ブリッジレポート:(3667)enish vol.5
(3667:東証1部) enish |
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企業名 |
株式会社enish |
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社長 |
杉山 全功 |
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所在地 |
東京都渋谷区広尾1-13-1 |
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決算期 |
12月末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年12月 | 6,624 | 1,109 | 1,078 | 653 |
2012年12月 | 4,430 | 666 | 654 | 373 |
2011年12月 | 2,590 | 526 | 523 | 298 |
2010年12月 | 415 | 64 | 71 | 55 |
2010年1月 | 22 | -40 | -41 | -41 |
株式情報(2/20現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【事業内容】
事業はソーシャルアプリ事業の単一セグメント。自社で開発したゲームを、「GREE」(構成比38%)、「Mobage」(16%)、「mixi」(15%)、「dゲーム」(12%)、「Ameba(アメーバ)」(9%)といったプラットフォーム(SNSやソーシャルゲームサイト)を通して提供しており、ユーザーはフィーチャーフォン(従来型携帯電話)やスマートフォンでゲームを楽しむ事ができる(構成比は13/12期第4四半期実績(以下同じ)。ゲームは無料だが、ゲームを展開する上で有効なアイテム等(「ぼくのレストランⅡ」の場合、店を繁盛させるために必要なレシピや店舗を飾るアイテム等)を購入した場合、課金が発生する。ユーザーへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。 タイトル別の売上構成比は、ぼくのレストランⅡ28%、ドラゴンタクティクス26%、ガルショ☆23%、魁!!男塾8%、その他15%。また、カテゴリ別の売上構成比は、シミュレーションゲーム58%、バトルゲーム39%、その他3%。 ソーシャルアプリ事業に参入
創業まもなく始まった「SNSプラットフォームオープン化」を背景に、実質的創業者である安徳氏と公文氏が「世の中にまだ存在しない、作り手もユーザーもワクワクできるサービスを創り出す」という考えの下、09年10月、ソーシャルアプリの提供を開始。
組織化
SAP事業者(Social Application Provider:ソーシャルアプリの開発や運営を手掛ける企業)の参入障壁の低さから、新規参入が急増。既存のゲームソフトメーカーも進出し、競争が激化するなか、11年6月、杉山氏、松本氏が合流し、経営及び管理体制を強化。
上場
12年12月、創業から4年で東証マザーズに上場。13年12月、東証一部に市場変更。 【強み】
ソーシャルゲームビジネスは、基本は無料で利用でき、ゲーム内で使用するアイテムの販売等で収益をあげていくビジネスである。このため、ゲームでいかにして「お金を払ってもいいから、もっと楽しみたい」と言う気にさせるかがポイントとなり、ゲームとしての完成度の高さに加え、リリース後もユーザーの嗜好の移り変わりに合わせたゲームシステムの改良やイベント等の導入といった運営力が必要となる。 同社はデータマイニングの強みを活かし、ゲームのリリース後にもユーザーの行動履歴の分析を行う事で、ゲームの利用率、継続率、課金率等の指標が改善するよう継続的にゲームに改良を加えている。こうした改良は同社に限った事ではないが、数週間で配信が終了するゲームもある中、同社においてはロングセラーとして長く収益に貢献しているゲームが多い事が同社のデータ分析の精度の高さと分析に基づく施策の妥当性・適時性を物語っている。また、この成功体験を新規タイトルの企画・開発に活かして、戦略的・継続的に作品を投入している。 ゲーム作品を複数のプラットフォームに迅速に提供可能なフレームワークの整備が進んでいる事も同社の強みである。このため、ゲームの特性と各プラットフォームのユーザーの特徴や傾向を考慮して配信するプラットフォームやその組み合わせを決める事や、短期間での新規アプリの企画・開発と相まって成長速度の速いソーシャルゲーム市場に機動的に対応していく事が可能である(フレームワークとはアプリケーションソフトを開発する際に必要となるアプリケーションの土台として機能するソフトウエアの事)。 |
2013年12月期決算 |
ブラウザゲームが想定以上に健闘し売上・利益が大きく上振れ。共に過去最高を更新した
売上高は前期比49.5%増の66億24百万円。計画していた3本のゲームのリリースが遅れたため、ネイティブゲームの売上が想定に届かなかったものの、漸減を予想していたブラウザゲームの売上が想定以上の水準で推移した。営業利益は同66.4%増の11億09百万円。新作ゲームの開発に伴う外注費用等の増加や売上の増加に伴う課金手数料の増加等で売上原価が44億10百万円と同56.6%増加。開発体制の拡充に向けた採用強化(期末従業員数が166名と前期末に比べて45名増加)や増員で手狭になった本社の移転もあり、販管費も11億04百万円と同16.6%増加したものの、増収効果で吸収した。 (2)第4四半期業績(10-12月)
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2014年12月期業績予想 |
前期比31.3%の増収、同21.7%の営業増益予想
通期でネイティブゲーム5タイトル(上期3、下期2)のリリースを予定しており、上期はネイティブゲームの集中開発期間との位置付け。このため前年同期比増収が見込まれるが、開発費、プロモーション費、及び下期リリース予定のゲーム開発等が負担となり営業減益が見込まれる。一方、下期は新規タイトルの寄与で売上の伸びが加速し、営業利益が同2.2倍に拡大する見込み。尚、プロモーション費用は各タイトルリリースから3か月間で80百万円を予定しており、その後は継続率や課金周りのKPI(key performance indicator:重要業績評価指標)を踏まえて投下していく。 配当は普通配当18円に東証1部市場変更に伴う記念配当4円を含めた22円を予定している。同社は内部留保の充実に努め、成長を継続させる事で企業価値を高めていく考えだが、株主に対する利益還元も重視している。このため、内部留保の充実に努めつつ、総配分性向20%を目途に業績に応じて株主配当を継続的に実施していく考え。総配分性向とは、配当総額と自社株買い総額を当期純利益で割ったもので、当期純利益のどの程度を株主に配分したかを示す。 (2)代表取締役の異動
現在取締役執行役員プロダクト本部長を務める安徳孝平(アントク コウヘイ)氏が、2014年3月26日開催予定の第5回定時株主総会及びその後の取締役会を経て代表取締役社長に就任する。13/12期で開発体制の整備と財務基盤の強化が進んだ事を踏まえ、今後はサービステクノロジーに精通した安徳社長のリーダーシップの下、ネイティブアプリのビジネスを拡大させていく考えだ。安徳氏は、現在取締役執行役員プロダクト本部副本部長を務める公文善之氏と共に同社の実質的な創業者。「世の中にまだ存在しない、作り手もユーザーもワクワクできるサービスを創り出す」という考えの下、同社をソーシャルアプリ事業に導いた。 (3)14/12期の方針
14/12期の方針として、①ネイティブタイトルの投入、②日中韓にフォーカスした グローバル展開の推進、及び③ブラウザゲームによる安定収益の確保、の3点を挙げている。また、周辺ビジネスの育成に向け、知育アプリやネイティブゲームのO2O(Online To Offline)連携にも取り組んでいく。
①ネイティブタイトルの投入
同社が得意とし、安定収益を確保できる女性向けゲームやメガヒットの見込める男性ミッドコアゲーム等、来15/12期分2タイトルを含む7タイトルの開発が、東京、ソウル、上海で進められている。
②日中韓にフォーカスした グローバル展開の推進
2013年11月にソウルに現地法人を設立した。開発は、自社に加え、外部パートナーを活用する事でパイプラインの拡充を図っていく考え。一方、運営は、主要タイトルについて日中韓の拠点で同社が対応していく。
③ブラウザゲームによる安定収益の確保
ブラウザゲームでは、男性・女性の性別に関係なくユーザーを抱えており、複数のロングランアプリを有する事で運営力の高さも示している。このため、安定収益源として引き続きブラウザゲームにも力を入れていく考え。進出済みプラットフォームではコストパフォーマンスを重視すると共に外部パートナーとの連携も進めていく。
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