ブリッジレポート
(4849) エン・ジャパン株式会社

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ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン vol.37

(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 企業HP
越智 通勝 会長
越智 通勝 会長
鈴木 孝二 社長
鈴木 孝二 社長
【ブリッジレポート vol.37】2014年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「アベノミクスによる景気回復期待や円安・株高による企業業績の回復により、厚生労働省発表の10月の国内有効求人倍率は、0.98倍と前月に比べ・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年12月10日掲載
企業基本情報
企業名
エン・ジャパン株式会社
会長
越智 通勝
社長
鈴木 孝二
所在地
東京都新宿区西新宿 6-5-1
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 13,563 2,783 2,840 1,545
2012年3月 15,687 3,047 2,884 1,135
2010年12月 9,991 1,774 1,803 875
2009年12月 10,209 1,259 1,212 459
2008年12月 21,329 5,943 5,906 3,090
2007年12月 22,686 7,564 7,573 4,168
2006年12月 16,919 5,605 5,607 3,105
2005年12月 11,491 3,791 3,826 2,203
2004年12月 6,980 2,245 2,254 1,253
2003年12月 4,372 1,749 1,754 1,038
2002年12月 3,107 1,305 1,283 663
2001年12月 1,876 933 898 464
2000年12月 620 254 249 132
株式情報(11/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,114円 22,191,800株 46,913百万円 10.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
21.50円 1.0% 130.68円 16.2倍 688.47円 3.1倍
※株価は11/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。13年10月1日に1株を100株に分割。 各数値は分割を考慮。
 
エン・ジャパンの2014年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
人材総合サービス企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。グループは、同社の他、連結子会社9社、持分法適用非連結子会社1社等。
 
 
 
 
 
2014年3月期第2四半期決算
 
 
売上高は16.3%増、経常利益は34.5%増益
売上高は前年同期比16.3%増の74億86百万円(約10.5億円増)。顧客の採用ニーズの高まりから掲載課金型商品などの販売が好調で「[en]社会人の転職情報」の売上が同4.5億円増加した他、子会社エンワールド・ジャパン(以下、EWJ社)の売上が同2.5億円増加し増収をけん引。この他、当第1四半期から新たに子会社を連結したことも売上増加に寄与した。
利益面では、人員の増加や積極的なプロモーション活動により費用(売上原価+販管費)が同13.9%増加したものの、売上の伸び率を下回り営業利益は同26.1%増加した。また、営業利益は、期初時点に計画した第2四半期累計の営業利益を43%上回った。これは、自社の採用が計画通りに進まず人件費が計画程増加しなかったことや、上期予定の広告・販促費が下期にずれ込んだことも影響した。この他、為替差益1.3億円の計上などにより経常利益が同34.5%増加、投資有価証券売却益19.9億円の計上により四半期純利益は187.4%増加した
 
 
中途採用事業
当事業には、「[en]社会人の転職情報」、「[en]転職コンサルタント」、「[en]派遣のお仕事情報」、「[en]チャレンジ!はた☆らく」、
「[en]ウィメンズワーク」、EWJ社、海外子会社、中途関連その他(適性テスト等)の収益が計上されている。
「[en]社会人の転職情報」及びEWJ社をけん引役に、売上高が69億14百万円と前年同期比18.0%増加した。人件費やプロモーション費用が増加したものの、費用(売上原価+販管費)の増加が同13.9%の増加にとどまりセグメント利益は19億5百万円と同26.1%増加した。
 
商品別では、「[en]社会人の転職情報」は、景況感の改善に伴い、掲載課金型求人広告のニーズが高まったことなどから、前年同期比増収となった。また、人材紹介サービス「[en]PARTNER」は、7月から本格展開を開始し、当第2四半期から入社実績が出始めた。
この他、「[en]転職コンサルタント」は、人材紹介マーケットが回復基調にあることや、顧客の人材紹介会社への拡販が進み、同増収となった。「[en]派遣のお仕事情報」は、企業のニーズが高まり、顧客である派遣会社の出稿意欲が拡大したことや地方拠点の拡販が進んだことから掲載事業所数及び売上が同年同期比増加した。「[en]チャレンジ!はた☆らく」は減収となったが、これは一般事業会社向けの販売を昨年6月に停止し、派遣会社向けのサイトに変更したためであり、戦略通り。若手未経験の販売系職種やオフィス事務職種のニーズが高かったことから会社計画を上回る売上となった。「[en]ウィメンズワーク」は、計画をやや下回る売上となったものの、掲載案件数が増加した。
 
グローバル企業向けにバイリンガル人材の人材紹介・人材派遣を手掛けるEWJ社は、人材採用意欲が高かったIT、金融、製造業などの領域が寄与し、前年同期比増収となった。
また、海外子会社は今期から海外子会社7社の新規連結を開始したことから売上の増加要因となったものの、一部の国で景気悪化の影響を受けたことなどにより計画を下回る売上となった。海外事業全体での利益寄与は来期以降を計画している。
 
 
新卒採用事業
当事業には、「[en]学生の就職情報」、新卒関連その他(適性テスト等)の収益が計上されている。
売上高は前年同期比17.4%減の3億23百万円、セグメント利益は3億33百万円(前年同期は2億15百万円の損失)の損失となった。中小企業の採用活動が長期化した影響から、顧客のサポートに想定以上の時間が必要となっている。プロモーションを強化したことで、ユーザーの獲得は順調に進んだものの、これに伴う費用の増加(広告宣伝費・販売促進費は、前年同期の24百万円から1億23百万円へ増加)により前年同期比でセグメント利益の損失が拡大した。今後新卒採用の手法が多様化することを見据えて、留学生や体育会学生等、ターゲットを絞ったイベント型の成功報酬商品を新たにリリースした。
 
教育評価事業
当事業には、人事制度コンサルティング、定額制研修サービス「エンカレッジ」、適性テスト、子会社であるシーベースの収益が計上されている。
売上高は前年同期比79.3%増の2億71百万円、セグメント利益は同78.4%増の44百万円となった。定額制研修サービス「エンカレッジ」は、4月に新規会員数が増加したことで、新たに大阪でサービスを開始し、会員企業数が増加したことなどから同増収となった。また、今期から新たに連結対象になったシーベースの業績が順調に推移し、計画を上回る売上高となった。
 
 
今後の事業方針
 
基本方針として、①人材紹介サービスの強化と②アジアにおいて海外展開を推進の2つを掲げている。
 
(1)人材紹介サービスの強化
13年7月にエン・ジャパンが行う人材紹介サービス「[en]PARTNER」を本格的にスタートした。企業の採用が厳格化していることから従来は採用難易度が高い職種・ポジションの人材については成功報酬型の求人広告で対応してきたが、実際に求職者と面談を行った上で企業に紹介する人材紹介のニーズも高いことからラインナップを拡充した。求人広告で培った求職者データベースや企業との取引実績を活かし、サービスの早期立ち上げとシェアの拡大を目指している。
また、10年に子会社化したEWJ社も順調に業績を伸ばしており、エン・ジャパングループとして人材紹介サービスの強化と成長を図っていく。
 
(2)アジアにおいて海外展開を推進
もう一つの方針であるグローバル展開については、事業の早期立ち上げ及び成長を目指すことからM&Aを中心に進めていく。現在、5カ国に7つの事業会社を展開しており、うち5社が14/3期から連結対象となっている。
 
 
更に、13年11月にタイの人材紹介会社であるThe Capstone Recruitment Group and Consulting (Thailand) Ltd.の株式を取得し、同社の子会社とする予定。タイは、日系企業やグローバル企業が多く進出しており、今後同社グループが持つ顧客財産・ノウハウとのシナジー効果が見込まれる。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比20.2%の増収、同15.0%の営業増益予想
14/3期第2四半期の累計業績が、期初の計画を大きく上回って着地したものの、期初計画である前期比20.2%の増収、同15.0%の営業増益予想に変更なし。
14/3期の事業環境について、同社は円安や株高を背景とした企業業績の回復が期待され、全般的な業種において企業の人材採用意欲が旺盛な状況が続くと見ている。EWJ社を含めた中途採用事業が業績をけん引する見込みで、海外子会社等の連結化も始まっている。利益面では、プロモーション強化や人員増による人件費の増加、新規連結開始に伴う営業費用が増加するものの、増収効果で吸収して営業利益が32億円と同15.0%増加する見込み。上期未消化となった、広告宣伝・販促費は、下期に消化する予定。
投資有価証券の売却益を特別利益に計上したことから、5月16日に当期純利益の計画を16億円65百万円から29億円へ修正済み。
配当も1株当たり21.5円の期初予定から変更なし。
 
 
 
 
 
今後の注目点
アベノミクスによる景気回復期待や円安・株高による企業業績の回復により、厚生労働省発表の10月の国内有効求人倍率は、0.98倍と前月に比べて0.03ポイント上昇し、約6年ぶりの高い水準となった。また、景気の先行指標となる新規の求人も、前年同月比10.8%増加するなど改善が進んでいる。更に、社団法人全国求人情報協会の調査データによると、求人サイト(インターネットの求人専門サイトで提供されるもの、アルバイト等も含む)へ掲載された求人掲載件数は10月に前年同月比で49.0%増加した。こうした雇用環境の改善は、同社の業績へも好影響を与えるものと予想される。特に、近年強化している成功報酬型商品や人材紹介サービス「[en]PARTNER」の拡大により、今後の収益動向へどのようなインパクトをもたらすのか引き続き注目が集まる。しかし、同社においても人手不足から予定通りの採用が難しくなっている。採用のボトルネックが今後の成長戦略にも影響を与える可能性があるため、下期以降の同社の採用の動向にも注目したい。