ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.13

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.13】2013年8月期業績レポート
取材概要「円安・株高が進み景況感が改善してきた。景気や個人消費の回復・拡大は同社にとってプラスなのだが、いわゆる財布の紐が緩む際には、一時的に安近短・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年11月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
群馬県前橋市大友町1-5-1
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(10/21現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
3,300円 9,477,401株 31,275百万円 33.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
50.00円 1.5% 277.50円 11.9倍 1,122.85円 2.9倍
※株価は10/21終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2013年8月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
"総合余暇サービス提供企業"を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略(後述)を推進している。連結子会社8社と共にグループを形成し、安定成長を続けるカラオケ事業と認知度の向上で事業が急拡大しているフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業の育成にも取り組んでいる。
 
【事業セグメントとグループ】
(1)事業セグメント
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」(郊外中心)やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」(都心や地方都市の繁華街で展開)を運営するカラオケ事業、"女性専用30分健康体操教室"として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種の温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業等のその他に分かれる。13/8期の売上構成比は、カラオケ事業54%、カーブス事業40%、温浴事業5%、その他1%。
 
(2)グループ
グループは、純粋持株会社である(株)コシダカホールディングスと、カラオケ事業、カーブス事業、温浴事業、及び不動産管理や知的財産管理を手掛ける連結子会社8社。カラオケ事業は(株)コシダカが国内で338店舗を、(株)韓国コシダカが韓国ソウル市内で3店舗を、それぞれ運営。カーブス事業は、中間持株会社(株)カーブスホールディングスの下、連結子会社(株)カーブスジャパンが女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」のFC本部の運営と直営店展開を手掛け、連結子会社(株)北海道コシダカ及び(株)シュクランがフランチャイジーとして直営店を多店舗展開している(店舗数は直営+FC合わせて1,339店舗)。また、11年11月に多店舗展開を本格化した温浴事業は(株)コシダカが新規事業として育成中の事業であり、7店舗を展開している(店舗数は、いずれも13年8月末)。
 
 
 
成長戦略
 
(1)事業環境  余暇活動の主役となる年代層が10代から60代以上に変化
「レジャー白書2013」(公益財団法人日本生産性本部)によると、2012年の余暇市場はほぼ横ばい(前年比0.3%減)の64兆7,272億円。このうち、娯楽部門は前年比0.7%増で、テレビゲーム・ゲームソフト、ゲームセンターが減少したものの、東日本大震災(以下、震災)後の落ち込みの反動でパチンコ・パチスロと公営競技が伸びた他、カラオケボックス(ルーム)も若干増加した。カラオケボックス(ルーム)は震災後の「安近短志向」の高まりで11年から12年にかけて市場が拡大したが、12年後半は「安近短志向」の一巡で市場拡大にブレーキがかかったようだ。

また、「レジャー白書2013」は余暇活動の主役となる年代層についても言及しており、過去10年間で主役が10代から60代以上に変化した、としている。ちなみに、高齢者が余暇活動を開始・再開した理由としては、「年齢や健康、体力にあっているから」、「費用が負担できるから」等が多いと言う。
 
(2)成長戦略  「総合余暇サービス提供企業」を標榜し、"既存業種新業態」戦略"を推進
約65兆円の国内余暇市場は同社にとって無限とも言える広さだ。足元で余暇活動の主役が60代以上に変化している事からもわかるように、特にシニア市場は、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの向こう10年程度、高い成長が見込まれている。こうした中、同社は「「総合余暇サービス提供企業」のコンセプトの下、「アクティブシニア層」をターゲットとし、"アミューズメント(カラオケ)"、"スポーツ・フィットネス(カーブス)"、"観光・行楽(温浴)"、"趣味・教養"の4分野において、既存事業間のシナジーを追求すると共に「既存業種新業態」戦略を進める事で業容の拡大を図っていく考え。
数値面では、中長期の目標としてグループ売上高1,000億円としている。
 
カラオケ事業
国内カラオケ市場はリーマン・ショックを境に4,200億円前後から3,800億円前後に縮小し、その後、横ばいが続いているが、同社のカラオケ事業は"地域密着によるリーズナブルでフレンドリーな接客サービス"を強みに店舗ネットワークを広げ、売上を伸ばしている。今後は、国内において「カラオケ=健康」のコンセプトの下、アクティブシニア層の開拓にこれまで以上に力を入れていく。具体的には、オリジナルのカラオケボックス用新システム「すきっと」(後述)導入による差別化戦略の徹底、社員独立制度Be Ambitiousの展開(オーナーシップによる営業力強化)、及び都市部でのワンカラのドミナント展開による国内500店舗体制の早期構築に取り組む(13/8期末338店舗)。
また、海外展開も進め、韓国・東南アジアでの多店舗展開に取り組む。韓国では既に多店舗展開に目処を付けており、東南アジアでは13年11月にKOSHIDAKA INTERNATIONAL Pte.Ltd. (シンガポール)の設立を予定しており、KOSHIDAKA INTERNATIONAL Pte.Ltd.を拠点に調査・開店準備を進めていく。
 
 
(注)オリジナルのカラオケボックス用新システム「すきっと(Smart Karaoke Internet Terminal)」
カラオケボックス用システムは2社による寡占市場のため、オペレータ(カラオケボックス・ルームの運営事業者)間での差別化が難しい。このため同社は、これまでにないコンテンツ・サービスの提供で競合するチェーン店との差別化を図るべくカラオケ用新システム「すきっと」を開発した。「すきっと」はユーザー自身のオリジナルコンテンツを取り込む事ができる「参加型カラオケ」との位置付けで、Webサイト「すきっとねっと」と連携したサービスが特徴。具体的には、スマホをリモコンとして利用でき、自分の好きな動画を背景に歌う事ができ、お気に入りの曲が200 曲まで登録可能。また、自分の歌の録音・ダウンロード及び録画・公開が可能な上、原曲に近いサウンドでの採点や自分でカラオケを作る機能も備えている。今後も参加型カラオケの機能に即したアプリケーションを順次リリースして行く予定で、ユーザーの囲い込みを図っていく。「カラオケ本舗まねきねこ」及び「ひとりカラオケ専門店ワンカラ」の3店舗で実施したロケーションテストの結果も良好で、14/8期から導入が始まる(13 年10月より、群馬20店舗から供用開始)。
 
カーブス事業
リーマン・ショック以降、国内フィットネス市場が3,000億円弱で推移する中、カーブス事業は右肩上がりの成長を続けており、現在、フィットネスチェーンとしては国内最大の店舗数を誇る。女性のためのコミュニティ作りが成功のポイントであり、50代以上が会員全体の80.9%を占める。
「~筋トレを歯磨きに~」のコンセプトの下、日本中に運動習慣をひろげるべく改革・改善に継続的に取り組んでおり、当面の目標としていた1500店舗(13/8期末1,339店舗)、70万会員(58.6万人)の達成まであと一歩のところに来ている。ビルインタイプ、ロードサイドタイプ、ショッピングセンタータイプと、多様な出店スタイルも強みであり、また、FC加盟企業の多店舗展開意欲(近年出店店舗の約8割が既存FCの増店)も旺盛な事から未だ出店よりは大きいようだが、中長期的には健康長寿をサポートできる企業(運動・食事・睡眠)へ進化できるか否かポイント。
 
 
温浴事業
シニア・ファミリー層に特化した業態開発に取り組む事で1店舗当たり入場者増と満足度向上を図っていく。燃料価格の変動等でコスト管理の難しい事業だが、省エネ設備導入と人員の効率化など管理オペレーションの向上で14/8期は黒字転換が見込まれる。黒字体質を定着させ多店舗展開を加速させる事で、早期にカラオケ事業、フィットネス事業に次ぐ第3の柱として事業基盤を確立したい考え。
 
 
 
 
2013年8月期決算
 
 
カーブス事業をけん引役に売上・利益が過去最高を更新
売上高は前期比2.3%増の345億15百万円。ボウリング事業の売却が30億円弱の減収要因となった事に加え、東日本大震災後に高まった「安近短志向」の一巡でカラオケ事業の売上もわずかな増加にとどまったものの、店舗数・1店舗当たり会員数共に増加したカーブス事業の売上が同22.4%増と大きく伸びた他、前期オープン店舗が通期で寄与した温浴事業の売上も前期の6億95百万円から15億39百万円に増加した(ボウリング事業を除く4事業ベースでは同12.1%の増収)。

利益面では、温浴事業の店舗増やカラオケ事業における新規出店と大規模リニューアルの増加に加え、ひとりカラオケ専門店「ワンカラ」の業態開発に取り組んだ事等で営業費用が増加したものの、売上の増加で吸収。営業利益は41億51百万円と同1.8%増加した。為替差損益の改善(△11百万円→25百万円)等で経常利益は42億37百万円と同3.4%増加。商業施設(東京都豊島区)の売却益15億35百万円等を特別利益に計上したため、当期純利益は30億72百万円と同34.8%増加した。
 
 
 
売上高187億25百万円(前期比1.0%増)、セグメント利益22億06百万円(同18.1%減)。期末の国内店舗数は前期末比15店舗増の338店舗。22店舗の新規出店を行う一方、7店舗を閉鎖。既存店30店舗で大規模リニューアルを実施した(1組当たりの平均利用客数の減少と利用時間帯別利用客数の変化等に対応した店舗当たりのルーム数の増設等)。
売上の面では、震災後の「安近短志向」が一巡する中、競争激化や景況感の回復を受けた余暇活動の多様化もあり、既存店が苦戦したものの(6億56百万円の減収要因)、前下期から再加速した新規出店効果に加え(6億21百万円の増収要因)、新業態である「ワンカラ」の売上も増加した(2億17百万円増)。一方、利益面では、販管費の伸びを抑えたものの、既存店が苦戦する中で、新規出店の増加(12/8期13店舗→13/8期15店舗)に伴う開店諸費用やリニューアル費用の増加に加え、ひとりカラオケ専門店「ワンカラ」の業態開発等で売上原価が144億28百万円と同4.8%増加した(主に減価償却費、水道光熱費、開店諸費用が増加)。

もっとも、新業態である「ワンカラ」において、ルームや室内設備の改良など使いやすさと過ごしやすさの改善を行う等、業態のブラッシュアップに取組み多店舗展開に向けた基盤整備が進んだ。また、海外展開においても、4月に韓国仁川市内にオープンした3号店(冨平店)が順調に売上を伸ばしており、ビジネスモデルの確立に目処が付いた。この他、来店動機の掘り起こしや競合店との差別化を目的にカラオケ新システム「すきっと」を開発し、14/8期の本格導入に向けた準備も整った。
 
 
売上高138億60百万円(前期比22.4%増)、セグメント利益25億56百万円(同34.1%増)。
順調な店舗運営を背景に加盟店の追加出店意欲が旺盛で、期末のカーブス店舗数が1,339店舗(内グループ直営店44店舗)と前期末に比べて142店舗(11.8%)増加。店舗の増加と1店舗当たり会員数の増加で会員数も586千人と83千人(16.5%)増加し、ロイヤリティ収入等の売上(同社では「ベース売上」と呼んでいる)が8億42百万円増加した他、直営店の売上も2億23百万円増加。プロテインの定期購入を中心に会員向けの物販も12億89百万円増加した。
 
 
売上高15億39百万円(前期比121.2%増)、セグメント損失3億17百万円(前期は3億54百万円の損失)。12年11月に福岡県に「イオン志摩湯処まねきの湯」を開設し、期末店舗数は7店舗。
主な増収要因は、12/8期にオープンした店舗が通期で寄与した事(7億54百万円の増収要因)や新規出店効果(92百万円の増収要因)。損益面では、仕入れ(1億05百万円増)、水道光熱費(2億43百万円増)、地代家賃(1億35百万円増)、人件費(2億11百万円増)等が増加したものの、増収効果(8億44百万円の増益要因)と開店諸費用の減少(1億13百万円の増益要因)により損失が減少した。尚、原油価格の高止まりや円安で燃料費が上昇する等の逆風が吹いたが、期末にかけて各種省エネルギー施策を考案検証しコスト削減に取り組んだ成果が顕在化してきた事に加え、店舗運営の効率化も進んだ。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比6億04百万円増の206億48百万円。固定資産を売却し、売却代金を社債の償還資金等に充てたため、有利子負債が25億56百万円と27億49百万円減少。有利子負債残高が現預金の残高を下回り、実質無借金。営業CFも43億円弱と高水準を維持した。自己資本比率は前期末比11.6ポイント改善の51.5%。
 
 
 
 
2014年8月期業績予想
 
 
前期比10.3%の増収、同11.3%の経常増益予想
売上高は前期比10.3%増の380億59百万円。前期比約3倍の新規出店を計画しているカラオケ事業の売上高が同11.2%増加する他、既存加盟店の追加出店と新商品投入等による会員向け商品販売の増加でカーブス事業の売上が同8.6%増加。温浴事業も、新規の出店計画はないが、新たなコンテンツの投入や各店独自イベントの積極展開等で売上が同23.1%増加する見込み。

営業利益は同11.9%増の46億46百万円。積極的な新規出店に伴う開店諸費用やリニューアル費用の増加等でカラオケ事業の利益が同5.7%減少するものの、増収効果でカーブス事業の利益が同19.5%増加する他、温浴事業も損益が4億10百万円強改善し黒字転換する見込み。一時的な要因が無くなり当期純利益が減少するものの、売上高、営業利益、経常利益は過去最高の更新が見込まれる。
配当は1株当たり年50円を予定(上期末25円、期末25円)。
 
(2)セグメント別予想
カラオケ事業
新規出店効果(前期比約3倍)で売上高が208億28百万円と前期比11.2%増加するものの、開店諸費用やリニューアル費用の増加「すきっと」の開発費の償却も始まるため、セグメント利益は20億80百万円と同5.7%減少する見込み。

新規出店は、まねきねこ45店舗、ワンカラ20店舗の計65店舗と前期(22店舗)の約3倍を計画。併せて、40~50店舗で内外装一新等のリニューアルを実施する(前期は30店舗)。また、カラオケの新しい楽しみ方を提案する「すきっと」の導入を開始し、競合店との差別化と新たな来店動機の掘り起こしに取り組む他、オーナーシップを持った社員の育成と営業の活性化を念頭に社員独立制度「Be Ambitious」を推進する。

海外展開では、韓国において、早期の黒字化に成功した韓国3号店をモデル(郊外型での出店)に積極展開を進める。韓国では、ソウル市の江南(カンナム)にオープンした1号店及び同鍾路(チョンノ)にオープンした2号店が苦戦したものの、仁川市にオープンした3号店が早期の黒字化に成功した。また、11月には海外展開の第2弾として、シンガポールに子会社を設立する予定。
 
カーブス事業
既存加盟店の追加出店を中心に120店舗の新規出店を計画しており(数年前から新規加盟店を抑制)、期末店舗数は1,459店舗となる見込み。

新規出店効果に加え、マーケティングの革新(チラシ、インフォマーシャルなど既存手法の革新と新たな手法の確立)や新商品の開発・投入による物販の増加で売上高が150億46百万円と前期比8.6%増加。限界利益の増加でセグメント利益は30億55百万円と同19.5%増加する見込み。また、「カーブス30分健康体操」の科学的効果検証(メタボ予防、介護予防、認知機能等)にも取り組み、エビデンスの充実を図る。

尚、コミュニティ的な一体感の下で楽しくエクササイズを行う事ができるカーブスは他のフィットネスクラブと一線を画しており、現在、競合らしい競合がない状態。また、1店舗当たりの会員数は損益分岐点(350人~352人)を大きく上回り、各店舗の経営も安定している。エビデンスについては、東北大学内店舗等、大学施設内の店舗で取り組みを進めている。
 
温浴事業
売上高18億94百万円(前期比23.1%増)、セグメント利益94百万円(前期は3億17百万円の損失)。

新規出店の計画はないが、カラオケ健康歌体操教室やロウリュ(熱気浴・蒸気浴)といった新たなコンテンツの開発に加え、新規のファン獲得をも視野に入れた各店独自イベントの積極展開等で既存店の売上増を図る。損益面では、省エネ設備導入と人員の効率化など管理オペレーションの向上で前期に黒字化の目処を付けている。

14/8期に確実に黒字化を達成し、15/8期以降は攻めの経営に転じ、多店舗を進めたい考え。
 
 
 
今後の注目点
円安・株高が進み景況感が改善してきた。景気や個人消費の回復・拡大は同社にとってプラスなのだが、いわゆる財布の紐が緩む際には、一時的に安近短志向と真逆の傾向が強まる。13/8期のカラオケ事業は、こうした傾向が東日本大震災後の安近短志向の高まりの反動が重なり既存店が苦戦した。また、本来、カラオケ事業は新規出店をしなければ、目先の利益が増える事業。しかし13/8期は、既存店が苦戦する中で、抑えていた新規出店を計画通り再加速させたため利益を圧迫した。カラオケ事業は14/8期も減益が見込まれるが、これは前期比約3倍の新規出店によるもの。2期連続の減益だが、原因がはっきりしているためこの面で不安はない。むしろ、「すきっと」導入や社員独立制度「Be Ambitious」の本格化に加え、国内におけるワンカラや韓国での多店舗展開の開始等、好材料が多い。
また、カーブス事業は「コミュニティ的な一体感の下で楽しくエクササイズができる」というコンセプトの浸透とリーズナブルな料金を特徴としており、これらは「レジャー白書2013」(公益財団法人日本生産性本部)が、高齢者が余暇活動を開始・再開する理由として言及している「年齢や健康、体力にあっているから」、「費用が負担できるから」等にも合致する。現状、競合らしい競合もなく、当面の事業展開に不安はない。健康長寿をサポートできる企業(運動・食事・睡眠)へ進化できるか否か、といった長期的な視点からフォローしていきたい。
一方、温浴事業は今期に計画通り黒字を確保できるか否か、が注目点。燃料価格の変動等でコスト管理の難しい事業だが、黒字を確保できれば、来期以降の多店舗展開の本格化が可能となり、第3の収益の柱として展望が開けてくる。