9%(同79.4%)。カラオケ事業において、新規出店・改装効果が顕在化しつつある中、第4四半期は価格改定効果がフルに効いてくる等、好材料を有する事から期待したい。