ブリッジレポート:(2317)システナ vol.22
(2317:東証1部) システナ |
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企業名 |
株式会社システナ |
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社長 |
逸見 愛親 |
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所在地 |
東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階 |
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決算期 |
3月 末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年3月 | 31,662 | 2,244 | 2,292 | 1,203 |
2012年3月 | 30,630 | 1,822 | 1,918 | 904 |
2011年3月 | 39,176 | 2,579 | 2,661 | 2,957 |
2010年3月 | 3,636 | 490 | 536 | 340 |
2009年10月 | 8,161 | 1,261 | 1,258 | 1,180 |
2008年10月 | 9,603 | 1,816 | 2,153 | 1,275 |
2007年10月 | 7,930 | 1,595 | 1,555 | 849 |
2006年10月 | 5,917 | 961 | 967 | 602 |
2005年10月 | 4,180 | 717 | 691 | 561 |
2004年10月 | 3,093 | 677 | 643 | 391 |
2003年10月 | 2,461 | 516 | 511 | 280 |
2002年10月 | 1,940 | 398 | 380 | 196 |
2001年10月 | 1,524 | 180 | 175 | 93 |
株式情報(11/29現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【事業内容】
13年5月1日付けでソリューションデザイン事業を、プロダクトソリューション事業、サービスソリューション事業、金融・基盤システム事業の3事業に再編したうえで、新たに海外事業をセグメントに加えた。14/3期上期の売上構成比は、プロダクトソリューション事業24.1%、サービスソリューション事業6.8%、金融・基盤システム事業10.9%、ITサービス事業14.3%、ソリューション営業42.4%、クラウド事業1.6%、コンシューマサービス事業0.2%、及び海外事業(同0.0%)の8事業に分かれ、営業利益ベースではプロダクトソリューション事業が全体の42.4%を占める。 プロダクトソリューション事業
モバイル端末ソフト開発支援・品質評価や自社製端末開発、車載や家電等の組み込みソフト開発を手掛ける。顧客は、国内外の携帯端末メーカーや通信キャリアに加え、情報家電メーカー、エネルギー関連、インフラ関連、車載関連と幅広い。モバイル端末向けでは、最上流工程(企画、仕様策定)から最下流工程(品質評価)に至る全工程への対応が可能で、メーカーや通信キャリアとの取引を通じて開発に携わったモバイル製品は800機種を超える。また、Android、iOS等の現行のプラットフォーム上での開発に加え、Tizen、Firefox OS等の次世代プラットフォーム上での端末開発でも末開発豊富な実績を有する。カーエレクトロニクスやネット家電、M2M(Machine-to-Machine)等の非携帯分野への事業展開にも力を入れている。
サービスソリューション事業
各種Webサイト、バックエンドシステム(Webサイトの統合管理システムの構築)、及びアプリ・コンテンツ開発といったWeb関連の開発を手掛けており、顧客は、インターネットを利用した各種サービスの提供企業、ゲーム、証券、教育等のネットビジネスを展開する企業等。また、近年では自社商材の開発・販売にも力を入れており、デジタルサイネージソリューション「Totally Vision」、MDM(Mobile Device Management)製品の「cloud step MDM」、企業内狭域SNS「Compath」、スマートフォン向けフィッシング詐欺防止ソリューション「WebShelter」等の自社商材を有する。
金融・基盤システム事業
国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発経験を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システム及び対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。
ITサービス事業
システムやネットワークの運用・保守・監視、ヘルプデスク・ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等で幅広い。
ソリューション営業
ITプロダクト(サーバ、PC、周辺機器、ソフトウエア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売からサービス提供へシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へのニーズの変化に対応する事で事業拡大、高付加価値化を図っている。主要顧客は電機メーカー、外資系企業。
クラウド事業
クラウド型サービスの導入支援及びアプリケーションの提供を手掛けている。アプリケーションとしては、代表的なクラウド型サービスである「Google Apps for Business(以下、Google Apps)」やOffice製品・サーバ製品をクラウド型で提供する「Microsoft Office 365」を扱っており、同社の独自サービス「cloudstep」とのセット販売で付加価値を高めている。「cloudstep」とは、「Google Apps」や「Microsoft Office 365」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上するために同社が開発した業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。 現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。
コンシューマサービス事業
連結子会社(株)GaYaが主体の事業。スマートフォン向けソーシャルゲームの企画・開発・提供、受託開発・開発支援に係る収益がセグメントされている。
海外事業
13年4月にタイの首都バンコクに設立した現地法人Systena (THAILAND) Co.,Ltd.を設立した(連結子会社)。タイ及び周辺諸国に進出している日系企業や現地企業に対するIT機器の販売やITサポート及びソリューションを提供しており、日本仕様のきめ細かい顧客対応が、現地企業の対応に満足していない日系企業等から高い評価を受けている。
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事業戦略 14/3期の積極投資について |
(1)R&D「Tizen」Project(Tizen関連投資+HTML5関連投資)
LinuxベースのOSである 「Tizen」への投資目的は事業構造の転換。言い換えると、顧客が主導する受託開発から脱却し、「Tizen」のサプライヤーとして自らが主導するビジネスモデルに転換すると共に事業領域を拡大する事。14/3期は11億円の投資を計画しているが、その60%が「Tizen」及びその技術バックボーンである「HTML5」への投資である。
尚、IVI(in-vehicle infotainment:車載インフォテインメント)とは、車載用の情報端末の総称。例えば、インターネットを利用した各種サービスやナビゲーション機能等を提供する。 「Tizen」とは?
「Tizen」とは、LinuxベースのOSS(オープンソースソフトウエア)。スマートフォンやタブレット等のモバイルOSとしての話が先行しているが、本来は、IVI、STB(セットトップボックス)といった様々な機器を対象としている。また、Tizenは技術バックボーンとしてHTML5を採用しているため、低スペックな端末での軽快な動作も特徴。SNSゲームの場合、ブランザアプリでもネイティブアプリ並みのレスポンスを実現する。
なぜ「Tizen」か?
モバイル端末のOSとしてはAndroidやiOS のシェアが高いが、GoogleやAppleに利益が集中するビジネスモデルへの反発もあり、多くのキャリア、ベンダー、業界がオープンソースによる"第3のOS"を模索している。こうした中、海外も含めた通信キャリア、パソコンに次ぐビジネスの育成に力を入れている半導体最大手の米Intel、自動車業界等が "第3のOS"として注目しているのが「Tizen」であり、特に自動車業界は、車載IVI、或いはIVIとスマートフォンを連携させるプラットフォームの両面から「Tizen」に強い関心を示している。
(2)リソース不足解消のための地方拠点拡充投資
車載機器や家電等向けのシステムの開発需要は旺盛だが、同社においてはリソース不足が受注の制約要因になっている。これまで活用していたオフショア開発は技術者の動員力が最大のメリットだが、ここにきて単価の上昇が顕著。一方、ニアショア開発は相対的にコストパフォーマンスが向上しており、地方では動員力も向上している。このため、同社はニアショア拠点である札幌、広島、福岡の開発センターの強化を進めており、オートモーティブ関連市場への進出を視野に名古屋営業所を10月に開設した。
(3)クラウド事業投資
自社商材の提供による付加価値の高いストックビジネスを確立するべく、営業力強化、開発力強化に向けた人材投資と自社商材の開発投資を進めている。14/3期は「cloudstep」にシステナ版グループウエア機能として新たに掲示板サービス「cloudstep share(シェア)」の販売を開始し、加えてGoogleAppsとcloudstepのサービスを一覧で表示できる「cloudstep Portal(ポータル)」の開発を進めている。
(4)海外投資(タイ子会社、米国子会社)
タイ子会社
東南アジアの成長をシステナグループに取り込むべく、13年4月、タイの首都、バンコクに現地法人を設立した。3年での黒字化を目指しており、現在、現地の有力IT企業とのパートナーシップの構築やアプリベンダーとの新サービスの共同開発を進めている。主な取り組みと進捗状況は次の通り。
米国子会社
11月1日に米国カリフォルニア州に100%子会社「Systena America Inc.」を設立した。顧客の米国進出に伴う米国でのモバイルや通信関連の開発・検証支援事業や「Tizen」など第3のOSを搭載したスマートデバイスやオートモーティブデバイスの研究開発を進めていく他、最新技術・サービスの動向調査やインキュベーションセンターとしての機能も持たせる。また、SNSゲーム、自社商材コンテンツを利用したスマホアプリの展開も計画している。
(5)SNSゲームコンテンツ投資(子会社(株)GaYa)
3月にブラウザ版で提供を開始した釣りゲームのプラットフォームの横展開とカードバトルゲームのエンジンのプラットフォームへのライセンス提供を進めている。
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2014年3月期上期決算 |
Tizen関連を中心にした積極投資で一時的に収益性が低下
売上高は前年同期比1.0%減の152億98百万円。クラウド等の新規事業の売上が増加したものの、ビジネスモデルの再構築や収益性重視の受注政策を進めた既存事業の売上が減少した。利益面では、事業戦略に沿って実施したTizen関連のR&Dを含めた先行投資が利益を圧迫したが、売上高・利益共に期初予想を上回った。
プロダクトソリューション事業
ビジネスモデルを再構築するべく、情報家電、エネルギー、インフラ、車載関連等の非携帯分野へ進出し、営業を強化している。上期は国内メーカーのスマートフォン商品ラインナップの減少による受注減をキャリアプラットフォーム開発・品質検証でカバーした。また、自社開発製品で日本初の「Tizen タブレット」を発表した。
サービスソリューション事業
インターネットを利用したサービス、販売、証券、教育といったネットビジネス分野での受注が好調だったが、サイネージステムの導入遅延で売上が期初予想に届かなかった。また、9月に発表した自社開発のスマートフォン向けフィッシング詐欺防止ソリューション「Web Shelter」は金融機関からの引き合いが旺盛で下期の収益貢献が期待される。サービスソリューション事業においてもTizen関連ビジネスを手掛けており、「Tizen IVI用O2Oソリューション」で自動車メーカー、カーナビメーカー、家電メーカー、レンタカー会社等への展開を推進した。 金融・基盤システム
組織力の強化に取り組むと共に、受注案件の選択と集中を進めている。この上期は、不採算プロジェクトからの撤退が完了し、ロイヤルクライアントから増員を中心に案件を獲得した他、他部門との連携により、機器調達からアプリケーション基盤構築、開発、運用、保守までの一貫受注にも成功した。
ITサービス
売上拡大よりも利益重視を念頭にグループの顧客資産を活用した「1クライアント複数サービスの提供」を展開している。この一環として、上期はソリューション営業の物販と連携して、機器選定から基盤構築、導入支援、運用・保守までの収益性の高いサービス提案に注力した。また、ワールドワイドに展開する金融機関のヘルプデスクの受注にも成功しており、引き続き英語対応やチーム対応の強みを活かした高収益案件の獲得に力を入れていく。
ソリューション営業
ITサービス等、他事業との連携によるワンストップサービスと、データセンターや仮想デスクトップ等の新ソリューションの拡大に力を入れている。この上期は、Windows XPのサポート終了に対応したPCリプレースやサーバ仮想化案件が増加した。ただ、利益面では、円高修正で海外メーカー製PCの仕入原価が上昇し利益率が低下した。
クラウド
新サービス「cloudstep Share」追加による差別化が奏功し、大型案件を複数獲得した他、既存顧客の契約更新も順調に進み増収増益。中堅・中小企業をターゲットにグループウエアのリプレース需要の取り込にも力を入れており、足元、順調に契約獲得が進んでいる。サービスソリューション事業で開発した独自商材をはじめとする新サービスでラインアップを拡充し、引き続き競争力の強化に取り組んでいく。
コンシューマサービス
「釣りゲーム」のプラットフォーム横展開とカードバトルゲームのエンジンのライセンス提供に取り組んでおり、この上期は8月に月次損益が黒字化した。引き続き多数プラットフォームへのライセンス提供に取り組んでいく考え。
海外事業
4月にタイに現地法人を設立し、11月に営業を開始した。「Google Apps」や「cloudstep」等のクラウド型サービスの営業を進めており、地場タイ企業との提携やM&A等にも柔軟に対応していく考え。
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2014年3月期業績予想 |
通期業績予想に変更なく、前期比1.3%の増収、同14.9%の営業減益
売上高は前期比1.3%増の320億76百万円。クラウドやコンシューマサービスの売上が伸びるものの、事業の再構築を進めている金融・基盤システムの売上が減少する他、R&D「Tizen」Projectへの研究開発要員の重点投入による人材リソース不足でプロダクトソリューションの売上が伸び悩む。また、ハード販売からサービス販売への移行を進めるソリューション営業も、通期では売上がわずかに減少する見込み。
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