ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

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ブリッジレポート:(2435)シダー vol.24

(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート vol.24】2014年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「13/3期は4月の介護報酬改定の影響や新規開設に伴う初期費用負担もあって大幅な経常減益となった。14/3期は前期から進めている介護報酬改定へ・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年10月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 10,097 198 1 -13
2012年3月 9,614 421 430 224
2011年3月 8,746 225 295 158
2010年3月 8,332 408 419 237
2009年3月 7,075 149 100 46
2008年3月 5,921 56 42 16
2007年3月 4,519 -403 -406 -247
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(8/30現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
400円 5,737,957株 2,295百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 29.98円 13.3倍 229.77円 1.7倍
※株価は8/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
シダーの2014年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針としており、総勢122名を数えるリハビリ職員の規模は介護サービス事業者の中では出色。
 
 
同社のリハビリトレーニングの考え方
「リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張る」というものではなく、今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年、もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行う事が目的。
 
【事業セグメント】
事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。13/3期の売上構成比は、それぞれ31.5%、60.8%、7.7%。
2013年3月31日現在の拠点数は次の通り。
 
 
【沿革】
 
 
前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現社長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は介護保険法改定の影響を受け減益となった。
 
【事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】
同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。
 
 
 
デイサービス施設では80人規模施設の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。
 
 
施設サービスでは、1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。積極的に開設を行っている。
 
【12年度の介護保険法改定による影響】
12年度の改定(12年4月から実施)で同社が影響を受けるのは、デイサービスにおける介護報酬の改定や個別機能訓練加算の再編、及び施設サービスにおける特定施設入居者生活介護費の改定であり、同社は次のような対応を行っている。
 
(1)デイサービス事業における対応
①介護報酬の改定(提供時間区分の再編と報酬の見直し)
今回の改定では時間区分が再編され、介護報酬の基準単位の見直しが行われた。具体的には、提供時間が5時間以上7時間未満では介護報酬の基準単位が引き下げられ(8.8%~11.1%のダウン)、7時間以上9時間未満では基準単位が引き上げられた(1.9%~5.6%のアップ)。
 
 
尚、通所介護施設は、1月当たりの平均延人員数が300人以下の小規模型、301人以上750人以下の通常規模型、751人以上900人以下の大規模型(Ⅰ)、及び901人以上の大規模型(Ⅱ)に分かれ、同社の施設は全て大規模型(Ⅱ)に該当される。今回の改定では、小規模型、通常規模型、大規模型(Ⅰ)、大規模型(Ⅱ)の全ての区分で上記の見直しが行われた。
 
同社の対応
女性スタッフが多い中、勤務時間の延長により離職率の高まることを考慮し、"5時間以上7時間未満"を提供していた。しかし、"7時間以上9時間未満"を利用したい顧客の足が遠のいてしまった為、より多くの顧客ニーズに応えることが出来るよう提供時間区分を見直した。
 
 
 
※新設された個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件
5人程度以下の少人数のグループを対象に、専従の理学療法士、作業療法士等が週1回以上、日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標を設定し、訓練を実施した場合に算定できる。又、個別機能訓練加算(Ⅰ)との併算定が可能。
 
同社の対応
デイサービス内でのグループ分け等を行い、算定可能な施設は積極的に加算を算定していく。
 
(2)施設サービス事業における対応
特定施設入居者生活介護費の改定
特定施設入居者生活介護費の介護報酬の基準単位の見直し(引き下げ)が行われた。
 
 
同社の対応
既存入居者1人当たりの収益が減少するものの、新規入居者の促進を図る事でカバーしていく考え。
 
【損保ジャパンとの資本・業務提携】
昨年9月20日に高齢社会戦略1号投資事業有限責任組合(出資者99.25%株式会社損害保険ジャパン)により公開買付けが行われた。同組合(実質損保ジャパン)はシダーの34%を保有する筆頭株主となる。損保ジャパンと業務提携を結び、損保ジャパンの数多くある支店や代理店を活用し、入居者や利用者を紹介するというメリットが生じることとなる。
 
 
2014年3月期第1四半期決算
 
 
3.8%の増収、経常利益は黒字転換
売上高は前年同期との比較で3.8%増の2,605百万円。主に昨年度に新規開設した施設で、新規利用者の獲得と充実したサービスを提供することで、施設稼働率の向上に努めた。利益面では、昨年度の介護報酬の改定による影響をコスト削減等の対策を打った。効率的な施設運営と経費削減に取り組み利益率の改善に注力、営業利益は前年同期比10倍となる166百万円と大きく改善した。前年同期赤字の経常損益、純損益は黒字転換した。
 
 
デイサービス事業
売上高は前年同期との比較で3.6%増の830百万円、セグメント利益は同150.7%増の126百万円。一部の事業所においては同業他社の参入等により、利用者数が計画を下回る状況となった。しかし、「7時間以上9時間未満」のサービス提供時間を採用し、より多くの利用者の要望に対応できるようサービスの内容と質の向上に努めた。労務費を中心にコスト管理を徹底し大幅な利益改善となった。
 
施設サービス事業
売上高は前年同期との比較で4.8%増の1,583百万円、セグメント利益は同72.6%増の194百万円。既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めた。新規開設に伴う初期費用がなくなったこともあり大幅な増益となった。
 
在宅サービス事業
売上高は前年同期との比較で3.1%減の190百万円、セグメント利益は0百万円(前年同期は1百万円の損失)。利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力した。
 
 
1Q末の総資産は前期末比626百万円増の13,598百万円。現預金が421百万円増加した。負債については前期末比5億52百万円増の12,206百万円となった。有利子負債が288百万円増加した。また、株主資本は前期末比74百万円増加して1,392百万円となった。自己資本比率は前期末と同水準の10.2%となった。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比6.9%の増収、経常減益は大幅増の予想
通期予想に修正はなく売上高は6.9%増、経常利益は13/3期の1百万円から312百万円へ大幅に増加する見通し。新規に有料老人ホーム4施設、デイサービス1施設の出店を予定する。コンプライアンスを重視した施設運営と内部管理体制の整備・強化を進めるとともに、社員の教育・研修に注力し顧客満足度の向上に取り組む。新規開設した施設や既存施設の利用者獲得、デイサービスの時間区分の見直しにより増収を見込む。利益面では増収効果と効率的な経費コントロールにより大幅増益となる見通し。配当は5円の期末配当を予定。
 
 
 
 
今後の注目点
13/3期は4月の介護報酬改定の影響や新規開設に伴う初期費用負担もあって大幅な経常減益となった。14/3期は前期から進めている介護報酬改定への対応が業績に反映しそうだ。1Qの経常利益は上期予想に対して65%の高進捗となっており、大幅増益を目指す通期予想の達成も視野に入ってきた。損保ジャパンとの提携の効果も徐々に収益貢献するだろう。V字回復は始まったばかりである。