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(4323) 日本システム技術株式会社

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ブリッジレポート:(4323)日本システム技術 vol.28

(4323:東証2部) 日本システム技術 企業HP
平林 武昭 社長
平林 武昭 社長

【ブリッジレポート vol.28】2014年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「国内IT産業も回復傾向であるが、景気の先行きの不透明感から、回復力は依然脆弱ではあるが、同社は年度当初に掲げた重点施策を着実に実行し・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年3月25日掲載
企業基本情報
企業名
日本システム技術株式会社
代表取締役社長
平林 武昭
所在地
〒530-0005 大阪市北区中之島二丁目3番18号 中之島フェスティバルタワー29階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 10,139 314 355 168
2012年3月 9,027 284 327 135
2011年3月 8,990 211 264 216
2010年3月 9,322 456 497 300
2009年3月 10,449 806 852 447
2008年3月 10,705 931 945 426
2007年3月 9,711 389 405 138
2006年3月 7,917 111 125 605
2005年3月 8,189 522 502 319
2004年3月 7,767 540 537 67
2003年3月 7,064 676 635 194
2002年3月 6,939 658 606 181
2001年3月 6,285 834 814 282
株式情報(3/17現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
673円 4,981,620株 3,352百万円 3.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 3.7% 47.32円 14.2倍 929.70円 0.7倍
※株価は3/17終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
 
日本システム技術の2014年3月期第3四半期決算概要などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソフトウェアの受託開発(13/3期売上構成比63.9%)、主に教育機関向け業務パッケージの開発・販売(同18.9%)、及び情報システム関連機器等の販売(同16.3%)、その他(同0.9%)を行っている。
 
<沿革>
設立は、1973年3月。JAST(同社)の特徴である教育機関向け業務パッケージには、90年代前半から取り組んでおり、94年10月に学校事務支援統合システムパッケージソフト「GAKUENシリーズ」の販売を、98年8月に大規模大学向けERP「GAKUEN REVOLUTION(学務)」の販売を、2000年2月に学校関係者間の情報ネットワークを実現する統合型Webサービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT」の販売を、それぞれ開始。01年11月のジャスダック上場を経て、03年2月に東証二部に株式を上場した。
 
<特徴>
1.理念重視の経営
「情報化の創造・提供による社会貢献」をモットーとして、いかなる企業系列にも属さない完全独立の立場を堅持することにより、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを経営の基本方針としている。
この基本方針に則り、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、それぞれの価値を最大化し、全体としての企業価値を高めることにより、安定的成長を実現することを目標としている。
また、このような成長の原動力となるのは従業員一人一人の情報システム開発に対する情熱と顧客への誠心誠意のサービスであり、そのためには人間力の研鑽が何よりも先行すべきである、との信念に基づいた「人づくり」経営に徹することにしている。
 
(経営理念の基本的考え方)
「天爵を修めて人爵これに従う」=「天爵」とは、人格・品性・徳を高めていくことで、尊敬され信頼される品格を備えた人に自然的に与えられる位を意味し、「人爵」とは、人為的・便宜的に与えられた外見上の位階を指す。
天爵を修めることに努め、結果として自ずと人爵を与えられるのが理に適う順序立てであるのに、人は先に人爵を与えられるとあたかも自分は天爵も得たものと錯覚してしまい、それが態度や行動に出てしまうことが多い。天爵を修めることで、はじめて人爵を与えられるが、人爵を得て、その結果として天爵を与えられることはない。
 
2.広範な情報サービスの提供と自社ブランド確立
メーカーや系列等一切の成約を受けず、自由な立場で広範な分野のサービスを提供することが出来る。
以下の既存3事業をメインとしているが、近年の変化として、自社ブランドサービスの拡大に注力し、構成比引上げを目指している。
具体的には、医療情報(レセプト自動点検等)サービス、銀行向けCRMソリューション「BankNeo」、スマートフォンアプリ群「京都禅寺巡り」などが挙げられる。
 
(事業セグメント)
1.ソフトウェア事業(ソフトウェアの個別受託開発)
⇒ SIerの側面
①ビジネスアプリケーション分野(事務処理系システム)
②エンジニアリングアプリケーション分野(制御、技術系システム)
③イベントアプリケーション分野(スポーツ・文化イベント関連システム)
 
2.パッケージ事業(ソフトウェアパッケージの開発、販売)
⇒ パッケージメーカーの側面
戦略的大学経営システムの開発・販売、導入支援、保守等
 
3.システム販売事業(ハード、ソフトの販売、ITインフラの構築)
⇒ 販社(B to B)の側面
ハードウェア・ソフトウェアパッケージの販売、保守、ネットワーク構築等
 
4.医療ビッグデータ事業(レセプト自動点検サービス)
レセプト自動点検サービス、通知サービス、データ分析等
 
3.大手優良企業群との長期取引と新規顧客
富士通(直接取引年数36年)、パナソニック(同31年)、IHI(同31年)など、日本を代表する大手企業群と長期取引が多いのも同社の特色。しかもすべてが直接取引である。
長期取引であるため、先方顧客からは同社が「コア・パートナー」となっている場合が多く、そのため不況期でも受注が大きく落ち込むことが少ない、と会社側は述べている。
一方、一時期80%はあった主要長期大手顧客8社の売上高構成比は現在38%程度まで低下しており、下記の表のように他分野の新規顧客が増加している。
 
 
4.グループ拠点展開
 
大阪と東京の2本社制を敷いており、早くから海外に開発拠点を展開している事も特徴。また、2006年8月には、大学向けマーケットを中心とする文教分野での業容拡大を図るべく、首都圏の大規模大学を中心に、システム機器等の販売で実績のあるアルファコンピュータ(株)の全株式を取得した。これにより、パッケージ、情報機器及びネットワーク等を一貫して提供する大学向けSI(システム・インテグレーション)事業の大規模展開が可能となった。
加えて、JMICS(医療情報サービス)を独立事業化、7月には(株)ODKソリューションズの発行済株式総数の3.66%を取得、資本提携をおこない、文教分野での相互事業拡大を狙う。
 
5.国内トップシェアの大学業務パッケージ及びその進化
大学向け経営改革ソリューションとして提供している統合業務パッケージは、94年10月の発売以来、339校(13年11月11日現在)への導入実績を有し、文教マーケットにおいて高い評価を受けている。

特徴は、大規模な総合大学から小規模の短期大学に至るまで、主要業務を全方位でカバーしているため、パラメーターの設定だけで大学個々のニーズに柔軟に対応できる事。つまり、カスタマイズの必要がないため、ユーザーは導入時及びその後の運用・メンテナンスに関わるトータルコストを削減する事ができる。なお、1案件あたりの導入金額は数10万円~数億円と、導入規模により広範囲にわたる。

少子化問題への取り組み戦略のひとつとして、大学各校は優秀な学生を確保するべく、学生向けサービスや経営品質の向上に取り組んでいる。しかし、全国に約1,200校あると言われる大学・短大の大半がメインフレーマー等による手作りのシステムやカスタマイズを前提としたパッケージを使っているという。品質・価格両面での優位性に強み。
 
 
加えて、当初の事務支援から、運用サービス、KIOSK端末等OEM機器、BCP対策、学生育成支援、経営戦略支援など、大学を取り巻く総合ITサービスに進化している点も特徴である。
 
 
6.その他の特長
(人材重視) ⇒ 品質安定、低コスト体質
新卒中心の採用と長期的な人材育成
人材流動の激しい業界内で高い社員定着率を維持
 
(品質、信頼へのこだわり) ⇒ 継続顧客が多い
「一括丸投げ」は行わず、社員中心のプロジェクト編成
請け負ったら顧客が満足するまでやり抜く、途中退場はしない
 
(特徴的な営業戦術) ⇒ 異なる事業が共存
ソフトウェア事業:SE自らが受注活動
システム販売事業:大手を凌駕する提案力
パッケージ事業:全国規模のマーケティング
 
(徹底したコスト管理) ⇒ 不採算案件が極めて少ない低コスト体質
個人別30分毎の売上・原価管理
非常にコンパクトな本社間接部門
 
 
2014年3月期第3四半期決算概要
 
 
前年同期比比較で増収増益となっており、概ね計画通りに推移した。
 
(2)セグメント別動向
今第1四半期より、セグメント情報に与える金額的重要性が増したため、従来の3事業区分に加えて、医療情報データの点検、分析および関連サービスを提供する「医療ビッグデータ事業」 を開示することとした。
 
 
ソフトウェア事業
通信業及び教育機関向け案件が減少したものの、サービス・流通、製造業及び金融・保険・証券業向け案件が増加したことで、増収増益を確保した。
 
パッケージ事業
EUC(パッケージの周辺システムの受託開発)、大学向けPP(プログラム・プロダクト)販売及び仕入販売(SI)は減少したものの、保守及び導入支援が増加したが、次世代製品開発の研究開発費が増加したことで、減収減益となった。
 
システム販売事業
大学向け機器販売は減少したが、公共系SI案件が大幅に増加したことで増収増益となった。
 
医療ビッグデータ事業
レセプト自動点検サービスに加え、通知サービス及びデータ分析等のサービス拡充により、契約を着実に伸ばした結果、増収増益となった。
 
 
短期借入金等に伴う現預金の増加、売掛金の減少により、流動資産は668百万円減少した。また、長期預金の預金の預入による増加、投資有価証券等の増加により固定資産は204百万円増加したものの、総資産は464百万円減少した。
一方負債は、短期借入金は増加したが、買入債務が大幅に減少したことにより452百万円減少した。この結果、自己資本比率は2013年3月末の55.0%から58.2%へと増加した。
 
 
売上債権および棚卸資産の減少による増加、仕入債務および前受金の減少により、営業CFは期首残高にくらべ537百万円増加となった。差入保証金の回収があったが、投資有価証券の取得により、投資CFはマイナスだった。財務CFは株式の発行により、121百万円増加した。今四半期末の現金等の残高は21億円と前年同期末に比べ489百万円増加した。
 
(4)トピックス
◎株式会社ODKソリューションズとの協業を強化
 
同社は一昨年より、(株)ODKソリューションズ(JASDAQ、証券コード:3839)と協業し、大学向けシステムの相互データ連携サービスを提供してきたが、さらなる協業関係の強化を目的として(株)ODKの普通株式3,000株を市場で買い付けた。
 
<協業強化の理由>
同社は学校法人を対象に、パッケージ事業の主要製品であるGAKUENシリーズ製品により、教務を中心に入試・就職等といった学務系事務システムから、経理・管財等の法人系事務システムまでを統合した、戦略的大学経営システムを提供しているが、同じく学校法人を顧客層として入学試験業務を中心とした情報処理アウトソーシングサービスや入試広報支援サービス等を提供する(株)ODKとは協業関係を一昨年より構築し、相互のデータ連携を実現させてきた。
そうした中、協業による実績も蓄積されてきたため、同社と(株)ODKは、相互の強みを活かし事業上のシナジーを発揮することが、両社の企業価値・株主価値向上にとって望ましいとの共通認識に達し、さらに協業関係を強化することで合意した。
 
<協業強化の内容>
学校法人向けサービスを中心に、広範な業種・分野での協業を両社間で検討・決定していく。
また、今後は文教(学校)向けのみならず、両社が事業ドメインとしている金融分野での協業の可能性もあると考えており、順次検討を進めていく。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
第3四半期までの業績を勘案し、現時点での通期業績予想に変更は無い。
ソフトウェア事業の伸張などを要因に、増収・増益を計画している。

2008年のリーマンショックが情報サービス産業にとっても大きな転換点だったと認識している。
転換点以前は、長期優良顧客が過半数、受託開発で営業利益10%超といった自社の伝統的強みを活かせば好業績に繋げることができたが、転換点以降、環境は激変しており、特に受託開発依存の成長持続は困難と考えている。また足元の戻りも決して本格回復ではなく、不安定な環境は今後も続くと判断しており、そうした環境下、「1.自社ブランドの確立」、「2.アライアンス戦略の推進」、「3.グローバル化」をキーワードとする変革を進めていく。
 
(2)今後の計画
①事業別方針
◎ソフトウェア事業
基盤産業系受託は回復基調持続、BankNoe売上貢献期待、価格コンペ勝利、機会損失と不採算案件の廃絶がキーとなる。下期の経常利益予想を前年下期実績の141百万円から通期予算から上期実績値を引いた経常利益ターゲット239百万円を計画している。

東京本社ではビックデータビジネスの本格化を狙い2事業部体制に再編し、大阪本社では新規ソリューションの企画。提案部門を新設。また、金融関連部門は地域別3部制に再編し、受託開発型ビジネスの継続拡大と金融向け情報統合パッケージ「BankNeo」の販売実績拡大に取り組んでいく。
 
◎パッケージ事業
補助金特需の取り込みに加え、関東エリアの軟調基調は下期に解消し、上期不足分が充足することで、下期の経常利益予想を192百万円としており、前年下期実績の167百万円を計画している。次世代製品の製造段階に入るため、研究開発規模は前期比2.5倍へと増加することで、事業全体では減益を見込んでいる。また、「GAKUEN中国版」をリリースする計画で、中国国内大学への販売に注力する。
 
<次世代製品への取組み>
GAKUENシリーズはリリースより6年が経過し、トップブランドとして定着している一方で、他社製品の台頭、価格競争の激化という状況で、高収益を維持はするものの壮年期を迎え成長性は低下している。
そこで、次世代の新製品開発に注力する。
コンセプトとしては、現行製品のバージョンアップではなく、機能、デザイン、提供サービス、プラットフォームまでを一新するリニューアルを行い、又単に競合への対応ではなく、顧客である大学を取り巻く社会環境の将来像を見据えたうえでの最適解を示すものを開発する。
前期までに基本コンセプトを構築する基礎研究は終了しており、今期以降開発を進め、追加コンポーネントや関連総合サービスを順次リリース。来期以降売上の本格的な拡大、パッケージソリューションの枠を超えた総合文教サービスを提供する考えだ。
2018年3月期には次世代版パッケージの売上は現行版を上回り、20億円超まで成長すると見込んでいる。
 
<中国進出>
下表のように、日本国内において大学情報化市場は成熟期に入ったと見ており、より成長性が見込まれる中国市場の開拓を積極化する。
 
 
この中国進出にあたり、子会社化したSafeNeeds社、桂林安信軟件有限公司が大きな戦力となる。
技術的には、言語の違いや大学制度の違いを理解した上で同社の持つGAKUEN のノウハウと中国人SEの協業により販売可能な製品化が可能であることが大きな強みとなる。

また営業面においても、当初より、販売チャネルの確保、大学・政府関係者との関係構築、大学情報処理部門へのプロモーション機会の創出、日本製であるという信頼性といった強固なアドバンテージを有している点も同社の大きな強みであると会社側は考えている。

2013年5月には湖州師範学院(浙江省湖州市)と大学情報化に関する協定を締結した。
こうして構築した事業基盤をベースに営業を積極展開し、2014年3月期中に複数校での導入を目指している。
 
◎システム販売事業
公共系を中心に好調維持しており、目標としている下期経常利益2百万円を達成する可能性は高い。
 
◎医療情報サービス
自社ブランドサービス確立のための中心的サービスを、第4の事業セグメントとして独立させるべく拡販に注力する。処理枚数増、単価の正常化、業者クラウド収益化、開発・運用コストの低減の複合ポリシーで達成を図る。具体的には、事業部長を専任化するとともに、アドバイザリー機能充実のため担当顧問を設置した。そして、新たにレセプト点検サービス・分析システムを点検事業会社が利用できるようにクラウドシステムも開始し、独立事業として業績に寄与することであろう。下期の経常利益予想を20百万円の経常赤字、前年下期実績より32百万円の改善を目指す。
 
 
有償サービスを開始した2011年4月以降、レセプト枚数、顧客数とも順調に拡大してきたが、特に2013年に入ってからの伸びが著しい。また、10月から新サービス「業者クラウド」をリリース。上記のサービスに加え、既存の点検業者向けクラウドサービスとして提供している。
会社側では、今期で研究開発投資は概ね終了して、収益獲得ステージに入り、2015年3月期には売上5億円まで成長すると見込んでいる。
 
 
②中長期事業構想
売上面においては、自社ブランドの確立と新事業の成長で、受託ビジネスとの構成比「1:1」を目指す。
4期ぶりの100億円復帰を契機に着実な拡大へ。

利益面においては、自社ブランド事業の継続的開拓による構造改革を推し進め、投資を継続しながらも収益化も図り、収益性の向上を目指す。
 
 
今後の注目点
国内IT産業も回復傾向であるが、景気の先行きの不透明感から、回復力は依然脆弱ではあるが、同社は年度当初に掲げた重点施策を着実に実行し、業績の達成を目指している。また、同社は地域別事業体制を推進しており、より地域特性にあったビジネス展開を目指していく。第3四半期までの業績も、ほぼ会社計画通りに進んでおり、今後も安定した成長が期待できるであろう。また、今期はまだ利益貢献はないが、「医療ビッグデータ事業」についても、高い期待ができよう。この事業においては、同社の顧客である保険組合等からビッグデータを集積できるため、新たなビジネスの拡大も見込めるであろう。
国内で培ってきた文教ITサービスのノウハウを、アライアンスの推進を通して国内での一層の普及と圧倒的なブランドとして広く認められることであろう。また、中国国内の大学向けソリューションの販売実績獲得を通して、更なる基盤拡大が期待できよう。現在の受託ビジネス中心の事業構造から自社ブランドビジネスへの移行がどのようなスピードで進んでいくかを注目していきたい。