ブリッジレポート:(6465)ホシザキ電機 vol.5
(6465:東証1部,名証1部) ホシザキ電機 |
|
||||||||
|
企業名 |
ホシザキ電機株式会社 |
||
社長 |
鈴木 幸彦 |
||
所在地 |
愛知県豊明市栄町南館3-16 |
||
決算期 |
12月末日 |
業種 |
機械(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2011年12月 | 169,297 | 13,808 | 13,750 | 7,220 |
2010年12月 | 169,379 | 13,842 | 13,058 | 8,884 |
2009年12月 | 160,291 | 8,738 | 9,455 | 4,896 |
2008年12月 | 170,281 | 9,364 | 7,144 | 4,209 |
2007年12月 | 178,379 | 9,770 | 9,768 | 3,546 |
2006年12月 | 86,793 | 3,861 | 4,586 | 1,939 |
2006年6月 | 34,106 | 2,971 | 3,521 | 1,629 |
2005年11月 | 51,231 | 4,463 | 4,854 | 3,204 |
株式情報(4/15現在データ) |
|
|
今回のポイント |
|
会社概要 |
製氷機、業務用冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサなどの主力製品では国内トップシェア。製氷機に関してはグローバル市場でもトップシェアである。 独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制などが強みであり、同業他社に対する大きな優位性となっている。 海外売上高比率は21.2%(2012年12月期)。ホシザキ電機を含まない連結グループ会社は国内17社、北中米13社、欧州・アジア17社の合計47社。工場は国内9、中国1、北中米4、欧州2とグローバルでの生産体制を構築している。国内営業体制は、北海道から沖縄までの15販売会社及びその431営業所によって日本全国をカバーしている。また海外では北中米、ヨーロッパ、アジア・オセアニアに、100%独資の販売会社を配置し、全世界を幅広くカバーできる体制を整備している。 |
2012年12月期決算概要 |
国内、海外とも売上好調。コストコントロール、高利益率製品の拡販などで
2012年12月期通期業績は、期初、微増収・減益見通しであったが、2012年7月、11月、2013年1月と3回の業績予想上方修正を経て、増収・増益で着地した。2ケタの増益。 売上高は前期比+5.7%の1,788億円。国内売上は同 6.5%増加の1,409億円。東北地方を中心とした復興需要の取込み、設備投資抑制の反動増、チェーン店を中心とした大都市圏での需要増、省エネタイプの業務用冷蔵庫の拡販、同社が「プラス領域」と呼ぶ飲食店以外の新規顧客開拓の進展などが主な要因。 海外売上は、同+2.5%の379億円。円高の影響(前期と同一レートと仮定した場合は同+3.9%)と、前年にあったディスペンサの特需の反動はあったものの、アジア市場及び注力している業務用冷蔵庫の販売が好調だった。 利益面では、国内において欠員補充のための人件費増加があったものの、売上高増加及び積極的な売上総利益率改善施策(原価低減、仕入商品の購買管理強化、利益率の高い製品の拡販等)でカバーし、営業利益は同+19.4%の増益で、売上高営業利益率は9.2%と前期を1%上回った。経常利益は、外貨預金等による為替差益を25.5億円計上したため、経常利益は営業利益の増益率を大きく上回る同+43.8%の197億円だった。 (国内)
・日本フードサービス協会の定義する大手チェーン店においては、全店店舗数が増加し全店売上高は2年ぶりに前期比プラスを記録。ほぼすべての業態において売上高は増加した。ただ一方で、同社の営業先となる飲食店、夕方店、商店、施設・官庁といったカテゴリーにおける全国のターゲット顧客数自体は、病院・老健施設を除いて減少しており、国内の市場環境は引き続き厳しい。 そうした環境下でも、期初微増と予想していた国内売上高は、前期比+6.5%と成長させることができた。 飲食店向け売上も、構成比こそ低下しているが売上高は前期比プラスとなった。 また、冷蔵庫、製氷機といった主力商品に加え、スチームコンベクションオーブンなどの戦略商品の販売も強化している。 の「営業・サービス連携」による市場の深堀を更に進めた。 (海外)
・円貨ベースの売上高は2012年第2四半期より前期比プラスに転じている。また、エリア別でも米州、欧州、アジア全てのエリアで前期比プラスであった。
また、2013年1月に、2件のM&A、1件の子会社設立を行った。(詳細は後述) グローバルな販売ネットワークを積極的に拡充している。 自己資本比率は62.6%と前期末に比べ0.9%上昇した。 |
2013年12月期通期業績見通し |
円安、M&A子会社の寄与などで2ケタ増収も、人件費増などで営業利益は横這いを予想
・国内は、設備投資需要一服を危惧するが一方で、「プラス領域」の積極的な開拓、買い替え需要開拓、営業・サービス連携強化で、前期比+0.9%と微増を見込む。海外では、欧州債務危機の再燃が懸念されるが、円安による押し上げ効果で既存事業は26%の増収。2013年1月に買収した2社の売上寄与約79億円も含めると、前期比+47.0%と大幅な増収。 なお、2013年1月にM&Aした会社に関する「のれん」は取得価額配分(M&A成立後に取得した資産をバランスシートにどのように計上するかを決めるためのプロセス)が終了していないため、現時点では正確な金額は出ていないが、約7億円程度となる見込み。 (2)今後の取組
<国内>
2013年度の重点施策と懸念事項として以下の様な点を認識している。
◎主なポイント
*国内販売会社においては、飲食店以外の顧客開拓、サービス強化などの体制強化に加え、営業・サービス連携、顧客情報の収集・活用強化、ITの活用などにより、生産性の改善を追求していく。1人当たり生産性は毎年着実に向上している。 従来、病院などで提供されている食事は、ミキサーで擂りつぶした「ミキサー食」やこまかく刻んだ「刻み食」など、老人の食べ易さを考慮したものだが、見た目が悪く、また誤って気管支に入る恐れもあるなど、決して適切なものではない。これに代わり、施設給食の質向上のため、見た目も良い「ソフト食」やゲル化剤を入れて冷やし固めて調理する「ミキサー固形食」など、調理方法の工夫も進んでいる。 こうした食事の調理には、スチームコンベクションオーブン(蒸すことが多いソフト食に利用)、ブラストチラー(ゲル化剤の冷却に使用)、再加熱カート(事前に盛り付けたチルド状態の食事を再加熱)などの機器が必要であり、今後はソフト食の専門家と協業し業界標準の確立を目指し、競合他社との差別化を図る。 <海外>
2013年度の重点施策と懸念事項として以下の様な点を認識している。
◎主なポイント
*今後も継続して大手代理店(バイインググループ)との関係強化を進めていく。ホシザキアメリカの今期代理店向け売上高は前期比+76%と大幅に拡大し、米国でのシェアも着実にアップしている。また最大手のバイインググループには従来の製氷機に加え、業務用冷蔵庫の納入も始まった。加えて、長年の営業努力の結果、全米最大のファスト・フードチェーンから製品認定を受けることもでき、今後の販売拡大が大いに期待される。
今期の日系顧客向け売上構成は約4割だったが、今後中国系顧客を開拓し、2015年にはこの比率を約3割まで低下させることを計画している。 ◎戦略的M&Aの活用と子会社の設立
同社は以前からM&Aを積極的に活用して売上、利益を拡大させることを重要なテーマとして掲げ、ランサー、グラムといった企業を子会社してきたが、2013年1月に2件の海外M&Aを実現した。
①「インドの業務用冷蔵庫メーカー:Western Refrigeration Private Limted社」
Western社は、インドのムンバイに本社を置く業務用の冷蔵庫メーカーで、生産・販売の拠点をインド国内に持つ。世界的飲料メーカー等へ冷蔵ボトルショーケースや冷蔵・冷凍ストッカーを開発・製造・販売し、保守サービスも手掛けている。 2012年3月期の売上高は3,058百万インドルピー。(約52億円。2013年2月末 1ルピー=1.7円) また、戦略的な低コスト製品を中東や東南アジアといった地域へ供給する拠点とする。 ②「米国食器洗浄機メーカー:Jackson MSC, Inc.」
「Jackson MSC LLC」は、米国ケンタッキー州に本社を置き、主として洗剤メーカー等に対して食器洗浄機の製造・販売を行っている。生産・販売拠点は米国。「Jackson MSC LLC」から買収時に上記へ社名を変更。 2012年12月期売上(見通し)は34.6百万USD。(約32億円。2013年2月末 1USD=92円) ③「ホシザキ韓国」
韓国に子会社「ホシザキ韓国」を同じく2013年1月に設立した。現在韓国では代理店を通じて製氷機を中心に販売しているが、今後は飲食産業及び観光産業の成長が見込まれる有望市場であるため、自社主体で販売ネットワーク強化などに着手する。 日本のホシザキ電機がマザーカンパニーとして全グループ会社を統括し、主に技術、製造、管理面でのサポートを行いながら、「日本」、「北中米」、「欧州」、「アジア」、「オセアニア」の各マーケットにおいて、買収企業のシナジー効果を出来る限り早く創出することを目指している。 ◎海外事業拡大に備えた人材育成強化
このように、今後ますますグローバルネットワークを拡大していく同社だが、それを支える人材を体系的に育成することにも取り組んでいる。
|
今後の注目点 |
従来から中期的な売上・利益の成長、シェア拡大に向けて積極的なM&Aの実施を経営戦略として掲げてきた同社だが、短期間に上記2件のM&Aを実行した。 特にWestern社の買収は、成長市場における有力な販売ルートの獲得という意味で、大きなディールであったといえる。今後は、アジアももちろんではあるが、巨大市場のアメリカ、ヨーロッパでのM&A実行に意欲的だ。 ただ、言うまでもなくM&Aは「1+1=2以上」にして初めて意味があるもので、「シナジーの創出」をいかに早期に実現することができるのかが注目される。 また、今期横這いと計画している国内売上が実際にはどう推移していくのか?も四半期毎注視していきたい。 |
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |