ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.26
(4829:東証2部) 日本エンタープライズ |
|
||||||||
|
企業名 |
日本エンタープライズ株式会社 |
||
社長 |
植田 勝典 |
||
所在地 |
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8 |
||
決算期 |
5月 末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年5月 | 4,134 | 372 | 391 | 354 |
2012年5月 | 2,790 | 304 | 318 | 170 |
2011年5月 | 2,370 | 266 | 283 | 168 |
2010年5月 | 2,147 | 150 | 173 | 77 |
2009年5月 | 2,475 | 292 | 317 | 175 |
2008年5月 | 3,123 | 572 | 578 | 272 |
2007年5月 | 3,677 | 774 | 783 | 447 |
2006年5月 | 3,416 | 694 | 688 | 418 |
2005年5月 | 3,018 | 587 | 570 | 348 |
2004年5月 | 1,958 | 205 | 168 | 226 |
2003年5月 | 1,752 | 134 | 131 | 58 |
2002年5月 | 1,704 | 51 | 53 | 23 |
2001年5月 | 1,417 | 301 | 262 | 126 |
株式情報(10/1現在データ) |
|
|
今回のポイント |
|
会社概要 |
自社制作へのこだわり
配信するコンテンツを自社制作する事で「提供するコンテンツの権利を自社で保有(高い収益性を実現できる)」する同社独自のビジネスモデルをベースとし、携帯電話販売会社との協業による成功報酬型コンテンツ販売(独自に開発したリアルアフィリエイト)システムと連動させる事でコンテンツの拡販に成功している。
企業グループ 連結子会社7社、非連結子会社3社
グループは、広告事業を手掛ける(株)ダイブ、音楽事業等を手掛けるアットザラウンジ(株)、交通情報を中心にした情報提供の交通情報サービス(株)、Web・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等の(株)フォー・クオリア、中国事業の統括に加え、携帯電話販売店を手掛ける因特瑞思(北京)信息科技有限公司、モバイルコンテンツの企画・開発・配信の北京業主行網絡科技有限公司、IT系の教育事業を手掛ける瑞思創智(北京)信息科技有限公司の連結子会社7社、及び音声通信関連のソリューションを手掛ける(株)and One、モバイル向けコンテンツ配信やキャラクタライセンス事業の瑞思放送(北京)数字信息科技有限公司、インド現地法人NE Mobile Services(India)Private Limitedの非連結子会社3社。
【成長戦略】
フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行に伴うモバイル環境の変化に対応した施策を国内外で進めている。国内においては、携帯電話販売会社とのアライアンス、移動体通信事業者(以下、キャリア)の定額・使い放題サービスへの自社開発コンテンツ配信(auスマートパス、YAHOO!プレミアム、スゴ得コンテンツ)、業務ソリューションとしてのリバースオークション(日本オープンマーケット)の開設やIP-PBXソリューションの展開等、コンテンツサービス事業とソリューション事業の両事業でスマートデバイス時代に対応するべく事業領域の拡大に取組んでいる。一方、海外においては、膨大な人口を抱え今後の成長が期待される中国とインドで事業基盤の構築に取組んでおり、中国では、電子コミックの配信事業と携帯電話販売事業(チャイナテレコムの携帯電話販売店を2店舗オープン済み)が軌道化しつつある。また、インドでは電子書籍配信を展開しており、スマートフォンやタブレットの普及が追い風になっている(11年12月に提携先であるインドのライフスタイルマガジン大手MAGNA社が出版している雑誌の電子(iPadアプリケーション)配信を開始した)。 |
14/5期の取り組みと進捗状況 |
(1)国内事業 スマートデバイス時代に対応したコンテンツの開発・販売と事業領域の拡大
コンテンツサービス事業 携帯電話販売会社との協業、定額制・使い放題サービスへのコンテンツ提供、メッセンジャーアプリ
フィーチャーフォンからスマートフォンへ移行するユーザーの取り込みが進んでおり、5月にはスマートフォンの月額課金会員が全体の50%を超えた(8月末現在のスマートフォン月額課金会員比率は55%)。キャリアの定額制・使い放題サービスへのコンテンツ提供や携帯電話販売会社との協業が成果をあげており、また、14/5期第1四半期は、メッセンジャーアプリ向けスタンプやスタンプ自体を自ら制作するアプリ「スタンプ工房」(App Store及びGoogle Playストア)の提供を開始する等、新たな取り組みとしてメッセンジャーアプリ関連にも力を入れた。尚、第2四半期(9-11月)入りした9月には、NTTドコモのiPhone向け月額課金サイトにiPhone発売日の20日に即日対応。また、メッセンジャーアプリ関連では、同月12日に世界230カ国1億人以上の利用者を持つスマートフォン用無料通話・無料メールアプリ「カカオトーク」(英語名:KAKAOTALK、http://www.kakao.co.jp/)で利用できる有料スタンプ「オワタパンダ」の提供を開始した(「オワタパンダ」は同社のデコメール総合サイト「デコデコメール」内で人気のキャラクター)。 ソリューション事業 広告(店頭アフィリエイト)、スマートフォンアプリのアライアンス、業務(コスト削減)ソリューション
他社コンテンツの販売にかかる収益である広告(店頭アフィリエイト)売上やスマートフォンアプリのアライアンス事業の拡大(新たなプラットフォームへの参入等)に取組んでいる。前者では、携帯電話販売店に限らず、対面販売を行う異業種小売店の開拓を進めており、後者では、サンリオのインターネットプロバイダーサービス「サンリオウェーブ」と提携し、7月よりNTTドコモがゲームを提供するモバイルサイト「dゲーム」向けに箱庭ゲーム(箱庭的世界を外から眺めるタイプの育成シミュレーションゲーム)「るんるんはろーきてぃ」(原則無料だが、一部課金あり)の提供を開始した。また、同社は、新たな収益源として、業務ソリューションの育成にも取り組んでおり、この一環として、6月にリバースオークション専用ポータルサイト「日本オープンマーケット」(http://www.open-markets.jp)を正式にオープンした他、7月にIP-PBXソリューション「AplosOne(アプロスワン)」を開始した。 「日本オープンマーケット」は業界唯一のリバースオークション専用ポータルサイトであり、物品の調達案件を一般公募する事で公明正大な調達を求める企業や教育機関(以下、バイヤー)等と優良な販売業者(サプライヤー)との取引を実現する。7月には、リバースオークション&見積り徴収システム「Profair(プロフェア)」の提供をASP方式で開始した。「Profair」はバイヤー・サプライヤー双方の使い勝手の向上に寄与するため、立ち上げ間もないリバースオークションの利用促進の起爆剤として期待されている(8月に国立大学、私立大学向けに記念キャンペーンを開始した)。 一方、IP-PBXソリューション「AplosOne(アプロスワン)」は、3月に子会社化した音声通信関連のソフトウェア開発会社(株)and Oneの製品で、オープンソースソフトウェア“Asterisk (アスタリスク)”をベースに、日本の電話文化に適応するよう独自開発を加えたソフトウェアIP-PBX。従来高価なハードウェアPBXでしか実現できなかった企業向けの構内電話交換機能を低コストで実現するもので、安価な汎用サーバでIP電話システムを設定する事ができ、通話録音機能やIVR(音声による自動応答システム)の導入等も可能になる。 今後、業務システムとの連携、アプリケーション・ソフトウェアの開発、電話サービスの新商品等、同社グループならではの機能を付加し、内容を充実させていく考え。 (2)海外事業 電子コミック配信事業と携帯電話販売事業で進む中国での足場固め
米国の調査会社IDCによると、2013年のスマートフォン出荷台数世界NO.1は3億台を超える中国で(2位米国1億37百万台、3位英国35百万台)、2018年には中国のスマートフォン出荷台数が4億57百万台に拡大すると言う(2位:米国1億83百万台、3位:インド1億55百万台)。同社は中国とインドで事業基盤の構築に取組んでおり、特に中国においては、電子コミックの配信事業と携帯電話販売事業で足場固めが進んでいる。
中国事業
中国の作家や出版業界と連携して事業を進めている電子コミック(漫画)配信事業では、中国の人気小説「九鼎記」を漫画化した電子コミックが大ヒットしている((中国の移動体通信トップのチャイナモバイルの「動漫基地」に配信)。現在、「九鼎記」の配信先の拡大とラインナップの拡充に取組んでおり、中国の移動体通信事業者で3位のチャイナユニコム「動漫基地」への配信が始まった他、同2位のチャイナテレコム(固定電話で中国トップ)「動漫基地」及びチャイナモバイル向けで2つ目の配信サイト「閲読基地」への配信準備が進められている。また、新規タイトルについては10月の配信開始が予定されている。 携帯ショップ運営(事業主体は因特瑞思(北京)信息科技有限公司)
チャイナテレコムとの提携の下、12年12月に第1号店「東方路店」をリニューアルオープンし(既存店の運営を引き継ぎ、新たにオープン)、4月に第2号店「黄金城道店」を新規オープンした(共に上海市内)。リアル店舗の出店は中国での新たな事業の創造を念頭に置いたもので、中長期的には移動体通信事業者とのアライアンスによる店頭アフィリエイト(コンテンツ販売)事業に発展させていきたい考え。また、販売ノウハウ(日本式おもてなし、体験型店舗、日本の先進的デザイン等)の吸収といった面で、提携先であるチャイナテレコムの期待も大きいようだ。足元、9月からのiPhone5sの発売に合わせて、「東方路店」、「黄金城道店」共に販売を強化している。 |
2014年5月期第1四半期決算 |
先行投資負担が利益を圧迫したものの、売上は順調。四半期ベースで7期連続の増収
売上高は前年同期比26.2%増の11億39百万円。フィーチャーフォンからスマートフォンへシフトするユーザーの取り込みが進み、コンテンツサービスの売上が5億79百万円と同20.8%増加。中国での携帯電話販売事業の寄与と広告(店頭アフィリエイト)売上の増加でソリューション事業の売上も5億59百万円と同32.4%増加した。一方、営業利益は59百万円と同35.4%減少。中国での携帯電話販売や広告(店頭アフィリエイト)売上の増加による売上構成比の変化で原価率が上昇(51.3%→54.2%)する中、コンテンツサービス事業における積極的な広告宣伝費の投下(59百万円→1億13百万円)等で販管費が4億61百万円と同32.9%増加した。 尚、原価率は、足元、落ち着きつつあり前四半期との比較では横ばい。また、四半期純利益が増加したのは、投資有価証券売却益1億07百万円を特別利益に計上したため。 尚、携帯電話販売会社との協業による自社コンテンツの販売については、コンテンツサービス事業のアライアンス型月額課金コンテンツ販売として売上計上され、携帯電話販売会社との協業による他社コンテンツの販売については、ソリューション事業において広告(店頭アフィリエイト)売上として売上計上される。 |
2014年5月期業績予想 |
通期業績予想に変更はなく、4期連続の増収、増益へ
売上高は前期比20.9%増の50億円。アライアンスによるコンテンツ販売や定額・使い放題サービスへのコンテンツの提供の増加等でコンテンツサービス事業の売上が25億27百万円と同17.9%増加。ソリューション事業も、スマートフォン関連の開発案件の増加や広告(店頭アフィリエイト)の堅調な推移に加え、中国での携帯電話販売事業の増収が見込まれ、売上が24億73百万円と同24.2%増加する見込み。利益面では、効率化を念頭に置きつつ広告宣伝費の積極的な投下が続く見込みだが、アライアンスによる自社コンテンツの販売による月額課金会員の増加等による売上構成の良化で売上総利益率が改善。売上の増加と相まって、営業利益は5億20百万円と同39.7%増加する見込み。 尚、13年12月1日を効力発生日として、1株を100株に分割すると共に、100株を1単元とする単元株制度へ移行する予定。このため、配当は1株当たり2円の期末配当となるが、実質的には、20円増配の200円(2期連続の増配)。 |
|
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |