ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

スタンダード

ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.34

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
江草 康二 社長兼CEO
江草 康二 社長兼CEO

【ブリッジレポート vol.34】2014年6月期第2四半期業績レポート
取材概要「同社グループが属する広告業界は、1-3月の消費税増税前の駆け込み需要と4月以降の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響を受ける・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年3月25日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
社長兼CEO
江草 康二
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年6月 12,346 850 864 428
2012年6月 13,935 973 987 508
2011年6月 10,570 378 377 131
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238
株式情報(2/27現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
694円 10,996,260株 7,631百万円 8.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.50円 3.8% 41.42円 16.8倍 501.68円 1.4倍
株価は2/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
テー・オー・ダブリューの2014年6月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界のトップカンパニー。同業他社が約8000社あり、その大半が中小・零細企業といわれる中、当社は頭一つ抜け出た存在。現在はイベントのみならず、ノベルティグッズ、印刷ツール、Webサイト、キャンペーン事務局といった各種セールスプロモーションメニューも取り揃え、ワンストップ体制とプロモーション提案力の強化を図り、マスメディア以外は全て当社で対応できる、総合プロモーション事業を展開。

日本では大半のイベントが、イベント主催者(クライアント)からの発注を受けた大手広告代理店によって開催されている。このため、同社を含めた実際にイベントの企画・制作・運営を行う会社は、イベント主催者から直接受注するのではなく、大手広告代理店を介して受注するケースが多い。競合他社が限られた大手広告代理店とだけ取引している中、 当社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引し、 イベント/セールスプロモーション業のスペシャリストとして信頼を得ている。また、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイトなど、 大型会場でのイベントを1社単独で全て対応できることが強みとなっている。

企業のコミュニケーションの中でのプロモーション展開を考える際に、様々な知識と経験を持ったプロモーションの専門家によるトータルプランニングこそが、プロモーション効果を高めるために最も重要であるとの考えのもと、イベント制作における実績を生かしたライブコミュニケーションに加えて、プレミアム、ツール、WEBなど、セールスプロモーションコンテンツの専門部署を発足させ、プロデューサー・プランナー・ディレクターが一元的にクライアントのプロモーションニーズに応えるよう取り組んでいる。
「プロモーション・パートナー」という新しい業態としてワンストップソリューションの提供を実現させる、総合プロモーションカンパニーとして機能している。
 
 
また、広告主が変われば、各社抱えている課題や要望も変わる。 また商品ブランドが変われば、それを届ける消費者も変わる。いかにその時々の状況下において広告主・商品ブランド・消費者にとって最適な媒体メニューを組合せ、コーディネートして提示できるかが求められる複合媒体時代になっている。同社は、パートナーである広告代理店に対して、マスメディア以外は全て当社で対応できる一社完結型の「プロモーション総合制作会社」として、あらゆるプロモーションニーズに対応できる体制を整えている。
 
 
更に、複合媒体時代においては、幅広く展開する複数の媒体やプロモーション施策を一括りに束ね上げる企画力が必要とされる。
同社には、他の制作会社には例を見ない、企画専門セクションを置き、「企画」「営業・制作」の分業体制を確立している。企画に特化した20数名のイベントプランナーが企画業務をリードし、クオリティを確保した形で年間約3000本の企画を世に送り出している。これにより、広告代理店様と一緒に、プロモーションの全体企画を作成・提案し、採用された企画・コンセプトを押さえたまま、実施までつなげることを可能にしている。
 
 
 
2014年6月期第2四半期決算
 
 
前年同期比2.2%の減収、同20.1%の経常増益
売上高は前年同期比2.2%減の65億99百万円、経常利益は同20.1%増の6億13百万円。政府の積極的な財政・金融政策による国内景況感と企業業績の回復を受けて、同社グループが属する広告業界においては、大手広告代理店の業績回復傾向が顕著となっており、同社の事業領域であるプロモーション領域においても回復感が強まってきている。
売上面では、大型インナーイベント(周年)の受注によりイベントにおける広報が増加した一方、セールスプロモーションにおける販促及び制作物が減少した。
営業利益は同20.4%増の6億8百万円。収益力向上のための施策を実施した効果により、売上総利益率は同1.7ポイント上昇した。販管費は同3%減と微減となったが、売上高対販管費率はほぼ横ばいにとどまった。
 
(2)第2四半期決算の傾向
受注案件数は前年同期比35件減の673件。前年同期にはなかったG1や東京モーターショー関連といった大型案件があったことから、1億円以上の案件受注が8件と前年同期に比べて4件増加したものの、1,000万円以下の案件が減少(539件→514件)した。
引合形態別では、指定案件が前年同期の497件(43億44百万円)から445件(33億26百万円)に減少したものの、競合案件(72件→75件)や提案案件(139件→153件)が増加。全体の案件単価は、8.9百万円から9.2百万円へ増加した。また、今第2四半期は803件(前年同期865件)の提案を行い、281件(同278件)の受注を得た。この結果、勝率は34.9%と前年同期(32.1%)を上回った。
近年強化してきた競合及び提案案件が増加しており顧客の信頼度が高まっているものと思われる。
 
 
「情報・通信」、「食品」、「自動車」は堅調に推移したものの、「化粧品・トイレタリー・日用品」は減少した。また、「官公庁・団体」の増加は、国体関連の受注獲得が寄与した。
 
「広報」は大型のインナーイベント(周年イベントなど)の受注が寄与した。
 
 
13/12末の総資産は前期末比4億30百万円減増の91億87百万円。借方では、主に売上債権が増加。貸方では、仕入債務や役員賞与引当金に加え、利益剰余金などが増加した。総資産の約86%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も60%と、高水準を維持している。
 
 
未収入金の減少や売上債権の増加などで営業CFが悪化、前年同期は5億43百万円のプラスだったフリーCFが14百万円の赤字に転換。配当金の減少で財務CFのマイナス幅は縮小した。現金及び現金同等物の四半期末残高は23億4百万円と前年同期末比5億85百万円増加した。
 
 
2014年6月期業績予想
 
 
2014年6月期は、前期比3.2%の減収、同6.6%の経常減益の計画
14/6期は平成26年1月10日に上方修正した前期比3.2%減収の119億48百万円、同5.8%営業減益の8億1百万円の計画から変更なし。足元業績は好調に推移しているものの、各種の不確定要素を織り込み下期の業績予想は据え置いた。今期の会社前提の売上総利益率は13.0%(前期12.9%)、売上高販管費率は6.2%(同6.0%)。
配当も平成25年12月2日に上方修正した1株当たり年26.5円の予定を据え置き(上期末14円を含む)。
景況感の改善により国内総広告費の増加が予想されるものの、整員の遅れなどの影響を織り込んでいる。同社では、社員の本部間の異動等により更なる営業効率の向上に取り組むことや中途採用の強化と新卒教育の強化を行い、早期に整員の遅れの解消を目指す方針。
 
 
2014年2月7日現在の受注残は、前期並みに推移しているが、竹梅は減少。来期の業績拡大に向けて、今後良質の竹梅の獲得が必要と言える。
 
(2)今後の方針と対策
最大の強みであるリアル・プロモーションを、デジタル&アイディアで武装し価値を高め、顧客が求める効果最大化の追求を通じて、デジタルに強いリアル・プロモーション会社というオンリーワンのポジションを構築することが経営目標。
デジタルXリアル=ハイブリッド型のプロモ案件の売上高は、今第2四半期累計で11億円(前年同期5.6億円)と大幅に拡大し、13/6期の10.7億円を既に上回っている。
 
 
同社では、上記方針の実現のために、以下の5つの対策を考えている。
①デジタル力の強化
社員のデジタルリテラシー度に合わせた演習型研修を継続的に実施(信号機方式)。DP室員の継続的な増員強化。外部のデジタル会社との業務提携(「1→TOW」スタート)。
②つくる力の強化
同社のスローガンである『僅差は大差』の実践・指導を強化。若手社員を中心に制作力向上研修を充実。無駄のない発注で収益性を向上。14年4月に新卒9名入社予定。
③顧客力の強化
P2Pビジネスの基本、重要顧客のマインドシェア向上を目標管理。顧客力強化の合宿研修を営業社員半分を中心に実施(テーマ:聴く力)。
④グループ力の強化
T2Cは、正・契約社員の継続的な増強を通じて、外部売上を拡大。ソイルは、デジタル・プロモ推進の武器となるオリジナル・コンテンツの開発を強化。
⑤安心力の強化
社長トップの情報セキュリティ管理委員会を発足し、情報管理体制を強化。コンプライアンスの専門家との顧問契約。
 
(3)「1→TOW」がスタート
デジタルマーケティングを総合的にプロデュースするインタラクティブスタジオの株式会社ワン・トゥー・テン・デザインと同社が業務提携(2014/1/10)。リアル×デジタル=ハイブリッド業務の企画・制作の体制をより強化していくことを目的に本ユニットを発足。既存の手法にとらわれない"新しい形のリアル・プロモーションを提供"し、顧客が期待する「効果の最大化」を目指す方針。
 
今後の注目点
同社グループが属する広告業界は、1-3月の消費税増税前の駆け込み需要と4月以降の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響を受ける。同社においても、今後その綱引きが同社業績にどのような影響を及ぼすのか見通しがつきにくい状況にある。
こうした環境下、同社の今第2四半期決算においては、好悪の材料が確認された。好材料としては、競争案件と提案案件の件数が増加しており、競争力向上と顧客の信頼度向上が確認された。また、ハイブリッド型プロモ案件も大幅に拡大した。一方、悪材料としては、将来の売上の源泉となる受注が確定していない下期の竹と梅の金額が減少していることがあげられる。同社が強化しているデジタルに強いリアル・プロモーション会社へ向けた各種施策が実現すれば、広告業界の多少の好不況に影響を受けることのない自助努力による安定的な業績拡大可能となる。事業基盤の強化が進展しているのか、今後の競争案件と提案案件の推移や良質な竹と梅案件の獲得動向に注目していきたい。更に、ハイブリッド型プロモ案件拡大に欠かせない「1→TOW」の事業展開にも注目したい。