ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.46

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 会長兼社長
小林 徹 会長兼社長

【ブリッジレポート vol.46】2013年12月期第3四半期業績レポート
取材概要「会社側の計画通り、順調な進捗となっているようだ。国内における自動ドア関連の売上がややスローな感はあるが、復興需要の顕在化および設備投資・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年11月26日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
会長兼社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年12月 20,699 1,398 1,680 825
2011年12月 18,502 1,677 1,830 1,033
2010年12月 17,395 1,705 1,761 981
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(11/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,644円 16,550,394株 27,208百万円 4.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.8% 96.67円 17.0倍 1,107.53円 1.5倍
※株価は11/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
オプテックスの2013年12月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界シェア40%を誇る屋外用防犯用センサや世界シェア30%・国内シェア60%の自動ドアセンサを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛ける。子会社21社及び関連会社2社とグループを形成。産業機器用センサ事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。
ファイバーセンシス社及びレイテック社とは、オプテックス(株)を含めた3社の強みを融合した大型重要施設向けソリューション(施設への侵入警戒システム)の育成に取組んでおり、また、国内及びEUに強みを持つオプテックス(株)、北米を中心とした米州や中近東等に強みを持つファイバーセンシス社、更には英国及びEUでの売上が大半を占めるレイテック社と、事業エリアの面でも3社は補完関係にあり、オプテックス(株)による中東への展開やレイテック社による北米、中南米、中東等への展開等で実績を上げつつある。
 
【事業内容】
事業は、センシング事業(防犯関連、自動ドア関連、その他)、FA事業、生産受託事業、その他に分かれ、事業内容と売上構成比は下記の通り。尚、地域別の売上構成比は、日本35.2%、北米10.6%、欧州34.7%、アジア14.6%、その他4.9%(いずれも12/12期実績)。海外売上高が65%弱を占めるが、販売通貨比率は円53%、ドル18%、ポンド13%、ユーロ15%。一方、生産高の55%は中国で、原価の通貨比率は円57%、ドル・ポンド43%と、販売・原価共に円貨決済が過半を占めている。
 
 
【沿革】
1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約60%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
04年には、客数情報システム、駐車台数管理システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ用赤外線補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。
 
 
【センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムが強み】
センサが検知する物理的変化は、人の認識では困難な微小な変化を扱う場合が多い。このため、確実で安定したセンシングの実現には複数の要素技術とノウハウに加え、物理的変化を制御する「アルゴリズム」が欠かせない。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。
 
 
 
2013年12月期第3四半期決算
 
 
前年同期比12.6%の増収、同87.9%の営業増益
売上高は前年同期比12.6%増の172億26百万円。中国工場における生産受託事業がマイナスだったものの、防犯関連は国内外ともに好調。自動ドア関連も北米、欧州向けが順調に伸び、共に2ケタの伸び。FAも堅調だった。
 
利益面では、プロダクトミックスにおける粗利率の上昇(+418百万円)、円安による影響(+1,100百万円)などで、売上総利益が89億98百万円と同20.9%増加した。人件費増(149百万円)、経費増(162百万円)、販管費における為替の影響(-493百万円)などで販管費は同11.5%増加したがこれを吸収し、営業利益は17億15百万円と大幅な増益となった。 為替差益の増加(27百万円→186百万円)で経常利益もほぼ倍増。税効果会計の影響で四半期純利益は12億53百万円と同169%の増益となった。
 
 
 
防犯関連
売上高は前年同期比20.5%増の87億68百万円。海外売上は同17%増加。南欧向け輸出の回復などで、屋外警戒用センサの販売が堅調だった。国内も、大型重要施設向け屋外警戒用センサの販売が順調で、同37%増加した。
 
自動ドア関連
売上高は前年同期比10.0%増の28億31百万円。海外売上は同27%の増加。北米及び欧州向けの売上が順調に推移した。 一方国内は同-1%と微減だった。ただ、市況は徐々に回復しており、復興需要も含め今後に期待しているという事だ。
 
FA事業
売上高は前年同期比2.3%増の33億72百万円。欧州の金融不安の影響に加え、中国における設備投資抑制が響き需要が伸び悩み、海外売上は同6%の減少となった。反面、国内は物流業界向け汎用光電センサの販売が増加し、同19%増加した。
 
 
第3四半期末の総資産は前期末比25億86百万円増の262億50百万円。順調な受注・売上・利益を反映して、現預金、売上債権、たな卸資産が増加した。仕入債務の増加などで負債は8億67百万円の増加。自己資本比率は前期末とほぼ同水準の76.2%。実質無借金経営(ネットキャッシュ=現預金マイナス有利子負債 67億50百万円)で、流動性に富んだ優れた財務体質も同社の強みである。
 
(4)トピックス
◎株式売り出し
2013年9月4日を受渡期日とし、小林会長兼社長を含む創業メンバー及び金融機関保有の普通株式100万株の売出しを行った。株式流動性の拡大に繋がるものと会社側では期待している。
 
◎孫会社の設立
子会社オプテックス・エフエー株式会社が100%子会社 センサビジョン株式会社を2013年9月に設立した。
オプテックス・エフエー(株)は、小型光電センサの開発に関してはこれまでSICK AG社(独)との合弁会社ジックオプテックス(株)のみで行ってきたが、国内外における設備投資意欲の回復から、ローコストで高品質な小型光電センサに対するユーザーニーズが強まっていることを受け、同社独自の小型光電センサ開発に特化した開発受託会社を設立することとした。
開発のスピードアップおよび早期の市場投入を実現するためには専門特化した開発受託会社を設立する方が有利と判断した。今後は価格優位性を有した新製品を欧州を始めとした全世界に供給する事を狙っている。
 
 
2013年12月期業績予想
 
 
通期予想に変更無し。前期比15.9%の増収、同64.5%の営業増益
7月25日に行った通期業績予想に現時点で変更は無い。
防犯関連では引き続き欧州向けの順調な伸びが期待できるほか、国内における自動ドア関連製品の回復を見込んでいる。
増収効果等による収益性の改善で営業利益率は前期に比べ3ポイント弱上昇する。配当は期末・中間合わせて1株当たり30円を予定。
 
 
(2)トピックス
◎さらなる成長に向けた組織変更を実施
2013年11月13日、2014年1月1日付でグローバル化を始めとした更なる成長のための組織変更を行う事を発表した。
 
<組織変更の目的>
*よりグローバルな事業拡大と世界各地域の文化やニーズに応じた事業展開の推進
*次世代の経営幹部の育成
*新規事業分野のさらなる加速
 
<変更内容>
*世界の営業体制を「欧州・中近東 ・アフリカ」、「北中南米」、「アジア」、「日本」の四極に束ねた組織構造にし、「地域戦略策定の現地化」を推進し、現地発のビジネスプランを活発に生み出す。
*事業分野ごとに企画・マーケティング・開発を一貫して行う「事業部」を引き続き設置し、事業ロードマップの一貫性を持たせると共に、製品開発の意思決定と実行を迅速かつ効率的に行っていくなどの「事業と地域のマトリックス制」により運営していく。
 
(1) これまでは英国を中心とした販売拠点であったOPTEX(EUROPE),LTD.を、欧州・中近東・アフリカ地域を統括する地域統括本社として機能強化・組織再編を行う。
また、北中南米を管轄する地域統括本社の設置を目指し、既に北米にある現地販売法人の機能再編を準備する。
アジア、日本国内に関しては本社内に各営業本部を置き活動を強化する。
これら全体を統括管理する組織として営業統括本部を本社に設置する。
 
(2) 事業統括本部内にSEC(セキュリティ)事業部、ETR(エントラス)事業部、 SSI(セキュリティ・センシグ・イノベーション)事業部を置き、中核的既存事業の戦略一貫構築を行い、更なる事業拡大を目指す。
 
(3)事業戦略統括本部内にNSS(ネクスト ・ソーシャル ・ソリューション)事業部を置き、中長期視点で新たな事業の柱を築く。 また同統括本部内にグループ全体の戦略立案と推進機能を集約する。
 
(4)管理統括本部内に生産戦略本部・品質管理部・管理本部などの全社横断的管理機能を置き、顧客満足の向上・経営基盤の強化と企業価値最大化を図る。
 
 
今後の注目点
会社側の計画通り、順調な進捗となっているようだ。国内における自動ドア関連の売上がややスローな感はあるが、復興需要の顕在化および設備投資意欲の高まりなどで今後力強い上昇カーブを描くことが期待される。
国内外でのセキュリティーニーズは今後も、着実に増大していくと思われるが、これに加え、今年10月に決定した「2020年 東京オリンピック開催」も同社にとっては大きな追い風となることが予想される。
安心・安全・快適な東京オリンピックを運営・成功させるためのインフラ整備が今後動き出す中、防犯設備、自動ドアは不可欠なファシリティであり、同社活躍の場が一段と広がる事は間違いない。もちろん具体化するのはまだまだ先の話であるが、中期的なテーマとして、新興国市場の開拓と共に注目していきたい。