ブリッジレポート
(2468) 株式会社フュートレック

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ブリッジレポート:(2468)フュートレック vol.24

(2468:東証マザーズ) フュートレック 企業HP
藤木 英幸 社長
藤木 英幸 社長

【ブリッジレポート vol.24】2013年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「フィーチャーフォンからスマートフォンへの急速なシフトを受けて同社の業績も一旦踊り場を迎えたが、スマートフォンへの技術・サービス両面で・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年3月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フュートレック
社長
藤木 英幸
所在地
大阪市淀川区西中島 6-1-1
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 2,562 501 502 261
2011年3月 2,085 482 485 284
2010年3月 1,996 530 540 315
2009年3月 1,777 404 415 221
2008年3月 1,598 264 277 159
2007年3月 1,253 249 256 162
2006年3月 1,443 173 165 99
2005年3月 1,059 69 79 33
2004年3月 907 9 6 -1
2003年3月 736 12 12 3
2002年3月 435 17 34 29
株式情報(3/11現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,061円 9,312,800株 9,881百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.50円 1.2% 46.17円 23.0倍 331.23円 3.2倍
※株価は3/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
BPS=上期末自己資本/分割後の発行済株式数。
 
フュートレックの2013年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
スマートフォンに話しかけるだけで操作や検索などを行う事ができるスマートフォンアプリ「しゃべってコンシェル」(NTTドコモ)の音声認識エンジンや、声で入力できる「銀行向け業務日報ソリューション」等を提供。「高い認識精度」、「幅広い品揃え」、及び「カスタマイズ可能な柔軟性」を強みとして音声認識技術を展開している。
グループは、同社の他、音声認識コア技術の開発をする(株)ATR-Trek、CRMソリューションやシステムソリューションを手掛けるイズ(株)、及びiPhoneを中心にしたスマートフォン向けアプリ開発の(株)スーパーワンの連結子会社3社。NTTドコモ・グループが発行済株式の約10%を保有し、12/3期はNTTドコモ向けの売上高が全体の59.8%を占めた。
 
尚、音声認識技術とは、人間の話した言葉を機器に認識させて、音声による機器操作や情報入力を可能にする技術。同社は「vGate(ブイゲート)」ブランドの下で、機器に人間の声を認識させる「vGate ASR」、音声合成により機器に言葉を発話させる「vGate TTS」、及び音声認識と音声合成を組み合わせて機器との会話を実現する「vGate Talk2Me」の3製品をラインナップしており、これらの製品を様々なアプリケーションやシステムに組込む事によって、汎用的に利用する事ができる。
 
【事業内容】
事業は、ライセンス事業とライセンス以外の事業に分かれ、12/3期の売上構成比は前者が91.3%、後者が8.7%。また、前者は、音声認識・UIソリューション事業分野(同58.4%)、音源事業分野(同16.9%)、CRMソリューション事業分野(同15.9%)に分かれ、後者は基盤事業分野(同4.2%)及びカード事業分野(同4.5%)に分かれる。
尚、音声認識・UIソリューション事業分野の収益は、技術や製品を提供する際、最初に受け取る許諾料「イニシャルフィー(初期許諾料)」、技術や製品を搭載するに当たり、周辺のシステム改変等を行う場合(実施毎)に受け取る実費用「カスタマイズ費用」、技術や製品を搭載した最終製品の生産や販売等に応じて、「1台当たり」、「1ダウンロード当たり」等の基準で受け取る継続許諾料「ランニングロイヤルティ」等からなる(ビジネス環境の変化等でこのビジネスモデルに収まらないものも増えている)。
 
 
 
2013年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比37.0%の増収、同128.5%の経常増益
売上高は前年同期比37.0%の25億29百万円。ランニングロイヤルティ収入やカスタマイズ業務にかかる収入の増加で音声認識・UIソリューション事業分野の売上が同80.9%増と伸長。フィーチャーフォン(従来型携帯電話)向けの音源を手掛ける音源事業分野や受託開発が減少したCRMソリューション事業分野の売上減少をカバーした。
利益面では、売上の増加に加え、ランニングロイヤルティ収入の増加による売上構成比の良化もあり、売上総利益率が71.7%と6.5ポイント改善。販管費の増加を吸収して営業利益は8億80百万円と同127.4%増加した。
 
尚、売上が予想に沿った着地となる中、利益が大きく上振れしたのは、上記ランニングロイヤルティの増加に伴う売上構成の変化と、第3四半期に予定していた研究開発投資に一部延伸があったため。
 
 
(2)セグメント別動向
 
同社の事業は、大きくライセンス事業(音声認識・UIソリューション事業分野、音源事業分野、CRMソリューション事業分野)とライセンス以外の事業(基盤事業分野、カード事業分野)に分かれ、13/3期第3四半期累計期間は、ライセンス事業の売上高が前年同期比39.8%増の23億40百万円、ライセンス以外の事業の売上高が同9.6%増の1億88百万円と、共に前年同期の実績を上回った。
 
ライセンス事業のうち、音声認識・UIソリューション事業分野の売上高はランニングロイヤルティ収入やカスタマイズ業務にかかる収入の増加で18億78百万円と前年同期比80.9%増加。特に伸びが大きかったのはランニングロイヤルティ収入で、第2四半期から回復基調にあり、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの2012冬モデルのスマートフォンにプリインストールされた「しゃべってコンシェル」アプリにvGate ASR シリーズのミドルウエアライブラリを提供した事が売上の押し上げ要因となった。
一方、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモとの音源IPライセンス契約に基づくロイヤルティ収入の減少で音源事業分野の売上高は1億81百万円と同45.3%減少。フィーチャーフォンの減少で国内市場での音源搭載台数の減少が響いている。この他、受託開発の売上減少でCRMソリューション事業分野の売上高も2億81百万円と同7.8%減少した。
 
ライセンス以外の事業では、カスタマイズ業務による収入の増加で基盤事業分野の売上高が78百万円と同24.1%増加した他、英語リスニング模擬試験用メモリーカードの書込みに係る売上の増加でカード事業分野の売上高も1億10百万円と同1.2%増加した。
 
 
 
第3四半期末の総資産は前期末比1億58百万円増の36億48百万円。好調な業績を受けてキャッシュ・フローが改善したようで、有利子負債を一掃した上、余資運用の有価証券が増加。一方、現預金はほぼ期初の水準を維持した。この結果、自己資本比率は85.7%と同7.1ポイント改善した。
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
13年1月21日に修正した通期業績予想に変更はなく、前期比22.9%の増収、同69.3%の経常増益
音声認識・UIソリューション事業分野のランニングロイヤルティ収入が堅調に推移している事を踏まえて、13年1月21日に通期業績予想を修正しており、この修正値に変更はなかった。配当は1株当たり12.5円の期末配当を予定している(12年10月に実施した1:200の株式分割を考慮すると、実質400円増配の2,500円)。
 
 
 
今後の注目点
フィーチャーフォンからスマートフォンへの急速なシフトを受けて同社の業績も一旦踊り場を迎えたが、スマートフォンへの技術・サービス両面での対応が進んだ事と通信キャリアの体制整備が進んだ事で調整は短期間で終了したようだ。経営理念を「社会の変化に柔軟に対応して、その時代に求められる商品を追求し、継続的に発展する会社を目指す」とする同社。半導体の受託開発からスタートし、音源事業、音声認識事業へと事業の軸足を移しながら企業価値を向上させてきたが、今後は業務ソリューション等への応用で音声認識事業の多角化を進めると共に電子書籍ビジネスを始めその他の新規事業を育成していく事で更なる企業価値の向上につなげていく考え。今後の音声認識ビジネスへの研究開発投資で、一時的に利益が圧迫される状況が予想されているが、更なる企業価値の向上に向けた先行投資であると考えられる。