ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.38

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 会長
泉澤 豊 会長
泉澤 摩利雄 社長
泉澤 摩利雄 社長
【ブリッジレポート vol.38】2014年2月期上期業績レポート
取材概要「営業日数の増加で主力のコンビニ事業が復調した。ただし、会社の思惑ほどに回復は進んでいないのが実情。今後は「MACHI Cafe」の導入等に・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年11月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
会長
泉澤 豊
社長
泉澤 摩利雄
所在地
千葉県浦安市美浜1-9-2
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年2月 27,190 -426 -354 -880
2012年2月 26,882 338 342 -369
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(10/25現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
255円 49,364,870株 12,588百万円 - 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 2.78円 91.7倍 57.45円 4.4倍
※株価は10/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2014年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
1981年2月設立。「便利さの提供」を企業理念とし、直営店主体の以下コンビニ事業を中心に、ビジネスホテル事業、子会社を介したクリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業を手掛けている。主力のコンビ二事業では、平成元年より「サンクス」店舗を運営。現在は、12年3月より(株)ローソン(2651)とフランチャイズ(FC)契約を結び、千葉県及び東京都のベイエリアを中心に直営店舗主体に展開。また、単体ではビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の運営も行っている。グループは、同社の他、クリーニングとリネンサプライを事業ドメインとする(株)エフ・エイ・二四(以下、FA24)、及びマンションフロントサービスを手掛ける(株)アスクの連結子会社2社。いずれも100%子会社である。
 
【事業概要】
(1)京葉地区の湾岸エリア(港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市)中心に展開するコンビニ事業
主力のコンビ二事業では、東京都区内(港区、中央区、江東区、千代田区、新宿区、渋谷区、大田区、江戸川区、台東区、北区、葛飾区、足立区)及び千葉県北西部において店舗展開。13/2期には神奈川県内(横浜市)に初出店した。再開発が進むベイエリア地域を中心としたドミナント展開を行う。(株)ローソンが構築しているSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)、ポイントカード「Ponta」を活用したCRM(カスタマー・リレイションシップ・マネジメント)、更には商品開発力を活用する事で顧客の利便性向上を図ると共に店舗競争力を高めていく考え。
 
 
 
(2)非コンビニ事業の育成 -「便利さの提供」を追求-
「便利さの提供」と言う企業理念の下、コンビニ店舗での「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等の独自サービスを提供している他、ビジネスホテル、クリーニング・リネンサプライ、及びマンションフロントサービスといった非コンビニ事業にも注力している。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」  (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
09年11月オープン。市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く(朝食付きで1泊5,800円から)、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。
 
クリーニング・リネンサプライ  連結子会社 (株)FA24
フロント受付やコンビ二受付によるクリーニングサービス、リネンサプライサービス、ユニフォームレンタル&クリーニングサービス、及びおそうじサービス等を、BtoC、BtoBで提供。13/2期には自社クリーニング工場が稼働した他、(株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア以外のローソン店舗でのサービスも本年4月より開始した。
 
マンションフロントサービス  連結子会社 (株)アスク
宅急便やクリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップや売店の運営、更にはカーシェアリングや「ネットスーパー」取り次ぎサービス等を手掛ける。豊富な経験と確かな実績によるフロントサービスを提供している。業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に約870件を受託しており、室内清掃や東日本大震災の教訓を踏まえた階段避難器具や防災グッズの提供等で既存顧客の深耕に取り組んでいる。
【サービスの提供内容】
・コンシェルジュサービス
 ⇒宅配便、クリーニング取次ぎ
・レジデンスサポート
 ⇒メンテナンスのサポート、ハウスクリーニング業者紹介
・ミニショップ、売店の運営など
・カーシェアリングサービスの提供
・大手企業と提携した、「ネットスーパー」取次ぎサービスによる付加価値の提供
 
 
2014年2月期上期決算
 
 
前年同期比20.8%の増収、174百万円の経常利益(前年同期は4億27百万円の損失)
営業総収入は前年同期比20.8%増の154億61百万円。ブランド変更に伴う店内の改装作業で前年同期の店舗営業日数が大きく減少していたが、今上期は通常の店舗数によるオペレーションが行われ、主力のコンビニ事業の売上が同27.1%増と大幅に増加した。ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」や、子会社が手掛けるマンションフロントサービス事業やクリーニング事業も、それぞれ増収増益となった。
利益面では、コンビニ事業の復調により売上高が損益分岐点を超えた事で、前年同期は3億81百万円の損失だった営業損益が1億33百万円の利益に転換。有価証券運用損益の改善(△59百万円→9百万円)等で営業外損益も改善し、経常利益は1億74百万円(前年同期は4億27百万円の損失)。特別利益に有価証券売却益47百万円、店舗閉鎖損失引当金戻入額31百万円を計上し、四半期純利益は1億48百万円(同4億4百万円の損失)となった。
期初予想に対しては、売上高はほぼ予想通りであったものの、営業利益は31.7%下回った。営業外収益の改善や、特別利益の計上により経常利益は期初予想比6.5%の未達にとどまり、純利益は15.6%上回った。
 
 
コンビニエンス・ストア事業
事業収入118億41百万円(前年同期比27.1%増)、セグメント利益1億10百万円(前年同期は3億47百万円の損失)。店舗数は前年同期末から1店舗減の129店舗。上期の既存店平均日販は54.3万円で前年同期比101.3%となった。販売商品構成比が期初の想定と相違したことや、前期に出店した複数の新規出店が採算ベースに乗らなかったことから、セグメント利益は伸び悩んだ。
 
マンションフロントサービス事業
事業収入28億9百万円(前年同期比3.8%増)、セグメント利益1億87百万円(同45.7%増)。ふとん丸洗いや専有部分のハウスクリーニングなど、フロントでのワンストップが可能なサービスの提供に力を入れてきた。また、居住者同士の交流促進とサービスの更なる周知を図るべく、マンション内のイベントを積極的に企画、提案した。
 
クリーニング事業
事業収入6億65百万円(前年同期比3.2%増)、セグメント利益27百万円(対前年同期比32.2%増)。服装のカジュアル化や低価格化に加え、クールビズの浸透や団塊世代の定年退職等の影響で、クリーニング需要や顧客数が減少傾向にある上、洗濯代への出費も絞られる動向が続いていると言う。こうした中、タワーマンションや高級マンションのフロントで便利かつ高品質な「クリーニング取次ぎサービス」を提供した。春先の衣替えの時期に合わせた値引きセール等の販促企画を実施し、需要の喚起に努めた。夏場には気候に合わせた撥水加工キャンペーンや汗抜き加工など顧客のニーズに応える各種販売促進企画も実施した。また、昨年より稼働を開始した自社工場と商品管理センターによる、クリーニング、メンテナンス、在庫管理までをトータルで一元管理する企業向けのサービスや、ハウスクリーニングサービス等家庭向けサービスの拡大に取組んでいる。
 
その他事業
事業収入2億49百万円(前年同期比9.8%増)、セグメント利益60百万円(対前年同期比60.9%増)。ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の売上増(同22.1%増)がその他事業をけん引。同ホテルはJR京葉線の市川塩浜駅に隣接した利便性の高い駅前立地である事や、コンビニの併設や宿泊プランの多様化等、利用者ニーズに応えた運営に努めた事により高稼働を維持した。
 
 
コンビニ業界では大手各チェーンとも店内での淹れたてコーヒーの販売や、PB商品の強化に努めており、全店ベースでの来店客数、売上高は増加を続けているが、タバコ購入者の減少や各社の出店攻勢の影響を受け、既存店売上高は6月を除き前年割れの状況を強いられている。こういった中、今期は昨年3月から開始した「ローソン」ブランドでの本格展開となった。
同社主力のコンビニ事業は、130店規模で「ローソン」ブランドでの展開。店舗の転換作業を進めていた前年同期に対しては、26.7%の大幅な増収となった。営業損益は前年同期4億63百万円の損失から24百万円の利益に改善した。ただし、期初の予想115百万円は下回った。
 
 
既存店日販は客数が100.9%、平均客単価が100.4%、既存店売上は当初の見通し102.0%を下回る101.3%となった。営業利益が期初の見通しを下回った背景には、①既存店の伸び悩み、②商品販売・仕入れ構成改善が想定ほど進まなかった、③「MACHI Cafe」(コーヒー)導入店舗が14店舗にとどまった、④在庫の増加(売上原価の増加)、⑤ローソンのオペレーションに慣れなかったことに伴う人件費増(販管費の増加)、⑥電気料金の高騰の伴う水道・光熱費増(販管費の増加)があった。

一方、09年11月にオープンしたビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」は上期の稼働率が81.6%となった。通年稼働4年目となり認知度の向上やリゾート需要増加を受けて、前年同期74.3%、年間計画75.0%をいずれも大きく上回り、上期売上は1億22百万円と前年同期1億円を大きく上回った。
 
 
 
営業総収入の内訳は、クリーニング事業が前年同期比5.3%増の6億58百万円、ヘアカット事業他が同0.8%増の52百万円。クリーニング事業収入では、「コンビニクリーニング」において前年同期の営業日数不足が解消されたほか、リネンサービスが好調に推移した。昨年3月から稼働した自社クリーニング工場(千葉市)は立上げ費用が一巡するものの損益黒字化には至らなかった。予算に対しては営業総収入で7百万円、営業利益で6百万円届かなかった。尚、本年3月より、ローソン加盟店舗の一部でクリーニングBOX設置型の「クリーニング取次ぎサービス」の実験を開始した。
 
 
営業総収入の内訳は、フロント受託事業が前年同期比2.6%増の2,051百万円、クリーニング事業が同2.6%増の2億円、ショップ事業が同0.9%減の2億21百万円、カーシェアリング等のその他事業が同16.2%増の3億37百万円。マンションの新規竣工物件の増加を受け順調に新規案件を獲得できたほか、カーシェアリングサービスなどが好調で新規サービス分野の売上が拡大した。また、一部経費の期ずれもあり、予算比33百万円の増益となった。好調な売上増に対して人材の獲得が想定ほど進まなかったことが、費用減となった面もあった。
 
 
 
上期末の総資産は前期末比24百万円減の111億98百万円。現預金が4億12百万円増加した一方、未収消費税が1億15百万円、預け金が75百万円、有価証券が56百万円減少したことなどにより流動資産は1億93百万円増加した。また、長期預金が54百万円、投資有価証券が34百万円減少したことなどにより固定資産は2億18百万円減少した。負債は前期末比1億31百万円減少し83億62百万円となった。仕入債務が94百万円、預り金が61百万円増加した一方、未払金が2億7百万円、店舗閉鎖損失引当金が40百万円減少したことなどにより流動負債は31百万円増加した。長期借入金1億74百万円減少したことなどにより固定負債は1億62百万円減少した。純資産は前期末比1億7百万円増加し28億35百万円となった。四半期純利益1億48百万円の計上が主因。
自己資本比率は前期末から1.0ポイント改善し、25.3%となった。
 
 
 
 
営業CFは4億42百万円の収入で前年同期13億53百万円の支出から大きく改善した。主な収入は投資不動産収入額1億75百万円、未収消費税等の減少額1億15百万円、仕入債務の増加94百万円。主な支出は店舗閉鎖損失の支払1億10百万円。投資CFは1億93百万円の収入で前年同期2億75百万円の支出から改善した。主な収入は投資有価証券の売却による収入92百万円や有価証券の売却による収入65百万円など。これらにより営業CF及び投資CFからなるフリーCFは16億29百万円の支出から6億36万円の収入へと22億65百万円の大幅な改善となった。財務CFは2億24百万円の支出(前年同期は7億99百万円の収入)となった。主な支払いは長期借入金の約定弁済による支出1億74百万円や配当金の支払い49百万円。
 
 
2014年2月期業績予想
 
 
通期では、営業総収入は前期比10.6%の増収の300億60百万円、営業利益は186百万円(前期は426百万円の損失)を計画する。営業外では上期に計上した有価証券運用益を織り込んだ。特別損益についても同様に上期分を織り込み、追加の特別損益は見込んでいない。
期初予想に対して営業利益は3億円から1億14百万円、経常利益は3億円から93百万円、当期純利益は1億86百万円から49百万円の、それぞれ下方修正となった。期末配当は1株当たり1円を予定していたが未定とした。
 
 
営業総収入は期初から修正なく234億50百万円を計画する。営業利益は30百万円で期初予想から1億円の下方修正、上期の計画未達を織り込んだ。上期に想定より膨らんだ人件費を、ローソンのオペレーションにより慣れていくことで抑制を図る。
一方、ビジネスホテル事業は下期も順調な稼動が見込まれるが、売上2億1百万円の見通しは変えていない。
 
 
下期はクリーニング工場の水道光熱費、溶剤費の上昇やリネンサービス強化に伴う営業スタッフの増員により下方修正した。
 
 
スタッフ教育強化のための人員増などを見込むことから、上期好調も保守的に通期予算は修正せず。
 
 
今後の注目点
営業日数の増加で主力のコンビニ事業が復調した。ただし、会社の思惑ほどに回復は進んでいないのが実情。今後は「MACHI Cafe」の導入等により、既存店売上の回復は期待できるだろう。むしろ、悩ましいのは費用面にある。「ローソン」ブランドによるオペレーションの効率化等により人件費の抑制を図るものの、急に改善とはいかない模様。また、コンビニ業界では大手各社の出店攻勢により全店ベースでの売上高の増加が続く一方で、個店間競争が激化しており、業界では同様の状況が今後も続くであろう。
こういった中で同社が成長の主軸においているのがホテル事業とクリーニング事業、及びマンションフロントサービス事業である。ホテル事業では、ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」が好調、マンションフロントサービス事業においても予算を上回って推移しており、これら事業の貢献度が、今後はより高まっていくと思われる。
下期以降はコンビニ事業がゆっくりとした利益回復となりそう。成長の主軸としたその他の事業はこれまでの増収増益基調を持続すると想定され、やや遅れた感もある収益の回復は遅れを取り戻すだろう。