ブリッジレポート:(9837)モリト vol.3
(9837:東証2部) モリト |
|
||||||||
|
企業名 |
モリト株式会社 |
||
社長 |
一坪 隆紀 |
||
所在地 |
大阪市中央区南本町4-2-4 |
||
決算期 |
11月末日 |
業種 |
卸売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年11月 | 33,145 | 1,390 | 1,699 | 1,081 |
2012年11月 | 31,521 | 1,389 | 1,405 | 787 |
株式情報(7/17現在データ) |
※2014年7月1日付で1:2の株式分割を実施。DPSは中間配当(分割前)12.00円と期末配当(分割後)6.00円の合計。 配当利回りは、中間6.00円、期末6.00円の合計12.00円で計算。 |
|
今回のポイント |
|
会社概要 |
創業100年を超す歴史の中で培われた高い信頼性、高シェア、グローバルネットワークなどが強み。 2014年5月末現在、連結子会社は国内4社、海外9社の合計13社 【沿革】
大阪の呉服商で奉公人として働いていた創業者・森藤寿吉氏が、1908年(明治41年)に独立し、ハトメ、ホックの仲買商「森藤商店」を一人で開業。大正時代に入りファッションの洋装化が進むのに伴い、靴の需要も拡大し、急成長を遂げる。1937年にはホックをスマトラ、ジャワへ、靴ひもをヨハネスブルグ(南アフリカ)、イギリスへ輸出するなど国際化も進めた。太平洋戦争後は、カラーナイロンファスナーやマジックテープ®の販売を開始したほか、1990年代に入り汎用資材の拡販を目指し、自動車の内装品、カメラのストラップなど生活産業資材関連事業にも進出し事業ドメインを拡大した。海外事業も積極的に展開。1989年、大阪証券取引所第2部に上場し、2013年7月の東証・大証の統合に伴い東京証券取引所第2部に移行。
【ビジョンなど】
1.創業理念 「積極・堅実」
創業期より培われてきた同社の精神。「自ら進んで判断・行動することで確実に成果を上げることが出来る」という意味を表す。また、「他人に勝つためには常に他人の意表をつくアイデアが必要。日頃から何かないかと考えながら商売せよ。」という、創業者・森藤寿吉氏の精神が同社事業のバックボーンとなっている。 2.経営理念
「パーツでつなぐ、あなたとつながる、未来につなげる」
(1)多彩なパーツを全世界に供給し、ジャンルを超えた無限の市場作りを追求します。
(2)お客様の要望を形にし、人々の豊かな暮らしにつながる本物のもの造りを実現します。
(3)ファッション性、機能性、快適性、安全性といったトータルな視点で価値創造力を発揮し、全ステークホルダーと一体になって未来創りに貢献します。
3.経営ビジョン
「グローバル成長企業を目指して」
4.企業行動指針
【事業内容】
ハトメ、ホック、バックル、ファスナーなど服飾の付属品を扱う「アパレル資材関連事業」と、マットエンブレム、ドアグリップなど自動車の内装品、新幹線の座席ネット、カメラ・携帯端末用のストラップ、靴の中敷きなどフットケア商品を扱う「生活産業資材関連事業」の2事業で構成される。どちらの事業においても、ファッション性、機能性、快適性、安全性等を勘案し、市場や顧客ニーズに沿った商品の企画、開発からはじまり、製造、流通、販売までを一貫して手掛けている。 報告セグメントは、日本、アジア、欧米の3セグメント。(セグメント別動向は、「2014年11月期第2四半期決算概要」をご参照ください。) ◎アパレル資材関連事業
「2013年11月期 売上高 17,281百万円。売上構成比 52.1%」 ファーストリテイリング、GAPなどとは直接取引を行っている。 海外における同社の知名度は高く、GAP、H&M、ZARAといったメーカーとは10年から20年以上という長い取引関係にある。 ◎生活産業資材関連事業
「2013年11月期 売上高 15,861百万円。売上構成比 47.9%」 売上構成は輸送機器事業が約2割、パソコン周辺グッズ等を含めた映像機器資材事業が約6割、フットケア事業が約2割となっている。 輸送機器事業では自動車関連が約9割を占める。内半分がトヨタ系顧客向けで、次いで日産系3割、ホンダ系1割となっている。 映像機器資材事業では、キヤノン向け35%、ニコン向け30%などとなっており、その他、オリンパス、京セラ等が顧客となっている。 |
特長と強み |
①安定した業績推移
沿革でも触れたように、創業以来ハトメ、ホック、マジックテープ®などを中心にアパレル資材関連事業を展開してきた同社だが、汎用資材の用途拡大を進め、生活産業資材関連事業をスタートさせ、現在では両事業の構成比は概ね半々となっている。この事業ポートフォリオは同社の業績に安定性をもたらしており、戦後2度の石油ショック、世界的な経済危機「リーマンショック」を含めても赤字に陥ったことが無い。 ②多くのアイテムで高いシェア
下表の様に様々な商品アイテムにおいて高いシェアを有している。価格のみで見れば同社よりも低価格で供給する新興国の企業もあるが、企画・開発から製造、流通にわたり一貫し、加えて様々な状況にも適切に対処できる対応力、長い歴史の蓄積の中で培った安全性も含めた品質の高さ等で発注元からの信用、信頼度をは高く、それが高シェアにつながっている。 例えば、同社では顧客のサンプル製作段階から適切な技術的アドバイスを提供したり、顧客の要望に合わせた微妙な色味の調整を何度も繰り返すほか、本生産に入ってからも定期的にチェックを繰り返すなど、単に完成品を販売するのではなく、取引開始に至るまで多くのハードルをクリアし、川上から川下までの全工程を仕組みとして顧客に提供している。こうした付加価値の提供が海外の有名ブランドを中心とした顧客から高く評価されている。 ③グローバルネットワーク
企画・開発は主として日本で行う一方、欧州、北・中・南米、アジア太平洋、アフリカに製造・販売の拠点を多数有している。
これが計画通りに進捗し、より強固なグローバルネットワークが構築されれば、同社の競争優位性は一段と強固なものとなるだろう。 以上の3点に加え、「ユニークなポジショニング」も同社の特徴の一つと言って良いだろう。 同社が取り扱う品目一つ一つをとれば競合先もあるが、これだけ多彩な品目を取扱いながら、その企画・開発から製造、流通、販売までを一貫して自ら手掛け、売上高300億円を超すというボリュームを実現している企業は世界的にも他に見当たらないということだ。 中期経営計画においては最終2015年の目標として「ROE 5%」を掲げているが、目標達成のためには同時に掲げている、「売上高営業利益率 5%」の実現が鍵となる。 |
2014年11月期第2四半期決算概要 |
各セグメントとも好調で2ケタの増収・増益
売上高は前年同期比10.8%増の171億円。セグメント別では、日本が堅調だったことに加え、アジア、欧米ともに2ケタの増収。各セグメントとも自動車内装品や附属品が好調だった。基幹システム移行に伴う一時的な人件費の増加があったが増収効果で吸収し、営業利益も2ケタ増となった。為替差益の減少で経常利益は減益となったが、投資有価証券売却益、土地売却益で四半期純利益は増益となった。
◎日本
前年同期比7.8%増収、20.2%減益。<服飾資材関連> 大手量販店向けアパレル附属品は減少したが、靴用副資材、スポーツグッズが増加した。 <生活産業資材関連> 100円ショップ、靴専門店、ホームセンター向け商品が好調。自動車内装品関連でも、採用車種数が増加し売上が増加した。 ◎アジア
前年同期比14.9%増収、191.7%増益。<服飾資材関連> 欧米のベビーキッズ向けスナップ・ホックの販売が増加した。また、タイ、ミャンマーでの日系アパレルメーカー向け副資材販売が増加した。 <生活産業資材関連> 中国で自動車内装品関連の採用車種数が増加した。 ◎欧米
前年同期比43.7%増収、黒字転換。<服飾資材関連> 医療用服飾資材が増加。昨年低調だった高級服飾資材も回復傾向にある。 <生活産業資材関連> ヨーロッパで欧州自動車メーカー向け及び日系自動車メーカー向けの自動車内装品の売上が増加。アメリカでは日系自動車メーカー向け自動車内装品が好調だった。また、デジタルカメラケースの出荷も堅調だった。 この結果、自己資本比率は前期末に比べ4.8%低下の71.6%となった。 M&Aのための長短借入金増加により財務CFはプラスとなった。 (4)トピックス
流動性の向上、投資家層の拡大、株主数の増加を目指し、2014年7月1日付で1:2の株式分割を実施した。
◎株式分割を実施 |
2014年11月期業績予想 |
業績予想に変更無し。2ケタの増収・営業増益を見込む。
現時点で業績予想に変更は無い。売上高は前期比11.6%増収の370億円を計画。進捗率は50%に満たないものの、第2四半期の計画を上回っており、第3四半期以降も、アパレル事業の秋冬物受注、繁忙期を迎える流通小売業向け新商品群の展開、スポーツ関連グッズの伸びなどで計画達成を目指す。 製品別では、スポーツシューズ関連、海外ナショナルブラン向け金属ホックの伸びを見込んでいる。特に後者は市場規模も大きく、他社シェアの奪取を図る。 中国における人件費アップという課題はあるものの、運送費や人件費等、販管費のコントロールを進め利益率の改善に注力する。営業利益は同22.2%増益へ。円安効果を前期ほど見込んでいないため経常利益は同5.9%増にとどまる。 3月に子会社化したマテックス社とのシナジーを顕在化させるよう努めるとともに、新たなM&Aにも積極的に取組む。 配当は中間12.00円/株に加え、期末6.00円/株の合計18.00円/株を予定。(分割前換算では前期比4.00円/株増の24.00円/株)。予想配当性向は29.0%。 |
|
<参考:中期経営計画について> |
①経営方針
同社では中期経営計画(2011年~2015年)において「グローバル成長企業を目指して」というテーマを掲げ、経営の基本方針として「グローバルな生産拠点、販売網の拡充」と「グローバル経営を支える内部体制の構築」を上げている。
「グローバルな生産拠点、販売網の拡充」
日本は企画・開発の拠点として安全・安心、環境を重視した付加価値商品の開発を進める。
アジアを中心としたグローバルな生産・販売網構築を進めており、2012年5月にはカネエムダナン(ベトナム)が操業を開始した。
中国生産拠点は機械化を進め、ベトナムでは人手の必要なものを中心に取り扱う。
<カネエム ダナンの概要>
2012年5月18日にベトナムのダナン市において竣工、操業開始。アパレル資材、生活産業資材のASEANでの生産・物流の拠点として位置づけている。またリスク分散、地産地消を目的とし日本、中国、ASEANの資材を取り扱う。世界にも稀な服飾部品複合工業団地で、敷地面積5万平米、建物延べ床面積3万平米の広大な工場では、テープの製造・染色加工、インナー関連金具やファスナー関連金具の製造、メッキ・塗装加工、ジッパーの製造、ビジネスバッグやトラベル用バッグの製造など、多様なアイテムを取り扱う。 2015年度単体売上7億円、モリトグループ売上効果30億円を計画しているが、立ち上がりは順調で前倒しでの達成も可能と会社側は見ている。 また、現在はASEANに向けては中国・深センの生産拠点から船で資材を運搬しているが、ベトナム・ダナンとミャンマー・モーラミャインを結ぶ「東西経済回廊」やベトナム・ハノイとタイ・バンコクを結ぶ「南北経済回廊」という陸路が開通すれば、深センからモーラミャインまで海路で約4週間の行程が、ダナンからモーラミャインまで陸路で約1週間と大幅に短縮されることとなり、運賃も2.8USD/kmが0.8USD/kmと大きく低減させる事が可能になりメリットは大きい。 「グローバル経営を支える内部体制の構築」
下記の様なポイントに注力する。
②今後の事業展開
また、高級ブランドおよび有名スポーツメーカーへは付加価値の高い高額商品の採用を積極的に提案していく。 中米、東欧などの市場開拓はまずは出張ベースで対応するが、将来的な市場近くでのものづくりも視野に入れて進めていく。 ③目標とする経営指標
最終2015年の経営指標として以下を掲げている。
|
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |