ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.36

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.36】2014年9月期第1四半期業績レポート
取材概要「今後の二輪車の市場動向を占う上で、好悪の材料が表面化している。米国におけるQE3解除への懸念からくる世界的な株式市場の調整と新興国通貨・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年2月18日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年9月 11,158 1,340 1,299 799
2012年9月 8,606 97 143 65
2011年9月 9,047 395 371 217
2010年9月 10,078 898 978 638
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(2/3現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,425 13,772,032株 19,625百万円 10.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
45.00円 3.2% 90.76円 15.7倍 548.02円 2.6倍
※株価は2/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。
 
SHOEIの2014年9月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界約60ヵ国を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
①「世界一の品質」…Made In Japanのグローバルブランド
②「世界一のコスト競争力」…ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
③「世界一の楽しい会社」…お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及
という、3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
【事業内容】
二輪乗車用ヘルメット(以下、「プレミアムヘルメット」)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】
1.自分の会社は自分で守る
2.Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)
3.健全な財務内容の堅持
4.投資の継続(新製品開発,コストダウン,品質向上,より確かな安全)
5.世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指す
6.新市場開拓と既存市場の深堀り
7.利益の公平、公正な分配(50%配当性向,従業員への配分、会社への分配(内部留保))
 
【SHOEIシステムヘルメットの新製品】
<GT-Air> - 機能とデザインを、ひとつの形に
開閉式インナーサンバイザーを採用することで様々な周囲の環境に対応する能力を持たせながら、衝撃吸収性能に直結する衝撃吸収ライナーの厚みを犠牲にしないように、それでいて不必要に帽体が大きくならないようにシェルの形状を工夫している。サイドから流れるように後頭部へと繋がるラインを、そのまま一体型のスポイラーとして機能させることで、見た目だけではない空力性能の向上に一役買っている。
 
<NEOTEC BOREALIS>
システムヘルメットに求められる機能を理想な形で実現した「NEOTEC」のグラフィックモデル「NEOTEC BOREALIS」に新たなカラーバリエーションがラインナップ。2014年1月発売予定
 
<GT-Air INERTIA>
開閉式インナーサンバイザーなど、ツーリングに求められるあらゆる機能をスタイリッシュなエアロフォルムに凝縮したツーリングフルフェイス「GT-Air」に、グラフィックモデル「INERTIA」(イネルティア)が新たにラインナップ。
2014年1月発売予定

(同社HPより)
 
【webBikeWorldでGT-Airがヘルメット・オブ・ザ・イヤーを獲得】
「webBikeWorld」は北米を中心に、ヘルメットやウエアーなどバイク用品の評価を発信しているWebサイト。メーカー等からの製品提供や広告を一切受け付けず、独自で製品を購入して評価することで、ユーザー目線の公平な評価を掲載している。時に辛口な評価も下すこのWebサイトは、一般ライダーからの信頼も厚く、多くのライダーが用品購入の指針としている。 毎年優れた製品を選出している「モーターサイクル・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」。9回目となる今回、GT-Airが2013年ヘルメット・オブ・ザ・イヤーに輝いた。

(同社HPより)
 
 
2014年9月期第1四半期決算
 
 
前年同期比45.1%の増収、同1,118.2%の経常増益
売上高は前年同期比45.1%増の26億41百万円。国内市場は、官需用ヘルメットが大幅に減少(前年同期比1億63百万円減)したものの、二輪車市場の回復継続や新製品効果によりプレミアムヘルメットの販売が大幅に増加(同1億79百万円増)したことから前年同期比ほぼ横ばいとなった。海外市場については、欧米の二輪車市場はドイツ、イギリス、アメリカが底を打った程度で、南欧市場の低迷は依然継続している。こうした中、常に顧客満足度を追求した差別化された新製品の供給が、同社のプレミアムヘルメットのシェアアップにつながり、海外全地域で売上高が増加した。海外市場の売上高が、前年同期比69.6%増となる中、同社の最大の市場である欧州の売上高が、同83.0%増加したことは注目に値する。
更に、同社の期中平均レートが、ドル円において前年同期比18.93円の円安となったことや、欧州子会社の期末レートがユーロ円において同31.63円の円安となったことも売上高の増加に寄与した。

利益面では、売上高の増加、円安の影響、好調なヘルメット販売に伴う工場稼働率の上昇(二輪車ヘルメットの生産数量が前年同期比18.1%増加)などにより、売上総利益が前年同期比大幅に増加した。連結ベースの粗利率は8.2ポイントの大幅上昇。販売管理費の伸び率が売上高の伸び率を下回り、売上高販売管理費率も4.3ポイント低下したこともあり営業利益は、前年同期比776.5%増加し3億95百万円となった。為替予約の影響で、営業外費用の為替差損が前年同期の10百万円から、26百万円に増加したものの、その他に大きな営業費用や特別損失の計上はなく、経常利益以下の利益も前年同期比大幅に増加した。
 
 
 
 
 
 
 
今期末の総資産は前期末比84百万円増の94億91百万円。現預金は31百万円の微増。総資産の約45%を現預金が、約84%を流動資産が占める等、資産の流動性が高く、しかも無借金。自己資本比率も約77%と、高水準を維持している。
 
 
2014年9月期業績予想
 
 
通期業績予想は、前期比7.5%の増収、同53.9%の経常増益
14/9期第1四半期の好調な業績を反映し、14/9期第2四半期(累計)の業績予想は、売上高が期初予想の55億70百万円から62億50百万円へ、経常利益が期初予想の9億60百万円から11億円へ上方修正された。
一方、14/9期の通期会社予想は、業績・配当ともに、下期の受注状況、為替相場の変動など不透明な要素が多いことから、期初予想を変更していない。売上面では、国内は二輪車向けが好調であり、計画を上回る受注状況でかつ、海外が新製品効果と円安効果により各地域とも増収となる勢い。
利益面でも、売上の増加に伴い製造原価及び販売費等の変動費が増加するものの、円安効果や海外子会社の採算好転も寄与し大幅に増加する見込み。特に、円安による日本からの輸入採算の向上により、欧州子会社の営業利益が大きく伸びる。
 
 
設備投資
14/9期の設備投資は、4億94百万円と13/9期と比較し1億29百万円増加する計画。茨城工場と岩手工場の生産設備と金型への投資を行う予定。
 
 
 
今後の注目点
今後の二輪車の市場動向を占う上で、好悪の材料が表面化している。米国におけるQE3解除への懸念からくる世界的な株式市場の調整と新興国通貨の混乱など、これまで順調に回復してきた株式市場と為替市場に変化が出てきている。加えて、国内においては消費税率の引き上げも待ち構えている。こうした、株安、新興国通貨安、消費税率引き上げが今後二輪車市場にどのような影響をもたらすのか注意が必要である。一方、過去最低レベルにある米国の自動車ローンと住宅ローン金利は、今後も米国の消費を刺激する可能性が高く、雇用環境の改善も重なり、米国において二輪車市場も今後回復感を強める可能性がある。また、米国の景気回復は、依然回復力の乏しい欧州景気にも少なからず好影響を与えるであろう。更に、日銀による異次元の緩和が継続する限り、同社を苦しめた対ドル及び対ユーロでの極端な円高は想定できない。
14/9第1四半期の欧米の二輪車市場は、ドイツ、イギリス、アメリカ中心に底を打った程度で、市場全体としては回復感の乏しいものであった。こうした中、同社の海外売上高は、全地域で販売が拡大し前年同期比69.6%増加した。これは、顧客満足度の高い付加価値の高い新製品の継続的な投入が、同社のシェアアップに結びついているものであり高く評価できる。
外部環境の見極めが難しい局面ではあるものの、顧客ニーズを満たす付加価値の高い新製品の投入により、外部環境の変化にとらわれることなく、今後も販売を拡大していけるのか、引き続き新製品の販売動向に注目したい。加えて、回復感が出てきたドイツ、フランスなどの景気回復が、今後欧州全域へ波及していくのか、南欧など低迷するその他地域の販売動向にも注目したい。