ブリッジレポート:(4549)栄研化学 vol.3
(4549:東証1部) 栄研化学 |
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企業名 |
栄研化学株式会社 |
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代表執行役社長 |
寺本 哲也 |
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所在地 |
東京都台東区台東4-19-9 山口ビル7 |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
医薬品(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年3月 | 30,027 | 3,008 | 3,095 | 1,984 |
2013年3月 | 28,645 | 2,548 | 2,812 | 2,453 |
2012年3月 | 27,702 | 2,363 | 2,543 | 1,460 |
2011年3月 | 27,562 | 2,709 | 2,775 | 1,672 |
株式情報(5/2現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
国内シェア約57%である便潜血検査用試薬を始め、高シェア製品多数。独自開発の遺伝子増幅技術「LAMP法」は世界的に高い評価を得ている。便潜血検査とLAMP法の2つを武器にグローバル企業への成長を目指している。 【沿革】
【経営理念】
経営の基本として、「経営理念」、「経営ビジョン」、「モットー」を中心にEIKEN WAYを策定している。
【市場環境】
臨床検査薬市場(検査用機器を含まない)の市場規模は、2012年度で約3,300億円(一般社団法人日本臨床検査薬協会調査)となっている。<国内市場> 行政は医療費を抑制するために特定健診(メタボ健診)やがん検診といった予防医療に力を入れており、今後、高齢化の進展と共に検査数(検体数)の増加が見込まれる。 一方でマイナス面としては少子化による人口減少および診療報酬改定(引下げ)の影響がある。ただ、診療報酬改定の対象である検体検査実施料の推移を見ると、1997年から2006年までの期間に約4割引き下げられたものの、その後はほぼ横ばいないし微減となっている。これは同社の含めた業界全体として予防、検査の重要性を働きかけた結果という事で、中長期的に見れば国内市場は年率3%程度の微増傾向が続くと思われる。 矢野経済研究所による「臨床検査市場の展望2009年版」によると、同社は売上高237億円で、シスメックス(6869、東証1部)、ロシュ・ダイアグノスティックス(独ロシュグループの日本法人)、富士レビオ(現 みらかホールディングス。4544、東証1部)、アボットジャパン(米アボットグループの日本法人)につぐ第5位、シェア5.8%となっている。 前述の協会会員122社(2014年4月時点)の内メーカーは80社で、売上200億円以上の企業は10社程度となっており、大多数は中堅・中小企業という構造。臨床検査は検査項目が多岐にわたっているため企業ごとに得意とする分野が異なり、企業間での棲み分けが出来ている。そのため、他社から製品を仕入れて販売するといった提携が多く見られる。また、そうした棲み分けが出来ている中、市場は小幅ながらも拡大しているため、明確な淘汰は現在のところ起きていないということだ。 <海外市場>
矢野経済研究所「グローバル臨床検査市場の展望2009年版」によれば、2008年の世界の検体検査薬・機器市場は445億USD(約4兆4,500億円。1USD=100円。)で、地域別構成比は米国41.2%、欧州36.9%、アジア・パシフィック12.0%などとなっている。市場規模自体が国内市場の10倍超と巨大であると同時に、先進国では高齢化の進展に伴う検査数の増加、また新興国においては経済成長、所得増加に伴う医療ニーズの拡大などにより、年率7~8%と国内市場を大きく上回る成長が見込まれるため、国内の各関連企業は積極的にグローバル化を進めている。 ただ、グローバル市場においては、ロシュ、アボット、シーメンス、ベックマンなど売上高が2,000~9,000億円にも上る世界的大企業がメインプレーヤーとなっており、日本企業が競争に勝ち抜くためには独自性のある製品・システムの開発など競争力強化が不可欠である。 【事業内容】
1.臨床検査とは
臨床検査には、レントゲン、CT、MRI、心電図、超音波など、医療機器を使用して体を直接調べる「生体検査」と、患者から採取した血液、尿・便、細胞などの生体試料(検体)を調べる「検体検査」がある。同社が取り扱う臨床検査薬とは、検体検査に使用する試薬の事で、例えば感染症の検査や便に含まれた微量の血液の測定など、病気の診断をサポートするもの。これら試薬の大部分は体外診断用医薬品と呼ばれ、試薬メーカーなどが厚生労働省に対し申請し、認可を受けたものである。ユーザーは、病院、クリニック、受託を受けて検査を行う検査センター、健診センター、保健所、衛生研究所など。 2.主力製品
主として以下の各検査用試薬や機器を製造・販売している。同社は幅広い検査薬を取り扱うために、自社製品に加え他社製品の仕入販売も行っている。 主要な自社製品は、便潜血検査用試薬、微生物検査用試薬、一般検査用試薬(尿試験紙など)、遺伝子検査用試薬など。自社製品と他社製品の売上比率はほぼ半々。粗利率は自社製品が約55%、他社製品が約35%。 便潜血検査用試薬
大腸がんのスクリーニング検査として糞便中ヒトヘモグロビンを特異的に検出・測定する便潜血検査用試薬・採便容器を主力製品とし、グローバルに販売している。
免疫血清検査用試薬(便潜血検査を除く)
自動分析装置用試薬「LZテスト‘栄研’」を始め、感染症、リウマチ、炎症、萎縮性胃炎、前立腺特異抗原などの診断、測定に使用する各種検査用試薬の開発、製造、販売を行っている。また東ソー(株)から、医療機器及び試薬を導入・販売している。 微生物検査用試薬
同社は創立以来、感染症及び食中毒の予防を目的とし、生体試料や食品・環境の微生物検査用試薬を開発してきた。現在では、微生物検査用培地、薬剤感受性検査用試薬、迅速検査試薬など、微生物感染症の診断・治療に有用な各種検査用試薬を開発・製造・販売している。
一般検査用試薬(尿検査用試験紙など)
尿中の潜血、たんぱく質、ブドウ糖など多項目の検査が行える尿検査用試験紙「ウロペーパー ‘栄研’」、全自動尿分析装置用には専用試験紙の「ウロペーパーαⅢ‘栄研’」などを開発・製造・販売している。
生化学検査用試薬
生活習慣病との関連性が注目されている検査項目を中心に、血清や尿を検体とし生体成分を測定・分析する「エクディアXL ‘栄研’」シリーズなど、生化学検査用の試薬を開発・製造・販売している。
器具・食品環境関連培地
食中毒原因微生物の検査などの食品微生物検査用試薬や、作業環境の汚染実態などを把握できる環境微生物検査用試薬及び検査用器具・機材の販売を行っている。
医療機器関連(遺伝子関連機器を除く)
各種自動分析装置を販売している。便潜血測定装置「OCセンサー」は1989年の発売以来、技術革新と品質向上を重ねている。また、独自技術であるカラーCCDセンサーを使用した尿自動分析装置「US」、臨床検査分野で世界初となる全自動生物化学発光免疫測定装置「BLEIA-1200」など取り揃えている。 遺伝子関連(機器含む)
同社は1998年、新規遺伝子増幅技術LAMP法を独自開発し特許申請を行った。このLAMP法は、「簡易、迅速、精確」という特徴を有しており、今後のグローバル展開のための大きな武器となっている。(詳細は後述)
2.販売体制
国内の販売体制は11営業所、2営業部。学術部門が販売促進の支援を行っている。2014年3月期の全従業員620名中、約280名が販売部門。 ユーザーである病院など医療機関向けチャネルに関する直接の販売先は医療系卸会社で、殆ど全ての卸会社と取引を行っている。 海外販売においては、基本的に1か国・1代理店体制をとっており、販売とメンテナンスを委託している。 輸出先は43か国(2014年3月期)。国の制度として便潜血検査を実施している、米国、イタリア、韓国、台湾が海外売上の大半を占めている。 アムステルダム(オランダ)に欧州事務所があるほか、中国に関しては連結子会社「栄研生物科技(中国)有限公司」での生産・販売体制の強化を行う他、中国事業室を設置しビジネス拡大を図っている。今後は規模拡大に伴い現地法人化も検討していく。 2014年3月期の海外売上高は2,017百万円。うち便潜血検査用試薬は1,455百万円、構成比は72.1%。 市場平均を上回るROEを示現している点は評価される。 ただ、2013年3月のROEが高いのは、土地売却による特別利益を計上し売上高当期純利益率が上昇したためであり、まだ2ケタのROEがベース水準とはなっていない。ROEの更なる向上を実現するには、同社が重点施策に挙げている高付加価値製品の開発、新規事業・新規市場の創出および原価率および販管費率の低減による生産性向上を一段と強化する必要があるだろう。 |
特徴と強み |
①高シェアの製品群
便潜血検査用試薬の国内シェアは約57%でトップであるほか、尿試験紙で約23%(2位)、微生物検査用試薬で約18%(2位)等と多くの自社製品において高いシェアを有している。特に便潜血検査用試薬は1992年に老人保健法の改正が行われ、大腸がん検診のスクリーニング検査法として公費で受診が可能(受診者負担が無料)になったのをきっかけに、普及が加速した。 同社が高いシェアを獲得することができた背景としては、1987年に便潜血検査用試薬「OC-ヘモディア」を発売していたこと、採便容器に関し衛生面や取扱い易さを追求した事、測定原理に免疫法(ラテックス凝集法)を採用し世界で初めて自動化装置を開発した事、試薬の性能が高い事などがあげられる。 特に、容器と装置の組み合わせがユーザーに受け入れられたことが大きな要因となった。 日本で実施されている免疫法は、ヒトの血液のみにしか反応しない試薬となっており、また、自動化装置による大量処理が可能である。 一方海外では化学法による古いタイプの試薬が使用されており、精度面に課題がある。近年になりようやく欧州の検診ガイドラインで免疫法による自動装置測定が推奨され、大きな市場の変化が表れ始めた。 また、市場が最も大きいアメリカでも化学法が主流であるが、徐々に免疫法へのシフトが始まっており、欧米、アジア・オセアニアの先進国には未開拓な大きな市場が控えている。 ②研究開発に注力
研究開発型企業として独自性のある技術の研究開発と、それをベースとした顧客ニーズに対応したオリジナル製品の開発に注力している。研究開発要員は約100名。顧客の要望は医療のクオリティ向上。具体的には、高感度・高品質による疾患の鑑別精度の向上、検出率の改善といった点が挙げられる。加えて、使用法が簡便であれば医療従事者の負荷軽減につながるため、そうしたニーズへの対応も重要なポイントとなっている。 同社は、1939年の創業以来培ってきた試薬製造の独自技術が蓄積されており、またその試薬の性能を有効に活用するための装置に関しても、便潜血検査用装置や尿自動分析装置、生物化学発光免疫測定装置など測定原理にも他社にはない独自技術が用いられている。 ③アライアンス戦略による多品種・多分野展開
臨床検査薬はその対象、項目は多岐にわたり、すべてを自社で開発・製造・販売を手掛けることは困難である。同業他社の多くは自社の得意な技術・製品に絞っているが、同社は臨床検査薬の総合メーカーとして、収益構造の安定化をめざし、アライアンス戦略を通じて自社の有する強みの拡大、機能の補完、新技術の取得といったシナジー効果を追求しつつ、広範に取扱製品を揃え、医療機関を始めとした顧客、ユーザーのニーズに対応している。多品種・多分野に展開しているもう一つの理由としては、経営理念「ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。」にあるように国民の健康を守るという責務を達成するためには、幅広い臨床検査に対応することが企業としての社会的責任であるとの想いも根底にある。 ④「LAMP法」の優位性
遺伝子検査の中の過程の一つである遺伝子増幅プロセスにおける現在の主流技術は「PCR法」と呼ばれるもの。これに対し同社は1998年「LAMP法」という独自技術を開発した。「LAMP法」はPCR法と比較して、以下の様な優れた特徴を持ち、簡易で迅速に特異性の極めて高い遺伝子検査を行う事が出来るものである。 同社はLAMP法の地位確立のため感染症検査に注力すると同時に、LAMP法の普及・認知度向上のために、畜産・水産、食品・環境など医療以外の分野での利用を推進しており、実際にLAMP法に基づく製品は2002年以降次々と実現している。 また同様の目的から、LAMP法陣営構築のために外部に対し積極的なライセンス許諾を行っている。 LAMP法を世界的に普及させるための中心的な取り組みの一つが、「FIND」とのアライアンスである。 「FIND」は「Foundation for Innovative New Diagnostics」のことで、2003年5月に開催された国連の世界保健会議の場で設立されたスイス政府認可の非営利財団。当初5年間、Bill & Melinda Gates Foundationからの助成金を受けて活動を本格化している。 開発途上国における感染症撲滅のために、手頃な価格で、取り扱い易く、先進的な検査・診断方法を開発・導入する事を活動の目的としている。 FINDでは対象とする感染症として、結核、マラリア、アフリカ睡眠病などを上げているが、このうち結核について通常途上国で実施されている顕微鏡検査(塗沫検査)よりも精度を向上させることを目的として、LAMP法による結核検査の共同研究が同社とFINDによって2005年7月より開始された。 開発途上国の現場でも利用できるように、前処理工程の簡略化、試薬保存方法の改良、装置の簡略化など、PCR法では実現できない改良が加えられた。 LAMP法を利用したこの製品は2011年に日本で既に販売となっている。 現在FINDはWHO(World Health Organization、世界保健機構)の推奨獲得のために途上国各国で臨床実験を継続して実施している。 また、結核以外にも前述の疾病のほか、リーシュマニア症およびシャーガス病の検査薬に関しても共同開発を進めている。 同社では、これら共同研究の成果はLAMP法の普及を加速させるとともに、グローバルスタンダードとしての地位を確立させ、遺伝子検査市場の拡大に繋がるものと期待している。 *遺伝子増幅法
遺伝子検査では、検体に含まれる目的の遺伝子量が極めてわずかなため、遺伝子を検出するためにはまず目的とする遺伝子を増幅させなければならず、遺伝子検査において最も重要なポイントが遺伝子増幅となる。
*アフリカ睡眠病
熱帯アフリカの風土病で、トリパノソーマという原虫がヒトに感染して引き起こす重大な熱帯病。ツェツェバエが媒介する。ヒトの血液中のトリパノソーマがツェツェバエに吸血され、その体内で発育、増殖し2~5週で終末トリパノソーマ型となって次の感染源となる。高熱、頭痛、嘔吐などをきたし、ひたすら眠るようになる。食事が摂れなくなるので痩せ、全身衰弱となり、多くは合併症を引き起こして死亡する。
*リーシュマニア症
リーシュマニアという原虫の感染によって引き起こされ、黒熱病といわれる内臓リーシュマニア症、皮膚と粘膜をおかすブラジルリーシュマニア症、皮膚をおかす熱帯リーシュマニア症があり、いずれも吸血昆虫、とくにサシチョウバエが媒介する。内臓リーシュマニア症は約3か月の潜伏期の後、高熱、発汗や下痢が生じ、1か月ぐらいすると肝臓と脾臓が腫れ、貧血が進み、放置すると衰弱し、半年から2年で死亡することもある。
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2014年3月期決算概要 |
国内売上が好調で3期連続の増収・増益。期初計画も上回る。
売上高は前期比4.8%増で初めて300億円台をクリアした。国内では、便潜血検査用試薬、血液検査によって胃の健康度を評価するABC分類関連検査用試薬、感染症領域における迅速検査用試薬および遺伝子検査用試薬などが好調。また、消費税増税による駆け込み需要も一部あった。一方、海外では、欧州やアジアは堅調だったものの、北米では、代理店の在庫調整の他、FDA(アメリカ食品医薬品局)により指摘された品質管理システムの是正指示の影響などで便潜血検査用試薬の販売が苦戦し、前期比3.5%増に止まった。自社製品の原価率低減と販管費の効率的使用を進めた結果、原価率は同0.8%、販管費率は同0.3%それぞれ改善し、営業利益、経常利益は前期に比べ2ケタの増加となった。ただ、当期純利益は前期にあった土地売却益992百万円が無くなったため前期比減少となった。 業績好調を反映して株主への利益還元を強化。期末配当を従来予想の15円/株に特別配当5円を増配し20円/株とした。この結果年間配当は35円/株となった。(従来予想は30円/株) 設備投資は前期比21.1%増の839百万円、減価償却費は同7.1%増の1,114百万円だった。 ○微生物検査用試薬
薬剤感受性検査用試薬の「ドライプレート‘栄研’」、迅速検査試薬「イムノキャッチ-ノロ」が好調だった。
○一般検査用試薬
全自動尿分析装置用の専用試験紙「ウロペーパーαⅢ‘栄研’」に腎機能検査関連項目が追加され売上が伸長した。
○免疫血清学的検査用試薬
大腸がん検診普及活動によるシェアアップを目指した便潜血検査用試薬が引き続き好調だったほか、2013年2月からヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の除菌治療の保険適用が拡大されたことにより、血中のヘリコバクター・ピロリ抗体を測定する「Eプレート‘栄研’H.ピロリ抗体Ⅱ」及び、ヘリコバクター・ピロリ検査と組み合わせて胃の健康状態を調べる(ABC分類)検査に使用する「LZテスト‘栄研’ペプシノゲン」の売上が増加した。また東ソー(株)から導入・販売している糖尿病関連の「HbA1c試薬」の売上も堅調だった。 ○生化学的検査用試薬
シェア獲得競争に伴う価格低下等により減収となった。
○器具・食品環境関連培地
価格競争の影響でほぼ横ばいだった。
○その他(医療機器・遺伝子関連等)
医療機器は、便潜血検査用機器、免疫血清学的検査機器が伸びた。遺伝子関連は、LAMP法の「LoopampマイコプラズマP検出試薬キット」、「Loopamp結核菌群検出試薬キット」などの販売を強化した結果、売上が増加。イニシャル、ランニングを含めた特許料収入は506百万円だった。 ○海外向け売上
便潜血検査用試薬の売上高は前期比 0.8%増とほぼ横ばいだった。一方、遺伝子関連(機器含む)は同19.1%の増収と好調だった。
*北米
便潜血検査が新たにカナダで採用された。一方、北米向けの便潜血検査用試薬の売上が代理店の在庫調整により減少したほか、FDA(アメリカ食品医薬品局)により指摘された品質管理システムの是正指示の影響で新規顧客開拓が伸び悩んだ。
*欧州
便潜血検査がノルウェー(国家として採用)、ベルギー(ベルギー内の一地区)、イングランド、スウェーデンで新たに採用された。また、フランス、スコットランド、チェコでの採用に向けた対応を進めた。また、尿試験紙ウロペーパーの販売推進をイタリアにおいて行った。 *アジア、その他
タイ、香港、ニュージーランドなどで便潜血検査の新規採用及び販売拡大に向けて活動している。中国では、栄研生物科技(中国)有限公司でのLAMP試薬及び機器の販拡および、便潜血検査用試薬の販売を推進した。 (3)その他の活動
◎研究開発
既存製品「ウロペーパーⅢ」の検査項目にクレアチニン、アルブミンが新たに追加された。(2013年7月発売)
同じく既存製品群から、ABC分類関連『LZテスト‘栄研’H.ピロリ抗体』(2014年2月発売)や、微生物感受性分析装置『DPS192iX』、『ドライプレート‘栄研’』(どちらも2014年3月発売)をリリースした。
BLEIA法による新規免疫試薬として、「C型肝炎ウィルスコア蛋白質キット『BLEIA ‘栄研’ HCV抗原』」(2013年4月発売)、「B型肝炎ウィルス表面抗原キット『BLEIA ‘栄研’ HBs抗原』」(2013年4月発売)をリリースした。
LAMP製品の新規ラインアップとして、「DNA簡易抽出キット『SR DNA抽出キット』を2013年10月に発売した。
迅速検査(POCT)試薬の、イムノキャッチ-ノロの使用性を向上させた。(2013年9月リニューアル発売)
研究開発費は前期比5.7%増の1,945百万円だった。
◎FIND事業
FINDとのアライアンスによる事業の進捗は以下の通りだった。① 核 WHO推奨取得に向けた途上国の評価を、アフリカ、東南アジア等14ヶ国で継続して実施した。 ハイチ共和国において、外務省官民連携事業を推進した。 中国の監督機関であるCFDA(China Food and Drug Administration、国家食品薬品監督管理総局)に対する申請手続きを進めた。 WHO推奨は予定より遅れているが、追加データの収集、解析を継続して行い推奨取得のための準備を進めている。 ② マラリア マラリア撲滅プロジェクトのスクリーニング用試薬を販売した。 ③ アフリカ睡眠病 コンゴ民主共和国、ウガンダでの臨床試験を継続して行った。 ④ リシューマニア症 FINDによる試作品の評価を継続して行った。 ⑤ シャーガス病 FINDと共同開発契約を締結した。 シャーガス病は、米国南部や中南米において哺乳類吸血性であるオオサシガメ亜科のサシガメを媒介とする感染症。すぐには発病せず、一般的に30年ほどの潜伏期間がある。リンパ節、肝臓、脾臓などの腫脹、筋肉痛、心筋炎、心肥大、脳脊髄炎、心臓障害といった症状をもたらす。 ◎生産性向上、人材の育成・活用、CSR等
生産性向上のため、売上原価率の改善(製造原価低減)、業務効率化による販管費の削減を進めた。
品質向上のため、FDAの是正指示を契機に、国内外の法規制に対応した品質マネジメントシステムの再構築を行った。
CSRとして、環境マネジメントシステムの継続的な改善と戦略的運用を進めた。
コンプライアンスの徹底および統合リスク管理によるリスク低減を推進した。
基幹人材育成プログラムを実施した。
BRAVE CIRCLE(大腸がん撲滅キャンペーン)活動を継続して実施した。
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2015年3月期業績予想 |
海外向け売上の回復で増収も、試験研究費の大幅増加で減益へ。
売上高は前期比4.3%増収の313億円。国内では、BLEIA法による新規免疫試薬、前期末に販売した新規ピロリ検査用試薬「LZテスト‘栄研’H.ピロリ抗体」や薬剤感受性分析装置「DPS192iX」・「ドライプレート‘栄研’(192プレート)の販売促進、LAMP製品などの販売に注力する。海外では、法規制事項への対応を進めながら、便潜血検査用試薬の普及拡大、LAMP製品の販売、免疫血清学的検査用試薬及び迅速検査試薬の展開、尿試験紙ウロペーパーの販売を進める。引き続き好調な欧州・アジアに加え、米国向け売上の回復で海外向け売上は前期比4割強増と高い伸びを見込む。一方、主要分析装置の後継機開発、LAMP法・POCT(迅速検査)およびBLEIA法製品群の開発推進、既存技術のブラッシュアップによる製品改良、新規バイオマーカーや新規診断技術の探索研究推進、FIND事業(結核、マラリア、HAT;アフリカ睡眠病、リーシュマニア症、シャーガス病)の推進等を目指し研究開発費を前期比775百万円増加(39.8%増)の2,720百万円と大幅に増加させると共に、新規設備、老朽化更新のため設備投資増加により減価償却費も同300百万円増加(26.9%増加)するため、利益は減益となる。 ただ、今期は既存機器の更新が重なった面等もあるため、来期は前期並みの通常レベルに戻るという事だ。 配当は前期と同じく35.00円/株の予定。予想配当性向は34.1%。 |
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<参考:新経営構想「EIKEN WAY・EIKEN ROAD MAP 2009」> |
【背景】
日本国内では医療費抑制を目的とする医療制度改革の継続基調は変わることなく、診療報酬の改定、製品競争・価格競争の激化により、臨床検査関連企業には、一層の経営の効率化・合理化が求められている。加えて、安全性の確保と法令遵守が更に重要な経営課題となっており、各企業間格差が一段と大きくなると考えられる。 こうした環境下、着実な成長と持続的な企業価値の向上を実現するためには長期的にEIKENグループが目指す方向性を明らかにした上で、経営資源の効率を最大化しつつ、新たな視点をもって環境変化を活かす戦略を、よりスピーディかつ大胆に進めることが必要不可欠であると同社は認識している。 そこで、同社では新経営構想として、堅実な経営を実践するためのよりどころとなる「EIKEN WAY」および長期的な目標を見据えた「勝ち残りの経営」を推進するための基本指針となる“EIKEN ROADMAP 2009”を策定した。 【概要】
1.事業ドメイン
EIKEN グループが保有する技術や強みを活かした事業領域として、『ヘルスケア』の中から「臨床検査事業」、「食品・環境検査事業」の2つを事業ドメインと定め、着実な成長と収益性向上を実現する。また、このドメインの中で次の成長を担う新規事業を創出する。
2.EIKEN ROAD MAP 2009 グランドビジョン
『 2018 年までに、検査のパイオニアとして人々の健康を守るため、グローバル企業“EIKEN”を実現する。』
3.EIKEN ROAD MAP 2009 行動指針
4.基本方針
5.経営目標
世界的な検査企業入りという未来のため、強固な事業基盤作りとして着実な収益性の向上を目指す。
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