ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.34

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.34】2013年9月期第3四半期業績レポート
取材概要「米国景気回復に伴うQE3解除に対する懸念があるものの、足元6月の米国自動車販売台数(乗用車と小型トラック)は季節調整済み年率換算(SAAR・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年8月20日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年9月 8,606 97 143 65
2011年9月 9,047 395 371 217
2010年9月 10,078 898 978 638
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(8/5現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
903円 13,772,097株 12,436百万円 1.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.00円 2.9% 53.00円 17.0倍 439.88円 2.05倍
※株価は8/5終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
SHOEIの2013年9月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界60カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
① 「世界一の品質」…Made In Japanのグローバルブランド
② 「世界一のコスト競争力」…ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
③ 「世界一の楽しい会社」…お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及
という、3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
【事業内容】
二輪乗車用ヘルメット(以下、「プレミアムヘルメット」)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】
・自分の会社は自分で守る
・Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)
・健全な財務内容の堅持
・投資の継続(新製品開発,コストダウン,品質向上,より確かな安全)
・世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指す
・新市場開拓と既存市場の深堀り
・利益の公平、公正な分配(50%配当性向,従業員への配分、会社への分配(内部留保))
 
【SHOEIシステムヘルメットの新製品】
機能とデザインを、ひとつの形に。新世代のツーリングフルフェイスを創るにあたり、まずSHOEIが考えたこと。それは、確かな安全性や機能と、スタイリッシュなデザインの融合。 ツーリングフルフェイスとしての新基準を、「GT-Air」が創ります。
 
開閉式インナーサンバイザーなど、ツーリングに求められるあらゆる機能を装備した革新のオープンフェイス「J-Cruise」に、グラフィックモデル"CORSO"(コルソ)が新たにラインナップ。
 
空力、デザイン、快適性、そして安全性。全てに究極を求めた、トップレーシングモデル「X-TWELVE」に2013年シーズンより新たなグラフィックとなった、柳川 明選手のレプリカモデル「X-TWELVE・YANAGAWA 2」が新たにラインナップ。
 
(同社Webサイトより)
 
 
2013年9月期第3四半期決算
 
 
前年同期比20.1%の増収、同358.7%の経常増益
売上高は前年同期比20.1%増の78.2億円。国内市場は、2輪車市場の底打ちと新製品効果による販売の増加に加え、防衛省向けの販売の増加により前年同期比31.6%の大幅増加。海外市場も、同16.1%の増加。欧州は、今年前半の悪天候と南欧市場の低迷が影響したものの、新製品投入の効果により同18.5%の回復。また、北米も現地代理店の仕入調整が一巡する中、欧州同様新製品効果により同14.8%の増加。加えて、アジア、オセアニア市場も順調に推移した。更に、同社の期中平均レートが、ドル円において前年同期比18.81円の円安となったことや、ユーロ円において同26.98円の円安となったことも売上高の増加に寄与した。
利益面では、売上高の増加、円安の影響、ヘルメット販売の好調に伴う工場稼働率の回復などにより、単体の損益中心に大幅に改善。連結ベースの粗利率は5.4%の大幅上昇。コストダウンを中心に、売上高販売管理費率も4.9%大幅に低下したことから、営業利益は、前年同期の164百万円から、1,005百万円へ大幅に増加した。為替予約の影響で、営業外費用に為替差損(41百万円)を計上したことや前年同期の特別損益に計上した雇用調整助成金(22百万円)がなくなったことなどから、経常利益以下の増益率は縮小した。
 
 
 
 
 
 
 
今四半期末の総資産は前期末比18.1億円増の94.5億円。仕入債務の増加や業績回復による利益剰余金の増加などにより、現預金が11.3億円増加した。総資産の約42%を現預金が、約82%を流動資産が占める等、資産の流動性が高く、しかも無借金。自己資本比率も約75%と、高水準を維持している。
 
 
2013年9月期業績予想
 
 
通期業績予想は、前期比+26.0%の増収、同+736.4%の経常増益
13/9期の業績予想は、売上高が26.0%増の10,840百万円(修正前予想10,700百万円)、経常利益が736.4%増の1,200百万円(同1,000百万円)へ上方修正された。売上面では、販売数量の増加に加え、為替相場が前回の想定レート(下期の為替相場の想定レートは1米ドル95.00円、1ユーロ125.00円)より円安で推移していることから単体の売上高中心に4月25日の修正計画を上回る見込みとなった。地域別の売上高では、北米及びその他地域の修正額が大きくなっている。各利益についても販売数量の増加に加え、為替相場の円安を受け上方修正された。販売数量の増加に加え、従来から進めている投資対効果と費用対効果の実践や経費の圧縮による売上原価率の低下や、更なる販売管理費圧縮の取り組みを通じて利益水準の回復を目指している。第4四半期の想定為替レートは、売上換算レートが、1米ドル100.49円、1ユーロ129.14円(予約レート)、海外子会社換算レート(平成25年6月28日現在)が1米ドル98.59円、1ユーロ128.53円となっている。
また、1株当たり期末配当金も4月25日に修正された21円から、今回修正後の1株当たり連結当期純利益53円の50%相当額である26円予定に上方修正された(前期比24円の増配)。
 
 
2013年9月の重点施策
(販売面)
 ① ツーリング用モデルの強化など需要の変化に対応した新製品の投入
 ② 国内・欧州市場での販売増加
(経費削減面)
 ① 恒常的な製造原価の低減
 ② P/L保険の見直し
 ③ 輸出業務の自社への取り込みと直接金融への転換
 ④ SNSのグローバルな活用など広告宣伝費の費用対効果見直し
 
 
今後の注目点
米国景気回復に伴うQE3解除に対する懸念があるものの、足元6月の米国自動車販売台数(乗用車と小型トラック)は季節調整済み年率換算(SAAR)で1,596万台となるなど回復感を強めている。今後北米の2輪車市場においても低金利による消費回復の動きが波及するものと思われる。また、日本においても、アベノミクスがもたらした円安・株高による景況感の改善が期待される。更に、同社にとって最大の市場である欧州においてもECBの施策により財政危機への懸念が後退し、各国の経済統計に回復の芽が出てくるなど同社を取り巻く経済環境は好転している。
同社は、ここ数年の厳しい円高と悪化する経済環境の中で、顧客ニーズを満たす新製品開発並びに売上原価と販売管理費圧縮の取り組みを強化したことから、確実に企業体質は強化され、販売回復時に利益が出やすい構造となっている。米ドル、ユーロとも過度な円高が修正され、競合メーカーとの価格競争力、品質競争力、或いはヘルメット毎の採算性などが向上しているものと思われる。今期は、新製品開発が成功し、業績はV字回復となった。来期においても、今期同様に新製品開発の質が業績拡大の鍵を握るものと思われる。好転する経済環境の中で、継続的に顧客ニーズを満たす製品が投入できれば、来期以降の業績回復ピッチは更に加速するものと予想される。今後の新製品の開発状況と販売状況に注目したい。