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(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.36

(8860:東証1部) フジ住宅 企業HP
宮脇 宣綱 社長
宮脇 宣綱 社長

【ブリッジレポート vol.36】2014年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「同社が属する不動産業界においては、消費増税に絡んだ駆け込み需要反動減の影響により、来期減益となる企業が増加するものと予想される・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年3月18日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
宮脇 宣綱
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 66,047 3,809 3,761 2,268
2012年3月 71,594 4,928 4,903 2,767
2011年3月 59,796 3,648 3,680 2,027
2010年3月 48,614 2,137 2,118 1,237
2009年3月 45,300 2,584 2,388 1,361
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
2000年3月 34,268 1,596 1,117 -2,237
株式情報(2/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
700円 35,850,954株 25,096百万円 10.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.00円 3.7% 90.37円 7.5倍 611.56円 1.1倍
※株価は2/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フジ住宅の2014年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府下全域の他、阪神間・和歌山県北部地域で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~150戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向けの賃貸マンション販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。 販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長である。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。  (同社HPより)
 
分譲住宅事業(14/3期第3四半期売上構成比46%)
戸建とマンションの分譲を手掛けており、「自由設計方式」と「街づくり」を特徴とする戸建では、用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。
 
 
住宅流通事業(同 32%)
「快造くん」のブランド名で展開している中古住宅の再生・販売及び新築建売住宅の販売に係る収益が計上されている。エリア毎に住まい探しの情報拠点となる「おうち館」や、仕入・販売の拠点となる「フジホームバンク」を設けており、中古住宅では地域密着営業により交差点単位での地域情報の収集・分析力をベースとした物件の鑑定力や仕入・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォーム業者の育成やマニュアル化等、独自のノウハウを強みとする。一方、新築建売住宅では、泉州地区(泉佐野、熊取、貝塚、岸和田中心)で小規模分譲地を開発し手頃な価格の建売住宅を販売。当事業は分譲住宅事業でカバーできない低価格ゾーンをカバーしている。
 
 
土地有効活用事業(同 9%)
賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸マンションの収益が計上されている。建築請負では、遊休地の有効活用を目的とした賃貸マンション・アパート等の建築提案を行なっており、市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の運営管理までを一貫してサポート。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。飛び込みによる営業活動は行っておらず、金融機関や既契約者からの紹介、及びリピートを中心に案件を獲得。また、個人投資家向け一棟売賃貸マンションでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。
 
 
賃貸及び管理事業(同 12%)
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けている。安定収益源となるばかりでなく、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸マンションの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
 
注文住宅事業(同 1%)
市況の影響を受けにくい非不動産販売事業育成の一環として、戸建住宅の新築や建替えを請負うといった事業を行っている。会社の第5の柱として展開中。
 
 
中期事業計画(13/3期~15/3期)
 
同社は、地域に根付いた住宅提供事業者として、新築戸建住宅、分譲マンション、改装付中古住宅、土地有効活用の一環としてのアパート建設や個人投資家向け一棟売賃貸マンション販売、更には不動産管理等、住宅・不動産に関する多様な商品及びサービスの提供に取り組んでいる。また、市況変動への対応策として、地価の急激かつ大きな下落にも耐え得る独自の財務指標の下で在庫コントロールを徹底すると共に、市況の影響を受けにくい注文住宅の建築請負等の非不動産販売事業の育成・強化にも取り組んでいる。現在、進行中の中期事業計画では、こうした取り組みを推進し更なる体質強化に取り組むと共に最終の15/3期に売上高870億円、経常利益55億円の数値目標を達成したい考え。
 
 
 
 
2014年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比25.1%の増収、同49.5%の経常増益
不動産業界においては、消費税増税前の駆け込み需要が一段落したものの、超低金利の住宅ローン金利の後押しにより落ち込みは早期に回復傾向を示している模様。
売上高は前年同期比25.1%増の595億91百万円。前期の受注水準の低さが影響した土地有効活用セグメントが減少したものの、分譲マンションの引渡しが増加した分譲住宅セグメントと中古住宅の仕入れが回復傾向となった住宅流通セグメントなどが増加した。また、販売状況を示す受注契約高は、自由設計住宅の受注減少が影響した分譲住宅セグメントで減少したものの、住宅流通セグメントに加え、土地有効活用セグメントなどがけん引し同14.0%増加。売上高の先行指標となる12月末の受注契約残高も前年同期末比10.4%増加した。
利益面でも、土地有効活用セグメントで売上減少が影響し減少したものの、分譲マンションの引渡しが本格化したことや中古住宅の販売増加が寄与し、分譲住宅セグメントや住宅流通セグメントなどが増加した。分譲住宅セグメントや住宅流通セグメントの売上高増加が寄与したものの、収益性の高い土地有効活用セグメントの売上高減少が影響し、売上総利益率は同0.5ポイント低下した。販売の増加にともない広告宣伝費、人件費などの費用も増加したが、販管費の増加は前年同期比9.5%の増加と売上高の伸び率を下回ったことから、営業利益は50.8%増の39億31百万円となった。その他、営業外費用においてコミットメントフィー50百万円や特別損失において減損損失1億91百万円計上したことなどから、経常利益以下の増益率は営業利益の伸び率を下回った。
 
 
 
分譲住宅セグメントの売上高は前年同期比75.9%増の277億28百万円、セグメント利益は同177.7%増の28億73百万円。売上及び利益の増加は、当第3四半期連結累計期間に分譲マンションを301戸引渡したことが寄与。一方、受注契約高は自由設計住宅の減少が大きく、248億円22百万円と同5.4%減少。受注契約残高も263億58百万円円と同5.0%減少した。

住宅流通セグメント売上高は前年同期比16.4%増の189億51百万円、セグメント利益は同55.9%増の6億61百万円。中古住宅の仕入れが回復傾向となる中、受注契約戸数が930戸(前年同期は754戸)と好調に推移し受注契約高は181億94百万円と同17.6%増加。受注契約残高は建売住宅が減少し24億70百万円と同0.6%減少した。

土地有効活用セグメントの売上高は前年同期比41.8%減の52億26百万円、セグメント利益は同63.5%減の5億26百万円。売上及び利益の減少は、前年度前半の受注が低調であったことが影響。一方、「フジパレスシニア」(低賃料タイプサービス付き高齢者向け住宅。契約当たり単価は1億80百万円程度が中心)や「個人投資家向け一棟売り賃貸マンション」が好調に推移し、受注契約高は同114.4%増の95億20百万円、受注契約残高は同87.5%増の106億47百万円。

上記の他、賃貸及び管理事業セグメントは、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び管理物件の取扱い件数が増加したことや中古住宅アセット事業が軌道に乗ったことから売上高が71億68百万と前年同期比13.5%増加し、セグメント利益も4億88百万円と同34.9%増加した。また、立ち上げ期にある注文住宅事業は、売上高が5億15百万円と同62.3%増加したことから、セグメント利益が10百万円と前年同期の45百万円の損失から改善した。
 
 
 
 
今後の売上高の先行指標となる受注契約残高は、増加傾向。
 
 
2013年12月末の総資産は798億46百万円と前期末比29億19百万円増加した。たな卸資産の増加28億66百万円が主なもの。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産168.1億円(前期末128.7億円)、仕掛販売用不動産185.9億円(同155.7億円)、開発用不動産248.8億円(同290.0億)。有利子負債は5億86百万の増加。一方、利益剰余金の増加などから自己資本比率は同0.8ポイント上昇し29.0%となった。
 
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比21.1%の増収、同40.9%の経常増益予想
14/3期の前期比21.1%の増収、同40.9%の経常増益の会社予想に変更なし。前期の好調な受注を反映した分譲戸建の引渡し増加と分譲マンションの竣工・引渡しの本格化で分譲住宅セグメントの売上・利益が大きく伸びる計画。中古住宅は、15/3期以降の回復を見込んでいたが、前期、堺市に新設・移転した「フジホームバンク堺店」の効果が出る等、仕入、販売ともに回復傾向となり、第3四半期実績は期初売上予想の155億円を既に達成した。14/3期第3四半期は売上面と利益面で会社計画を上回ったものの資材価格、労務費の上昇などのリスク面を考慮し、期初予想は据え置かれた。
配当も1株当たり年26円(上期末13円、期末13円)の予定に変更なし。
 
 
 
(2)現在進行中の分譲マンションプロジェクト
 
 
 
今後の注目点
同社が属する不動産業界においては、消費増税に絡んだ駆け込み需要反動減の影響により、来期減益となる企業が増加するものと予想される。またその事への警戒心が、関連セクターの株価の重しとなっていることも否定できない。同社においても、14/3期第3四半期累計の契約高と13/12月末の契約残高において、自由設計住宅と建売住宅が前年同月比でそれぞれ減少しており、駆け込み需要反動減の影響が確認される。一方で、超低金利の住宅ローン金利と住宅ローン減税の拡充により、落ち込みが回避されるとの期待も高まっている。こうした不透明な業界動向の中でも、持ち前の営業力と価格競争力を武器に自助努力により来期増益と中期計画の達成ができるのか期待感を持って見守りたい。そのためにまずは、第4四半期の受注契約高が大きな影響を及ぼすことから、分譲住宅セグメントと住宅流通セグメントを中心に今後の受注が好調に推移するのか注目したい。
また、近年のストック収益積み上げの各種施策により、収益基盤は着実に強化されている。万一、業界環境が悪化した局面でも安定的な利益水準を維持するためには、より一層のストック収益の底上げが必要といえる。引き継き、中古住宅アセット事業を始めとするストック収益拡大の取り組みにも注目していきたい。