ブリッジレポート:(2462)ジェイコムホールディングス vol.25
(2462:東証1部) ジェイコムホールディングス |
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企業名 |
ジェイコムホールディングス株式会社 |
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社長 |
岡本 泰彦 |
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所在地 |
大阪市北区角田町8番1号 梅田阪急ビルオフィスタワー19階 |
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決算期 |
5月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年5月 | 15,196 | 798 | 906 | 599 |
2012年5月 | 17,518 | 914 | 1,044 | 603 |
2011年5月 | 15,905 | 901 | 955 | 489 |
2010年5月 | 13,522 | 789 | 834 | 475 |
2009年5月 | 14,162 | 913 | 953 | 340 |
2008年5月 | 12,404 | 885 | 907 | 489 |
2007年5月 | 9,605 | 812 | 786 | 444 |
2006年5月 | 6,657 | 594 | 552 | 274 |
2005年5月 | 4,684 | 284 | 281 | 152 |
2004年5月 | 3,271 | 142 | 141 | 56 |
2003年5月 | 2,222 | 90 | 88 | 45 |
2002年5月 | 1,616 | 77 | 76 | 40 |
2001年5月 | 1,369 | 73 | 70 | 34 |
株式情報(7/23現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【事業セグメント】
事業セグメントは、人材派遣、業務受託、紹介予定・職業紹介等の総合人材サービス事業と、携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業に分かれ、13/5期は前者が連結売上高の約96%を占めた。また、総合人材サービス事業は、契約形態別に、派遣契約、業務委託契約(同社から見た場合、業務受託)、及び紹介予定・職業紹介契約に分かれ、セグメント内の売上構成比(13/5期、以下同じ)は、それぞれ63.9%、34.5%、1.6%。一方、業界別では、携帯電話業界86.3%、アパレル業界8.4%、情報通信業界2.1%等。また、地域別では、東日本地区48.8%、西日本地区40.1%、東海地区11.1%。
【強みと成長戦略】
主力の携帯電話業界向け人材サービスにおいては、業界特化により蓄積してきたノウハウ、コミットした販売台数の達成率を含めた豊富な営業実績、更には接客だけでなく在庫管理や人員配置など販売に関する全業務への対応力といったサービス面でのアドバンテージに加え、安定した資本力(無借金経営)や東証一部上場企業ならではのコンプライアンスといった非サービス面での強みを有する。現在、この磐石な事業基盤を背景に第2の柱であるアパレル業界向けが伸びている他、第3の柱の育成に取り組んでおり、保育業界や介護業界向けでも成果を挙げつつある。
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グループ戦略と14/5期の重点施策 |
(1)グループ戦略
ジェイコムグループは、若年層を中心とした社会進出支援を行う事を企業目的として、携帯電話業界向けの販売スタッフ派遣を中心に事業展開してきたが、更なる社会への貢献(求職者と求人企業の最適なマッチングによる就業支援)と飛躍を念頭に、携帯電話業界向けサービスを企業グループの中心に据えつつ、第二の柱であるアパレル業界向けに次ぐ、第三の柱となる事業の確立に取り組んで行く考え。
(2)14/5期の重点施策
①事務及びWeb・IT分野の強化とサービス品質の向上に向けた教育研修体制の強化・充実、②新規事業の確立、③グループ会社の管理体制強化、④事業環境に迅速に対応できるコンプライアンス体制の維持、の4点を重点施策として掲げている。
①事務及びWeb・IT分野の強化とサービス品質の向上に向けた教育研修体制の強化・充実
13年6月、事務職を中心にした人材サービスとビジネススクール・企業研修等を手掛ける(株)エースタッフを子会社化すると共に、ITスクール運営、企業研修、及びシステム開発を手掛ける(株)シンクスバンクに資本参加した。
(株)エースタッフ(大阪市北区)の子会社化
6月28日に、生産財・住設建材・家庭機器等の専門商社(株)山善の子会社で、人材サービス事業やビジネススクール事業を展開する(株)エースタッフの全株式を取得した(取得価格55百万円)。(株)エースタッフの事業は、人材サービス事業とビジネススクール事業に分かれ、人材サービス事業では、一般事務、営業事務、貿易事務など事務職の人材派遣、紹介予定派遣、人材紹介を手掛けている。一方、ビジネススクール事業では、「エースタッフビジネススクール」として、パソコン講習会、企業研修、更には公共団体等を対象にした職業訓練受託等のサービスを提供している。親会社だった(株)山善向けのサービスを中心に事業規模は年商3億円程度。利益も計上しているが(13/3期:純利益4百万円)、労働者派遣法の改正で特定顧客(親会社も対象)への過度の依存が規制された事に加え、本業に経営リソースの集中を図りたい(株)山善の意向もあり、今回の株式譲渡となった。 ジェイコムグループでは、これを機に事務職関連の人材サービスを育成・強化していく考え。また、(株)エースタッフについては、これまで関西圏に限られていた事業エリアを全国に広げていく計画で、首都圏での拠点開設と(株)山善の首都圏拠点への人材サービスの提供も決まっている。 (株)シンクスバンク(東京都渋谷区)の株式取得
また、IT人材育成スクール運営等の(株)シンクスバンクに出資すると共に(6月27日:175株、出資比率19.4%)、新株予約権付社債を取得した(6月28日:30百万円、300 株分の新株予約権)。(株)シンクスバンクは、ITスクール運営、企業研修、及びシステム開発を事業領域としており、高度なIT技術者の養成を目的としたパソコン教室「KEN School」は業界屈指の就転職実績を誇る。ジェイコムグループでは、今回の提携を、IT業界へ本格展開するための足掛かりとしたい考えで、IT業界向け人材の確保・育成と同業界向けサービスの拡大へつなげていく。 ②新規事業の確立
携帯電話業界向けサービスに次ぐ第二の柱としてアパレル業界向けサービスが順調に拡大しており、また、未だ寄与度は小さいものの、サクセスホールディングス(株)とノウハウを共有できる保育業界向けサービスや需要の高い介護業界向けサービス等でも成果をあげつつある。
アパレル分野
アパレル業界においてデザイナーやパタンナー等の豊富な人材紹介実績を有する(株)アイ・エフ・シーと展開力・営業力・採用力を強みとするジェイコム(株)とのシナジーに加え、競合他社にない提案力・マッチング力や全国的な拠点展開による地方案件への対応力等が評価されており売上が順調に伸びている。
保育分野
持分法適用関連会社サクセスホールディングス(株)が、グループで認可保育園・認証保育所、公設民営保育園、更には学童クラブなど54ヵ所を運営している他、東京大学、大阪大学等の学校、或いは病院や企業の保育施設151ヵ所以上の運営も受託している。JASDAQ上場や東証2部上場に伴う信用力やメディアからの注目度の高まりで、公的保育・受託保育共に事業拡大が加速している。新設した人材開発部を中心にジェイコムグループとの連携を強化する事で、保育士確保を全国規模で進めていく考え。一方、ジェイコム(株)は保育士経験のある若年女性を中心とした求職者や保育業界での勤務を希望する求職者へ「働く」機会と喜びを提供しており、サクセスホールディングス(株)との連携強化の観点から、同社株式を買い増しした(保有割合 17.7%⇒20.2%)。また、サクセスホールディングス(株)から人材を招聘(転籍)し保育士の採用代行を強化した事が成果をあげ、人材と案件とのマッチング力が高まり稼働率が向上している(サクセスアカデミー(株)以外の保育施設への保育士紹介・派遣も伸びている)。保育サービスのノウハウを蓄積する事で、保育分野の一段の拡大に向けた新たな展開も模索していく考え。 ③グループ会社の管理体制強化
13年4月にサクセスホールディングス(株)が東証2部に株式を上場したが、高収益体制を維持できるよう引き続き管理面・営業面からサポートしていく考え。エースタッフやシンクスバンク等他の事業会社も同様にサポートしていく。
④事業環境に迅速に対応できるコンプライアンス体制の維持
法改正や規則の情報をグループ間で共有し、社員・スタッフ一人ひとりへ法令順守の意識付けを恒常的に実施する。また、現場重視を徹底して、コンプライアンス違反が起こりにくい環境を作る。
(5)事業環境(中期見通し)
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2013年5月期決算 |
前期比13.3%の減収、同13.3%の経常減益
売上高は前期比13.3%減の151億96百万円。スマートフォン市場の活況を受けてマルチメディアサービス事業の売上が6億25百万円と同18.5%増加したものの、主力の総合人材サービス事業の売上が145億70百万円と同14.2%減少した。総合人材サービス事業では、スマートフォンの急速な普及で想定以上に業務量が増加し不採算となっていた業務受託案件を派遣契約に切り替えた(12/5期第3四半期に実施)影響が期を通して現れた他、販売員の直雇用化(後述)で一部の通信キャリア向けが大きく落ち込んだ事も響いた。尚、不採算の要因となった想定以上の残業の発生は、対応する客数の増加と商品・料金体系の複雑化に伴う1人当たり接客時間の増加が要因。利益面では、契約内容変更効果と利益重視の受注活動の成果で期末にかけて売上総利益率の改善が進み、販管費も減少したが、減収の影響をカバーできず営業利益が7億98百万円と同12.7%減少した。売上総利益率の改善は、受注額の改定(上積み)や派遣契約への切り替えで不採算な業務受託案件を一掃した事が大きいが、人材紹介の強化などサービスを拡充した効果もあった。一方、販管費については、販売業務スキルや知識の高度化等で要員確保が難しくなっている携帯業界向けを中心に採用教育費が増加したものの、グループをあげての経費節減の成果が現れた他、売上の減少でラウンダー等の人件費や営業変動費も減少した。 当期純利益が同0.6%の減少にとどまったのは、投資有価証券売却益や持分変動益の計上で特別損益が改善したため。 予想との比較
予想との比較では、第3四半期決算発表時の修正予想を上回ったものの、期初予想(売上高195億円、営業利益11億50百万円、経常利益12億28百万円、当期純利益7億20百万円とは大きくかい離した。要因は売上の下振れで、一部の通信キャリアで直雇用化が急遽決まった(抵触日への対応方針を急遽変更した)事や、抵触日を迎える派遣契約の終了を前倒しで進めた通信キャリアがあったため。いずれも期中に計画が変更されたためであり、こられの影響を期初予想には織り込む事ができなかった。
(2)総合人材サービス事業の動向
既に説明したとおり総合人材サービス事業の売上高は145億70百万円と前期比14.2%減少した。契約形態別では、前期第3四半期に実施した不採算案件対策の影響で業務委託契約の売上が減少した他、抵触日の到来に伴う派遣契約の終了や一部通信キャリアによる直雇用化で派遣契約の売上も減少。一方、携帯電話業界に加え、保育・介護業界でも実績をあげた紹介予定・職業紹介の売上が増加した。
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2014年5月期業績予想 |
前期比1.3%の減収、同0.1%の営業増益予想
引き続き携帯電話業界の人材需要は旺盛だが、一部の通信キャリアによる直雇用化の影響が残る上期の苦戦が響き、売上高、利益共に前期並みにとどまる見込み。ただ、下期に限れば、直雇用化の影響が一巡する上、上期に実施したM&A(後述)効果や保育業界向け人材サービスの寄与が見込まれ、前年同期比17.1%の増収、同72.4%の営業増益見込み。配当は1株当たり30円の年配当を予定している(上期末15円、期末15円)。 ※上期は適正価格での受注に徹する事で原価率の改善が続くものの、売上が減少する中、下期を見据えて人員体制を維持するため、営業利益率が悪化する(5.9%→3.7%)。
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