ブリッジレポート
(6050) イー・ガーディアン株式会社

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ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.9

(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン 企業HP
高谷 康久 社長
高谷 康久 社長

【ブリッジレポート vol.9】2013年9月期第2四半期業績レポート
取材概要「ネットワーク犯罪やなりすましによる不正アクセス禁止法違反等のサイバー犯罪は年々増加傾向にあり、いわゆる「コンプガチャ」問題をきっかけに・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年6月18日掲載
企業基本情報
企業名
イー・ガーディアン株式会社
社長
高谷 康久
所在地
東京都港区麻布十番1-2-3
決算期
9月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年9月 2,155 71 99 42
2011年9月 1,907 176 161 88
2010年9月 1,340 204 212 119
2009年9月 858 123 123 116
2008年9月 461 0 0 -5
2007年9月 362 15 15 -6
2006年9月 606 -9 -17 0
2005年9月 684 6 3 -133
2005年3月 1,425 79 77 43
株式情報(6/6現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,139円 1,618,653株 3,462百万円 5.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 71.66円 29.8倍 608.65円 3.5倍
※株価は6/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
イー・ガーディアンの2013年9月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソーシャルWebサービス(SNSやブログ等のソーシャルメディアや、ソーシャルゲーム、ソーシャルコマース等の双方向のコミュニケーションが介在する全てのインターネットメディア)の健全な運営や活性化に寄与するべく、メディアの監視やカスタマーサービス、更には広告審査業務や広告枠管理等のアド・プロセスサービスを提供している。
実際のサービスは、厳格に設定された基準の下、厳選されたオペレーターによる高品質な目視による監視と自動投稿監視システム「E-trident」等を駆使したシステムによる監視のハイブリッドで提供されており、社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントに目を光らせている。また、24時間365日の稼働を強みとする監視センターは、同社が運営する東京(2拠点)、大阪、宮崎の3都市4拠点と、2012年6月に子会社化したイーオペ(株)が運営する宮城の2拠点。
 
監視拠点:東京・大阪・宮崎の3都市4拠点に加え、12年6月のイーオペ(株)の子会社化により宮城に2拠点追加
 
【イー・ガーディアンの強み】
同社の強みは「提案力」、「運用力」、「開発力」の3つ。更に、E-Tridentやイーオペ(株)子会社化によるサービスラインナップ拡充により事業基盤を強化。また、これらの強みを活かし、大手企業を始めとする優良な顧客を有する。
 
 
【業務区分】
 
上記3業務は、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。

また、監視、CS、アクティブサポートといった人を介するサービスだけでなく、これまでに蓄積してきた技術やノウハウを活かした監視システムや運用支援ツールの販売にも力を入れている。監視システムでは、ソーシャルWebサービス向けの投稿監視システム「E-Trident」を提供しており、運用支援ツールでは、Googleオフィシャルパートナーとして、12年11月にGoogle+(Googleが提供するSNS)ページ運用総合支援ツール「ソーシャルダッシュボード+」をリリースした。「ソーシャルダッシュボード+」は、投稿管理、ユーザーのコメント分類・監視、更にはレポーティングといった機能を有し、Google+ページをはじめとしたソーシャルメディアの運用効率と運用効果を高める事ができる。
 
 
【沿革と直近の業績動向】
97年11月、コンテンツプロバイダー「ホットポット」として創業(98年5月には株式会社に改組)。その後、自社コンテンツの品質管理の一環として開始した監視業務が通信キャリアから高く評価され、徐々に監視業務の外販が拡大。03年4月には掲示板投稿監視事業として営業を本格化し、05年10月にはイー・ガーディアン(株)に商号を変更すると共にコンテンツ配信部門を分離。10年12月に東証マザーズ市場に株式を上場した。

12年6月には、有人監視サービスやカスタマーサポートサービスを手掛けるイーオペ(株)を子会社化。高付加価値監視システムに加え、サイト運用等の提案能力にも優れるイー・ガーディアン(株)とローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイーオペ(株)とは補完関係にあり、イー・ガーディアン(株)による低単価案件の収益化とイーオペ(株)による高度なオペレーションへの対応力強化でグループシナジーを発揮している。
 
 
11/9期から12/9期かけて利益が落ち込んだのは、宮崎センターの開設や自動投稿監視システム「E-Trident」開発等の先行投資が負担となったため(六本木センターは業務を宮崎センターへ移管し12年9月に閉鎖。移管の過程では両センターで重複してコストが発生した)。13/9期はオペレーションの効率化が進む中、良好な事業環境もあり、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセスの3業務がそろって順調。10/9期の最高益(営業利益2億04百万円、経常利益2億12百万円)に手が届く水準にまで業績が回復する見込み。
 
【TOPIX-インターネットを使った選挙運動の解禁がビジネスチャンスに-】
インターネットを使った選挙運動を夏の参院選から解禁する公職選挙法改正案が成立した。手軽なPR手段が増える事で支持拡大につながるとの期待が大きい一方で、党・候補者共に誹謗(ひぼう)中傷など不正行為の防止対策が不可欠であり、業界のトップランナーである同社にとって大きなビジネスチャンスである。
 
従来の制度は、選挙期間中に法定ビラやポスター以外の「文書図画」を不特定多数に配布する事を制限しており、Webサイト等を更新して投票を呼び掛ける行為も、この規定に抵触した。しかし、今回の公職選挙法改で、政党や候補者、支援者を対象に、自身のメールアドレス等の身元情報を開示する事を条件に、Webサイトやツイッター、SNS等を通じた選挙運動が解禁。政党に限定されるものの、クリックした視聴者を特定のWebサイトに導く有料の「バナー広告」も利用可能になった。
 
同社は法案成立に先立つ13年2月より、「公職選挙法・選挙広告」に対応した風評調査・広告監視サービスの提供を開始し、警視庁や東京都選挙管理委員会等でのセミナーも開催済み。なりすまし・偽アカウントモニタリングサービス、ソーシャルリスニングサービス、ソーシャルアカウントの運用代行サービス、更にはガイドライン作成&セミナー等のサービスラインナップが用意されている。
 
 
尚、メールの送信は政党と候補者に対し、受取先が了承した場合にのみ容認され、承認した覚えのない送信元から有権者に投票呼び掛けのメールが届けば、違法とみなされる。また、支援者など第三者によるメール送信は、「誹謗中傷に利用されやすく、外部からの監視も難しい」として解禁が見送られた(民主、みんな両党は第三者メールを含めて全面解禁する改正案を共同提出していた)。
また、不正防止策では、ネット上の掲示板等に悪質な虚偽情報が記載された場合、候補者らが申し立てれば接続業者(プロバイダー)が2日後に削除できると規定。匿名によるメールでの情報発信や候補者を装う「なりすまし」等の不正行為には、最大で2年以下の禁錮や50万円以下の罰金、公民権停止を含む罰則が科される。
 
 
2013年9月期上期決算
 
 
前年同期比20.6%の増収、同243.9%の経常増益
前期の下期から連結決算へ移行したため単純な比較はできないが、前年同期の非連結決算との比較で、売上高は12億47百万円と20.6%増加。ソーシャルゲームを中心に案件獲得が進んだゲームサポートの売上が同77.5%増と大きく伸びた他、広告審査業務に加え、広告枠管理や入稿管理等を手掛けるアド・プロセスや企業によるFacebookページ公式アカウントの運用支援やリスク対策セミナー等が好調だったソーシャルサポートの売上も増加した。
営業利益は同5.4倍の1億18百万円。増収効果や六本木センター閉鎖(前期末)等の監視体制再編効果による労務費率の改善に加え、海外展開及びセンターの安定稼働のための人材採用が第2四半期以降にずれ込んだ事もあり、営業利益率が前年同期の2.1%から9.5%に改善した。
尚、期初予想は、売上高11億85百万円、営業利益30百万円、経常利益47百万円、四半期純利益27百万円。
 
 
※13/9期第2四半期(1-3月)の営業利益が前四半期比で減少したのは、人材採用等の先行投資に伴うもの。
 
 
ソーシャルサポート
売上高は前年同期比6.3%増の7億62百万円。急成長しているソーシャルメディアにおいて、監視・CSだけではなく運用や分析といった多種多様な新サービスの展開や大型案件の獲得に注力した結果、企業によるFacebookページ公式アカウントの運用支援、ソーシャルメディアのリスクに対する対策セミナー、更にはソーシャルメディア上の顧客の声を分析するソーシャルリスニング業務が拡大した。
尚、12年11月に、GoogleオフィシャルパートナーとしてGoogle+ページの運用総合支援ツール「ソーシャルダッシュボード+」の提供を開始した他、13年3月にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を手掛けるマスターピース・グループ(株)と海外でのソーシャルメディア運用代行サービスで提携した。マスターピース・グループ(株)は、国内(6拠点)と中国(5拠点)及びタイ・(バンコク)にコンタクトセンターを展開し、それぞれの地域で、通信販売の受付や事務手続き、クレーム対応等のカスタマーサポートサービスを提供している。この提携を機に、イー・ガーディアン(株)はマスターピース・グループ(株)を通じて中国・東南アジアに進出した日本系企業に対して「E-Trident」による自動投稿監視サービスや「ソーシャルダッシュボード+」を提供していく。
 
 
ゲームサポート
売上高は前年同期比77.5%増の3億62百万円。市場の拡大に加え、健全化に向けたニーズも強いソーシャルゲームで案件獲得が進んだ。特に米Apple社が運営するApp Storeや米Google社が運営するGoogle Playでダウンロード販売されるソーシャルゲーム(ネイティブアプリ)向けで新規の顧客の獲得が進んだ。
 
アド・プロセス
売上高は前年同期比7.9%増の1億23百万円。既存の広告審査業務だけでなく、広告枠管理から入稿管理、更には広告ライティング等へサービスの幅を広げた事や、これらサービスと広告入稿管理業務を円滑に実施するためのシステム開発(取引先個々の状況に応じたシステムを同社が開発)のセット販売に力を入れた事が成果を上げ、新規顧客の獲得が進んだ。
 
 
上期末の総資産は前期末比1億83百万円増の13億53百万円。好調な業績を反映したCFの改善が総資産増加の要因。借方では現預金が、貸方では純資産が増加した。総資産の57%を現預金が占める等、財政状態は流動性に富み、かつ、無借金経営。自己資本比率は72.8%。
 
 
 
2013年9月期業績予想
 
 
前期比12.6%の増収、同81.7%の経常増益予想
第1四半期決算発表時に上方修正した通期予想に変更はなかった。売上高の進捗率は50%と順調であり、営業利益72%、経常利益70%、当期純利益72%と、利益面での進捗は著しい。会社側では、下期も案件獲得が順調に推移すると見ているが、急拡大しているゲームサポートへの対応(センターの安定稼働のための増員)や海外展開の本格化に向けた人材投資に伴うコスト増を織り込んだ。
 
(2)業務別の成長戦略
ソーシャルサポート
自動投稿監視システム「E-Trident」による競合との差別化、イーオペ(株)によるサービスラインナップ拡大、市場拡大に合わせたサービス提供(チャイナソーシャルサポート、インターネット選挙支援サービス)の3つがポイント。
チャイナソーシャルサポートは、マスターピース・グループ(株)との提携によるもので、既に説明した「E-Trident」や「ソーシャルダッシュボード+」の海外展開。一方、インターネット選挙支援サービスは、公職選挙法が改正され、インターネットを利用した選挙活動が解禁された事に伴うもの。具体的には、なりすまし・偽アカウントモニタリングサービス、ソーシャルリスニングサービス、ソーシャルアカウントの運用代行サービス、更にはガイドライン作成&セミナー等のサービスラインナップが用意されており、既に警視庁や東京都選挙管理委員会等でのセミナーも開催済みだ。
 
 
ゲームサポート
新規顧客の開拓と既存顧客の深堀を進めるべく、市場拡大に合わせたサービス提供や人員増強に加え、LineGame、AppStore、Google Play等の新規プラットフォーム向けサービスの強化に取り組んでいく。
 
 
アド・プロセス
ネット広告市場の成長を取り込むべく、自動投稿監視システム「E-Trident」を活用した サービスメニューの拡大やセールスフォースとのパートナーシップ等、他社との提携を進め、単なるアウトソーシング提供だけでなく業務フローの改善、システム化提案等にも力を入れていく。
 
 
 
今後の注目点
ネットワーク犯罪やなりすましによる不正アクセス禁止法違反等のサイバー犯罪は年々増加傾向にあり、いわゆる「コンプガチャ」問題をきっかけに、ゲーム市場に健全性を求める声も強まっている。同社のゲームサポートやソーシャルサポートが好調なのは、こうしたニーズを的確に捉える事ができているためだ。また、多くの企業がインターネットを通じて商品・サービスを取り扱うようになり、マーケティング等でFacebookページやGoogle+ページの活用に力を入れているが、同社においては、こうした動きにも対応できている事がアド・プロセスの売上増から確認できる。個人向け、法人向けの両面からニーズの取り込みに成功していると言い換える事ができるが、今後は第3のニーズである選挙関連が立ち上がる。監視センターの余力は十分に確保されており、早ければ、今期、少なくとも来期には最高益が更新されるのではないだろうか。